オプション取引の損益計算のやり方|4パターンの公式・損益図・損益分岐点を具体例で解説

ICHIZEN Capitalのイチ押しポイント!
- オプションの損益は「4パターン×公式」で全部計算できる
- コール買い/売り・プット買い/売りの4つ。公式は単純な足し引きだけ
- 損益図(ペイオフ図)を見れば「どこで利益・どこで損失か」が一目でわかる
- 損益分岐点(BEP)=支払ったプレミアムを取り戻せる価格
- コール買いのBEP=権利行使価格+プレミアム、プット買い=権利行使価格−プレミアム
- この価格を超えて初めて実質プラスになる
- 机上の損益と「本当の手取り損益」は違う(倍率・手数料・税金)
- 手取り = 損益 ×取引単位(倍率) − 手数料 − スプレッド − 税金
- 日経225は1,000倍。損益500円=実際は50万円。そこから税金20.315%も引く
- 売り手は利益限定・損失は無限大。損益計算がその危険を教えてくれる
- 損益図を見れば、売りの非対称なリスクがすぐに分かる
- この記事は公式・損益図・価格別の損益表・手取り計算まで具体例で解説
木田 陽介損益計算は、実は4つのパターンの単純な足し引きだけです。まず損益図で形をつかみ、公式で数字を出す——この順番が一番の近道です。


監修 木田 陽介
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役
2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。
オプションの損益計算の基本|3つの要素
オプションの損益は、たった3つの数字「原資産価格・権利行使価格・プレミアム」さえ分かれば計算できます。複雑に見えるのは、コールとプット、買いと売りで式の向きが入れ替わるからだけで、仕組み自体はシンプルな足し引きです。
| 要素 | 意味 |
|---|---|
| 原資産価格 | 満期時の日経平均やBTCなどの実際の価格 |
| 権利行使価格 | 売買する権利をあらかじめ決めた価格 |
| プレミアム | オプションの価格(買い手が支払い、売り手が受け取る) |
この3つに加えて、実戦では取引単位(倍率)・手数料・税金が最終的な損益を左右します。まずは基本の公式と損益図で「形」をつかみ、後半で”本当の手取り損益”まで踏み込みます。オプションの基礎はオプション取引とはの記事もあわせてご覧ください。
4パターンの損益計算の公式と損益図


オプションは「コール(買う権利)/プット(売る権利)」×「買い/売り」で4つの基本パターンに分かれ、それぞれ満期時の損益は次の公式で計算できます(満期時・1単位あたり)。
| パターン | 満期時の損益の公式 | 最大利益 / 最大損失 |
|---|---|---|
| コールの買い | 原資産価格 − 権利行使価格 − プレミアム | 無限大 / プレミアム(限定) |
| コールの売り | プレミアム −(原資産価格 − 権利行使価格) | プレミアム(限定)/ 無限大 |
| プットの買い | 権利行使価格 − 原資産価格 − プレミアム | 権利行使価格−プレミアム / プレミアム(限定) |
| プットの売り | プレミアム −(権利行使価格 − 原資産価格) | プレミアム(限定)/ 権利行使価格−プレミアム |
※各公式で、権利行使すると損になる場合(コール買いで原資産価格<権利行使価格 など)は権利を放棄するため、その部分の損失はプレミアムまでに限定されます。この「損失限定・利益は伸びる」という買い手の性質と、その正反対の売り手の性質は、下の損益図を見ると一目でわかります。
損益図(ペイオフ図)の横軸は満期時の原資産価格、縦軸が損益です。「買い」は損失が支払ったプレミアムで頭打ち(下が水平)、「売り」は利益がプレミアムで頭打ち(上が水平)になり、両者はちょうど上下反転の関係にあります。特にコールの売りは損失が青天井で、この非対称なリスクを損益図はっきりと警告してくれます。損益図の読み方そのものはオプションの損益図の記事で詳しく解説しています。
損益分岐点(BEP)の計算
損益分岐点(BEP:Break Even Point)とは、損益がちょうどゼロになる原資産価格のことです。買い手は支払ったプレミアム分だけ不利からスタートするため、そのプレミアムを取り戻す価格がBEPになります。
| パターン | 損益分岐点(BEP) |
|---|---|
| コールの買い | 権利行使価格 + プレミアム |
| プットの買い | 権利行使価格 − プレミアム |
| コールの売り | 権利行使価格 + プレミアム(これを超えると損失) |
| プットの売り | 権利行使価格 − プレミアム(これを下回ると損失) |
たとえば権利行使価格60,000円のコールをプレミアム500円で買った場合、BEPは 60,000 + 500 = 60,500円。満期時に原資産がこの価格を超えて初めて、実質的にプラスになります。
市場価格別の損益一覧表|価格ごとにいくらになるか


公式だけではイメージしにくいので、満期時の原資産価格を動かして損益がどう変わるかを一覧表にします。例は日経225コールを権利行使価格60,000円・プレミアム500円で買ったケース(1単位あたり)です。
| 満期時の日経平均 | 権利 | 損益(1単位) |
|---|---|---|
| 59,000円 | 放棄 | −500円 |
| 60,000円 | 放棄 | −500円 |
| 60,500円 | 行使 | 0円(BEP) |
| 61,000円 | 行使 | +500円 |
| 62,000円 | 行使 | +1,500円 |
| 63,000円 | 行使 | +2,500円 |
この表から、60,500円(BEP)までは行使しても損、それ以下は権利放棄で損失−500円に固定、そして価格が上がるほど利益は青天井という、コール買いの損益構造がはっきり読み取れます。売り手はこの表の損益の符号を逆にした形(利益+500円で固定、上昇で損失拡大)になります。
「机上の損益」と「本当の手取り損益」の違い【ここが最重要】


多くの解説は公式の損益で終わりますが、実際に口座で増減するお金は「取引単位(倍率)を掛け、手数料・スプレッド・税金を引いた後」の金額です。ここを計算しないと、「利益が出たはずなのに思ったより手元に残らない」という誤算が起きます。先ほどのコール買いの例で、机上の損益が実際の手取りになるまでを追ってみましょう。
前提: 日経225コール(権利行使価格60,000円・プレミアム500円)を1単位買い、満期に日経平均が61,000円になって決済。日経225オプションの取引単位は1,000倍です。
| ステップ | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| ① 机上の損益(1単位) | (61,000 − 60,000)− 500 | +500円 |
| ② 取引単位で円換算 | 500円 × 1,000倍 | +500,000円 |
| ③ 手数料を引く(往復・例) | − 約400円 | 499,600円 |
| ④ 税金を引く(申告分離20.315%) | − 500,000 × 20.315% | −101,575円 |
| 手取り損益 | — | 約398,000円 |
机上では「+500円」でも、取引単位で実際の損益は+50万円にふくらみ、そこから税金が約10万円引かれて手取りは約39.8万円になります。ここで押さえるべきは次の3点です。
- 取引単位(倍率)|日経225は1,000倍。損益の桁が一気に変わる(500円→50万円)
- 手数料・スプレッド|手数料は売買のたび、スプレッドは約定価格に含まれて差し引かれる
- 税金|国内オプションは20.315%、暗号資産オプションは雑所得(最大約55%)で手取りが大きく変わる
特に暗号資産(BTC・ETH)のオプションだと同じ利益でも税率が雑所得(総合課税・最大約55%)になり、手取りは国内オプションよりさらに小さくなります。「どの損益計算ツールも机上の損益しか出さない」からこそ、取引単位・手数料・税金まで自分で引く習慣が、実戦で勝ち残る差になります。税金の詳細は仮想通貨の税金の記事で解説しています。
損益計算で見落としやすいポイント
倍率・手数料・税金のほかに、初心者がつまずきやすい計算の落とし穴があります。ここを知らないと、正しく計算したつもりでも実際とズレます。
満期前に決済する場合は「時間的価値」が残る
ここまでの公式は満期時の損益です。満期を待たず途中で反対売買して決済する場合、プレミアムには時間的価値が残っているため、満期損益の計算とは金額が変わります。「方向は当たったのに、時間的価値の減少で思ったほど利益が出ない」ことも珍しくありません。この仕組みはオプションの時間的価値の記事で解説しています。
売りの損益計算は「符号を逆にするだけ」だが、リスクは真逆
売り手の損益は、買い手の損益の符号を反転させるだけで計算できます。ただし計算は簡単でも、リスクの大きさは正反対です。売りは利益がプレミアムに限定される一方、コール売りの損失は理論上無限大。損益図の「上が水平・下に青天井」という形が、その危険を物語っています。売りを計算するときは、必ず最大損失がどこまで膨らむかまで確認しましょう。
ICHIZEN Capitalの視点|損益計算は「戦略の設計図」
損益計算は「答え合わせ」ではなく「エントリー前の設計図」です。ポジションを取る前に、①BEP(どこから利益か)②最大損失(いくらまで失いうるか)③手取り(税・手数料後にいくら残るか)の3つを計算しておけば、感情ではなく数字でトレードを判断できます。
特にICHIZEN Capitalが重視するのは、机上の損益ではなく「手取りベースの損益」で戦略を組むことです。勝率が高く見える売り戦略も、一度の急変動で手取りが吹き飛べば意味がありません。損益計算を「取引単位・手数料・税金まで込みの現実の設計図」として使えるかどうかが、続けられるトレーダーとそうでない人の分岐点になります。



私が必ずやるのが、この手取り計算です。日経225は1,000倍なので、机上の小さな損益も口座では数十万円動きます。
よくある質問
オプションの損益はどう計算しますか?
原資産価格・権利行使価格・プレミアムの3つで計算します。たとえばコール買いの満期損益は「原資産価格 − 権利行使価格 − プレミアム」で、権利行使が損になる場合は放棄して損失をプレミアムまでに限定します。パターンごとの公式は本文の表を参照してください。
損益分岐点(BEP)はどう求めますか?
コール買いは「権利行使価格 + プレミアム」、プット買いは「権利行使価格 − プレミアム」です。買い手は支払ったプレミアム分だけ不利からスタートするため、それを取り戻す価格がBEPになります。原資産がこの価格を超えて初めて実質プラスです。
コール買いの最大損失はいくらですか?
支払ったプレミアムが最大損失です。原資産価格が権利行使価格を下回れば権利を放棄すればよく、それ以上の損失は発生しません。「損失限定・利益は伸びる」がコール買い(オプション買い)の最大の特徴です。
オプション売りの損益計算はどうなりますか?
買い手の損益の符号を逆にするだけで計算できます。ただしリスクは正反対で、利益はプレミアムに限定される一方、コール売りの損失は理論上無限大です。計算は簡単でも、最大損失がどこまで膨らむかを必ず確認しましょう。
損益計算で倍率(取引単位)はなぜ重要ですか?
実際の損益は「公式の損益 × 取引単位」で決まるからです。日経225オプションは1,000倍のため、損益500円は実際には50万円になります。ここを忘れると損益の桁を大きく読み違えるため、必ず取引単位を掛けて円換算しましょう。
満期前に決済する場合も同じ計算ですか?
いいえ。本文の公式は満期時の損益です。満期前に反対売買で決済する場合は、プレミアムに時間的価値が残っているため金額が変わります。方向が当たっていても、時間的価値の減少で利益が目減りすることがあります。
損益計算にツールは使えますか?
大阪取引所(JPX)のオプション価格計算ツールなど、価格やIVを計算できる公式ツールがあります。ただし多くのツールは机上の損益や価格までしか出さないため、取引単位・手数料・税金を引いた「手取り」は自分で計算する必要があります。本文の手取り計算表を活用してください。
計算上の利益に税金はどうかかりますか?
日経225オプションなど国内の対象取引は申告分離課税で20.315%、暗号資産(BTC・ETH)のオプションは原則「雑所得」の総合課税(最大約55%)です。同じ利益でも税率が異なり手取りが変わるため、損益は税引き後で考えるのが実戦的です。
まとめ|損益計算は「4パターンの公式」+「手取り」で攻略できる
- 損益は4パターンの公式で計算できる
- BEP=コール買いは「権利行使価格+プレミアム」
- 買いは損失限定、売りは損失無限大
- ★手取り=損益×倍率−手数料−税金で考える
- 日経225は1,000倍・税率20.315%
オプションの損益計算は、4パターンの公式と損益図さえ押さえれば、単純な足し引きで誰でもできます。まずは損益図で「形」をつかみ、公式で数字を出し、市場価格別の損益表で価格ごとの損益を確認する——この流れが最短ルートです。
そして本当に大切なのは、机上の損益で満足せず、取引単位(倍率)を掛けて手数料・スプレッド・税金を引いた「手取り損益」で判断することです。エントリー前にBEP・最大損失・手取りの3つを計算しておけば、感情ではなく数字でトレードを設計できます。損益計算を”現実の設計図”として使いこなしましょう。
参考文献
1. 日本取引所グループ(JPX)/大阪取引所「日経225オプションの制度・取引単位・オプション価格計算ツール」https://www.jpx.co.jp/
2. 金融広報中央委員会 知るぽると「オプション取引の損益」(損益の考え方の一般解説)
3. 国税庁「先物取引に係る雑所得等の課税の特例/暗号資産に関する税務上の取扱い」https://www.nta.go.jp/
※本記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・取引を勧誘するものではありません。記事内の価格・プレミアム・損益・手数料の数値は計算方法を説明するための例示であり、実際の数値や手数料は取引所・証券会社や取引条件により異なります。税制の扱いは取引の種類や個々の状況で異なるため、具体的な判断は税理士等の専門家にご相談ください。オプション取引にはリスクが伴い、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。









