カバードコールとは?損益図でわかる仕組み・ETF・投資信託・税金|上値を売る戦略

ICHIZEN Capitalのイチ押しポイント!


  • カバードコールは「株を持ちながらコールを売る」戦略。プレミアム収入で利回りを上乗せできる
    • 値上がり益は権利行使価格までに制限される代わりに、オプション料(プレミアム)を確定収入として受け取れる
    • 株価が横ばい〜緩やかな上昇局面で最も効果を発揮する「守りの戦略」
  • 日本では「かぶオプ」や米国株オプション、カバードコールETFで実践できる
    • SBI証券(かぶオプ+日経225オプション)、サクソバンク証券・moomoo証券(米国株オプション)が主な選択肢
    • 自分でオプションを売らなくても、QYLD・JEPI・2865等のETFで間接的に戦略を取れる
  • 税金は申告分離課税20.315%。ETF経由と直接取引で課税の仕組みが異なる
    • オプションプレミアムは先物・オプション取引の雑所得(申告分離課税)。ETFの分配金は配当所得扱い
    • 損失は3年間の繰越控除が可能。確定申告が必要な点に注意
木田 陽介

カバードコールは「利回りを買う」戦略ではありません。値上がり益の上振れ(天井から上)を手放す代わりに、その対価として今すぐ確定するプレミアム収入を受け取る——つまり「上値を売ってインカムに換える」戦略です。だから横ばい〜緩やかな上昇では有利に働き、急騰局面ではむしろ足枷になります。この記事では損益図と具体的な数字でこの非対称な損益構造をまず腹落ちさせたうえで、直接取引・ETF・投資信託・税金・暗号資産での実践まで一気通貫で解説します。

木田 陽介
(株)ICHIZEN HOLDINGS

代表取締役

この記事の執筆者/監修者

2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。

監修 木田 陽介
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役

2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。

目次

カバードコールとは?基本情報

カバードコールとは、保有している株式(原資産)に対してコールオプションを売る(=ライト)戦略です。「Covered(カバーされた)+Call(コールオプションの売り)」の名前のとおり、現物株の保有でオプション売りのリスクを”カバー”しているのが特徴です。

具体的には、株を100株持った状態で「この株を○○ドル(権利行使価格)で買う権利」を第三者に売ります。売った対価として受け取るオプション料(プレミアム)が収入になります。株価が権利行使価格を超えなければプレミアムがまるごと利益になり、超えた場合は権利行使価格で株を売却する義務が生じます。

カバードコールは「利回りを買う」のではなく「上値を売る」戦略 差し出すもの 株価が大きく上がったときの 「値上がり益の上振れ」 (権利行使価格より上は 受け取れない=天井) 受け取るもの 今すぐ確定する 「プレミアム収入」 (相場が動かなくても まるごと利益になる) だから横ばい〜緩やかな上昇では有利。急騰局面では「売らなければよかった」となりやすい。
図:カバードコールの本質。値上がり益の「上振れ」を手放す対価として、確定したプレミアム収入を受け取る取引。「利回りを買う」のではなく「上値を売る」と捉えると、どんな相場で有利になるかが見えてくる。
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項目内容
戦略の名称カバードコール(Covered Call / Buy-Write)
基本構造原資産の保有(買い)+コールオプションの売り
期待する相場観横ばい〜緩やかな上昇(大きな上昇は想定しない)
最大利益(権利行使価格 − 株の取得価格)+ 受取プレミアム
最大損失株価がゼロになった場合の損失 − 受取プレミアム
損益分岐点株の取得価格 − 受取プレミアム
日本での実践手段かぶオプ(SBI等)/米国株オプション(サクソバンク・moomoo)/ETF(QYLD・JEPI・2865等)
税務区分(直接取引)先物・オプション取引の雑所得(申告分離課税20.315%)

カバードコールはオプション取引の中でも最もシンプルな戦略の1つで、米国では個人投資家の入門戦略として広く使われています。「配当+プレミアム」で利回りを底上げする設計のため、インカム重視の投資家に支持されています。

カバードコールの仕組み|損益計算を具体例で理解する

カバードコールの損益構造は、「株の値動き」と「受け取ったプレミアム」の合算で決まります。文字だけでは掴みにくいので、具体的な数字を使って3つのシナリオで計算してみましょう。

損益0 損益 利益はここで頭打ち(天井) =(権利行使価格−取得価格)+プレミアム プレミアムぶん 下値がクッション 損益分岐点 取得価格−プレミアム 取得価格 権利行使価格 株価が大きく下がると損(クッションを超えた分) 満期時の原資産価格(右ほど高い)→
図:カバードコールの損益図。現物株の右肩上がりの損益にコール売りを重ねると、権利行使価格から上は利益が頭打ち(天井)になり、下値はプレミアムぶんだけクッションが生まれる。損益分岐点は「取得価格−プレミアム」まで下がる。

具体例|株価100ドル・権利行使価格110ドル・プレミアム3ドルの場合

以下の前提で損益を計算します。

  • 保有株:100株を1株100ドルで購入(投資額10,000ドル)
  • 売るコールオプション:権利行使価格110ドル、プレミアム3ドル × 100株 = 300ドル受取
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シナリオ満期時の株価株の損益プレミアム合計損益
① 横ばい(狙い通り)100ドル±0ドル+300ドル+300ドル(+3%)
② 緩やかな上昇110ドル+1,000ドル+300ドル+1,300ドル(+13%)←最大利益
③ 急騰(120ドルへ)120ドル+1,000ドル(110ドルで売却義務)+300ドル+1,300ドル(本来+2,300ドルだが上限に制限)
④ 下落(90ドルへ)90ドル−1,000ドル+300ドル−700ドル(プレミアムで損失を300ドル軽減)
4つのシナリオで見る損益(株価100ドル・権利行使価格110ドル・プレミアム3ドル) 0 放棄した 上振れ +1,000 本来なら+2,300ドル +300ドル +1,300ドル +1,300ドル −700ドル 最大利益 ①横ばい 株価100ドル ②緩やかな上昇 株価110ドル ④下落 株価90ドル ③急騰 株価120ドル ②と③は株価が違っても利益は同じ=権利行使価格から上は「天井」。下落時はプレミアム300ドルが損失を和らげる。
図:同じカバードコールでも満期時の株価しだいで損益は4通り。②緩やかな上昇が最大利益で、③急騰しても利益は②と同じ(天井)。④下落ではプレミアムぶんだけ損失が和らぐ。

ポイントは3つです。①横ばいでもプレミアム分だけ利益が出ること、②利益は権利行使価格で頭打ちになること、そして③下落時はプレミアムがクッションになるが、大きな下落は防げないこと。この「天井あり・底は浅くなるだけ」という非対称な損益構造がカバードコールの本質です。

損益分岐点の計算方法

損益分岐点は「株の取得価格 − 受取プレミアム」で求められます。上の例では100ドル − 3ドル = 97ドルです。つまり、株価が97ドルまで下がっても収支はトントンになります。プレミアム収入が損益分岐点を下げる効果を持つため、単に株を持つだけよりも下値への耐性が高まるのです。

権利行使価格の選び方で利回りとリスクが変わる

権利行使価格を現在の株価に近く(ATM=アット・ザ・マネー寄り)に設定するとプレミアムは大きくなりますが、株を手放す可能性も高まります。逆に遠く(OTM=アウト・オブ・ザ・マネー寄り)に設定するとプレミアムは小さくなる代わりに、値上がり益を享受できる余地が広がります。

一般的にはOTM(5〜10%上方)のコールを売るのが定石とされています。これは「ある程度の上昇は取りつつプレミアムも得たい」というバランスの取り方です。ただし、相場観によって最適な距離は変わるため、固定的なルールはありません。権利行使価格と現在の株価の位置関係(ATM・OTM・ITM)を押さえておくと、距離感をつかみやすくなります。

カバードコールのメリット・デメリット

カバードコールは「万能な戦略」ではありません。効果を発揮する局面と裏目に出る局面がはっきり分かれるのが特徴です。メリットとデメリットを正確に把握したうえで、自分の投資方針に合うかどうかを判断しましょう。

カバードコールのメリット
  • 横ばい相場でもプレミアム収入が得られる|株価が動かなくても利益が出る
  • 損益分岐点が下がる|プレミアム分だけ下落への耐性が高まる
  • 配当+プレミアムの二重インカム|高配当株と組み合わせると利回りが底上げされる
  • オプション戦略の中で最もシンプル|初心者でも理解しやすい構造
カバードコールのデメリット・注意点
  • 値上がり益に天井がある|急騰しても権利行使価格で利益が打ち止めになる
  • 下落リスクは残る|プレミアムで多少は緩和できるが、暴落を防ぐ力はない
  • 株を手放すリスク|権利行使されると保有株を売却する義務が生じる
  • 機会損失のストレス|売った後に株価が急騰すると「売らなければよかった」と感じやすい
  • 取引コスト|オプションの売買手数料やスプレッドが発生する

最大の注意点は「利益の天井」と「下落リスクの残存」のバランスです。カバードコールはプレミアム収入という”確実な小さな利益”を得る代わりに、”大きな上昇利益”を放棄します。強気相場の真っ只中ではむしろ足を引っ張る可能性があるため、相場環境を見て使い分けることが不可欠です。

カバードコールの実践方法|証券会社・ETF・投資信託の3つの選択肢

日本でカバードコール戦略を実践するには、大きく分けて「自分でオプションを売買する方法」「カバードコール型ETF/投資信託を買う方法」の2つがあります。投資経験やかけられる手間によって、適切な方法が異なります。

カバードコールを実践する3つの方法と選び方 直接取引 自分でコールを売る 手段 かぶオプ/米国株OP 手間 大きい 行使価格を選ぶ ◎ 自分で 最低資金の目安 数十万円〜 こんな人に 自分で設計して 利回りを作りたい 中級者〜 ETF カバコ型ETFを買う 手段 QYLD/JEPI/2865 手間 小さい 行使価格を選ぶ ✕ おまかせ 最低資金の目安 数千〜数万円 こんな人に 市場価格で機動的に 売買したい 高分配ねらい 投資信託 カバコ型の公募投信 手段 積立・基準価額 手間 小さい 行使価格を選ぶ ✕ おまかせ 最低資金の目安 100円〜積立 こんな人に 少額の積立で コツコツ続けたい ※信託報酬は高め
図:実践する3つの方法。自分で行使価格を選びたいなら直接取引、手軽さ重視ならETFや投資信託。手間・自由度・最低資金で選ぶとよい。
この章の内容
  • 自分でオプションを売る方法(かぶオプ・米国株オプション)
  • カバードコール型ETF(QYLD・JEPI・東証2865等)で間接的に実践する方法
  • 対応する日本の証券会社一覧

方法①:自分でオプションを売買する(直接取引)

最も基本的な方法は、株式を保有したうえで、対応するコールオプションを自分で売ることです。日本で直接カバードコールを組める主な選択肢は次のとおりです。

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証券会社対応オプション特徴
SBI証券かぶオプ(個別株オプション)/日経225オプション国内個別株でカバードコールを組める数少ない選択肢。最低10万円程度から(※1)
サクソバンク証券米国株オプション(個別株・ETF)米国市場の豊富な銘柄でオプション取引が可能。英語ベースのUIに慣れが必要
moomoo証券米国株オプションカバードコール注文機能あり。アプリのUIが直感的で操作しやすい
楽天証券日経225オプション個別株オプションは非対応。日経225先物+オプションの組み合わせで類似戦略は可能

直接取引はプレミアムの金額や権利行使価格を自分で選べる柔軟さがある反面、オプション口座の開設審査やロット管理(米国株は100株単位)が必要です。オプション取引が初めての方は、次に紹介するETFから始めるのが実務的な選択肢です。

方法②:カバードコール型ETF・投資信託を購入する(間接取引)

自分でオプションを売買せずとも、カバードコール戦略を組み込んだETFや投資信託を購入するだけで、間接的に同じ戦略に乗れます。高い分配金利回りが特徴で、インカム目的の投資家に人気があります。

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ETF名ティッカー対象指数分配頻度特徴(2026年7月時点)
グローバルX NASDAQ100 カバード・コール ETFQYLD(米国)/2865(東証)NASDAQ100毎月年率約10%前後の分配利回り。カバードコールETFの代表格
JPモルガン・米国株式・プレミアム・インカムETFJEPIS&P500関連毎月純資産370億ドル超で最大級。オプション+ELNでプレミアム収入を生む
JPモルガン・ナスダック・エクイティ・プレミアム・インカムETFJEPQNASDAQ100関連毎月JEPIのナスダック版。成長性+インカムのバランスが特徴
グローバルX 日経225 カバード・コール ETF2868(東証)日経225隔月日本株でカバードコール戦略。円建てで為替リスクなし

ETFの場合、SBI証券・楽天証券・マネックス証券など主要ネット証券であれば、米国ETF(QYLD・JEPI・JEPQ)も東証ETF(2865・2868)も購入可能です。直接取引のようにオプション口座は不要で、通常の株式口座で売買できます。

なお、ETFだけでなくカバードコール戦略を採用した公募投資信託も国内で販売されており、こちらも通常の証券口座から購入できます。ETFがリアルタイムで市場価格で売買するのに対し、投資信託は1日1回算出される基準価額で取引する点、そして信託報酬(保有コスト)がETFより高めな傾向がある点が主な違いです。少額の積立で始めやすい一方、コストが分配金利回りをどれだけ削るかは必ず確認しておきましょう。ETF・投資信託とも、新NISAの成長投資枠で買える銘柄かどうかも購入前のチェックポイントです。

木田 陽介

ETFは手軽ですが「分配金の中身=元本の取り崩し」になっているケースもあります。QYLDの基準価額は上場以来緩やかに下落傾向にあり、”高利回りだが元本は減っていく”構造を理解しないまま買うと後悔しやすいです。利回りの数字だけで判断しないことが大事です。

カバードコールの税金|申告分離課税と確定申告

カバードコール戦略にかかる税金は、「直接オプションを売買した場合」と「ETFを通じて間接的に実践した場合」で課税の仕組みが異なります。どちらも確定申告が必要になるケースが多いため、事前に整理しておきましょう。

直接取引のオプションプレミアム|先物・オプションの雑所得

自分でコールオプションを売って得たプレミアム収入は、「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税の対象です。税率は所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%=合計20.315%です(※2)。

先物・オプション取引は特定口座の対象外のため、年間で利益が出た場合は原則として確定申告が必要です。ただし給与所得者でオプション取引の利益が20万円以下の場合は、所得税の確定申告が不要になる場合があります(住民税の申告は必要)。

なお、権利行使された場合の取扱いにも注意が必要です。コールの売りが権利行使されて株を売却した場合、受取プレミアムは株式の譲渡価格に加算されて株式譲渡益として計算されることがあります(※3)。税務処理は複雑なため、具体的な判断は税理士に相談するのが安全です。

ETF経由の場合|分配金は配当所得、売却益は譲渡所得

カバードコールETF(QYLD・JEPI等)の分配金は、米国ETFの場合は「配当所得」として申告分離課税(20.315%)の対象です。米国で10%の源泉徴収がかかるため、確定申告で外国税額控除を適用しないと二重課税になります。

東証上場のカバードコールETF(2865・2868)は国内株式と同じ扱いで、特定口座(源泉徴収あり)を選べば原則として確定申告は不要です。手間を減らしたい方は東証ETFのほうが実務的に楽です。

損失の繰越控除|3年間繰り越せる

先物・オプション取引で損失が出た場合、確定申告をすれば3年間にわたって損失を繰り越し、翌年以降の利益と相殺できます。ただし、株式譲渡損益との損益通算はできません。先物・オプション同士(日経225先物・FXなど)の間でのみ通算が可能です。

ICHIZEN Capitalの視点|カバードコールを「使いこなす」ために

カバードコールは多くのサイトで紹介されていますが、「どんな局面で本当に有効なのか」「暗号資産の世界ではどう使えるのか」まで踏み込んだ解説は少ないのが実情です。事業者として実際にトレードしてきた立場から、本音を書きます。なお、保有株にコールを売る本戦略と、現金を担保にプットを売る手法を交互に回す運用はホイール戦略と呼ばれ、インカム重視の投資家に知られています。

カバードコールが効く局面・効かない局面

カバードコールが最も力を発揮するのは、ボラティリティ(変動率)が高いのに方向感が薄い局面です。ボラティリティが高ければプレミアムが大きくなり、横ばいなら権利行使されずにプレミアムをまるごと受け取れるからです。横ばいでもプレミアムが利益として残るのは、時間の経過とともにオプションの時間的価値が目減りする(セータ)ぶんを、売り手として受け取れるからにほかなりません。

逆に、明確な上昇トレンドの初動ではカバードコールは「足枷」になります。強気相場で値上がり益を全額享受したいなら、コールを売らずに素直に株を持ったほうが結果的にリターンは高くなります。「いつでもカバードコールを売っておけばいい」わけではないという点を理解することが重要です。

カバードコールが「効く相場」と「効かない相場」 急落 プレミアム分しか 守れない (暴落は防げない) 横ばい 最も得意な局面 プレミアムをまるごと 受け取れる 緩やかな上昇 値上がり+プレミアム で最大利益。ただし 株は手放す 急騰 天井で頭打ち。 上昇益を取り逃す (機会損失) ボラティリティが高いのに方向感が薄い(横ばい)ときが最も有利。強い上昇トレンドでは素直に株を持つほうが有利。
図:カバードコールが効く相場・効かない相場。ボラティリティが高く方向感の薄い横ばいが最も得意で、急騰局面はむしろ足枷になる。

暗号資産オプションとカバードコール

カバードコール戦略は株式だけでなく、暗号資産(仮想通貨)のオプションでも理屈のうえでは実践可能です。ビットコインやイーサリアムの現物を保有しながら、そのコールオプションを売れば、価格が横ばいのときにプレミアム収入を得られます。

ただし実行面のハードルは株式より高いのが実情です。かつて主流だったDeribitは、現在は日本居住者が新規に使うのは実質的に難しく、アクセスできる選択肢はDerive(旧Lyra/イーサリアムのレイヤー2上のオンチェーン・オプションDEX)などに限られ、しかも板が薄く約定しづらいという課題があります。加えて暗号資産はボラティリティが株式より格段に高いため、プレミアムも大きくなりやすい反面、急騰・急落で現物側が大きく動くリスクも大きい点に注意が必要です。税務上も総合課税の雑所得として扱われる可能性が高く、株式のオプションとは分けて考える必要があります。暗号資産の税金の基本ルールもあわせて確認しておきましょう。

カバードコールを実際のトレードに活かすには

ICHIZEN Capital 天底のわかるトレードスクール(無料)

ここまで、カバードコールの損益図・具体的な損益計算・証券会社とETF/投資信託・税金まで見てきました。この戦略の成否は、結局のところ「どの権利行使価格で、いつコールを売るか」という一点に集約されます。ボラティリティが高く方向感の薄い局面を選べれば有利に働き、上昇トレンドの初動で売ってしまえば足枷になる——その見極めができるかどうかが分かれ目です。

とはいえ、相場のボラティリティや需給をどう読んで権利行使価格を決めるかは、独学ではなかなか掴みにくい領域です。ICHIZEN Capitalが運営する無料の「天底のわかるトレードスクール」では、この記事で扱ったプレミアムや損益図(ペイオフ)の読み方を、基礎から順を追って学べます。

無料スクールで学べること
  • 建玉(OI)や過熱感を示すIV、ガンマの節目といったオプションデータから、相場がどのあたりで天井や底をつけやすいのかの目星をつける分析を学べます。
  • コール・プットの基礎からプレミアム(本質的価値と時間的価値)、損益図(ペイオフ)の読み方、そして建玉や満期から天底を見立てるところまで、4つのステップで段階的に積み上げる構成です。
  • カバードコールのように「どの権利行使価格でコールを売ると、利回りとリスクのバランスがどう変わるか」を、損益図をベースに自分で判断できるようになります。
  • 予想が外れたときに損失をどう限定するかというリスク管理の考え方まで含めて学べます。
  • 受講料は0円(メールアドレスの登録のみ)で、無料のウェビナーも用意されています。

無料なので、まずは中身をひととおり見て、自分に合いそうかを確かめてから続けるかどうかを決めれば大丈夫です。

よくある質問

カバードコールとは何ですか?初心者にもわかるように教えてください

カバードコールとは、保有している株のコールオプション(買う権利)を売ることで、プレミアム(オプション料)を受け取る戦略です。株価が大きく動かない局面で、配当に加えて追加の収入を得られます。ただし、株価が大幅に上昇した場合の利益は権利行使価格で頭打ちになります。

カバードコールで損をすることはありますか?

はい、損をする可能性はあります。株価が大きく下落した場合、プレミアム収入では損失をカバーしきれません。また、急騰時には本来得られたはずの利益を逃す「機会損失」も実質的な損失です。カバードコールは下落リスクを”軽減”しますが、”消す”わけではない点に注意が必要です。

カバードコールはどの証券会社でできますか?

直接オプションを売買する場合は、SBI証券(かぶオプ・日経225オプション)、サクソバンク証券・moomoo証券(米国株オプション)が主な選択肢です。カバードコールETF(QYLD・JEPI・2865等)を購入するだけであれば、SBI証券・楽天証券・マネックス証券など主要ネット証券で対応しています。

カバードコールETF(QYLDなど)は危ないですか?

「危ない」とまでは言えませんが、注意点はあります。QYLDは年率10%前後の高い分配利回りが特徴ですが、値上がり益を放棄する構造のため基準価額は長期で下落傾向にあります。分配金の一部が元本の取り崩しになっている場合もあるため、利回りの数字だけで判断せず、トータルリターンで評価する必要があります。

カバードコールの税金はどうなりますか?確定申告は必要?

直接オプションを売買して得たプレミアムは、先物・オプション取引の雑所得として申告分離課税(20.315%)の対象です。特定口座の対象外のため、原則として確定申告が必要です。ETF経由の分配金は配当所得扱いで、東証ETFなら特定口座で源泉徴収が可能です。

カバードコールとプロテクティブプットの違いは何ですか?

カバードコールは「株を持ちながらコールを売る」戦略で、プレミアム収入を得ます。プロテクティブプットは「株を持ちながらプットを買う」戦略で、保険料(プレミアム)を支払って下落リスクを限定します。カバードコールは収入を得る攻めの戦略、プロテクティブプットは損失を限定する守りの戦略という違いがあります。

カバードコールのプレミアムはいくらくらいもらえますか?

プレミアムの金額は原資産の価格・ボラティリティ・残存期間・権利行使価格との距離で変動します。一般的な目安として、OTM(5〜10%上方)のコールを1カ月の期間で売った場合、原資産価格の1〜3%程度のプレミアムが得られることが多いです。ボラティリティが高い局面ではそれ以上になります。

カバードコールは暗号資産(仮想通貨)でもできますか?

できます。Deribitなどの暗号資産デリバティブ取引所ではビットコインやイーサリアムのオプション取引が可能で、現物を保有しながらコールを売るカバードコール戦略を組めます。暗号資産はボラティリティが高いためプレミアムも大きくなりやすいですが、急騰・急落リスクも大きい点に注意が必要です。

カバードコールはいくらから始められますか?

直接取引の場合、米国株オプションは100株単位のため最低でも数十万円〜100万円程度の資金が必要です。SBI証券のかぶオプは国内個別株が対象で、銘柄によっては10万円程度から組めるケースもあります。ETF経由であれば、東証2865は1口数千円から購入可能です。

まとめ|カバードコールは「守りのインカム戦略」

この記事のまとめ
  • カバードコールは「利回りを買う」のではなく、値上がり益の上振れ(天井から上)を手放す対価として確定プレミアムを受け取る「上値を売る」戦略。
  • 損益は「天井あり・下値はプレミアム分だけクッション」の非対称型。損益分岐点は「取得価格−プレミアム」まで下がる。
  • 最も得意なのは横ばい〜緩やかな上昇。急騰局面は利益が頭打ちになり足枷になる。
  • 実践は3通り。自分で行使価格を選ぶ直接取引(かぶオプ・米国株オプション)、手軽なETF(QYLD・JEPI・2865等)、少額積立の投資信託。手間・自由度・最低資金で選ぶ。
  • 税金は直接取引が申告分離課税20.315%(先物・オプションの雑所得)、ETFは配当所得。損失は3年繰越可。

カバードコールは、保有株のコールオプションを売ることでプレミアム収入を得る戦略です。横ばい〜緩やかな上昇局面で最も効果を発揮し、配当に加えて追加のインカムを生み出せるのが最大の強みです。

一方で、急騰時の利益は権利行使価格で頭打ちになり、下落リスクはプレミアム分しか軽減されないという構造は正確に理解しておく必要があります。「いつでも使える万能戦略」ではなく、相場環境を見て使い分けるべき戦術です。

日本では、SBI証券のかぶオプやサクソバンク証券・moomoo証券の米国株オプションで直接実践できるほか、QYLD・JEPI・東証2865などのETFを通じて手軽に戦略を取ることも可能です。税金は直接取引で申告分離課税20.315%、ETFなら特定口座が使えるケースもあるため、自分の運用スタイルに合った方法を選びましょう。オプション取引の基本についてはオプション取引とは?もあわせてご覧ください。

参考文献

1. SBI証券「かぶオプ(個別株オプション取引)」https://www.sbisec.co.jp/
2. 国税庁「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」https://www.nta.go.jp/
3. 松井証券「先物・オプション取引の税金」https://support.matsui.co.jp/
4. マネックス証券「カバードコール戦略|仕組みや具体的な米国ETFをご紹介」https://info.monex.co.jp/
5. ニッセイアセットマネジメント「よくわかる!カバードコール戦略」https://www.nam.co.jp/
6. グローバルX「NASDAQ100・カバード・コール ETF(QYLD)」https://globalxetfs.co.jp/
7. 大阪取引所 北浜投資塾「お得に株を売る!カバードコール戦略」https://www.jpx.co.jp/

※本記事は2026年8月時点の情報に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品・取引所への投資を勧誘するものではありません。オプション取引には元本を上回る損失が生じるリスクがあります。税務の具体的な判断は税理士等の専門家にご相談ください。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

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