免税のリファンド方式にステーブルコイン活用を検討|国交大臣が言及、旅行者と免税店はどう変わる?【2026年10月】

「忙しい人向け」ニュース要約


  • 2026年10月21日、国土交通委員会で井林国土交通大臣が、訪日外国人向けの消費税免税の「リファンド方式」について、ステーブルコインの活用も含めて検討する方針を示したと伝えられている(国会の会議録は未公表)
  • リファンド方式は2026年11月1日の購入分から。税込で購入し、出国時に税関確認を受けると、免税店(または委託事業者)から消費税相当額が返金される
  • 返金の方法は消費税法令で決まっておらず、国税庁Q&Aの例示は、銀行振込・クレジットカード送金・アプリ送金・出国港での現金。ステーブルコインは例示にない
  • ステーブルコインで返金する構想は、JPYCと日本免税が2026年3月に発表した民間の取り組み。店舗がカード・口座情報を持たず、税関承認後にウォレットへ送る想定
  • 国としてステーブルコインを返金手段に位置づけると決まったわけではない。旅行者と免税店で、変わる点と変わらない点を整理する

※相場やニュースの日々の見方は、水野のX(@mizuno_ichizen)で発信中です。

水野 倫太郎

国として決まったのは「検討」までです。
実際に返金が変わるかは、これからです。

水野 倫太郎
(株)ICHIZEN HOLDINGS

代表取締役

この記事の執筆者/監修者

慶應義塾大学経済学部卒。2017年米国留学時にブロックチェーンと出会い、Web3の業界に足を踏み入れる。2018年、仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。2019年には同社のCMOに就任し、2020年に東証二部上場企業とM&Aを行い、様々なクリプト事業を展開。2022年に現在代表取締役社長を務めるICHIZEN HOLDINGSを立ち上げ様々なWeb3事業を手がける。複数のWeb3系事業に出資を行いながら有識者として活動。

監修 水野 倫太郎
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役

慶應義塾大学経済学部。2017年米国留学時にブロックチェーンと出会い、Web3の業界に足を踏み入れる。2018年には、日本有数の仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。2019年には同社のCMOに就任し、2020年に東証二部上場企業とM&Aを行い、様々なクリプト事業を展開する。2022年に現在代表取締役社長を務めるICHIZEN HOLDINGSを立ち上げ様々なWeb3事業を手がける。複数のWeb3系事業に出資を行いながら有識者として活動。

観光庁の資料。リファンド方式のイメージ。免税店が課税で販売し、購入者が税関で旅券を提示・確認を受け、国税庁の免税販売管理システムを通じて税関確認情報が免税店に提供され、免税が成立して返金が実施される流れ
リファンド方式のイメージ。免税店が課税で販売し、出国時の税関確認の後に、免税が成立して返金が実施される(返金は、承認送信事業者等への委託が想定されている)。出所:観光庁「免税制度の見直し(案)」(令和7年)
目次

何が起きたのか|国交大臣が、免税の返金にステーブルコインを「検討」

2026年10月21日、国土交通委員会で井林辰憲国土交通大臣が所信を述べました。その中で、訪日外国人旅行者向けの消費税免税制度の「リファンド方式」について、ステーブルコインの活用も含めて検討する方針を示したと、同日、JPYCの岡部典孝代表や、ブロックチェーン推進協会の荒澤文寛氏がXで伝えています。

国会の会議録は、本記事の執筆時点で公表されていません。このため、大臣の発言の文言そのものは、会議録の公表後に確認する必要があります。以下では、「検討する方針が示された」ことを前提に、現行のリファンド方式と、ステーブルコインで返金した場合の違いを整理します。

現行のリファンド方式とは|2026年11月1日の購入分から

免税制度は、2026年11月1日の購入分から「リファンド方式」に変わります。旅行者は、免税店で税込(課税)で購入し、出国時に空港・海港(税関)で持ち出しが確認された後に、消費税相当額が返金されます。

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項目現行(〜2026年10月)リファンド方式(2026年11月1日〜)
購入時免税(税抜)で購入課税(税込)で購入
消費税が戻るタイミング購入時に免除出国時の税関確認の後に、消費税相当額を返金
出国時の手続出国時に旅券を提示購入日から90日以内に、空海港の端末へパスポートを提示して税関確認。グリーン判定は完了、レッド判定は税関で検査
消耗品購入上限50万円と特殊包装上限と特殊包装は廃止。ただし国内で消費すると、返金を受けられない
免税店の事務購入記録情報の送信購入記録情報の送信に加え、税関確認情報の取得、購入者への返金、課税売上から免税売上への振替処理
高額商品—税抜単価100万円以上の商品は、商品情報詳細(シリアル番号等)を入力して送信
出所:観光庁「手続の変更点(比較表)」「リファンド方式について」より作成
観光庁の手続の変更点の比較表。現行制度では免税(税抜)販売、リファンド方式では課税(税込)販売となり、税関での確認後に返金される
観光庁の「手続の変更点(比較表)」。販売時は免税(税抜)から課税(税込)に変わり、税関での確認後に、購入者へ返金する手続が追加される。出所:観光庁「手続の変更点(比較表)」

返金は、各免税店、または委託を受けた返金事業者が行います(観光庁)。返金の方法については、消費税法令に定めがありません。国税庁のQ&A(令和7年4月)は、例として、銀行振込、クレジットカード送金、アプリ送金、出国港内での現金を挙げています。ステーブルコインは、この例示には入っていません。

なお、税関確認の後に、旅行者側の事情(返金先の登録の誤りなど)で返金できなかった場合でも、税関確認情報を保存していれば、免税は成立します。返金不要となった金額は、免税店側で雑益(不課税)として処理されます(国税庁Q&A)。

ステーブルコインで返金すると何が変わるのか|JPYCと日本免税の構想

ステーブルコインで免税の返金を行う構想は、すでに民間から出ています。2026年3月3日、JPYC株式会社と株式会社日本免税が、リファンド方式への移行に向けて、日本円ステーブルコイン「JPYC」を返金手段の中核にするモデルの構築で、業務提携に合意したと発表しました。

両社の説明では、リファンド方式には、次の課題があります。

  • 店頭でカード番号や口座情報を取得・管理することによる、情報漏洩や内部不正のリスクと、現場の負担
  • 帰国後のカード解約や番号変更で、税関の承認が出ても返金できない「返金迷子」
  • 取扱件数が増えるほど、カード会社や海外送金の手数料が累積すること

その解決策として、旅行者が普段使いのweb3ウォレットを指定し、税関の承認データに基づいて、ブロックチェーン経由でJPYCを送る、という仕組みを描いています。違いを表にまとめます。

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観点カード・銀行振込などの返金(同社の課題認識)ステーブルコインでの返金(同社の構想)
店舗が取得する情報カード番号・口座情報などを店頭で取得・管理カード・口座情報を店頭で取得しない(ウォレットを指定)
着金までの時間数週間から数か月かかるケースもあると説明税関の承認後、ブロックチェーンで即座にウォレットへ着金すると説明
受け取りに必要なものカード、銀行口座などweb3ウォレット(銀行口座がなくても受け取れると説明)
返金できないトラブル帰国後のカード解約・番号変更で、返金できない場合があるウォレットを指定するため、確実に返金できると説明
手数料カード会社や海外送金の手数料が累積手数料を大幅に削減できると説明(具体的な数字は示されていない)
受け取った後そのまま使えるJPYCは日本円と1:1で償還でき、USDCなどの外貨建てステーブルコインにも交換できると説明
出所:JPYC株式会社・株式会社日本免税のプレスリリース(2026年3月3日)より作成。いずれも両社の説明です

旅行者の視点|変わる点と、変わらない点

  • 変わらない点: 税込で購入すること、購入日から90日以内に、空海港の端末へパスポートを提示して税関確認を受けること、購入した物品を持ち出すこと(出国前に消費すると返金されない)
  • 変わりうる点(構想上): 返金の受け取り方。カードや口座ではなく、ウォレットで受け取る。着金が早く、銀行口座がなくても受け取れる
  • 確認が必要な点: ウォレットを用意する手間、受け取ったJPYCを自国の通貨や現金に替える方法と手数料、受け取りに必要な本人確認。発表資料には、具体的な手順が書かれていません

免税店(事業者)の視点|変わる点と、変わらない点

  • 変わらない点: 課税で販売すること、購入記録情報の送信、税関確認情報の取得・保存、課税売上から免税売上への振替処理。これらは、リファンド方式の制度そのものです
  • 変わりうる点(構想上): 返金の段階。カード・口座情報を店頭で取得せずに済む構想で、漏洩リスクと現場の負担を減らせるとされています。返金のコストと、返金できないトラブルの減少も、期待として挙げられています
  • 確認が必要な点: 導入の費用、既存の免税システムや返金事業者との連携、旅行者からの問い合わせへの対応。国税庁Q&Aの返金方法の例示にステーブルコインは含まれておらず、事業者がステーブルコインで返金する場合の法令上の整理は、公表資料からは確認できません

なお、返金できなかった場合でも、税関確認情報を保存していれば免税が成立するという国税庁Q&Aの整理は、返金の手段にかかわらず変わりません。

決まったことと、まだ決まっていないこと

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区分内容
決まっているリファンド方式は2026年11月1日の購入分から。返金は、各免税店または委託を受けた返金事業者が行う。返金の方法は、消費税法令で定められていない(国税庁Q&A)
民間の構想JPYCと日本免税が、JPYCを返金手段の中核にするモデルの構築で提携(2026年3月3日発表)。提供の開始時期は、発表資料に書かれていない
検討段階(未確定)国として、返金手段にステーブルコインの活用を位置づけるか。大臣は「活用も含めて検討」という方針を示した。時期、対象の店舗、手数料などは示されていない
出所:観光庁、国税庁、JPYC株式会社・株式会社日本免税のプレスリリースより作成

ICHIZEN Capitalの視点|ステーブルコインの「使う場面」が、政府の検討に出てきた

ステーブルコインの活用は、これまで、金融機関の決済や貿易決済が中心でした。ここに、観光(免税の返金)という、生活者に近い場面が加わりました。デジタル庁も、公金給付へのステーブルコインの活用を技術面から検討すると述べています。

水野 倫太郎

どちらも「検討」の段階です。
制度として決まるまでは、構想と決定を分けて見ましょう。

旅行者にも免税店にも、返金の方法が変わるのは、早くても国の検討が進んでからです。2026年11月1日に始まるリファンド方式は、まず現行どおり、各店舗や委託事業者が決めた方法で返金が行われます。ステーブルコインの基礎は、ステーブルコインとはや、円ステーブルコインJPYSCの記事で整理しています。

よくある質問

免税のリファンド方式は、いつから始まりますか?

2026年11月1日の購入分から始まります。免税店で税込(課税)で購入し、購入日から90日以内に、出国時の空海港でパスポートを提示して税関確認を受けると、消費税相当額が返金されます。

ステーブルコインでの返金は、もう受けられますか?

現時点で、国の制度として、ステーブルコインでの返金が決まっているわけではありません。JPYCと日本免税が、JPYCを返金手段の中核にするモデルを構築すると発表していますが(2026年3月3日)、提供の開始時期は、発表資料に書かれていません。

国土交通大臣は、何と言ったのですか?

2026年10月21日の国土交通委員会の所信で、免税のリファンド方式について、ステーブルコインの活用も含めて検討する方針を示したと、JPYCの岡部代表らが伝えています。国会の会議録は、本記事の執筆時点で公表されておらず、文言そのものは確認できていません。

旅行者は、返金のために何をすればよいですか?

現在の制度では、免税店で購入し、購入日から90日以内に、出国時の空海港の端末へパスポートを提示して、税関確認を受けます。購入した物品は、手荷物として預ける前に、持った状態で確認を受ける必要があります。返金の受け取り方は、各免税店または委託事業者の案内に従います。

返金の方法は、法律で決まっていますか?

決まっていません。国税庁のQ&A(令和7年4月)によると、返金手続の方法には、消費税法令にルールがありません。例として、銀行振込、クレジットカード送金、アプリ送金、出国港内での現金が挙げられています。

返金されなかった場合は、どうなりますか?

旅行者側の事情(返金先の登録の誤りなど)で返金できなかった場合でも、免税店が税関確認情報を保存していれば、免税は成立します。返金不要となった金額は、免税店側で雑益(不課税)として処理されます(国税庁Q&A)。返金先の登録は、正確に行うことが大切です。

JPYCは暗号資産ですか?

法律上は、暗号資産ではなく、電子決済手段(資金移動業者が発行するステーブルコイン)です。日本円と1:1で償還できる円建てのステーブルコインとして、2025年10月に発行が始まりました。

旅行者が受け取ったJPYCは、どうやって使えますか?

JPYCと日本免税の発表では、JPYCは日本円と1:1で償還でき、USDCなどの外貨建てステーブルコインにも交換できると説明されています。ただし、現金化の具体的な手順や手数料は、発表資料に書かれていません。

この構想は、国の制度として決まったのですか?

決まっていません。構想は、JPYCと日本免税という民間2社の取り組みです。国は、ステーブルコインの活用を含めて検討する方針を示した段階です。

まとめ

この記事のまとめ
  • 2026年10月21日、国交大臣が免税のリファンド方式に、ステーブルコインの活用も含めて検討する方針を示したと伝えられた(会議録は未公表)
  • リファンド方式は2026年11月1日の購入分から。課税で購入し、出国時の税関確認の後に、消費税相当額が返金される
  • 返金の方法は法令で決まっておらず、国税庁Q&Aの例示は、銀行振込・カード送金・アプリ送金・現金
  • JPYCと日本免税の構想では、ウォレットへ即時に返金し、店舗はカード・口座情報を取得しない(両社の説明)
  • 税関確認や課税売上の処理など、制度の基本は変わらない。国としては「検討」の段階

免税の返金にステーブルコインを使う構想は、旅行者の受け取りの手間と、免税店の負担の両方を変えうるものです。一方で、国として何が決まったのかを見ると、現時点では「検討」の段階です。リファンド方式が始まる11月1日以降の運用と、会議録で確認できる大臣の発言を、あわせて追いかけるのが確実です。

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水野倫太郎 水野倫太郎|株式会社ICHIZEN HOLDINGS 共同代表@mizuno_ichizen

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参考文献
・観光庁「リファンド方式について(消費税免税店サイト)」
・観光庁「手続の変更点(比較表)」(PDF)
・観光庁「免税制度の見直し(案)」(令和7年・PDF)
・国税庁「輸出物品販売場制度に関するQ&A(リファンド方式・概要編)」(令和7年4月・PDF)
・JPYC株式会社・株式会社日本免税「日本免税×JPYC:2026年「免税リファンド新制度」に向け、日本円ステーブルコインを活用した次世代の免税還付モデルを構築」(2026年3月3日)

※本記事は2026年10月21日時点の情報です。国土交通大臣の発言は、同日のJPYC代表らのX投稿(動画を含む)に基づくもので、国会の会議録は未公表のため、文言そのものは確認できていません。ステーブルコインによる返金の構想は、JPYCと日本免税の2社の発表(2026年3月3日)であり、国の制度として決まったものではありません。各表の「同社の説明」は、両社の発表内容です。

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