FOMCがオプションに与える影響とは?前後のIVクラッシュ・方向が当たっても損する理由・日経225への波及を実データで解説

ICHIZEN Capitalのイチ押しポイント!
- FOMCはオプションに「IV(予想変動率)の上下」を通じて効く
- 発表前は不確実性でIVが上がり、プレミアム(オプション価格)が膨らむ
- 結果が判明すると不確実性が消え、IVが急落する(IVクラッシュ)
- FOMC前にオプションを買うと、方向が当たっても損することがある
- 高いIVで買ったオプションは、IVクラッシュでプレミアムが縮む
- 原資産が予想方向に動いても、IV低下と時間価値減が利益を打ち消す
- 発表は日本時間の深夜〜早朝|まず時刻と日程を押さえる
- 声明は米東部時間14:00=日本時間の夏は午前3:00頃/冬は午前4:00頃
- 声明の約30分後にFRB議長の記者会見。ここで方向が決まることが多い
- 米国のFOMCは日経225オプションにも波及する
- 米VIX→日経平均VI→日経225オプションのIVという順で影響が伝わる
- イベント前の高IVで安易に買わず、まずIVの水準を確認する
木田 陽介FOMC(米連邦公開市場委員会)は、株価や為替だけでなくオプション価格にも大きく効きます。ポイントは「方向」ではなく「IV(予想変動率)」。前に膨らみ、通過後にしぼむ——このIVの波を知らずにFOMC前にオプションを買うと、方向が当たっても損をします。実際のVIXデータで、その仕組みを見ていきます。


監修 木田 陽介
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役
2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。
結論:FOMCは「IVの上げ下げ」でオプションに効く
FOMC(米連邦公開市場委員会)がオプションに与える影響は、原資産の値動き(方向)よりも、IV(インプライド・ボラティリティ=予想変動率)の上下として現れます。この一点を押さえると、FOMCとオプションの関係が一気に見通せます。
流れはこうです。①FOMCの発表が近づくと「大きく動くかもしれない」という不確実性でIVが上昇し、オプションのプレミアム(価格)が膨らむ → ②結果が判明した瞬間に不確実性が消え、IVが急落する(IVクラッシュ)。この「前に膨らみ、通過後にしぼむ」波が、FOMCがオプションに効く本体です。決算発表の前後で起きるIVクラッシュと同じ構造が、市場全体に対してFOMCで起こると考えてください。
FOMCとは?発表は日本時間の深夜〜早朝
FOMC(Federal Open Market Committee)は、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)が金融政策(政策金利)を決める会合です。年8回、それぞれ2日間の日程で開かれ、2日目に声明が発表されます。政策金利の引き上げ・引き下げ・据え置きの判断が、世界中の株式・為替・金利、そしてオプションのIVを動かします。
個人投資家がまず押さえるべきは「いつ発表されるか」です。声明は米東部時間の午後2時に発表され、その約30分後にFRB議長の記者会見が始まります。日本時間に直すと、米国が夏時間の期間は午前3時頃、冬時間の期間は午前4時頃です。つまり日本の個人にとってFOMCは「深夜〜早朝のイベント」で、当日の東京市場(日経225)は、その結果を織り込んだ状態から始まることになります。
1/27-28・3/17-18・4/28-29・6/16-17・7/28-29・9/15-16・10/27-28・12/8-9(いずれも2日目に声明)。※FRB公式カレンダーで確認した日程です。時刻はEST/EDTのため、日本時間は夏3:00頃/冬4:00頃に換算されます。最新はFRB(federalreserve.gov)で必ずご確認ください。
FOMC前にIVが上がり、通過後に急落する(IVクラッシュ)
ここが本記事の核心です。FOMCのようなイベントの前後で、IVは「山を作って崩れる」という特徴的な動きをします。市場全体のIVを指数化したVIX(恐怖指数=S&P500オプションのIVから算出)を使うと、この波がはっきり見えます。
下は、2026年7月のFOMC(声明7月29日)前後のVIX終値の実データです。FOMC発表日の7月29日にVIXが20.66へ跳ね上がり、通過後の7月31日には15.99まで急落しています。わずか2営業日で約4.7ポイント(約2割)もIVが縮んだ——これがIVクラッシュです。
ポイントは、VIXは「これから大きく動くか」の予想であり、方向ではないことです。FOMC前に高いのは「上にも下にも大きく動きうる」不確実性の値段で、結果が出ればその不確実性が消えるためIVはしぼみます。IVクラッシュの仕組み、IVそのものの読み方はIV(インプライド・ボラティリティ)の記事で詳しく解説しています。
なぜ方向が当たってもオプション買いで損するのか
FOMCで最も多い失敗が、「方向は当たったのに、買ったオプションで損をした」というものです。原因はここまで見てきたIVクラッシュにあります。
オプションのプレミアムは、大きく「本質的価値+時間価値」でできており、時間価値はIVが高いほど膨らみます。FOMC前は不確実性でIVが高く、プレミアムは割高です。その割高な状態でコールを買い、実際に相場が予想どおり上昇しても、通過後のIVクラッシュでプレミアムが縮んでしまう——上昇による本質的価値の増加を、IV低下と時間価値の減少が打ち消し、結果として買値を割ることがあるのです。次の図がそのイメージです。
教訓はシンプルです。FOMCのようなイベントの直前は、IVが高くオプションが割高になりやすい。方向に自信があっても、割高なプレミアムを掴むと不利です。買うなら「IVがまだ低いうち」、あるいはイベント前の高IVはむしろ売り手に有利——という発想の転換が要ります。
米国のFOMCが日経225オプションに波及する経路
「FOMCは米国の話だから、日本の日経225オプションには関係ない」と思われがちですが、これは誤解です。米国のFOMCは、IVの経路を通じて日経225オプションにも波及します。
米国の不確実性(VIX)が高まると、リスク回避の動きがグローバルに伝わり、日本版の恐怖指数である日経平均VI(日経225オプションのIVから算出)も連動して上がりやすくなります。日経平均VIが上がれば、日経225オプションのプレミアムも膨らみます。つまりFOMCの夜に米VIXが跳ねると、翌日の東京市場では日経225オプションのIVも高い状態からスタートしやすい——この波及を知っておくと、日本のオプションでもFOMC前後の割高・割安が読めるようになります。日経225オプション自体の仕組みは日経225オプションの種類の記事も参考にしてください。
FOMCでのオプション戦略と落とし穴
ではFOMCにどう向き合うか。方向を当てにいくより、IVの波に沿った発想が有効です。代表的な考え方と、その落とし穴を整理します。
- 買うならIVが低いうちに|イベント直前の高IVで買うと割高を掴みやすい
- 高IVは売り手に有利|通過後のIVクラッシュでプレミアムの縮小を狙う(ただし損失は大きくなり得る)
- 方向を当てず変動幅に賭ける|大きく動くと読むならストラドル等のイベントトレード
- ストラドルでもIVクラッシュで負けうる|通過後の値動きがIV低下ぶんを超えなければ、両建てでも損失
- 売り建ては損失が大きくなり得る|想定外の急変時に損失が急拡大する
- 会見で方向が反転する|声明直後に動いても、議長会見でトレンドが変わることが多い
とくに「大きく動くはずだから」とFOMC前にストラドルを買うのは要注意です。イベントの大変動はすでにIV(=プレミアム)に織り込まれているため、通過後の実際の値動きがその織り込みを上回らなければ、両建てでもIVクラッシュで負けます。「動くか動かないか」ではなく「市場が織り込んだ以上に動くか」が勝負の分かれ目です。
ICHIZEN Capitalの視点|FOMCは「方向」でなく「IVの水準」で構える
ICHIZEN CapitalはオプションのIVや建玉(OI)から相場を読む分析を続けてきました。その実務目線でFOMCと向き合うときの原則は1つ——「方向を当てにいく前に、いまIVがどの水準にあるかを見る」ことです。
FOMC前にVIXや日経平均VIがすでに高いなら、オプションは割高です。ここで方向に自信があってもコールやプットを買うと、当たってもIVクラッシュで削られる。逆にIVがまだ低い段階なら、イベントに向けてIVが上がる余地があり、買い手にも分があります。同じ「FOMC前の買い」でも、IVの水準しだいで有利・不利が正反対になる——ここを見ずに方向だけで勝負するのが、最もありがちな負けパターンです。
実務では、FOMCの前にVIXと日経平均VIの水準を、その過去レンジと引き比べることをおすすめします。過去1年で見て高値圏なら「割高=買いは慎重に」、安値圏なら「まだ上がる余地」と当たりをつける。方向の予想は外れても、IVの高安の判断は比較的外しにくく、そこを軸にすれば「方向は当たったのに損」という事故を大きく減らせます。断定は避け、あくまで確率的な見立てとして使うのが実務の作法です。



FOMCの夜は「方向を当てたい」と気持ちが逸りますが、勝敗を分けるのはIVの水準です。前に高いなら買いは割高、通過後はしぼむ。まずVIXと日経平均VIが過去レンジのどこにいるかを見てから、買うか売るか、そもそも触らないかを決める。これだけで無駄な負けがかなり減ります。
IVの読み方とイベント対応をより詳しく学ぶには


ここまで見てきたとおり、FOMCで勝つ鍵は「IVの水準と、その後のクラッシュを読むこと」です。ただ、IVの高安の判断や建玉(OI)・ガンマの節目の読み方を独学で体系立てるのは難しく、イベントのたびに同じ失敗を繰り返しがちです。
そこで役立つのが、基礎から順を追って学べる場です。ICHIZEN Capitalが運営する「天底のわかるトレードスクール」は完全無料で、IVの過熱感や建玉(OI)、ガンマの節目から相場の天井・底の目星をつける分析を、体系立てて学べます。FOMCのようなイベント前後のIVの波も、実際のデータで練習しながら腹落ちさせられます。
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よくある質問
FOMCの発表は日本時間で何時ですか?
声明は米東部時間の午後2時に発表され、その約30分後にFRB議長の記者会見があります。日本時間では、米国が夏時間の期間は午前3時頃、冬時間の期間は午前4時頃です。日本の個人にとっては深夜〜早朝のイベントで、当日の東京市場はその結果を織り込んで始まります。
FOMC前にオプションを買うのは危険ですか?
IVが高い状態で買うと割高を掴みやすく、注意が必要です。FOMC前は不確実性でIVが上がりプレミアムが膨らみますが、通過後はIVクラッシュでしぼみます。そのため、方向が当たってもプレミアムの縮小で損をすることがあります。買うならIVがまだ低いうちに、が基本です。
FOMCでIVはどう動きますか?
発表前に上昇し、通過後に急落する「山を作って崩れる」動きが典型です。2026年7月のFOMCでは、発表日にVIXが20.66へ上がり、2営業日後には15.99まで下がりました。この通過後の急落がIVクラッシュで、オプションの損益を大きく左右します。
FOMCで方向が当たったのにオプションで損したのはなぜ?
IVクラッシュが原因です。FOMC前の高いIVで買ったオプションは、通過後にIVが下がるとプレミアムが縮みます。原資産が予想どおり動いても、そのIV低下と時間価値の減少が上昇分を打ち消し、結果として買値を割ることがあります。方向とIVは別問題だと理解しておくことが大切です。
FOMCのイベントにストラドルは有効ですか?
「方向は読めないが大きく動く」と考えるなら選択肢になりますが、落とし穴があります。イベントの大変動はすでにIV(プレミアム)に織り込まれているため、通過後の実際の値動きが織り込みを上回らなければ、両建てでもIVクラッシュで負けます。「動くか」ではなく「織り込んだ以上に動くか」が鍵です。
FOMCは日経225オプションにも影響しますか?
します。米国のFOMCで不確実性(VIX)が高まると、日本版の恐怖指数である日経平均VIも連動して上がりやすく、日経225オプションのプレミアムも膨らみます。FOMCの夜に米VIXが跳ねると、翌日の東京市場は日経225オプションのIVが高い状態から始まりやすい、と押さえておくとよいです。
FOMCとVIX(恐怖指数)はどう関係しますか?
VIXはS&P500オプションのIVから算出される指数で、市場が予想する今後30日の変動の大きさを表します。FOMCのような重要イベントの前は不確実性が高まってVIXが上がり、結果が判明すると下がります。VIXの水準を見れば、オプションが割高か割安かの目安になります。
2026年のFOMCの日程はいつですか?
2026年は1/27-28、3/17-18、4/28-29、6/16-17、7/28-29、9/15-16、10/27-28、12/8-9の年8回で、いずれも2日目に声明が発表されます(FRB公式カレンダーで確認した日程)。時刻は米東部時間のため、最新の日程・時刻はFRB(federalreserve.gov)で必ず確認してください。
FOMC当日はオプションを売るべきか買うべきか?
一概には決められませんが、判断軸はIVの水準です。IVがすでに高ければオプションは割高で、通過後のクラッシュを見込む売り手に分があります。IVがまだ低ければ買い手にも余地があります。売り建ては損失が大きくなり得るため、初心者は無理に手を出さず、まずはIVの水準を観察することから始めるのが安全です。
まとめ|FOMCは「IVの波」で捉える
- FOMCはオプションに「方向」でなく「IVの上下」で効く
- 発表前にIV上昇→通過後に急落(IVクラッシュ)。7月FOMCは20.66→15.99
- 高IVで買うと、方向が当たってもクラッシュで負けうる
- 米FOMC→米VIX→日経平均VI→日経225オプションへ波及する
- 発表は日本時間の夏3時/冬4時頃。まずIVの水準を確認する
FOMCがオプションに与える影響は、IV(予想変動率)の「前に膨らみ、通過後にしぼむ」波として現れます。この波を知らずにFOMC前にオプションを買うと、方向が当たってもIVクラッシュで損をする——これがもっとも多い失敗です。米国のFOMCは日経平均VIを通じて日経225オプションにも波及するため、日本の個人にとっても他人事ではありません。
大切なのは、方向を当てにいく前にVIXや日経平均VIの水準を過去レンジと引き比べ、いまが割高か割安かを見極めることです。IVの高安の判断を軸にすれば、無駄な負けは大きく減らせます。売り建ては損失が大きくなり得るため、まずは少額・買い建てで、IVの波に慣れることから始めてください。
参考文献
1. Federal Reserve「FOMC Meeting calendars」https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomccalendars.htm
2. Cboe「VIX Index(ヒストリカルデータ)」https://www.cboe.com/tradable_products/vix/
3. 野村證券 証券用語解説集「日経平均VI」https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ni/j_vix.html
4. 大阪取引所 北浜投資塾「日経平均VI先物」https://www.jpx.co.jp/ose-toshijuku/column/option-trading/02.html
※本記事は2026年8月時点の公開情報に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の取引を勧誘するものではありません。VIX等の数値は記載時点のもので、FOMCの日程・時刻は変更される場合があります。最新はFRB公式でご確認ください。オプション取引、特に売り建てには大きな損失が生じる可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。









