オプションのHV(ヒストリカル・ボラティリティ)とは?IVとの違い・計算方法・期間別HVの読み方を忖度なく解説

ICHIZEN Capitalのイチ押しポイント!


  • HV(ヒストリカル・ボラティリティ)は「過去に実際に起きた変動率」=実現ボラティリティ
    • 過去の値動きを標準偏差で表し、年率換算した数値。別名「歴史的変動率」
    • IV(インプライド)が「将来の予想」なのに対し、HVは「過去の実績」を表す
  • 期間別HV(HV20/60/90)は計算する期間の違い|短期と長期を比べて相場の局面を読む
    • 急変・パニック直後は短期HVが跳ね上がり、平時は落ち着いて長期を下回りやすい
    • 「順イールド/逆イールド」という呼び方はイールドカーブやIVターム構造からの類推(HVの業界共通の正式呼称ではない)
  • 使い方の核はIVとの比較|IV−HV=VRP(ボラティリティリスクプレミアム)
    • IVがHVに対し高い(VRP大)ほどプレミアムは割高でボラ売り有利の傾向とされる
    • HVは変動の「大きさ」を測るだけで方向は測れない。単純な減算で将来を予測しない
  • ICHIZEN Capitalは期間別HVの「順イールド化」を実際のBTC相場判断に使ってきた
    • 短期HVの落ち着き=資金流入の環境認識として、GEXやVRPと重ねて読む
    • 暗号資産デリバティブの利益は雑所得・総合課税で最大約55%(2028年前後に分離課税化予定)
木田 陽介

オプションを学ぶとIVばかり注目されますが、その”ものさし”になるのがHV(実現ボラ)です。忖度なく言うと、HVとIVの違いを曖昧にしたまま「割高・割安」を語っても意味がありません。定義・計算・期間別の読み方、そしてIVとの比較(VRP)まで、実際の分析でどう使うかも含めて整理します。

木田 陽介
(株)ICHIZEN HOLDINGS

代表取締役

この記事の執筆者/監修者

2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。

監修 木田 陽介
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役

2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。

目次

HV(ヒストリカル・ボラティリティ)とは?基本情報

HV(ヒストリカル・ボラティリティ)とは、過去の一定期間に実際に起きた価格変動の大きさを、統計的に数値化したものです。日本語では「歴史的変動率」と呼ばれ、実際に起きた変動という意味で「実現ボラティリティ」とほぼ同じ意味で使われます。過去の値動きのばらつき(標準偏差)を年率に換算した数値で、単位は「%(年率)」です。

HVを理解するうえで欠かせないのが、IV(インプライド・ボラティリティ)との対比です。まずは全体像を押さえましょう。

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項目内容
正式名称ヒストリカル・ボラティリティ(歴史的変動率)
別名実現ボラティリティ(実際に起きた変動)
表すもの過去の価格変動の大きさ(方向は測れない)
計算日次リターンの標準偏差 × 年率換算(√営業日数)
期間別HV計算期間の違い(HV20=過去20日、HV60=過去60日 など)
IVとの違いHV=過去・実現/IV=将来・予想

ポイントは、HVは「もう起きたこと」を測る指標だということです。オプションのIV(インプライドボラティリティ)ボラティリティスマイルとセットで理解すると、相場の「予想」と「実績」のギャップが見えてきます。

HVとIVの違い|「過去・実現」と「将来・予想」

HVとIVは名前が似ていて混同されがちですが、指している時間軸が正反対です。ここを曖昧にすると、この先の話がすべてぼやけます。

  • HV(ヒストリカル)=過去・実現|実際に起きた値動きから計算する「実績値」
  • IV(インプライド)=将来・予想|市場で取引されるオプション価格から逆算した「これからの変動の予想値」

たとえるなら、HVは「過去の走行データ」、IVは「これからの天気予報」です。実務では、平均的にIVがHVを上回る傾向があるとされ、その差が市場の不確実性やプレミアム(保険料)に相当します。この差が、次に説明する「割高・割安」やVRPの考え方につながります。

HVの計算方法

細かい計算を暗記する必要はありませんが、成り立ちを知ると数値の意味がつかめます。HVは次の3ステップで求めます。

  1. 日次の対数リターンを出す|「当日終値 ÷ 前日終値」の自然対数(LN)を、対象期間ぶん計算する
  2. 標準偏差を求める|そのリターンのばらつき(標準偏差)を計算する。これが1日あたりの変動の大きさ
  3. 年率換算する|1日あたりの値に「√営業日数(例:√250)」を掛けて年率に直す

営業日数は市場により異なり、米国株はおよそ252日、日本株は245〜250日ほどを使います。イメージとして、1日あたりの変動が1%、営業日数250日なら、年率HVはおよそ16%(0.01×√250)という具合です。数値そのものより、「日々のばらつきを年率にならしたもの」という感覚を持っておけば十分です。

期間別HV(HV20/60/90)とは|短期と長期を比べて読む

HVは計算する期間を変えると値が変わります。過去20日で計算すれば「HV20」、過去60日なら「HV60」です。よく使われるのは20日程度の短期HVですが、複数の期間を並べて比べる「期間別HV」の見方が、相場の局面を読むうえで役立ちます。

読み方の基本は、短期HVと長期HVの大小関係です。相場が急変・パニックになった直後は、直近の値動きが荒いため短期HVが跳ね上がって長期HVを上回ります。逆に、相場が落ち着いた平時は短期HVが低下して長期HVを下回りやすくなります。この「短期と長期の逆転」を、金利のイールドカーブになぞらえて「逆イールド/順イールド」と呼ぶことがあります

この呼び方の注意点

「順イールド/逆イールド」は本来、金利のイールドカーブの用語です。HVの期間構造に対するこの呼び方は、イールドカーブやIVのターム構造からの”類推”であり、証券会社の標準的なHV解説で確立された共通呼称ではありません。呼び名にとらわれず、「急変時は短期HVが拡大し、凪では縮小する」という現象として理解するのが安全です。

HVの使い方|IVとの比較とVRP(割高・割安の判断材料)

HV単体でも「変動が激しいか穏やかか」の水準感はつかめますが、本領はIVとの比較にあります。ここがオプション取引でHVを使う最大の理由です。

実務でよく使われるのが、VRP(ボラティリティリスクプレミアム)=IV − HVという考え方です。IV(将来の予想)がHV(過去の実績)に対して高いほど、オプションのプレミアムは相対的に割高で、売り手(ボラティリティショート)に有利な環境とされます。逆にIVがHVを下回るように低いときは、プレミアムが割安で買い手寄りと整理されます。VRPが高い局面では、クレジットスプレッドやカバードコールといった「ボラを売る」戦略が選ばれやすくなります。

ただし、「IVがHVより高ければ必ず割高」と単純に断定はできません。将来のイベントを織り込んでIVが高いのは自然なことでもあります。IV−HVのギャップは、あくまで過熱・過小評価を測る”材料の一つ”として、他の指標と重ねて判断するのが実務的です。

HVを確認できるツール

HVは自分で計算しなくても、ツールで確認できます。代表的なのがTradingViewで、インジケーターから「ヒストリカル・ボラティリティ(HV)」を追加すれば、期間パラメータを変えて表示できます。加えて、証券会社のテクニカル分析ツールやオプション取引ツールでもHVを確認できます(各社の提供状況・名称は要確認)。まずはTradingViewで、価格チャートの下にHVを並べて「荒れているとき/凪のとき」の形を目で覚えるのがおすすめです。

HVを使うときの注意点(忖度なし)

HVの注意点
  • 方向は測れない|HVは変動の「大きさ」だけを表す。上がるか下がるかは分からない
  • 過去データであり将来を保証しない|だからこそ将来予想のIVも併せて見る。HVだけで先行きを断定しない
  • ボラの単純減算で予測しない|「HVが何ポイント下がったから次はこう」といった短絡的な予測はしない
  • 「目安◯%」は銘柄依存|株式で語られる目安(5%・10%など)は一般論。銘柄・資産クラスで水準は大きく異なる

ICHIZEN Capitalの視点|期間別HVの「順イールド化」を実際のBTC分析でどう使ったか

ここからは、一般論ではなくICHIZEN Capitalが実際にどうHVを使ってきたかをお伝えします。私たちはオプションを売買すること自体より、OI・IV・HV・満期といった情報から市場参加者のポジションを推測し、現物・先物の方向判断に使うという分析を続けてきました。その中で、期間別HVは「相場の温度感」を測る中心的なものさしの一つです。

実際のビットコイン分析では、「期間別HVが順イールド化していく(=短期の荒れが収まり、期間構造が平時の形に戻っていく)局面」を、資金流入が入りやすい環境認識として重視してきました。短期HVの落ち着きだけを単独で見るのではなく、GEX(ガンマエクスポージャー)の構造やVRP(IV−HV)のシグナル、清算マップの滞留と重ねて、「反発上昇の推進力が育つプロセスに入っているか」を読む——これが一般的な用語解説との違いです。たとえば「期間別HVが順イールドに戻る局面でVRPの売りシグナルが点滅する」ようなときは、上値のショートコールを保有する側に構造的な優位が生まれやすい、といった見立てを組み立ててきました。

ただし忖度なく付け加えると、「期間別HVが順イールド化したから必ず上がる」と断定はできません。HVはあくまで過去の実現変動であり、方向を保証しません。実際、期間別HVが順イールドに向かっても、GEXの構造(ネガティブガンマの厚み)が過去の上昇局面と違えば、下落シナリオが継続することもあります。HVの期間構造は”環境認識の一枚”であって、それ単独で売買判断にしない——この確率的な姿勢こそが、オプション情報を武器にするうえで欠かせません。

木田 陽介

HVの期間構造は、私たちが相場の「地合い」を測るときに毎回チェックしている指標です。ただ、順イールドになった=買い、と機械的に反応するのは危険。GEXやVRP、清算の分布と重ねて初めて意味が出ます。指標は単独で使わず、必ず”重ねて”読むこと。これが実際の分析で痛感してきた原則です。

HV・オプションの利益と税金

HVを使ったオプション・デリバティブ取引で利益が出た場合の税金も、事業者視点で押さえておきましょう。ここは資産クラスで扱いが分かれます。

暗号資産(ビットコイン等)のデリバティブ・証拠金取引で得た利益は、日本の居住者であれば原則「雑所得」として総合課税され、税率は住民税を含めて最大約55%です。国内の上場指数先物・オプション(日経225オプション等)が申告分離課税(約20.315%)なのとは扱いが異なる点に注意してください。なお税制は改正過渡期で、2026年度税制改正で暗号資産を申告分離課税(約20.315%)とする方針が示され、適用開始は2028年1月が有力とされますが、2026年7月時点では施行前・予定であり要確認です。税金の全体像は仮想通貨の税金の記事で解説しています。

水野 倫太郎

同じ「オプション」でも、国内の日経225オプションは分離課税20%、暗号資産のオプションは総合課税で最大約55%と、税負担がまるで違います。どの市場で取引しているかで扱いが変わるので、利益が出たら必ず確認を。暗号資産の分離課税化は予定であって、今はまだ総合課税です。判断に迷えば税理士へ。

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公式サイトはこちら

よくある質問

HV(ヒストリカル・ボラティリティ)とは何ですか?

過去の一定期間に実際に起きた価格変動の大きさを、標準偏差で表して年率換算した数値です。日本語では「歴史的変動率」と呼ばれ、実際に起きた変動という意味で「実現ボラティリティ」とほぼ同じ意味で使われます。変動の大きさを測る指標で、方向は表しません。

HVとIVの違いは何ですか?

HV(ヒストリカル)は過去に実際に起きた変動=実績値、IV(インプライド)は市場のオプション価格から逆算した将来の予想値です。時間軸が正反対で、HV=過去・実現、IV=将来・予想と覚えると混同しません。平均的にはIVがHVを上回る傾向があるとされます。

HVの計算方法は?なぜ年率換算するのですか?

日次の対数リターン(当日終値÷前日終値の自然対数)の標準偏差を求め、それに√営業日数(例:√250)を掛けて年率に換算します。1日あたりのばらつきを、比較しやすいよう1年単位にならすために年率換算します。営業日数は米国株で約252日、日本株で245〜250日を使います。

HV20とHV60の違いは何ですか?

計算する期間の違いです。HV20は過去20日、HV60は過去60日の値動きのばらつきを年率化したものです。短期のHV20は直近の荒れをすぐ反映し、長期のHV60はならされて緩やかに動きます。両者を比べることで、相場が急変局面か平時かを読む手がかりになります。

HVが高い・低いとどういう状態ですか?

HVが高いほど価格変動が激しく(ハイリスク)、低いほど値動きが穏やかな状態です。長期にわたって低HVが続くと、エネルギーが溜まった保ち合いと見られることもあります。ただし「何%が高い/低い」の目安は銘柄・資産クラスで大きく異なるため、一律の基準として断定はできません。

VRP(ボラティリティリスクプレミアム)とは何ですか?

IV(予想)とHV(実績)の差(IV − HV)のことです。IVがHVに対して高いほどオプションのプレミアムは相対的に割高とされ、ボラティリティを売る戦略(クレジットスプレッド・カバードコール等)が選ばれやすくなります。ただし「IVが高ければ必ず割高」と単純に断定はできず、他の指標と重ねて判断します。

HVで将来の値動きは予測できますか?

できません。HVはあくまで過去に起きた変動の記録であり、将来を保証しません。だからこそ、将来予想を反映するIVも併せて見ます。「HVが何ポイント下がったから次はこうなる」といったボラの単純な減算による予測は避け、環境認識の材料の一つとして使うのが適切です。

HVはどこで確認できますか?

TradingViewのインジケーターで「ヒストリカル・ボラティリティ(HV)」を追加すれば、期間を設定して表示できます。証券会社のテクニカル分析ツールやオプション取引ツールでも確認できます(各社の名称・提供状況は要確認)。まずはチャートの下にHVを並べ、荒れているときと凪のときの形を目で覚えるのがおすすめです。

まとめ|HVは「実績のものさし」、IVとの比較で活きる

HV(ヒストリカル・ボラティリティ)は、過去に実際に起きた変動の大きさを年率で表した「実現ボラティリティ」です。IV(将来の予想)とは時間軸が正反対で、この違いを押さえることがすべての出発点になります。計算は「対数リターン→標準偏差→年率換算」、期間別HV(HV20/60/90)は計算期間の違いで、短期と長期を比べて相場の局面を読みます。

HVが最も活きるのはIVとの比較(VRP=IV−HV)で、割高・割安の材料になります。ただしHVは変動の大きさだけを測り方向は測れず、過去データで将来を保証しません。ICHIZEN Capitalも、期間別HVの順イールド化をGEXやVRPと重ねて環境認識に使う一方、それ単独では売買判断にしていません。指標は”重ねて”読む——この姿勢で、HVをオプション分析の武器にしてください。

参考文献

1. 野村證券 証券用語解説集「ヒストリカル・ボラティリティ」https://www.nomura.co.jp/terms/japan/hi/historical_v.html
2. マネックス証券「ヒストリカル・ボラティリティ」https://info.monex.co.jp/technical-analysis/indicators/024.html
3. 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」令和7年12月https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/kasoutuka/
4. 国税庁 タックスアンサー No.1522(先物取引に係る雑所得等の課税の特例)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1522.htm

※本記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の取引・銘柄への投資を勧誘するものではありません。HVの目安・ツールの提供状況・税制(暗号資産の分離課税化の適用時期・対象)は変更される場合があり、記載には要確認の事項を含みます。「順イールド/逆イールド」等の期間構造の呼称は他分野からの類推を含みます。ボラティリティ指標は過去データであり将来の値動きを保証しません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

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