オプション取引とは?仕組み・4つの基本形・リスクと始め方を忖度なく解説【初心者向け】

ICHIZEN Capitalのイチ押しポイント!
- オプション市場は大口投資家の主戦場|値動きの多くはマーケットメーカーのヘッジから生まれる
- オプションの売り手であるマーケットメーカーは方向性に賭けず、売ったオプションのリスクを現物・先物で打ち消す「デルタヘッジ」を機械的に行っている
- 建玉が偏る価格帯に近づくとこのヘッジが値動きを加速・抑制する方向に働くことがあり、ボラティリティショート勢やCTA、カバードコールETFなど他の大口もこの動きを踏まえて売買する
- オプション取引は「将来の売買の権利」を取引するデリバティブ(金融派生商品)
- 買う権利=コール、売る権利=プット。買い手の損失はプレミアム(購入代金)に限定される
- 保険のように「もしもの値動き」に備える使い方ができる点が先物取引との最大の違い
- 日経225オプション・米国株オプション・暗号資産オプションの3種が主な選択肢
- 日本で最もメジャーなのは日経225オプション(大阪取引所)。SBI証券・楽天証券などで取引可能
- 暗号資産ではDeribitでビットコインオプションが取引でき、24時間対応
- リスクと税金|売り手は損失無限大の可能性、税率は資産の種類で大きく異なる
- 買い手は損失限定だが、売り手は理論上損失無限大。初心者は「買い」から始めるのが鉄則
- 日経225オプションは申告分離課税20.315%、暗号資産オプションは総合課税で最大約55%
木田 陽介オプション取引は「権利の売買」という仕組みが直感的にわかりにくいので、敬遠する方が多いですが、実はリスクを限定できるという点で先物より初心者向きな一面もあります。ただし売り手に回ると話が変わる。そのあたりも含め、この記事では仕組みから税金まで一気通貫で解説します。


監修 木田 陽介
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役
2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。
オプション取引を知っておきたい理由
オプション取引は「権利を売買する仕組み」ですが、ぶっちゃけそれを聞いても、それ自体は普段の売買とあまり関わりがないように感じるかもしれません。
ですが、オプション取引こそ相場を動かす投資家の主戦場なのです。



正直な話、オプション取引の仕組みを知るだけなら、ここの章だけ読んで離脱してもらっても構わないくらい重要な話です。
オプション取引がなぜ相場分析の中で一番重要視されるのかを理解できると思います。
オプションの売り手として、投資家の注文の反対側に日常的に立っているのがマーケットメーカー(オプション専門の取引業者)です。マーケットメーカーは価格が上がるか下がるかに賭けるのではなく、買い手から受け取るプレミアム(オプション料)や売買スプレッドを利益源とする存在です。
そのため、マーケットメーカーは売ったオプションが抱える価格変動リスクを、原資産(株や株価指数など)の売買で打ち消す「デルタヘッジ」という調整を行っています。
要するに、値動きによって損をしないポートフォリオを組むということ。
このヘッジはメーケットメイカーのオプション売りに対して機械的に発生する売買のため、特定の価格帯にオプションの建玉(ポジション)が偏って集中している局面では、値動きを加速させたり抑え込んだりする方向に働くことがあります。
ただし、これは常に起きる現象ではなく、建玉の偏りが大きいときほど目立ちやすい、という程度に理解しておけば十分です。
つまりオプション取引は、個人投資家だけで完結する話ではなく、マーケットメーカーの存在とセットで成り立っている仕組みです。
相場を動かすマーケットメイカーに対して、大口がどんな動きをしてくるのか、そこを読むために必要な材料がオプション市場にはあります。
具体的には、以下のような大口投資家の動きを読むことができます。
- ボラティリティショート
- マーケットメーカーのヘッジによる抑制シチュエーションで反発アクションを形成することで利益を獲得する勢力
- CTA(Commodity Trading Advisor)
- 基本的にはルールに従ってトレンド形成するが、マーケットメーカーによる加速メカニズムが働く際には、その加速力を更に強化する役割を持つ
- カバードコールETF
- 現物ロングに対してショートコールを構築することで上値の抑制意識を生成する母体。基本的には抑制意識を生み出すが、稀にトレンド爆発要因にもなる
これらの内容を理解するために、当サイトではオプション取引に関する基本から応用まで解説しているので、ブックマークを推奨しております。
また、8月4日からオプション取引に関する無料教材を配布していきます。
コンセプトは「天底を取る」です。一人でオプション分析ができるようになるまでの教材となっており、無料で教材獲得できるので、ぜひこちらからご登録ください。
オプション取引とは?基本情報


オプション取引とは、「将来の特定の日に、あらかじめ決めた価格で原資産を買う、または売る『権利』を売買する取引」です。デリバティブ(金融派生商品)の一種で、株式や株価指数、商品、暗号資産など幅広い原資産を対象に行われています。
もっとシンプルに言えば、「将来の値動きに対する保険」を買ったり売ったりする取引です。たとえば「3か月後に日経平均を4万円で買う権利」を今のうちに手に入れておけば、実際に4万円を超えた場合に利益が出ます。権利なので、不利になれば行使せず放棄できる点が、先物取引との決定的な違いです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取引の性質 | デリバティブ(金融派生商品)の一種 |
| 取引対象 | 「買う権利(コール)」または「売る権利(プット)」 |
| 対価 | プレミアム(オプション料)を支払う |
| 買い手のリスク | 最大損失=支払ったプレミアム(損失限定) |
| 売り手のリスク | 理論上、損失は無限大になりうる |
| 代表的な原資産 | 日経225、米国株(個別株・ETF)、暗号資産(BTC・ETH) |
| 国内の主要市場 | 大阪取引所(日経225オプション) |
| 暗号資産の主要市場 | Deribit、OKXなど |
次の章から、コールとプットの仕組み、4つの基本形、そして日本で取引できる場所と税金まで順を追って解説していきます。
オプション取引の仕組み|「権利」の売買を理解する
オプション取引を理解するカギは、「売買の義務」ではなく「売買の権利」を取引しているという点にあります。権利を買った側(買い手)は行使するか放棄するかを選べますが、権利を売った側(売り手)は買い手が行使したら必ず応じなければなりません。この非対称性がオプション取引の特徴です。
- コールオプション(買う権利)の仕組み
- プットオプション(売る権利)の仕組み
- プレミアム(オプション料)とは何か
- 権利行使価格・満期日の意味
コールオプション|「買う権利」


コールオプションは、あらかじめ決めた価格(権利行使価格)で原資産を「買う権利」です。原資産の価格が権利行使価格を上回ったときに利益が出ます。たとえば、日経平均を4万円で買うコールオプションを持っていて、満期日に日経平均が4万2,000円なら、差額の2,000円分が利益になります(プレミアムを差し引いた額が実質利益)。
逆に日経平均が4万円を下回った場合は、権利を行使しなければ済みます。損失は最初に支払ったプレミアム(購入代金)だけで、それ以上は失いません。この「損失限定・利益は理論上無限」という構造が、コール買いの最大の特徴です。
プットオプション|「売る権利」


プットオプションは、あらかじめ決めた価格で原資産を「売る権利」です。原資産の価格が権利行使価格を下回ったときに利益が出ます。相場の下落に備えるヘッジ手段として使われることが多く、保有株のリスクをカバーする「保険」のような使い方が代表的です。
たとえば日経平均を4万円で売るプットオプションを持っていて、満期日に日経平均が3万8,000円に下落すれば、差額の2,000円分が利益になります。コール同様、プットの買い手も損失はプレミアムに限定されます。
プレミアム(オプション料)とは


プレミアムは、オプションの買い手が売り手に支払う対価(権利の価格)です。株でいう株価に相当します。プレミアムは主に2つの要素で構成されています。
本質的価値は、今すぐ行使した場合に得られる利益分です。権利行使価格と原資産の現在価格の差がプラスであれば、それが本質的価値になります。時間的価値は、満期までの残り時間に対して付く価値で、満期が近づくほど減少(タイムディケイ)します。このため、オプションは「時間が敵」になる場面があります。
権利行使価格と満期日


権利行使価格(ストライクプライス)は、権利を行使する際の売買価格です。原資産の現在価格に対して権利行使価格がどこにあるかで、「イン・ザ・マネー(ITM:利益が出る状態)」「アット・ザ・マネー(ATM:ちょうど同値)」「アウト・オブ・ザ・マネー(OTM:利益が出ない状態)」に分けられます。
満期日(限月)はオプションの有効期限で、日経225オプションでは毎月第2金曜日、Weekly(ウィークリー)オプションでは毎週金曜日です。満期を過ぎるとオプションは無価値になります。なお、日経225オプションは満期日のみ行使できる「ヨーロピアンタイプ」、米国株オプションは期間中いつでも行使できる「アメリカンタイプ」が一般的です。
オプション取引の4つの基本形|損益構造の全体像
オプション取引には「コール」と「プット」の2種類があり、それぞれに「買い」と「売り」があるため、合計4つの基本ポジションが存在します。この4つの損益構造を押さえることが、オプション取引の全体像をつかむ最短ルートです。
| ポジション | 相場観 | 最大利益 | 最大損失 |
|---|---|---|---|
| コール買い | 上昇を予想 | 理論上無限 | プレミアム(限定) |
| コール売り | 横ばい〜下落を予想 | プレミアム(限定) | 理論上無限 |
| プット買い | 下落を予想 | 原資産が0になるまで | プレミアム(限定) |
| プット売り | 横ばい〜上昇を予想 | プレミアム(限定) | 原資産が0になるまで |
表から読み取るべき要点は、「買い」は損失が支払ったプレミアムに限定される一方、「売り」は受け取ったプレミアム以上の損失を負いうるという非対称性です。だからこそ初心者は損失が限定されるコール買い・プット買いから入るのが定石で、売りに回るなら原資産を保有したうえで売るカバードコールや、購入資金を確保して売るキャッシュ・セキュアード・プット(CSP)のように裏付けのある形から検討します。
4つそれぞれの損益図の形・最大損失の計算・相場観に応じた使い分けは、オプション取引の4つの基本形とは?で図解付きに詳しく解説しています。
オプション取引の種類|日経225・米国株・暗号資産
オプション取引は原資産の種類によって市場・ルール・税制が異なります。日本の個人投資家が実際にアクセスできる主な3つの領域を整理します。
- 日経225オプション|国内の王道
- 米国株オプション|個別株でカバードコールも
- 暗号資産オプション|BTC・ETHで24時間取引
日経225オプション|国内の王道
日経225オプションは大阪取引所に上場する日本で最もメジャーなオプション商品です(※1)。原資産は日経平均株価で、取引単位は日経平均×1,000円。たとえば権利行使価格40,000円のコールオプション1枚は、4,000万円分の日経平均を買う権利を意味します。
売買はSBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、auカブコム証券などの国内証券会社で可能です。ヨーロピアンタイプ(満期日のみ行使可)で、限月は毎月・Weekly・四半期の3種類があります。取引時間は日中立会(8:45〜15:15)とナイト・セッション(16:30〜翌6:00)で、日中・夜間あわせて1日約18時間取引できます。
2024年にはより少額から始められる日経225ミニオプション(取引単位100倍=通常の1/10)も登場し、個人投資家のハードルが下がっています。SBI証券のオプション取引の詳細はSBI証券オプション取引の記事もご覧ください。
米国株オプション|個別株でカバードコールも
米国株オプションは、Apple・NVIDIA・Teslaなどの個別株を原資産にしたオプションで、世界最大の取引量を誇ります。CBOE(シカゴ・オプション取引所)等に上場しており、1契約=100株単位が基本です。アメリカンタイプ(期間中いつでも行使可)が一般的です。
日本から取引するには、サクソバンク証券やmoomoo証券(旧ウィブル証券)など、米国株オプションに対応した証券会社の口座が必要です。カバードコール(保有株にコール売り)やCSP(キャッシュ・セキュアード・プット)など、実践的な戦略が取れるのが個別株オプションの強みです。
暗号資産オプション|BTC・ETHで24時間取引
暗号資産(仮想通貨)のオプション取引は、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を原資産にしたオプションで、近年急速に市場が拡大しています。最大手はDeribit(デリビット)で、暗号資産オプション市場のシェアの大半を占めます。
Deribit以外にも複数の海外取引所がBTC・ETHのオプション取引を提供しています。24時間365日取引できる点、少額から参入できる点が証券オプションとの大きな違いです。
ただし、暗号資産オプションは国内の金融商品取引法の規制対象外の海外取引所で行うことになるため、投資者保護の制度(分別管理・補償等)が日本の法律上は及ばない点を理解しておく必要があります。オプション取引の時間帯について詳しくはオプション取引は24時間できる?の記事もご覧ください。
オプション取引のメリット・デメリット
オプション取引には、先物や現物にはない独自のメリットとデメリットがあります。両面を正確に把握したうえで、自分に合うかどうかを判断しましょう。
- 買い手のリスクが限定|損失は最大でもプレミアム(支払額)まで
- レバレッジ効果|少額のプレミアムで大きな原資産を動かせる
- ヘッジに使える|保有資産の下落リスクをプットで保険的にカバー
- 多彩な戦略|上昇・下落・横ばい、どの相場観でも利益を狙える
- プレミアム収入|売り手はオプション料を受け取れる(収益化手段)
- 売り手のリスクは無限大|特にネイキッド・コール売りは損失が青天井
- タイムディケイ(時間的価値の減少)|買い手は時間の経過で価値が目減りする
- 仕組みが複雑|コール/プット×買い/売りの4パターンと専門用語が多い
- 流動性リスク|銘柄や限月によっては板が薄く、約定しにくい場合がある
- 証拠金リスク|売り手は証拠金を求められ、相場急変時に追証が発生しうる
結論として、オプションの「買い」は損失限定でリスクコントロールしやすく、初心者にも取り組みやすい構造です。一方、オプションの「売り」はプレミアム収入が得られる反面、損失が膨らむリスクがあるため、相応の知識と資金管理が求められます。
オプション取引の始め方|国内証券と暗号資産取引所
オプション取引を始めるには、取引したい原資産に対応した口座を開設する必要があります。日経225オプションなら国内証券会社、暗号資産オプションなら海外取引所が入口になります。
日経225オプションの場合は、証券口座を開設したうえで先物・オプション取引口座を追加申込する流れです。適合性チェック(投資経験・金融資産などの確認)があるため、取引開始までは最短でも数営業日かかります。証券会社ごとの手数料比較や、口座開設から実際の発注までの手順は、オプション取引のやり方|始め方の手順で詳しく解説しています。
暗号資産オプション|海外取引所での始め方
暗号資産のオプション取引は、Deribitなどの海外取引所で始められます。口座開設はメールアドレスとKYC(本人確認)で完了し、適合性チェックや投資経験の審査はありません。国内取引所からBTCやUSDTを送金すれば、すぐに取引を開始できます。
ただし繰り返しになりますが、海外取引所は日本の金融商品取引法の規制対象外です。投資者保護制度が及ばないこと、出金トラブル時の法的保護が限定的であることは、始める前に必ず理解しておきましょう。海外取引所の選び方は海外取引所おすすめランキングも参考になります。
オプション取引の注意点・よくある失敗
オプション取引で大きな損失を出すパターンには共通点があります。初心者が陥りやすい3つの落とし穴を押さえておきましょう。
売り手のリスクを甘く見る
オプション売りは「勝率が高い」と言われることがあります。実際、OTM(アウト・オブ・ザ・マネー)のオプションは多くの場合無価値で満期を迎えるため、売り手は高い確率でプレミアムを受け取れます。しかし、まれに起きる急変動(ブラックスワン)で一度の損失が数十回分の利益を吹き飛ばすことがあります。
2024年8月の日経平均急落(ブラックマンデー級の下落幅を記録)では、プット売りポジションを持っていた個人投資家が巨額の追証を求められた事例が報じられました。「売りは勝率が高いから安全」は最も危険な誤解です。売りを行う場合は、スプレッド(反対ポジションでリスクを限定する)を組むのが基本です。
タイムディケイを理解せずに買う
オプションの時間的価値は、満期が近づくほど加速度的に減少します。特に満期まで1か月を切ると減少スピードが急増し、相場が思った方向に動いていても、時間切れでプレミアムが減ってしまうことがあります。
対策は明確で、時間軸を意識したエントリーが重要です。残存期間が短いオプションはタイムディケイが大きい反面プレミアムが安い。長いオプションは価格変動のチャンスが増えますがプレミアムが高い。自分の相場観と時間軸を一致させることが、無駄な損失を防ぐカギです。
ギリシャ指標を無視する
ギリシャ指標(グリークス)は、オプション価格がどの要因でどれだけ変化するかを示す指標群です。主要なものとしてデルタ(原資産価格の影響)、ガンマ(デルタの変化率)、セータ(時間的価値の減少速度)、ベガ(IV=インプライド・ボラティリティの影響)があります。
これらを無視して「上がるか下がるか」だけで取引すると、方向は当たったのに利益が出ない(IVの低下で価格が下がる「ボラクラッシュ」等)という事態に遭遇します。特にIV(インプライド・ボラティリティ)は、相場の恐怖度合いを反映する重要な指標で、VIX指数と密接に関連しています。VIXオプションについてはVIX指数オプション取引の記事で詳しく解説しています。
ICHIZEN Capitalの視点|税金の違いと事業者が使うオプション
多くの解説記事はオプションの「仕組み」で終わりますが、実際に利益が出たあとに必ず関わるのが税金です。しかもオプション取引は、原資産の種類によって税制がまったく異なります。ここは上位記事が手薄な領域なので、正確に整理します。
日経225オプション=申告分離課税20.315%
日経225オプション(大阪取引所上場)の利益は、「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税の対象です。税率は一律20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)で、所得の大小にかかわらず固定されています(※2)。
さらに、他の先物取引(日経225先物・FX等)の損益と通算できる点も大きなメリットです。損失が出た場合は3年間の繰越控除も認められています。これは株式の損益通算とは別枠ですが、制度として整備されているため、確定申告の計算は比較的シンプルです。
暗号資産オプション=総合課税(最大約55%)
一方、暗号資産を原資産としたオプション取引の利益は「雑所得」として総合課税が原則です。他の所得と合算され、税率は所得に応じて5〜45%(住民税を含めると最大約55%)となります。
日経225オプションとの税率差は最大で約35ポイントに及びます。同じ「オプション取引」でも、原資産が株価指数か暗号資産かで税負担がまったく異なる点は、戦略を組む上で無視できない要素です。なお、2028年度以降の税制改正で暗号資産にも分離課税が適用される見通しが報じられていますが、施行時期は未確定です(※3)。暗号資産の税金全般については仮想通貨の税金の記事、海外オプションの税金については海外オプション取引の税金の記事もご覧ください。
事業者がオプションを使う理由|ヘッジとプレミアム収入
事業者視点では、オプションは単なる投機ツールではなくリスク管理(ヘッジ)と収益の安定化の手段です。たとえば、暗号資産を大量に保有する事業者がプットオプションを買っておけば、急落時に一定価格で売却できる保険になります。
また、保有ポジションに対してコール売り(カバードコール)を組み合わせることで、プレミアム収入を得ながら保有を続けるという戦略も実務で使われています。レンディングやステーキングと同様に、保有資産から追加のインカムを生む手段として、オプション売りは一定の役割を果たしています。



オプションの税率差は見落とされがちですが、同じ100万円の利益でも日経225オプションなら約20万円、暗号資産オプションだと最大約55万円の税金。この差は戦略に直結します。事業者としてはヘッジ目的で暗号資産オプションを使うケースもありますが、個人の方は税率を理解したうえで使い分けるのが合理的です。
よくある質問
オプション取引は危険ですか?初心者でもできますか?
オプションの「買い」は損失がプレミアム(支払額)に限定されるため、リスク管理がしやすい構造です。初心者はまずコール買いやプット買いから始めるのが定石です。ただし「売り」は損失が無限大になりうるため、十分な知識と資金管理が必要です。
オプション取引はいくらから始められますか?
日経225ミニオプションなら数千円〜数万円のプレミアムで1枚買えるため、比較的少額から始められます。ただし売りの場合は証拠金が必要で、数十万円以上の資金が求められます。暗号資産オプション(Deribit等)ではさらに少額から取引可能なケースもあります。
オプション取引と先物取引の違いは何ですか?
先物取引は将来の売買を「約束」する取引で、買い手も売り手も義務を負います。オプション取引は「権利」の取引で、買い手は権利を放棄できます。この違いにより、オプションの買い手は損失を限定できますが、その分プレミアムを支払う必要があります。
オプション取引のプレミアムとは何ですか?
プレミアムはオプションの価格(購入代金)で、買い手が売り手に支払います。本質的価値(今すぐ行使した場合の利益分)と時間的価値(満期までの期待値)で構成されます。満期が近づくと時間的価値が減少し、OTMのオプションは最終的に0になります。
オプション取引の確定申告はどうすればいいですか?
日経225オプションの利益は「先物取引に係る雑所得等」で申告分離課税(20.315%)です。確定申告書Bの「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」に記入します。暗号資産オプションの利益は「雑所得」で総合課税のため、他の所得と合算して申告します。
オプション取引とバイナリーオプションの違いは?
バイナリーオプションは「判定時刻に条件を満たすか否か」の二択で、ペイアウトが固定です。通常のオプション取引は権利行使価格からの乖離幅に応じて利益が変動し、戦略の自由度がはるかに高い取引です。日本ではバイナリーオプションは金融庁の規制下にあり、別の商品として扱われています。
仮想通貨(暗号資産)のオプション取引はどこでできますか?
暗号資産オプションの最大手はDeribit(デリビット)で、市場シェアの大半を占めます。国内ではSBI VCトレードが唯一の暗号資産オプション(カバードコール・ターゲットバイイング)を提供しています。ただし、海外取引所はいずれも日本の金融商品取引法の規制対象外である点に注意が必要です。
オプション取引のコールとプットの違いを簡単に教えてください
コールは「買う権利」、プットは「売る権利」です。相場が上がると思えばコールを買い、下がると思えばプットを買います。どちらも買い手の損失はプレミアム(支払額)に限定されます。
オプション取引の税金は株と同じですか?
同じではありません。日経225オプションは「先物取引に係る雑所得等」で申告分離課税20.315%、暗号資産オプションは「雑所得」で総合課税(最大約55%)です。株式の譲渡益とは損益通算できない点も異なります。米国株オプションの税金については商品設計によって異なるため、税理士への確認をおすすめします。
オプション取引で借金(追証)は発生しますか?
オプションの「買い」では追証は発生しません。損失は最大でもプレミアム(支払額)です。ただし「売り」の場合は証拠金が必要で、相場の急変動で証拠金が不足すると追証(追加証拠金の差し入れ要求)が発生します。最悪の場合、預けた証拠金を上回る損失が出て借金状態になることもあります。
まとめ|オプション取引は「権利の売買」、まずは買いから
オプション取引は、「将来の特定日に決めた価格で売買する権利」を取引するデリバティブです。買う権利がコール、売る権利がプットで、買い手の損失はプレミアムに限定されます。4つの基本形(コール買い・コール売り・プット買い・プット売り)を理解すれば、上昇・下落・横ばいのどの相場でも戦略を組むことが可能です。
日本で取引できるオプションは、日経225オプション(国内証券会社)、米国株オプション(サクソバンク証券等)、暗号資産オプション(Deribit等)の3つが主な選択肢です。税金は原資産によって大きく異なり、日経225は分離課税20.315%、暗号資産は総合課税で最大約55%という差があります。初心者は損失が限定される「買い」から始め、売りに進む際はスプレッド等でリスクを限定するのが鉄則です。
参考文献
1. 日本取引所グループ(JPX)「日経225オプション取引」https://www.jpx.co.jp/derivatives/products/domestic/225options/
2. 国税庁「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」https://www.nta.go.jp/
3. 暗号資産の分離課税に関する報道(2026年7月時点、要確認)
4. Bitget オプション取引ページ https://www.bitget.com/
5. Deribit 公式 https://www.deribit.com/
※本記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品・取引所への投資を勧誘するものではありません。オプション取引にはリスクが伴い、特に売りポジションでは投資元本を超える損失が発生する可能性があります。税制は変更される場合があるため、最新の情報は国税庁・金融庁の情報でご確認ください。税務の具体的な判断は税理士等の専門家にご相談ください。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。









