仮想通貨の税金はいくらから?税率・計算方法・確定申告と2028年の分離課税改正まで解説

ICHIZEN Capitalのイチ押しポイント!


  • 仮想通貨の利益は原則「雑所得・総合課税」で、税率は最大約55%
    • 給与など他の所得と合算して課税され、所得が大きいほど税率が上がる
    • 株やFXの一律約20%とは別扱い(現行制度)
  • 確定申告が必要なのは「いくらから」?会社員は利益20万円超が目安
    • 給与以外の所得(雑所得など)の合計が年20万円を超えると申告が必要
    • 20万円以下でも「住民税」の申告は別途必要(見落としやすい落とし穴)
  • 課税されるのは「売却・交換・決済・報酬」のタイミング
    • 買って保有しているだけ・自分のウォレット間の移動では課税されない
    • 別の通貨への交換や、ステーキング・エアドロップの報酬も課税対象
  • 2028年をめどに「申告分離課税20%」へ改正の方針(ただし条件付き)
    • 令和8年度税制改正大綱で方針が示されたが、対象は特定の暗号資産に限られる見込み
    • 損失を3年間繰り越せる制度も創設予定(現行は繰越不可)
水野 倫太郎

税金は後回しにされがちですが、仮想通貨は「利益が出た年」に課税されます。この記事では、いくらから・いくらかかるのか、いつ課税されるのか、そして2028年に向けた制度変更まで、事業者の視点で忖度なく整理します。

水野 倫太郎
(株)ICHIZEN HOLDINGS

代表取締役

この記事の執筆者/監修者

慶應義塾大学経済学部卒。2017年米国留学時にブロックチェーンと出会い、Web3の業界に足を踏み入れる。2018年、仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。2019年には同社のCMOに就任し、2020年に東証二部上場企業とM&Aを行い、様々なクリプト事業を展開。2022年に現在代表取締役社長を務めるICHIZEN HOLDINGSを立ち上げ様々なWeb3事業を手がける。複数のWeb3系事業に出資を行いながら有識者として活動。

監修 水野 倫太郎
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役

慶應義塾大学経済学部。2017年米国留学時にブロックチェーンと出会い、Web3の業界に足を踏み入れる。2018年には、日本有数の仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。2019年には同社のCMOに就任し、2020年に東証二部上場企業とM&Aを行い、様々なクリプト事業を展開する。2022年に現在代表取締役社長を務めるICHIZEN HOLDINGSを立ち上げ様々なWeb3事業を手がける。複数のWeb3系事業に出資を行いながら有識者として活動。

目次

仮想通貨の税金の基本|利益は「雑所得・総合課税」

日本の居住者が仮想通貨(暗号資産)で得た利益は、原則として「雑所得」に分類され、給与など他の所得と合算して税額を計算する「総合課税」の対象です。

総合課税では、所得が大きいほど税率が高くなる「累進課税」が適用されます。所得税は5%〜45%の7段階で、これに住民税(一律約10%)が加わるため、仮想通貨の利益にかかる税率は最大で約55%に達します。さらに所得税額に対して復興特別所得税(2.1%)も加算されます。

ここが、株式やFX(一律約20%の申告分離課税)と大きく異なる点です。同じ「投資の利益」でも、仮想通貨は現行制度では給与と同じ土俵で課税されるため、高所得の方ほど税負担が重くなります。

所得税の税率(課税所得に対する速算表)は以下のとおりです。実際の税額は「課税所得 × 税率 − 控除額」で計算し、これに住民税10%が上乗せされます。

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課税される所得金額所得税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超〜330万円以下10%97,500円
330万円超〜695万円以下20%427,500円
695万円超〜900万円以下23%636,000円
900万円超〜1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円超〜4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

たとえば給与所得と合わせた課税所得が500万円の方なら、所得税率は20%です。仮想通貨の利益が丸ごとこの帯に乗る場合、所得税20%+住民税10%で、利益のおよそ3割が税金になるイメージです。

水野 倫太郎

「株と同じ20%だと思っていた」という相談は本当に多いです。仮想通貨は原則それより重くなり得る、とまず押さえておくと判断を誤りません。

仮想通貨の税金は「いくらから」かかる?確定申告が必要なケース

「いくらから税金がかかるのか」は立場によって変わります。よく言われる「20万円」は会社員(給与所得者)に限った目安で、すべての人に当てはまるわけではありません。立場別に整理します。

この章の内容
  • 会社員:利益(雑所得の合計)が年20万円を超えると申告が必要
  • 扶養内の主婦・学生:基礎控除48万円が一つの目安
  • 個人事業主・専業:金額にかかわらず申告が必要
  • 共通の注意:20万円以下でも住民税の申告は必要

会社員(給与所得者)|利益20万円超で確定申告

1か所から給与を受け取り年末調整を受けている会社員の場合、給与・退職所得以外の所得(仮想通貨の利益を含む雑所得など)の合計が年間20万円を超えると確定申告が必要です。20万円は「仮想通貨だけ」ではなく、副業やその他の雑所得も合算して判定します。

なお、給与収入が2,000万円を超える方や、2か所以上から給与を受けている方は、20万円以下でも確定申告が必要になるなど例外があります。

扶養内の主婦(主夫)・学生|基礎控除48万円が目安

給与を受け取っていない専業主婦(主夫)や学生などの場合、所得の基礎控除は48万円です。仮想通貨の利益を含む合計所得が48万円を超えると、原則として確定申告が必要になります。

あわせて、合計所得が48万円を超えると配偶者や親の「扶養」から外れ、世帯全体の税額が増えることがあります。扶養の範囲で活動している方は、利益が膨らむ前にこの点も確認しておきましょう。

個人事業主・専業投資家|金額にかかわらず申告

もともと確定申告を行う個人事業主や、給与がなく投資を主とする方は、20万円のような免除ラインはありません。利益が出ていれば金額の大小にかかわらず申告に含める必要があります。20万円ルールは「給与所得者で年末調整を受けている人」の特例であり、事業所得の申告をする人には適用されない点に注意が必要です。

なお、暗号資産の利益は原則「雑所得」ですが、その取引で生計を立てていることが客観的に明らかな場合など、一定の条件を満たすと「事業所得」として扱えることがあります。事業所得になると、赤字を他の所得と損益通算できる、青色申告特別控除を使えるといった利点があります。ただし認められるハードルは高く、副業的・投資的な取引は原則として雑所得です。自分がどちらに当たるかは、帳簿の有無や取引の規模も踏まえて税理士に確認するのが確実です。

見落としやすい落とし穴|「20万円以下でも住民税は申告が必要」

ここが最も誤解されやすい点です。利益が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要です。20万円ルールはあくまで所得税(国税)の話であり、住民税(地方税)には適用されません。

確定申告をすれば税務署の情報が市区町村にも共有されるため住民税の申告は不要ですが、確定申告をしない場合は、お住まいの市区町村へ住民税の申告を行う必要があります。「少額だから何もしなくてよい」とは限らない点に注意してください。

課税されるタイミング|利益が確定する4つの場面

仮想通貨の税金でつまずきやすいのが「いつ利益が確定するのか」です。日本円に換金したときだけでなく、暗号資産を「手放す・使う・受け取る」場面すべてで課税が生じ得ます。主な4つの場面を押さえましょう。

  1. 売却して日本円に換えたとき:売却額と取得価額の差が利益になる
  2. 他の暗号資産に交換したとき:例)ビットコインでイーサリアムを買うと、その時点でビットコインを売却したものとして損益を計算する
  3. 商品やサービスの決済に使ったとき:決済時の時価と取得価額の差が利益になる
  4. マイニング・ステーキング・レンディング・エアドロップで受け取ったとき:取得時の時価が所得になる

特に見落とされがちなのが2番目の「暗号資産同士の交換」です。日本円を一度も引き出していなくても、通貨を乗り換えた時点で課税対象の損益が発生します。取引所やDEXで頻繁に銘柄を入れ替えている方は、その都度損益が積み上がっている点に注意が必要です。

一方で、次のケースでは課税されません。買った暗号資産を保有しているだけの「含み益」の状態や、自分名義のウォレット・取引所口座の間で資産を移動させただけの場合は、利益が確定していないため課税対象外です。

暗号資産同士の交換|「円にしていない」のに課税される理由

最も申告漏れが起きやすいのがこの場面です。たとえば取得価額100万円のビットコインを、時価150万円のときにイーサリアムへ交換した場合、その時点で50万円の利益が確定します。税務上は「ビットコインを時価150万円で売却し、その資金でイーサリアムを買った」とみなすためです。日本円を一度も引き出していなくても、通貨を乗り換えた瞬間に損益が生まれます。

これは取引所での売買だけでなく、DEXでのスワップや、ビットコインでステーブルコイン(USDT等)を買う取引も同じです。値動きの小さいステーブルコインへの避難でも、交換元に含み益があれば課税対象になります。ステーブルコインの扱いはUSDTとはの記事でも解説しています。銘柄をこまめに入れ替える方ほど、気づかないうちに課税対象の損益が積み上がっている点に注意してください。

ステーキング・レンディング・エアドロップ|「もらった時」と「売った時」の2段階

報酬として暗号資産を受け取るケースは、課税が2段階になる点を理解しておく必要があります。まず受け取った時点で、その時の時価が所得(雑所得)になります。さらに、その受け取った暗号資産を後で売却・交換したときに、受取時の時価を取得価額として、値上がり分に改めて課税されます。

たとえば時価1万円分のトークンをエアドロップで受け取れば、その1万円がまず所得です。そのトークンが値上がりして3万円で売れれば、差額の2万円にさらに課税されます。「受け取っただけで使っていない」段階でも、受取時の時価で課税されるのが原則です。受け取った日時と時価の記録を残しておかないと、後から取得価額を証明できず、計算で不利になります。

水野 倫太郎

「円に換えていないから大丈夫」という思い込みが、後で大きな申告漏れにつながります。通貨を交換した・報酬を受け取った時点で記録を残す。これだけで確定申告がぐっと楽になります。

仮想通貨の税金の計算方法|総平均法と移動平均法

仮想通貨の所得(利益)は、基本的に次の式で計算します。

所得 = 総収入金額 −(取得価額 + 必要経費)

取得価額とは「その暗号資産をいくらで手に入れたか」です。同じ銘柄を複数回に分けて買っている場合、1単位あたりの取得価額を求める必要があり、その計算方法として「総平均法」と「移動平均法」の2つが認められています。

  • 総平均法:1年間の購入総額を購入総数で割り、平均単価を求める方法。計算がシンプル
  • 移動平均法:購入のたびに平均単価を計算し直す方法。手間はかかるが、実際の損益実感に近い

どちらを使うかは税務署への届出で選べますが、届出をしない場合は「総平均法」で計算することになります。いったん選んだ方法は原則として継続して使う必要があるため、最初に方針を決めておくことが大切です(※1)。

下は総平均法を使った簡単な計算例です。年間で2回購入し、一部を売却したケースを示します(数値は説明用の例)。

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取引内容金額
購入①1BTCを400万円で購入400万円
購入②1BTCを600万円で購入600万円
平均取得単価(400万+600万)÷2BTC500万円/BTC
売却1BTCを700万円で売却700万円
利益(所得)700万円 − 500万円200万円

この例では200万円が雑所得となり、他の所得と合算して税額が決まります。取引が多い方は、後述する損益計算ツールを使うと正確に集計できます。

総平均法と移動平均法、どちらを選ぶべきか

2つの方法は、1年間トータルの損益では最終的にほぼ同じ額に収束しますが、単年で見ると差が出ることがあります。移動平均法は購入のたびに単価を計算し直すため実際の損益実感に近く、総平均法は年末にまとめて平均単価を出すためシンプルです。年の途中で価格が大きく動いた場合、その年の所得額に差が生じることがあります。

実務では、届出をしなければ自動的に総平均法となり、いったん選んだ方法は原則として継続適用します。計算の手間と、損益計算ツールが総平均法を標準採用しているケースが多いことを踏まえると、特別な事情がなければ総平均法+ツールで揃えるのが現実的です。移動平均法を使いたい場合は、その旨を税務署に届け出る必要があります。

必要経費として認められるもの・認められにくいもの

所得を計算する際、取得価額のほかに必要経費を差し引けるため、経費の把握は節税に直結します。暗号資産取引で経費として認められうる主なものは次のとおりです。

  • 取引所の売買手数料・送金(出金)手数料
  • 損益計算ツールの利用料
  • 取引に直接必要な書籍・セミナー代、PCやスマホの利用分(事業・投資への関連が説明でき、私用分は按分)

一方で、生活費や、取引と関連性を説明できない支出は経費になりません。経費として計上するなら、領収書や利用明細を必ず保管し、「なぜ暗号資産取引に必要だったか」を説明できる状態にしておくことが前提です。判断が微妙なものは、税理士に確認してから計上するのが安全です。

仮想通貨の確定申告のやり方|4つのステップ

確定申告は毎年、原則として翌年2月16日〜3月15日の間に行います。仮想通貨の申告は、次の4ステップで進めるとスムーズです。

  1. 取引履歴を集める:利用したすべての取引所・ウォレットから、1年分の取引履歴(CSV等)をダウンロードする
  2. 年間の損益を計算する:総平均法または移動平均法で所得を算出する。取引が多い場合は損益計算ツールの利用が現実的
  3. 確定申告書を作成する:国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で、雑所得として金額を入力する(※2)
  4. 提出・納税する:e-Taxまたは郵送・窓口で提出し、算出された税額を納付する

最大の関門は1〜2の「損益計算」です。複数の取引所やDEXを使い、暗号資産同士の交換を繰り返していると、手作業での集計は現実的ではありません。取引履歴を取り込んで自動計算してくれる損益計算ツールを使い、算出結果を作成コーナーに入力する流れが一般的です。

取引履歴の集め方|海外取引所・DEXは特に要注意

国内取引所は年間取引報告書やCSVが整備されており、履歴の入手は比較的簡単です。問題は海外取引所やDEXの履歴です。海外取引所は自分でCSVをダウンロードする必要があり、過去分の履歴に取得期間の制限があったり、口座凍結・サービス終了で遡れなくなることもあります。DEXでのスワップは、ウォレットアドレスからチェーン上の取引を追う必要があります。

対策はシンプルで、取引をした都度、あるいは月に一度など定期的に履歴を保存しておくことです。「申告のときにまとめて」ではなく、その時々で記録を残す習慣が、後の計算不能や過大な税負担を防ぎます。海外取引所を選ぶ段階から履歴の扱いを意識したい方は、海外取引所おすすめランキングもあわせてご確認ください。

損益計算ツールの使いどころ

取引件数が数十を超える、複数の取引所を併用している、暗号資産同士の交換が多い——このいずれかに当てはまるなら、損益計算ツールの利用が現実的です。API連携やCSV取り込みで取引を集約し、総平均法などで自動計算してくれます。

ただし万能ではありません。海外取引所やDeFiの取引は取り込み漏れ・価格の自動判定ミスが起きやすいため、ツールの結果をそのまま鵜呑みにせず、大きな取引や交換については最終確認をする姿勢が大切です。件数が少なく国内取引所だけなら、手計算でも十分対応できます。判断に迷う場合は税理士への相談も検討しましょう。

知らないと損する注意点|損益通算・繰越・無申告

仮想通貨の税金には、株式などと比べて「不利」な取り扱いがいくつかあります。忖度なく、良い面・注意すべき面を整理します。

特に注意すべきポイント
  • 給与や株式の利益との損益通算はできない(雑所得は他の所得区分と相殺不可)
  • 損失を翌年に繰り越せない(現行制度。株式の3年繰越とは異なる)
  • 無申告・過少申告には無申告加算税・延滞税などのペナルティがある
  • 取引所は税務当局へ情報を提供しており「申告しなければバレない」は通用しない

特に押さえたいのが損益通算と繰越控除の制限です。仮想通貨で損失が出ても、給与所得や株式の利益と相殺することはできません。また、その損失を翌年以降に持ち越すこともできない(現行制度)ため、年をまたいだ損益の調整が効きにくい構造です。仮想通貨の利益同士(雑所得内)であれば同一年内で相殺できます。

「申告しなくてもわからないのでは」という考えも危険です。国内取引所は税務署からの照会に応じて顧客情報を提供しており、申告漏れが指摘されれば本来の税金に加えてペナルティが課されます。結果的に負担が膨らむため、正しく申告することが最も安全です。

納税資金は「利益の出た年」に確保しておく

総合課税の納税は、利益が出た年の翌年(2月16日〜3月15日)にまとめて支払う仕組みです。ここに落とし穴があります。年内に出た利益をそのまま再投資して相場が下落すると、納税の時期に手元資金が足りず、税金が払えないという事態が起こり得ます。含み益は非課税でも、確定した利益への納税義務は相場が下がっても消えません。

対策は明確で、利益を確定させたら、その3〜5割程度を納税用として別に確保しておくことです。とくに年末近くに大きく利益を確定した場合は、そのお金を動かさずに翌年の納税に備えます。これは事業者が納税に備えるのと同じ発想で、暗号資産投資でも欠かせないリスク管理です。

無申告・過少申告のペナルティは具体的にどのくらいか

申告漏れが発覚した場合のペナルティは、本来の税額に上乗せで課されます。おおまかな水準は次のとおりです。

  • 無申告加算税:原則として本税の15%(一定額を超える部分は20%)。税務調査の前に自主的に申告すれば5%程度に軽減される
  • 延滞税:納付が遅れた日数に応じて年率で加算(近年はおおむね年2%台〜8%台の水準)
  • 重加算税:意図的な仮装・隠蔽があった悪質なケースでは35〜40%と非常に重い

つまり、「バレなければ得」ではなく、指摘されれば本来の税金に大きな上乗せが発生する構造です。加算税率は改正で見直されることもあり、無申告への対応は年々厳しくなる傾向にあります。もし過去分の申告漏れに気づいた場合は、調査を受ける前に自主的に修正申告するほうが、負担を軽く抑えられます。

水野 倫太郎

損失が通算・繰越できないのは、仮想通貨投資の見落とされがちな弱点です。利益が大きく出た年は、年内のうちに納税資金を別に確保しておく——これは事業者としても強くおすすめする習慣です。

2028年へ|「申告分離課税20%」税制改正の最新動向

ここまで説明した「最大約55%・総合課税」は、大きく変わろうとしています。2025年12月に公表された令和8年度税制改正大綱で、暗号資産の所得を申告分離課税(税率20%)とする方針が示されました(※3)。実現すれば、株式やFXと同水準の税負担になります。

大綱で示された主なポイントは次のとおりです。税率は一律20%(所得税15%+住民税5%、復興特別所得税を含めると20.315%)で、あわせて損失を3年間繰り越せる制度の創設も明記されました。適用開始は金融商品取引法の改正法が施行された年の翌年からとされ、2028年1月からが見込みとされています。

税制改正大綱で示された方針
  • 税率を一律20%の申告分離課税へ(現行の最大約55%から大幅軽減)
  • 3年間の損失繰越控除を創設(現行は繰越不可)
  • 2028年1月からの適用が見込み

ただし、ここで忖度なくお伝えしたいのは「すべての暗号資産が自動的に20%になるわけではない」という点です。大綱では、対象を「特定暗号資産」の現物・デリバティブ取引やETFに限る、といった条件が示されています。

「20%になるから今のうちに」と単純に捉えるのは早計です。制度はあくまで大綱段階の方針であり、確定した内容ではありません。当メディアでは、実際に法案・政省令が固まった段階で、対象範囲を改めて検証してお伝えします。

対象になりそうな取引・対象外かもしれない取引

大綱で示された方向性では、国内で流通する「特定暗号資産」の現物・デリバティブ取引やETFが、20%の申告分離課税の軸になると見られます。一方で、次のような取引が同じ扱いになるかは、現時点で確定していません

  • 海外取引所での取引
  • DeFi(分散型金融)でのスワップや流動性提供
  • ステーキング・レンディング・エアドロップで得た報酬
  • NFTの売買

これらが分離課税20%の対象に含まれるのか、それとも従来どおり雑所得・総合課税のまま残るのかは、今後の法整備で詰められる論点です。「すべての暗号資産取引が自動的に20%になる」と決めつけないことが、この段階での正しい理解です。

改正を待つべき?今すべきこと

「税率が下がるまで利益確定を待とう」と考える方もいますが、これはおすすめできません。適用時期は2028年1月からが見込みとされているものの確定ではなく、対象範囲も未定です。そして何より、それまでの間に相場が下落すれば、税率が下がる前に含み益そのものが消える可能性があります。税制を理由に投資判断を歪めるのは本末転倒です。

今すべきことは、制度変更に振り回されず、現行ルール(雑所得・総合課税)で正しく申告し、取引履歴を最初から残しておくことに尽きます。記録さえ整っていれば、制度がどう変わっても対応できます。改正の確定情報が出た段階で、改めて自分の取引が対象になるかを確認すれば十分です。

水野 倫太郎

方向性としては明確に「投資家に有利」な改正です。ただ、対象銘柄や海外・DeFiの扱いはこれから。制度が変わるまでは現行ルール(雑所得・総合課税)で申告する、という前提は崩さないでください。

よくある質問

仮想通貨の税金はいくらから発生しますか?

会社員(給与所得者)の場合、仮想通貨を含む給与以外の所得の合計が年間20万円を超えると確定申告が必要です。扶養内の主婦・学生などは合計所得48万円が目安になります。なお20万円以下でも住民税の申告は別途必要です。

仮想通貨の利益はどのくらい税金がかかりますか?

原則として雑所得・総合課税で、所得税5〜45%に住民税約10%が加わり、最大で約55%になります。給与など他の所得と合算して税率が決まるため、所得が大きいほど負担が重くなります。

利益を日本円に換えていなくても税金はかかりますか?

かかる場合があります。別の暗号資産に交換したときや、決済に使ったとき、報酬を受け取ったときも課税対象です。買って保有しているだけ(含み益)や、自分名義のウォレット間の移動では課税されません。

仮想通貨で損失が出たら他の所得と相殺できますか?

現行制度ではできません。雑所得は給与所得や株式の利益と損益通算できず、損失を翌年以降に繰り越すこともできません。ただし同一年内であれば、仮想通貨の利益同士(雑所得内)での相殺は可能です。

申告しないとどうなりますか?

取引所は税務当局へ情報を提供しているため、申告漏れは把握され得ます。指摘されると本来の税額に加えて無申告加算税や延滞税、悪質な場合は重加算税が課され、負担が大きくなります。正しく申告することが結果的に最も安全です。

仮想通貨の税金は無申告でもバレませんか?

バレる可能性が高いです。国内取引所は税務当局への情報提供義務があり、海外取引所もCRS(共通報告基準)等の国際的な情報交換で把握され得ます。申告漏れの時効は原則5年、悪質な場合は7年で、加算税・延滞税のリスクがあります。

仮想通貨の税金はいつから20%になりますか?

2025年12月の税制改正大綱で、暗号資産の利益を申告分離課税(税率約20%)とする方針が示されました。ただし金融商品取引法の改正が前提で、実現は早くて2028年以降の見込みです。現時点では従来どおり雑所得・総合課税(最大約55%)です。

仮想通貨の損益はどうやって計算しますか?

「総平均法」または「移動平均法」で取得価額を求め、売却・交換・決済時の時価との差額を損益とします。一度選んだ計算方法は原則継続して使います。取引回数が多い場合は損益計算ツールの利用が現実的です。

まとめ

仮想通貨の利益は、現行制度では原則「雑所得・総合課税」で、給与などと合算して最大約55%の税率がかかります。会社員は利益20万円超で確定申告が必要で、20万円以下でも住民税の申告は別途必要です。売却だけでなく暗号資産同士の交換・決済・報酬の受け取りでも課税される点を押さえておきましょう。

損益通算や繰越ができない現行制度は投資家に不利ですが、2028年をめどに申告分離課税20%+3年間の繰越控除への改正方針が示されました。ただし対象は特定の暗号資産に限られる見込みで、内容はまだ確定していません。制度が変わるまでは現行ルールで正しく申告し、取引履歴を最初から残しておくことが、余計な税負担とトラブルを避ける最善策です。判断に迷う場合は、税務署や税理士への相談をおすすめします。

参考文献

1. 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq.pdf
2. 国税庁 確定申告書等作成コーナー「暗号資産の取引に係る収入がある場合」https://www.keisan.nta.go.jp/r5yokuaru/cat2/cat21/cat214/cid428.html
3. 令和8年度税制改正大綱(暗号資産取引の申告分離課税化、2025年12月)

※本記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な情報提供であり、個別の税務判断・投資判断を勧誘するものではありません。税制は改正されることがあります。実際の申告にあたっては最新の国税庁の情報を確認し、必要に応じて税務署や税理士にご相談ください。暗号資産取引にはリスクが伴い、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。

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