SAFT(Simple Agreement for Future Tokens)とは?仕組み・SAFEとの違い・証券リスク・日本での扱いをわかりやすく解説

ICHIZEN Capitalのイチ押しポイント!


  • SAFT(サフト)は「将来トークンを受け取る権利」を売買する資金調達契約。トークン発行前の初期段階で使われる
    • 2017年に法律事務所Cooleyとプロトコル・ラボが「The SAFT Project」で提唱。株式版のSAFEをトークン向けに応用した仕組み
    • 今お金を払い、ネットワーク稼働後に発行される将来トークンを受け取る、という2段階の投資契約
  • 「規制を回避できる合法の抜け道」ではない。米国の判例ではむしろ証券と認定されるリスクが高い
    • SEC対Telegramでは約12億ドルの投資家返還+制裁金1,850万ドルで和解(2020年)。TONプロジェクトは解散
    • SEC対Kikでも制裁金500万ドル。この2判例以降、標準的なSAFTは実務で下火になった
  • 日本ではSAFTをそのまま持ち込めない。資金決済法・金商法のどちらに当たるかを契約ごとに精査する必要がある
    • 契約の中身次第で暗号資産交換業、または集団投資スキーム(第二種金融商品取引業)に該当しうる
    • 権利の内容によっては「電子記録移転権利」(セキュリティトークン)として重い規制がかかる
  • 投資家目線ではハイリスク。トークンが発行されないと回収不能、長いロックアップ、適格投資家限定が基本
    • プロジェクトが方針転換してトークンが不要になると、株式のような請求権が残らない
    • 日本の税務では取得価額・課税タイミングが契約の性質で変わりうる。論点として要確認
木田 陽介

SAFTは、Web3の資金調達を学ぶと必ず出てくる用語です。ただ忖度なく言うと、”コンプライアントな調達法”という初期のうたい文句は、その後の裁判でほぼ否定されました。仕組みだけでなく「なぜ今は下火なのか」「日本ではどう扱われるのか」まで理解しておくのが、この記事の狙いです。

木田 陽介
(株)ICHIZEN HOLDINGS

代表取締役

この記事の執筆者/監修者

2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。

監修 木田 陽介
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役

2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。

目次

SAFT(Simple Agreement for Future Tokens)とは?基本情報

SAFT(サフト)とは、投資家が資金を提供する代わりに「将来発行されるトークンを受け取る権利」を得る投資契約です。正式名称はSimple Agreement for Future Tokens(将来トークンのための簡易契約)で、トークンがまだ存在しない開発初期のプロジェクトが資金を集めるために使います。

ポイントは、SAFTで売買されるのはトークンそのものではなく「将来トークンを受け取る権利」だという点です。投資家は今お金を払い、プロジェクトがネットワークを完成させてから、実際のトークンを受け取ります。この「先にお金、あとでトークン」という時間差が、SAFTの性格とリスクを決めています。

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項目内容
名称SAFT(Simple Agreement for Future Tokens/サフト)
意味将来発行されるトークンを受け取る権利を売買する投資契約
提唱2017年、法律事務所Cooley LLPとProtocol Labsによる「The SAFT Project」
モデルY Combinatorの株式版契約「SAFE」をトークン向けに応用
主な対象適格投資家(機関投資家・富裕層など)限定が基本
使う場面トークン発行前の開発初期の資金調達
米国での扱い契約自体は証券。完成トークンの非証券性は判例で否定される流れ
日本での扱い資金決済法・金商法のいずれに当たるか契約ごとに精査が必要

次の章から、SAFTが「どんな仕組みで資金を集め、なぜ生まれたのか」を具体的に掘り下げます。仕組みを押さえると、後半の「証券リスク」「日本での扱い」の話がつながって見えてきます。

SAFTの仕組み|2段階でトークンを将来交付する

SAFTの仕組みは、「①先に資金を集める契約」と「②あとでトークンを交付する」という2段階で成り立っています。トークンがまだ完成していない段階でも資金を調達できるよう設計されているのが特徴です。まず全体の流れを整理します。

SAFTによる資金調達の流れ
  1. プロジェクトが適格投資家にSAFT(将来トークンを受け取る権利)を販売し、開発資金を調達する
  2. 集めた資金でネットワークやサービスを構築し、実際に機能するトークンを完成させる
  3. ネットワーク稼働後、契約に基づいて投資家にトークンを交付する

「契約は証券、完成トークンは非証券」という当初の設計思想

SAFTのもともとの狙いは、資金調達の段階(契約)と、トークンを配る段階を法的に切り分けることにありました。SAFTという「契約」は投資性が強いため証券として扱い、証券規制に従って適格投資家だけに販売します。

一方、ネットワーク完成後に交付されるユーティリティトークンは「実際に使える道具」なので証券ではない、というのが当初の設計思想でした。しかしこの「完成したら非証券になる」という前提は、のちに米国の裁判所で否定されていきます。この点は後半の証券リスクの章で詳しく扱います。

適格投資家限定・ロックアップが基本

SAFTは、誰でも買えるICOとは違い、販売先を適格投資家(機関投資家や富裕層など、一定の資産・知識要件を満たす投資家)に限定するのが基本です。これは証券の私募(特定少数への販売)の枠組みを使うためで、一般の個人投資家は原則として参加できません。

また、交付されたトークンにはロックアップ(一定期間の売却制限)が設けられることが多く、投資家はすぐには売れず、長期間資金が拘束されるケースが一般的です。早期・割引価格で取得できる可能性がある反面、流動性が低い点はデメリットになります。

SAFTが生まれた背景|2017年「The SAFT Project」

SAFTは、2017年に米国の法律事務所Cooley LLPと分散型ストレージを開発するProtocol Labsが公表した「The SAFT Project」というホワイトペーパーで提唱されました。ICOが乱立し、多くが未登録の証券販売として問題視されていた時期に、「規制を守りながらトークンで資金を集める枠組み」を目指したものです。

ベースになったのは、スタートアップ投資で広く使われるSAFE(Simple Agreement for Future Equity/将来株式のための簡易契約)です。SAFEはY Combinatorが考案した契約で、将来の株式に転換します。これをトークン向けに置き換えたのがSAFTで、SAFEが「株式」に、SAFTが「トークン」に転換するという対応関係になっています(※1)。

実際にSAFTを使った代表例が、Protocol Labs自身の分散型ストレージ「Filecoin」です。2017年に適格投資家向けの販売で合計約2億5,700万ドルという当時最大級の金額を調達し、SAFTを一躍有名にしました。以降、複数のプロジェクトが初期資金の調達手段として採用しています。

SAFTとSAFE・ICO・IEO・STOの違い

SAFTは、暗号資産の資金調達手法のひとつにすぎません。似た言葉が多く混同されやすいため、SAFE・ICO・IEO・STOとの違いを先に整理しておきます。「何に転換するか」「誰が買えるか」「規制上どう扱われるか」で見分けるのがコツです。

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手法受け取るもの主な対象規制上の位置づけ(米国目線)
SAFT将来のトークン適格投資家に限定契約は証券。完成トークンの非証券性は判例で否定される流れ
SAFE将来の株式(エクイティ)エンジェル・VCなど通常の株式の私募。Y Combinator発
ICOトークンを直接販売一般の投資家(無差別)未登録の証券販売と認定されやすい
IEOトークン(取引所が仲介・審査)取引所のユーザー取引所が審査・本人確認を担う
STO証券トークン(電子記録移転権利など)登録を前提に募集明確に証券。登録・開示義務あり

SAFTとSAFEの違い|トークンか株式か

SAFTとSAFEは名前も仕組みもよく似ていますが、最大の違いは「将来トークンに転換するか、将来株式に転換するか」です。SAFEは会社の株式を受け取る契約で、投資家は最終的に株主になります。SAFTはトークンを受け取る契約で、株主にはなりません。

この違いはリスクにも直結します。SAFEなら会社が続く限り株式という請求権が残りますが、SAFTはプロジェクトが方針転換してトークンを発行しなくなると、投資家に何も残らないことがあります。トークンありきの契約である点が、SAFT特有の弱点です。

SAFTとICO・IEOの違い|誰に売るか

ICOは、トークンを一般の投資家に広く直接販売する手法です。2017年前後に乱立しましたが、多くが未登録の証券販売として規制対象になりました。IEOはこれを取引所が仲介し、上場審査や本人確認を取引所が担う形に改良したものです。

これに対しSAFTは、販売先を適格投資家に絞り、証券の私募の枠組みで資金を集める点が異なります。「誰でも買える」ICO・IEOに対し、「限られた投資家だけが買える」のがSAFTです。なお、証券トークンを正面から証券として発行するのがSTOで、こちらは登録・開示義務を前提とします。

SAFTと証券規制|「規制回避の抜け道」ではない

SAFTを理解するうえで最も重要なのが、「SAFTを使えば規制を合法的に回避できる」という理解は誤りだという点です。米国の裁判所は、SAFTを使った資金調達を「未登録の証券販売」と繰り返し認定してきました。ここは上位の解説記事が最も手薄になりやすい部分なので、判例を軸に丁寧に整理します。

前提知識|Howeyテストとは

米国で「投資契約(=証券)」に当たるかを判定する基準がHowey(ハウイー)テストです。次の4要件をすべて満たすと証券とみなされます。

  • 金銭(資金)の出資があること
  • 共同の事業に投資されること
  • 利益が主に他者(発行者)の努力から生まれること
  • 投資家が利益を期待していること

SAFTの争点は、「完成後に配られるトークンが、このHoweyテストを外れて非証券になれるのか」でした。SAFTを提唱した側は「なれる」と考えましたが、裁判所の判断は違いました。

SEC対Telegram(2020年)|約12億ドル返還で和解

SAFTの限界を決定づけたのが、メッセージアプリ大手TelegramをめぐるSECの訴訟です。Telegramは2018年、SAFTを通じて171人の投資家から約17億ドルを調達し、独自ブロックチェーンTONのトークン「Gram」を発行しようとしました。

これに対しSECは2019年に提訴し、2020年3月、ニューヨーク南部地区連邦地裁が発行の差止めを認めました。裁判所は、SAFTの販売と将来のGram交付を一体の取引とみて、当初の販売時点で証券に当たると判断し、「契約と完成トークンを切り分ける」というSAFTの論理を否定しました。

2020年6月、Telegramは投資家へ約12億2,400万ドルを返還し、民事制裁金1,850万ドルを支払うことで和解しました(※2)。TONプロジェクトは開発を断念し解散します。SAFTという器を使っても証券規制を免れられないことを、この事例は明確に示しました。関連するTONとGramのその後については、トンコイン(TON)の記事でも解説しています。

SEC対Kik(2020年)|Kinトークンも証券と認定

もう一つの重要判例が、メッセージアプリKikのケースです。Kikは2017年、トークン「Kin」を2段階で販売し、SAFTを使った機関投資家向けの私募で約5,000万ドル、一般販売と合わせて総額約1億ドルを調達しました。

2020年9月、連邦地裁はSEC側の略式判決を認め、Kinは証券に当たり、SAFTを含む一連の販売は未登録の証券販売だと認定しました。Kikは制裁金500万ドルを支払っています(※3)。TelegramとKikの2つの判決以降、標準的なSAFTは「証券認定リスクが高い時代遅れの手法」とみなされ、実務では下火になりました。

専門家からの批判もあります。米カードーゾ法科大学院の報告書などは、「発行前の起業家的な努力も、発行後と同じくHoweyテストを満たしうる。完成後のトークンが自動的に非証券になる根拠はない」と早くから指摘していました。現在では、純粋なSAFTよりも「SAFE+トークンを受け取る権利(トークンワラント)」など、より慎重な設計へ移行が進んでいます。

日本でSAFTは使えるのか|資金決済法・金商法

米国発のSAFTを、日本にそのまま持ち込めるわけではありません。日本にはSAFT専用のルールはなく、契約の中身によって既存の法律のどれに当たるかが変わります。ここは実務上とても重要なので、当てはまりうる枠組みを整理します。

契約内容によって当てはまる法律が変わる

日本の弁護士による実務解説では、SAFTは契約の設計次第で主に次のいずれかに該当しうると整理されています。単一のカテゴリにきれいに収まらないのが、日本でのSAFTの難しさです。

  • 暗号資産交換業(資金決済法)|対価を先に受け取り、将来トークンを付与する「暗号資産の売買」とみる場合。業として行うには登録が必要
  • 第二種金融商品取引業(金商法)|資金を集めてトークンを開発し、将来の分配としてトークンを渡す「集団投資スキーム(ファンド)」とみる場合
  • 電子記録移転権利(金商法)|集団投資スキーム持分などの権利をトークンに表示したもの。いわゆるセキュリティトークンで、重い規制がかかる

このうち電子記録移転権利は、2020年5月に施行された改正金融商品取引法で新たに定義された概念です。SAFTで渡す権利がこれに当たると判断されれば、第一種金融商品取引業レベルの重い規制の対象になりえます。

実務上は「登録なしの一般募集は極めて困難」

結論として、日本で登録なしにSAFTを一般募集することは、現状きわめて困難です。「業(反復継続して不特定多数を相手にすること)」に当たれば、いずれかの登録が必要になるためです。

そのため実務では、販売先を業務提携先などに限定し、「業」に当たらない形に設計するケースが中心になります。ただし法的な不確実性が高く、販売先の特定性・取得目的・投資家の属性などを個別に精査する必要があります。日本でSAFT型の調達を検討する場合は、必ず金融規制に詳しい専門家に相談することが前提になります(※4)。

SAFTのメリット・デメリット

SAFTは、資金を集めるプロジェクト側と、出資する投資家側とで、見える景色が違います。それぞれの立場でのメリット・デメリットを分けて整理します。

SAFTのメリット
  • 発行側|トークン完成前の初期段階でも資金を調達できる
  • 発行側|適格投資家限定のため、一般公募より開示・手続きの負担を抑えやすい
  • 投資家側|有望なプロジェクトのトークンを早期・割引価格で取得できる可能性がある
SAFTのデメリット・リスク
  • 証券リスク|完成トークンが証券と認定されると、全体が違法な未登録証券販売になりうる
  • 未発行リスク|トークンが結局発行されないと、投資家は回収できない恐れがある
  • ピボットリスク|方針転換でトークンが不要になると、株式のような請求権が残らない
  • 流動性リスク|長いロックアップで、取得したトークンをすぐに売却できない
  • 参加制限|適格投資家に限定され、一般の個人投資家は原則参加できない

とくに投資家側から見ると、SAFTは「早く安く買えるかもしれない代わりに、回収できないリスクも大きい」ハイリスクな契約だと理解しておく必要があります。TONの解散のように、規制で計画そのものが頓挫する例も現実に起きています。

ICHIZEN Capitalの視点|「抜け道」幻想と税務の落とし穴

多くの解説記事は「SAFT=コンプライアントな資金調達法」という初期のうたい文句をそのまま紹介して終わります。しかし事業者・税務の視点で見ると、本当に押さえるべきは「抜け道ではない」という現実と、日本での税務・会計の不確実性です。上位記事が手薄なこの領域を、忖度なく整理します。

「コンプライアント」という看板を鵜呑みにしない

SAFTは登場時、「規制を守った合法的なトークン資金調達」として歓迎されました。ところが、その看板を支えるはずだった法的前提は、TelegramとKikの判決でほぼ崩れています。名称に「コンプライアント」と付いていても、実態として証券規制を免れられるわけではありません。

用語を学ぶときに大切なのは、「その手法が今も有効なのか、すでに下火なのか」という現在地までセットで押さえることです。SAFTは歴史的に重要な概念ですが、2026年時点では「標準的な調達手法」とは言えません。この点を曖昧にしたまま礼賛する解説は、実務では危険だと考えます。

日本の税務|取得価額・課税タイミングは契約次第

投資家側で見落とされがちなのが税務です。SAFTでトークンを受け取った場合の取得価額や課税のタイミング(契約時点か、トークン交付時点か)、売却益の所得区分は、契約の性質によって変わりうる論点です。暗号資産の売買とみるか、集団投資スキーム持分とみるかで、扱いが分かれる可能性があります。

暗号資産の売却益は、日本では原則として雑所得・総合課税(住民税を含め最大約55%)で扱われます。ただしSAFTのような新しい契約は個別性が高く、断定はできません。実際に取得・売却する場合は、取引記録を必ず残し、税理士に確認することが前提になります。暗号資産の税金の全体像は、仮想通貨の税金の記事で詳しく解説しています。

発行体側の会計・税務も未成熟

発行体(プロジェクト側)にも論点があります。かつては自己発行トークンを大量保有する企業に、含み益への期末時価評価課税がかかる問題が指摘されていました。日本では令和5年度・令和6年度の税制改正で、一定の要件を満たす場合に対象外とする措置が整備されましたが、要件の詳細は個別確認が必要です(※5)。

このように、SAFTは「調達の入口」だけでなく、税務・会計という「出口」まで見ると不確実性が大きいのが実態です。海外の枠組みをそのまま使えると考えず、日本の制度に合わせて設計・記帳する姿勢が欠かせません。

水野 倫太郎

“コンプライアント”という言葉に安心してしまうのが、この分野の一番の落とし穴です。SAFTは判例で証券性を否定された経緯があり、日本では資金決済法・金商法のどちらに当たるかも契約ごとの判断になります。税務も取得価額・課税タイミングが定まりきっていません。学ぶ分には有益ですが、実際に使う・投資する場面では、必ず金融規制と税務の専門家に確認するのが安全です。

よくある質問

SAFTとは何ですか?読み方は?

SAFT(サフト)は、投資家が資金を提供する代わりに、将来発行されるトークンを受け取る権利を得る投資契約です。正式名称はSimple Agreement for Future Tokens。トークンがまだ存在しない開発初期のプロジェクトが資金を集めるために使います。

SAFTとSAFEの違いは何ですか?

受け取るものが違います。SAFEは将来の「株式」に転換し、投資家は株主になります。SAFTは将来の「トークン」に転換します。SAFTはトークンありきの契約のため、プロジェクトがトークンを発行しなくなると請求権が残らない点がリスクです。

SAFTとICOの違いは何ですか?

販売先が違います。ICOは一般の投資家に広くトークンを直接販売します。SAFTは適格投資家に限定し、証券の私募の枠組みで資金を集めます。「誰でも買える」ICOに対し、「限られた投資家だけが買える」のがSAFTです。

SAFTは誰がいつ作ったのですか?

2017年に、米国の法律事務所Cooley LLPと分散型ストレージを開発するProtocol Labsが「The SAFT Project」というホワイトペーパーで提唱しました。株式版の契約SAFEをトークン向けに応用したものです。

SAFTは証券にあたりますか?

米国ではSAFTの契約自体が証券として扱われます。当初は「完成後のトークンは非証券」と想定されていましたが、SEC対Telegram・Kikの判決で、完成トークンも含めて証券と認定されました。SAFTは証券規制を回避できる手法ではありません。

なぜTelegramのSAFTは問題になり、いくら返還したのですか?

Telegramは2018年にSAFTで約17億ドルを調達しましたが、SECが未登録の証券販売だと主張し提訴しました。裁判所はSAFTと将来トークンの交付を一体とみて証券と判断。2020年6月、Telegramは投資家へ約12億2,400万ドルを返還し、制裁金1,850万ドルを支払って和解しました。

SAFTは日本でも使えますか?合法ですか?

日本にSAFT専用のルールはなく、契約の内容によって資金決済法(暗号資産交換業)や金商法(集団投資スキーム、電子記録移転権利)のいずれに当たるかが変わります。登録なしに一般募集することは現状きわめて困難で、実施には金融規制の専門家への相談が前提になります。

SAFTは個人投資家でも買えますか?

原則として買えません。SAFTは適格投資家(機関投資家や富裕層など、一定の資産・知識要件を満たす投資家)に限定して販売されるのが基本です。一般の個人投資家は参加できないケースがほとんどです。

SAFTに投資して、トークンが発行されなかったらどうなりますか?

回収できなくなる恐れがあります。SAFTはトークンありきの契約のため、プロジェクトが頓挫したり方針転換でトークンが不要になったりすると、株式のような請求権が残りません。TONのように規制で計画自体が解散した例もあり、投資家にとってはハイリスクです。

SAFTのトークンにかかる税金はどうなりますか?

取得価額や課税タイミング、所得区分は契約の性質によって変わりうる論点で、断定はできません。暗号資産の売却益は日本では原則として雑所得・総合課税(住民税を含め最大約55%)で扱われます。取引記録を残し、税理士に確認することをおすすめします。

まとめ|SAFTは歴史的な概念、ただし「今の主流」ではない

SAFT(Simple Agreement for Future Tokens)は、将来トークンを受け取る権利を売買する資金調達契約です。2017年にCooleyとProtocol Labsが提唱し、株式版のSAFEをトークン向けに応用しました。適格投資家限定で先に資金を集め、ネットワーク完成後にトークンを交付する2段階構造が特徴です。

一方で、「規制を守った合法の抜け道」という当初の看板は、SEC対Telegram(約12億ドル返還)・Kik(制裁金500万ドル)の判決で否定されました。標準的なSAFTは今や下火で、日本でも資金決済法・金商法のいずれに当たるか契約ごとの精査が必要です。税務の扱いも定まりきっていません。用語として学ぶ価値は高いものの、実際に使う・投資する場面では、必ず金融規制と税務の専門家に確認することが賢明だと言えるでしょう。

参考文献

1. Cooley LLP/Protocol Labs「The SAFT Project: Toward a Compliant Token Sale Framework」(2017年)https://www.cooley.com/
2. 米国証券取引委員会(SEC)「SEC v. Telegram」和解(Press Release 2020-146、2020年)https://www.sec.gov/
3. 米国証券取引委員会(SEC)「SEC v. Kik Interactive」判決(Press Release 2020-262、2020年)https://www.sec.gov/
4. 金融庁/改正金融商品取引法(電子記録移転権利、2020年5月施行)および資金決済法https://www.fsa.go.jp/
5. 国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱い(FAQ)」および令和5・6年度税制改正(期末時価評価課税の見直し、要確認)https://www.nta.go.jp/

※本記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の暗号資産(仮想通貨)・金融商品への投資や資金調達手法を勧誘するものではありません。SAFTを含むトークン資金調達の法規制・税務の扱いは国や時期によって異なり、変更される場合があります。最新の情報は公式サイトおよび金融庁・国税庁・各国当局の情報でご確認ください。法務・税務の具体的な判断は弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。暗号資産取引にはリスクが伴い、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。

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