オンチェーン金融フォーラムとは?金融庁がDeFi・DEX規制を検討|決定事項はゼロ、中間整理は2027年初

「忙しい人向け」ニュース要約
- 2026年9月30日、金融庁が「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」の第1回会合を開催した。座長は金融担当大臣
- ステーブルコインの裏付け資産、DEX・DeFi、ウォレット提供業者の3領域を制度面から点検・検討する
- 規制の中身は何も決まっていない。中間整理とロードマップの取りまとめは2027年初の第2回会合
- 実際の議論の場は「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」。2023年11月の第12回を最後に会合が止まっていた枠組み
- 個人に最も近い論点は、DEXに接続するアプリ(UI)の提供者へ本人確認義務を課す方向性。土台となる報告書に明記されている
※相場やニュースの日々の見方は、水野のX(@mizuno_ichizen)で発信中です。
水野 倫太郎「DeFiが規制される」と読むと誤りです。
検討の場ができただけで、中身はこれから議論されます。


監修 水野 倫太郎
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役
慶應義塾大学経済学部。2017年米国留学時にブロックチェーンと出会い、Web3の業界に足を踏み入れる。2018年には、日本有数の仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。2019年には同社のCMOに就任し、2020年に東証二部上場企業とM&Aを行い、様々なクリプト事業を展開する。2022年に現在代表取締役社長を務めるICHIZEN HOLDINGSを立ち上げ様々なWeb3事業を手がける。複数のWeb3系事業に出資を行いながら有識者として活動。


何が起きたのか|金融庁が「オンチェーン金融フォーラム」を立ち上げ
2026年9月30日、金融庁が「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」の第1回会合を開きました。ブロックチェーン上で資金決済が完結する「オンチェーン金融」を日本で実装するために、関係省庁をまたいで検討する場として新設されたものです。
注目すべきは座長が内閣府特命担当大臣(金融担当)である点です。実務者レベルの勉強会ではなく、大臣が座長を務める政策推進の枠組みとして立ち上がっています。関係省庁等として金融庁・デジタル庁・財務省・日本銀行・全国銀行協会が参加し、有識者8名が加わる構成です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム |
| 第1回開催 | 2026年9月30日 14:00〜15:00(中央合同庁舎第7号館) |
| 座長 | 内閣府特命担当大臣(金融担当) |
| 有識者メンバー | 宇井理人、大槻奈那、翁百合、神田秀樹、鈴木智佳子、根本直子、野崎浩成、森下哲朗(50音順・敬称略) |
| 関係省庁等 | 金融庁、デジタル庁、財務省、日本銀行、全国銀行協会 |
| 第2回 | 2027年初(中間整理・官民連携ロードマップを取りまとめ) |
この枠組み自体は突然決まったものではありません。2026年7月21日の「成長投資を促進するための金融戦略」で、金融庁が「2026年夏に立ち上げる」と予告していたものが、実際に動き出した形です。
決まったことは何もない|中身が固まるのは2027年初
この件で最も誤読されやすいのが「DeFiが規制されることになった」という読み方です。第1回会合で決まった規制はひとつもありません。金融庁の説明資料に書かれているのは、どの論点をどの場で検討するかという「検討の設計図」です。
資料には「2027年初に第2回を開催し、上記内容について中間整理及び官民連携でのロードマップを取りまとめる」と明記されています。つまり方向性が文書として形になるのは2027年初であり、そこからさらに法改正の議論が必要になります。今日からDEXやウォレットの使い方が変わるわけではありません。
確定: 検討の場が設けられたこと/検討対象の3領域/第2回が2027年初であること
未確定: 規制の有無・内容・対象範囲・施行時期。すべてこれからの議論です
検討される論点|ステーブルコイン・DEX/DeFi・資産のトークン化
フォーラムの下には2つの研究会が置かれます。暗号資産の利用者に関係するのは、このうち「環境整備に係る研究会」のほうです。もう一方の「AI等の健全な利活用に係る研究会」は、金融機関のAI利用や監督のあり方、量子コンピュータによる暗号の危殆化リスクを扱います。
| 論点 | 検討内容 |
|---|---|
| ステーブルコイン | 利用場面の拡大を踏まえ、裏付け資産のあり方を含む制度的枠組みをメリット・デメリットの両面から点検 |
| DEX・DeFi ウォレット提供業者 | 各国の動向を確認しながら、技術的性質に合わせた「過不足のない規制」を含むリスク低減策を検討 |
| 様々な資産のトークン化 | 国内外でトークン化の取組が進展する中、制度のあり方を検討 |
ステーブルコインについては、すでに制度が動いた直後という事情があります。2026年6月施行の資金決済法改正で、信託型ステーブルコインの裏付け資産として、要求払預貯金に限らず一定の定期預金や、発行額の50%を上限に日米国債(満期・残存期間3か月以内)を持つことが認められました。今回の「点検」は、その枠組みが利用の拡大に耐えるかを改めて見直す位置づけです。
なお金融庁の資料では、国内で流通するステーブルコインとして、ドル建てのUSDC・RLUSDと、円建てのJPYC・JPYSCの4つが名指しで挙げられています。世界のステーブルコイン市場は約3,100億ドル(約48兆円)規模で、その約83%をUSDTとUSDCが占めるとも記載されています。
議論の場は「約2年10か月ぶりに動く研究会」
ここが報道であまり触れられていない点です。DEX・DeFiの規制を検討する「環境整備に係る研究会」には、正式名称として「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」という既存の会議体が充てられています。
この研究会は2021年7月19日に設置され、同年11月に中間論点整理を公表しました。その後も断続的に開かれましたが、金融庁サイトに記録がある最後の会合は第12回の2023年11月13日です。今回のフォーラム立ち上げで検討の場として改めて位置づけられたことになり、第1回会合の2026年9月30日まで約2年10か月が空いた計算になります。
新しい会議体を作るのではなく、分散型金融を扱う既存の枠組みを使う形が選ばれました。「どこで議論されるか」が分かっていれば、今後の資料公開を追いかける先が特定できます。規制の中身を最初に知れるのは、フォーラムではなくこの研究会の配布資料になる可能性が高いといえます。
個人に最も近い論点|DEXに接続するアプリへの本人確認義務
「DEX・DeFiの規制を検討」と聞いて個人が気にするのは、自分のウォレットやDEXの使い方が変わるのかという点でしょう。今回の説明資料は参考資料として、2025年12月10日の金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」報告の該当部分を引いています。ここに、現時点で最も具体的な方向性が書かれています。


読み取れるポイントは3つです。
- プロトコル本体は規制手法が未確立。ただし現行法でも「一定の場合には暗号資産交換業に該当する余地がある」とも書かれている
- DEXに接続するアプリ等のUIを国内居住者向けに提供する者には、接続先リスクの説明義務と犯収法上の本人確認義務を含むAML/CFT対策を課すことを念頭に置く
- ただしまずは実態把握から。UIを提供するサービスの実態を把握したうえで、各国の規制動向を見ながら検討する段階
つまり規制の照準は、プロトコルそのものではなく「日本の居住者に向けてDEXへの入口を提供している事業者」に当たっています。自分でウォレットを作って海外のDEXを直接使う行為を禁じるという話ではありません。
一方で報告書は、足下の対応として「DEXや日本で登録を受けていない業者での取引を行う場合には、不測の損害を被るリスクがあることを行政や交換業者等において利用者に対し十分に周知すべき」とも書いています。制度が固まるまでの間、リスクは利用者側が負う前提である点は変わりません。
日銀当座預金のオンチェーン対応|年内に論点整理
フォーラムの検討項目には、日本銀行の取組も入っています。説明資料には「日本銀行において、日銀当座預金のオンチェーン対応につき、年内に実装に向けた論点整理と実現に向けた道筋に関する検討状況について取りまとめる」と記載されています。
日銀当座預金は、金融機関が日本銀行に預けている預金で、銀行間の資金決済の最終的な土台です。これがブロックチェーン上で動かせるようになると、民間のトークン化預金やステーブルコインの決済が、中央銀行マネーで直接ファイナライズできるようになります。日本銀行はすでに日銀当座預金のトークン化に向けたサンドボックスプロジェクトを進めており、金融庁の実証実験とも情報共有していくとされています。
個人の日常に直結する話ではありませんが、円建てステーブルコインが本格的に普及するかどうかの土台にあたる部分です。関連する国際的な動きはSWIFTのブロックチェーン送金の記事でも扱っています。
すでに動いている実証実験|決済高度化プロジェクト(PIP)4案件
制度の議論と並行して、金融庁は実証実験の支援を進めています。2025年11月に「FinTech実証実験ハブ」内へ設置された決済高度化プロジェクト(PIP)が受け皿で、2026年9月時点で4案件が支援対象に決まっています。検討が机上で止まっていないことを示す部分です。
| 案件 | 支援決定 | 内容 |
|---|---|---|
| 第1号 | 2025年11月7日 | 3メガバンク等による円建てステーブルコインの共同発行。商社のクロスボーダー決済で検証。2026年度中に実取引を開始予定 |
| 第2号 | 2026年2月13日 | オンチェーンでの証券決済。野村證券・大和証券・3メガバンクグループが参加し、日本国債の担保取引から着手 |
| 第3号 | 2026年4月3日 | トークン化預金を複数の銀行間で移転する仕組み。DCPとGMOあおぞらネット銀行等が実施し、2026年8月時点で43行が参加表明 |
| 第4号 | 2026年9月29日 | ブロックチェーンを活用した貿易決済。トレードワルツが貿易書類のオンチェーン化と3メガのステーブルコインを連動 |
第4号の貿易決済は、フォーラム第1回の前日にあたる2026年9月29日に支援が決まったばかりです。実証実験の対象が、銀行間決済から証券決済、さらに貿易実務へと広がっている流れが読み取れます。
ICHIZEN Capitalの視点|「規制強化」でも「解禁」でもない
今回の発表は、見出しの付け方次第で正反対の印象になります。「DeFi規制へ」と書けば締め付けに見え、「オンチェーン金融を推進」と書けば追い風に見えます。一次資料を読む限り、実態はそのどちらでもありません。
資料の構成を見ると、分量の大半は決済インフラの高度化に割かれています。3メガのステーブルコイン、証券決済、トークン化預金、貿易決済と、企業間決済の実装を前に進める話が中心です。DEX・DeFiは「推進したい領域の隣にあるリスク」として扱われているというのが、資料全体から受ける構図です。
そのうえで注意しておきたいのは、規制の照準が「個人の行為」ではなく「日本居住者に入口を提供する事業者」に置かれている点です。これは販売所への誘導に懸念を示した意見交換会や、無登録の海外業者への警告と同じ発想の延長線上にあります。日本の規制は、利用者を取り締まるのではなく接点となる事業者を捕まえる形で設計されてきました。
したがって、個人が今すぐ何かを変える必要はありません。見ておくべきなのは、自分が使っているサービスが「日本居住者向けにDEXへの入口を提供する者」に当たるかどうかです。該当する事業者が本人確認を導入したり、日本居住者の受け入れを止めたりする可能性は、中間整理の後に現実味を帯びます。税制の扱いは今回の検討対象に含まれておらず、変更の予定も示されていません。
よくある質問
オンチェーン金融とは何ですか?
ブロックチェーン上で、トークン化預金やステーブルコインによる資金決済が、商流・物流のデータとプログラムで連動・一体化される金融のことです。政府の骨太の方針でもこの定義が使われています。金融庁は「24時間365日の連続稼働」「商流・物流とつながるプログラマビリティ」「決済基盤としての安定性・安全性」の3要素を挙げています。
今回の会合でDeFiの規制は決まったのですか?
決まっていません。第1回会合で示されたのは、どの論点をどの研究会で検討するかという枠組みだけです。金融庁の資料にも、DEX・DeFiについては「技術的性質に合わせた過不足のない規制を含むリスク低減策の在り方について検討を行う」と書かれており、規制の有無も内容も未定です。
規制の内容が決まるのはいつですか?
最短でも2027年初です。金融庁の資料に「2027年初に第2回を開催し、中間整理及び官民連携でのロードマップを取りまとめる」と明記されています。中間整理はあくまで方向性の文書であり、実際に制度が変わるにはその後の法改正が必要になります。
MetaMaskなどのウォレットで本人確認が必要になりますか?
現時点では決まっていません。土台となる2025年12月の報告書には、DEXに接続するアプリ等のUIを国内居住者向けに提供する者へ本人確認義務を含むAML/CFT対策を課すことを「念頭に」とあります。ただし同じ文章で「まずはそのようなUIを提供するサービスの実態把握を深めていく必要がある」としており、実態把握の段階です。
日本からDEXを使うのは違法になりますか?
利用者側の行為を禁止するという内容は、公表資料のどこにも書かれていません。検討の対象になっているのはプロトコルの開発者と、国内居住者向けに接続手段を提供する事業者です。ただし報告書は、DEXや無登録業者での取引には不測の損害を被るリスクがあると繰り返し注意を促しています。
JPYCやJPYSCは今回の見直しでどうなりますか?
個別の銘柄をどうするという記載はありません。金融庁の資料では、国内で流通するステーブルコインとしてUSDC・RLUSD・JPYC・JPYSCの4つが挙げられています。検討されるのは発行の枠組み全体、特に裏付け資産のルールであり、特定の発行体への処分や制限を示すものではありません。
ステーブルコインの裏付け資産のルールは何が変わるのですか?
変更はまだ決まっていません。直近では2026年6月施行の資金決済法改正で、信託型ステーブルコインの裏付けとして一定の定期預金と、発行額の50%を上限に日米国債(満期・残存期間3か月以内)が認められました。今回の検討は、この枠組みを利用拡大に照らしてメリット・デメリットの両面から点検するものです。
暗号資産の税金は今回の検討で変わりますか?
今回のフォーラムの検討項目に税制は含まれていません。暗号資産の課税は金融商品取引法への移行にあわせた別の議論で扱われており、今回の発表によって申告方法や税率が変わることはありません。
日銀当座預金のオンチェーン対応とは何ですか?
金融機関が日本銀行に預けている日銀当座預金を、ブロックチェーン上で扱えるようにする取組です。実現すると、民間のトークン化預金やステーブルコインの決済を中央銀行マネーで最終確定できます。日本銀行は2026年内に、実装に向けた論点整理と実現への道筋をまとめる予定とされています。
フォーラムの資料はどこで読めますか?
金融庁の公式サイトで公開されています。「審議会・研究会等」から「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」に入ると、第1回の議事次第とともにメンバー名簿と説明資料(28頁)がPDFで読めます。本記事末尾の参考文献にも直接のリンクを掲載しています。
まとめ
- 2026年9月30日に金融庁がオンチェーン金融フォーラムの第1回を開催。座長は金融担当大臣
- 規制の中身は何も決まっていない。中間整理は2027年初の第2回
- 検討対象はステーブルコインの裏付け、DEX・DeFi、ウォレット提供業者、資産のトークン化
- 議論の場は2023年11月以来動いていなかった分散型金融の研究会。資料はここで出る
- 個人に近い論点はDEX接続UIの提供者への本人確認義務。利用者の行為を禁じる話ではない
- 実証実験(PIP)は4案件が進行中。企業間決済の実装が議論の主軸
「金融庁がDeFi規制を検討」という見出しだけを見ると、締め付けが始まったように読めます。しかし一次資料を開くと、分量の大半は企業間決済をどう実装するかに割かれており、DEX・DeFiはその周辺のリスクとして位置づけられています。そして何より、決まったことはまだひとつもありません。
次の節目は2027年初の第2回会合と、そこで出る中間整理です。それより前に、分散型金融の研究会が再び開かれれば、配布資料から具体的な方向性が見えてきます。追いかける先が分かっていれば、憶測に振り回されずに判断できます。


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参考文献
・金融庁「「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」(第1回)議事次第」(2026年9月30日)
・金融庁「説明資料」(2026年9月30日・PDF)
・金融庁「メンバー名簿」(2026年9月30日・PDF)
・金融庁「暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告」(2025年12月10日・PDF)
・金融庁「2026事務年度 金融行政方針」(2026年9月・PDF)
・金融庁「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」開催実績
※本記事は金融庁が2026年9月30日に公表した第1回会合の配布資料に基づきます。議事要旨は本記事の執筆時点で公表されておらず、当日の発言内容は含みません。研究会の開催実績は金融庁サイトの掲載情報に基づくもので、非公開の会合があった可能性は否定できません。記載した制度はいずれも検討段階であり、確定した規制ではありません。
※本記事は2026年10月時点の情報です。
※当サイトの情報は投資判断の参考となる一般的な情報提供を目的としており、特定の暗号資産(仮想通貨)への投資を勧誘するものではありません。暗号資産取引にはリスクが伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。









