オプション取引のVIX指数とは?IVとの違い・数値の目安と売買タイミングへの活かし方を解説

ICHIZEN Capitalのイチ押しポイント!
- VIX指数は「S&P500オプションの価格から逆算した30日先の予想変動率」
- オプション価格そのものから作られた指標なので、オプション取引と切り離せない関係にある
- 別名「恐怖指数」。投資家の不安が高まるほど数値が上がる
- オプション取引では「プレミアムの高安を測る温度計」として使う
- VIXが高い=プレミアムが厚い局面。売り戦略が有利になりやすい
- VIXが低い=プレミアムが薄い局面。買い戦略が仕込みやすい
- 目安は10〜20が平常、20超で警戒、30超で強い警戒
- 過去最高値は2020年3月コロナショック時の83.56
- 2026年は年初来安値14.49(1月)〜高値31.05(3月)で推移
- VIX指数そのものを取引する「VIXオプション」も存在する
- 日本からはウィブル証券・IG証券・IB証券の3ルート
- ただし独自ルールが多く、まずは指標として読むところから
木田 陽介VIX指数は「オプションのプレミアムがいま高いのか安いのか」を一目で測れる、オプショントレーダーにとって最も実用的な指標のひとつです。ヨーロピアン方式・現金決済・成行注文不可など、日経225オプションや米国株オプションとは違うルールがあるので、始める前にこの記事で仕組みを押さえてから証券会社を選ぶのがおすすめです。


監修 木田 陽介
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役
2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。
オプション取引のVIX指数とは?基本を押さえる
VIX指数とは、米国シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出する「S&P500の30日先のインプライド・ボラティリティ(予想変動率)」を数値化した指標です。「恐怖指数」の別名で知られ、投資家の不安心理が高まると数値が上昇します。
オプション取引を学ぶ人がVIXに出会うのは偶然ではありません。VIXはS&P500のコール・プットの価格から将来の変動率を逆算して作られているため、成り立ちからしてオプションと不可分の指標です。言い換えれば、VIXは「いま市場がオプションにどれだけの不安料を払っているか」を1つの数値に集約したものといえます。
| 項目 | 内容(2026年7月時点) |
|---|---|
| 正式名称 | Cboe Volatility Index(VIX) |
| 別名 | 恐怖指数 |
| 算出元 | S&P500のオプション価格(インプライド・ボラティリティ) |
| 算出機関 | CBOE(シカゴ・オプション取引所) |
| 通常の推移範囲 | 10〜20付近 |
| 警戒水準 | 20超で不安感、30超で強い警戒 |
| 過去最高値 | 83.56(2020年3月・コロナショック時) |
| 2026年の推移 | 年初来安値14.49(1月)、年初来高値31.05(3月) |
だからこそVIXは、単なる相場のムード計ではなく、オプション取引の実務では「プレミアムがいま高いのか安いのか」を判断する材料になります。次の章から、その使い方を具体的に見ていきます。
VIX指数とIV(インプライド・ボラティリティ)の違い
VIXとIVはどちらも「予想変動率」を指しますが、見ている範囲が違います。混同するとオプションの銘柄選びを誤るため、最初に整理しておきましょう。
- VIX指数=市場全体の不確実性|S&P500を対象にした、市場全体の30日先の予想変動率。1つの数値で相場環境をつかむための指標
- IV=個別の不確実性|銘柄ごと・満期ごと・権利行使価格ごとに異なる予想変動率。実際に売買する銘柄の割高・割安はこちらで判断する
つまりVIXで「いまは売り場か買い場か」という環境を判断し、IVで「どの銘柄・どの行使価格を選ぶか」を決めるという役割分担になります。IVそのものの読み方はオプション取引のIVとは?、満期ごとの高低差はIVタームストラクチャー、行使価格ごとの歪みはボラティリティスマイルで解説しています。
なお、VIXやIVが「これから」の予想であるのに対し、過去の実際の値動きから計算するのがHV(ヒストリカル・ボラティリティ)です。VIXがHVより大きく上振れしているときは、市場が実際の値動き以上に不安を織り込んでいると読めます。
VIX指数の数値の目安|どこからが「高い」のか
VIXは絶対値そのものより「いつもと比べてどうか」で見るのが実務的です。おおまかな水準感は次のとおりです。
- 10〜20|平常時。相場が落ち着いている局面で、オプションのプレミアムも薄くなりやすい
- 20超|警戒。市場に不安が広がっているサイン。プレミアムが厚くなり始める
- 30超|強い警戒。パニック的な売りが出ている局面。売り戦略は妙味が大きい反面、リスクも跳ね上がる
- 過去最高値は83.56(2020年3月・コロナショック時)。2026年は年初来安値14.49(1月)〜高値31.05(3月)で推移
VIXとS&P500は逆相関で動く傾向があります。株価が急落する場面でVIXが跳ね上がるのはこのためで、株式を保有している人にとってVIXは「自分のポートフォリオの逆側の温度計」としても機能します。
オプション取引でのVIX指数の使い方
ここが本題です。VIXが動くとオプション価格がどう動くかを押さえると、戦略の選び方が変わります。
VIXが高いとき|プレミアムが厚く、売り戦略が有利になりやすい
VIXが高い局面ではIVも全体的に上昇し、オプションのプレミアムが厚くなります。プレミアムを受け取る側、つまり売り戦略にとっては条件のよい環境です。ただし売り手の損失は理論上無限大であり、VIXが高いということは「大きく動く可能性が現実にある」という意味でもあります。裸で売るのではなく、買いを組み合わせて損失に上限をつける形から検討してください(4つの基本形)。
VIXが低いとき|プレミアムが薄く、買い戦略を仕込みやすい
VIXが低い局面ではプレミアムが安く、買い戦略のコストが下がります。「これから相場が動く」と見るなら、安いうちに買っておく発想です。時間の経過とIVの上昇の両方を取りにいくカレンダースプレッドのような戦略も、VIXが低い局面で組むのが基本形とされます。
イベント前後の罠|VIXが高い=買い時とは限らない
注意すべきは、FOMCや雇用統計、決算発表の直前はVIX・IVともに膨らみきっていることが多い点です。この状態で買うと、イベント通過後にIVが急落して「方向は当たったのに損失が出る」ことが起こります。これがIVクラッシュで、オプション初心者が最もつまずくポイントのひとつです。
VIXを見るときの限界|個別銘柄のIVとは一致しない
VIXはあくまでS&P500を対象にした指標です。日本株や個別株のオプションを取引する場合、VIXが低くてもその銘柄のIVは高い、という状況は普通に起こります。環境判断にVIXを使い、実際の銘柄選びは必ずその銘柄のIVで確認してください。国内で取引する場合は日経225オプションの板から実際のIV水準を見るのが確実です。
VIX指数を使ったヘッジ|S&P500との逆相関を活かす
VIXとS&P500の逆相関は、ヘッジの発想にも直結します。米国株を保有している状態で下落に備えたい場合、S&P500のプットを買うのが直球ですが、VIXのコールを買うことでも暴落時に利益が出るポジションを作れます。オプションによるヘッジ全般はオプション取引のヘッジで整理しています。
ただし、VIXを使ったヘッジには継続的なコストがかかります。VIX先物は通常「コンタンゴ」と呼ばれる期先高の構造にあり、VIXが上がらない限り時間の経過とともに価値が目減りしていくためです。「暴落に備えて常にVIXコールを持っておく」という運用は、保険料を払い続けるのと同じだと理解しておく必要があります。
【補足】VIX指数そのものを取引する|VIXオプションという選択肢
ここまではVIXを「読む」話でしたが、VIX指数を原資産とするオプション(VIXオプション)も存在し、日本から取引できます。指標として使いこなせるようになったうえで、次の段階として押さえておくと選択肢が広がります。
VIXオプションはCBOEに上場しており、コール・プットの売買で利益を狙います。株価暴落時にVIXが急騰する性質を利用したヘッジ手段としても使われます。ただし通常の株式オプションとは異なる独自ルールが多い点に注意が必要です。
日本から取引できる3ルートと税制
2026年7月時点、日本居住者がVIX関連のオプションを取引できる主な選択肢は次のとおりです。取引形態によって課税区分が大きく変わるため、手数料だけで選ぶと手取りが大きく変わります。
| 証券会社 | 取引形態 | 手数料(目安) | 最低資金 | 税制 |
|---|---|---|---|---|
| ウィブル証券 | CBOE上場VIXオプション直接取引 | 1枚0.6ドル+VIX追加0.2ドル | 約1万円〜 | 総合課税の可能性 |
| IG証券 | ノックアウトオプション/バニラオプション(店頭) | スプレッドのみ | 数百円〜 | 申告分離課税(20.315%) |
| IB証券 | 米国オプション全般(VIXオプション含む) | 段階制(要確認) | 口座に一定額 | 総合課税の可能性 |
| GMOクリック証券 | CFD(米国VI)※オプションではない | 手数料無料(スプレッド) | 数千円〜 | 申告分離課税(20.315%) |
CBOE上場のVIXオプションを直接取引する場合(ウィブル証券・IB証券)は、総合課税(雑所得・最大約55%)となる可能性が高い一方、IG証券のノックアウトオプションやCFDは国内の店頭デリバティブに該当し、申告分離課税20.315%でFX・先物と損益通算できます。同じ「VIXを取引する」でも税引後リターンが大きく変わる点は、事前に確認しておくべきポイントです。
知らないと事故になる4つの独自ルール
- ヨーロピアン方式|満期日にのみ権利行使が可能。ただし満期前でも市場で売買して手仕舞うことはできる
- SOQ決済|決済値は満期日(通常水曜)朝のS&P500オプション始値から算出される特別清算値。前日火曜の引け値で勝っていても、翌朝のSOQで逆転しうる
- 成行注文が使えない|CBOEが自動的に拒否する仕様。スプレッドが広がりやすい商品のため投資家保護として指値のみに制限されている
- コンタンゴによる減価|VIXが上がらない限り、保有し続けると時間の経過で価値が目減りする。長期保有には不向き
さらに、VIXコールの売り手は理論上の損失が無限大です。2018年2月の「VIXショック」ではVIXが一晩で約2倍に急騰し、VIXショート型ETN「XIV」が事実上の全損に追い込まれました。平常時にプレミアムを稼ぐ売り戦略は、数か月分の利益を一瞬で失うリスクと隣り合わせだと理解しておく必要があります。



率直に言うと、VIX指数はまず「プレミアムの温度計」として読むだけでも十分に役立ちます。そのうえで実際に取引したくなったら、「ウィブル証券で少額から」か「IG証券のノックアウトオプションで税制有利に」の二択です。IB証券は機能は最強ですが、初心者にはハードルが高い。取引量が増えてきたら移行を検討する流れが現実的でしょう。
ICHIZEN Capitalの視点|VIXは「取引する」より先に「読む」ほうが実用的
上位記事の多くはVIXを「恐怖指数とは何か」で説明して終わります。しかし実際にオプションを触っている立場から言えば、VIXの価値は取引対象としてよりも、日々の売買判断の前提を整える指標としての側面にあります。
毎回の売買で「いまプレミアムは高いのか安いのか」を判断せずに戦略だけ選ぶと、VIXが低い局面で売りに回ってわずかなプレミアムのために大きなリスクを取る、あるいはVIXが膨らみきったところで買ってIVクラッシュを食らうといった、方向性とは無関係の負け方をします。
VIXを見る習慣がつくと、この2つは避けられます。売買の前に「VIXは平常時か、警戒水準か」を確認し、そのうえで銘柄ごとのIVを見る。この2段階を挟むだけで、戦略選択の精度は大きく変わります。VIXオプションそのものを取引するのは、その先の話で十分です。
よくある質問
オプション取引でVIX指数はどう使いますか?
オプションのプレミアムが高い局面か安い局面かを判断する「温度計」として使います。VIXが高いときはIVも上昇してプレミアムが厚くなるため売り戦略が有利になりやすく、VIXが低いときはプレミアムが安いため買い戦略を仕込みやすくなります。ただし環境判断がVIX、銘柄選びは個別のIVという役割分担が基本です。
VIX指数とIV(インプライド・ボラティリティ)は何が違いますか?
VIXはS&P500を対象にした市場全体の30日先の予想変動率で、IVは銘柄ごと・満期ごと・権利行使価格ごとに異なる予想変動率です。VIXは1つの数値で相場環境をつかむための指標、IVは実際に売買する銘柄の割高・割安を判断するための指標という違いがあります。
VIX指数はなぜオプション取引と関係があるのですか?
VIX指数自体がS&P500のコール・プットの価格から将来の変動率を逆算して算出されているためです。つまりVIXは「市場がオプションにどれだけの不安料を払っているか」を数値化したもので、成り立ちからしてオプション価格と不可分の関係にあります。
VIX指数の数値の目安は?20を超えるとどうなりますか?
通常は10〜20で推移します。20を超えると市場に不安が広がっているサインとされ、プレミアムが厚くなり始めます。30超は強い警戒状態です。過去最高値は2020年3月のコロナショック時の83.56で、2026年は年初来安値14.49(1月)〜高値31.05(3月)の範囲で推移しています。
VIXが高いときにオプションを売れば儲かりますか?
プレミアムが厚いぶん受取額は増えますが、VIXが高いということは実際に大きく動く可能性が高いという意味でもあります。売り手の損失は理論上無限大のため、裸で売るのではなく買いを組み合わせて損失に上限をつけるスプレッド戦略から検討するのが安全です。
イベント前にVIXが高いのは買い時ですか?
むしろ注意が必要です。FOMCや決算発表の直前はVIX・IVともに膨らみきっていることが多く、イベント通過後にIVが急落して「方向は当たったのに損失が出る」IVクラッシュが起こりやすい局面です。イベント前の買いは、IVがすでに織り込まれていないかを確認してから判断してください。
日本株のオプションを取引する場合もVIX指数を見る意味はありますか?
相場全体の環境判断としては参考になりますが、VIXはあくまでS&P500が対象です。VIXが低くても個別銘柄や日経225のIVが高いことは普通に起こるため、実際の銘柄選びは必ずその市場・銘柄のIVで確認してください。
VIX指数そのものを取引することはできますか?
できます。VIX指数を原資産とするVIXオプションがCBOEに上場しており、日本からはウィブル証券・IB証券(CBOE上場品を直接)、IG証券(ノックアウトオプション等)の3ルートで取引可能です。ただしヨーロピアン方式・SOQ決済・成行注文不可・コンタンゴによる減価といった独自ルールが多く、指標として理解したうえで進むのが安全です。
まとめ|VIXはオプションの「プレミアム温度計」として使う
VIX指数は、S&P500のオプション価格から逆算された30日先の予想変動率です。オプション取引においては、いまプレミアムが高いのか安いのかを一目で測る温度計として機能します。
VIXが高ければプレミアムは厚く売り戦略に妙味が出る一方、大きく動くリスクも現実にあります。VIXが低ければプレミアムは安く買い戦略を仕込みやすい代わりに、動かなければ時間価値が削られていきます。環境判断をVIXで行い、実際の銘柄選びは個別のIVで確認する——この2段階を習慣にすることが、方向性とは無関係な負け方を避ける近道です。
VIX指数そのものを取引するVIXオプションも日本から利用できますが、独自ルールと税制の差が大きい商品です。まずは指標として読めるようになってから検討しても遅くありません。オプション価格の決まり方そのものはオプション取引のプレミアムとは?、IVの読み方はオプション取引のIVとは?で詳しく解説しています。
参考文献
※1 VIX指数の推移データ https://lets-gold.net/market/chart_vix.php
※2 CBOE VIX Options Specifications https://www.cboe.com/tradable-products/vix/vix-options/specifications
※3 VIX Options Settlement(SOQ解説) https://www.macroption.com/vix-options-settlement/
※4 ウィブル証券 米国オプション取引 https://www.webull.co.jp/pricing
※5 IG証券 ボラティリティ指数取引 https://www.ig.com/jp/other-markets/vix
※6 VIXのコンタンゴ構造について https://www.vixcfd.com/colm-contango.html
※7 2018年VIXショックとXIV償還 https://www.invast.jp/blogs/takao-hirose104/
※8 国税庁 No.1522 先物取引に係る雑所得等の課税の特例 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1522.htm
※本記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を勧誘するものではありません。オプション取引にはリスクが伴い、元本を超える損失が発生する可能性があります。税制の適用は個別の状況により異なるため、税理士・専門家への相談を推奨します。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。









