原油オプション取引とは?仕組み・始め方・個人の取引方法をプロが解説【2026年最新】

ICHIZEN Capitalのイチ押しポイント!
- 原油オプション取引は「損失をプレミアムに限定」しながら原油価格の値動きを狙える手法
- コールオプション=値上がり益、プットオプション=値下がり益を狙う。買い手の最大損失は支払ったプレミアムのみ
- CMEマイクロWTI原油オプションなら1枚=100バレル単位で、個人でも少額から参入可能
- 日本の個人投資家が取引する主な方法は3つ
- IG証券のノックアウト・オプション(原油銘柄対応・損失限定型)が最も手軽
- 海外先物口座経由でCMEのWTI原油オプションを直接取引する方法もある
- 税金は申告分離課税20.315%・損益通算と3年繰越控除が使える
- 国内の先物・オプション取引に該当し、FXや日経225オプションとの損益通算が可能
- WTI原油は2026年7月時点で1バレル60〜70ドル台で推移。地政学リスクで変動が大きい局面
木田 陽介原油オプションは「先物よりリスクを限定したい」という方に向いています。特にIG証券のノックアウト・オプションは、ノックアウト価格で自動決済されるので、想定外の損失を防ぎやすい。ただし売り手に回ると損失無限大のリスクがあるため、個人は基本「買い」から入るのが鉄則です。


監修 木田 陽介
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役
2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。
原油オプション取引とは?基本情報と仕組み
原油オプション取引とは、将来のある時点で原油を「あらかじめ決めた価格」で買う(または売る)権利を売買する取引です。先物取引とは異なり、権利を行使するかどうかを選べるため、買い手の損失はオプション購入代金(プレミアム)に限定されます。
原油市場は地政学リスクやOPEC政策、世界経済の動向で大きく変動します。この値動きを「損失限定」で狙えるのが、原油オプション取引の最大の特徴です。ヘッジ目的で実需筋が使うほか、個人投資家がレバレッジを効かせた投機に利用するケースも増えています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取引対象 | WTI原油先物を原資産とするオプション(コール/プット) |
| 代表的な市場 | CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)NYMEX部門 |
| 取引単位(標準) | 1,000バレル/1枚 |
| 取引単位(マイクロ) | 100バレル/1枚(標準の1/10) |
| WTI原油価格 | 1バレル60〜70ドル台(2026年7月時点) |
| 日本での取引手段 | IG証券(ノックアウト・オプション)、海外先物口座(CME直接)等 |
| 税制(日本居住者) | 申告分離課税20.315%(先物取引に係る雑所得等) |
| 損益通算 | FX・日経225先物/オプション・商品先物と通算可能 |
原油オプション取引の仕組み|コールとプットの基本
- コールオプション(買う権利)とプットオプション(売る権利)の違い
- プレミアム・権利行使価格・損益分岐点の関係
- 原油オプションの具体的な取引イメージ
コールオプション=原油価格の上昇で利益
コールオプションとは、「あらかじめ決めた価格(権利行使価格)で原油を買う権利」です。原油価格が権利行使価格を上回れば、その差額が利益になります。逆に、価格が権利行使価格を下回ったまま満期を迎えた場合、権利を放棄すればよく、損失は支払ったプレミアム(オプション料)だけで済みます。
たとえば、WTI原油が1バレル65ドルのときに権利行使価格70ドルのコールオプションを1ドルのプレミアムで購入した場合を考えます。原油価格が75ドルまで上昇すれば、70ドルで買える権利を持っているため5ドルの利益。プレミアム1ドルを差し引いても4ドル(マイクロ1枚=100バレルなら400ドル)の利益です。一方、65ドルのまま満期になれば、損失はプレミアムの1ドル×100バレル=100ドルに限定されます。
プットオプション=原油価格の下落で利益
プットオプションは「あらかじめ決めた価格で原油を売る権利」です。原油価格が権利行使価格を下回るほど利益が膨らみます。原油の下落局面でも利益を狙えるため、既に原油関連資産を保有している方のヘッジ手段としても使われます。
コールと同様に、予想が外れて原油価格が上昇した場合でも、買い手の損失はプレミアムに限定されます。この「損失限定」の非対称性こそが、オプション取引が先物取引と異なる最大のポイントです。
オプションの「売り手」はリスクが大きい
注意すべきは、オプションの「売り手」側のリスクです。売り手はプレミアムを受け取る代わりに、買い手が権利を行使した場合に応じる義務を負います。売り手の損失は理論上無限大になりうるため、個人投資家がオプションの売りから入るのはハイリスクです。原油オプションに初めて取り組む方は、まず「買い」から始めるのが鉄則と言えるでしょう。
日本で個人が原油オプション取引を始める方法
日本の個人投資家が原油オプション取引にアクセスする方法は、主に以下の3つです。それぞれ特徴が異なるため、資金量・経験・目的に合わせて選びましょう。
方法①:IG証券のノックアウト・オプション(最も手軽)
IG証券が提供するノックアウト・オプションは、日本国内で最も手軽に原油オプション取引に近いポジションを取れる方法です。原油(WTI)を含む商品銘柄に対応しており、「ノックアウト価格」(=自動損切りライン)を自分で設定できるのが最大の特徴です。
ノックアウト価格に到達するとポジションが自動決済されるため、想定外の急変動でも損失が膨らみません。証拠金もノックアウト価格の設定に応じて変動するため、リスク許容度に合わせた少額取引が可能です。国内の金融庁登録業者であり、税制上も申告分離課税20.315%が適用されます。
方法②:海外先物口座でCMEのWTI原油オプションを直接取引
サクソバンク証券やインタラクティブ・ブローカーズ(IB証券)など、海外先物に対応した口座を通じて、CMEに上場されているWTI原油オプションを直接売買する方法もあります。標準サイズ(1,000バレル/枚)は資金が大きくなりますが、マイクロWTI原油オプション(100バレル/枚)なら個人でも現実的な証拠金で取引できます。
CMEの原油オプションはアメリカンタイプ(満期前にいつでも行使可能)で、限月は毎月設定されています。プロと同じ市場で取引できる反面、英語の情報が中心で、証拠金管理や決済の仕組みにも一定の知識が必要です。中〜上級者向けの選択肢と言えるでしょう。
方法③:原油CFD+ストップロスで疑似的にリスク限定
GMOクリック証券やDMM CFDなどが提供する原油CFD取引は、厳密にはオプション取引ではありません。しかし、ストップロス注文を組み合わせることで、事実上「損失を一定額に限定した原油ポジション」を構築できます。
ただしCFDのストップロスは「スリッページ」(急変時に設定価格より不利な価格で約定すること)のリスクがある点には注意が必要です。ノックアウト・オプションのように「絶対にその価格で決済される」保証はないため、完全な損失限定ではありません。あくまで簡易的な代替手段と考えてください。



実務的には、初めて原油オプションを触る方にはIG証券のノックアウト・オプションが一番わかりやすいです。CMEの本格的なオプションは仕組みの理解が前提ですし、資金管理も複雑になる。まず小さいサイズで仕組みを体感してから、本格参入を検討しても遅くありません。
原油オプション取引のメリット・デメリット
原油オプション取引には明確なメリットがある一方で、見落としやすいデメリットも存在します。先物取引やCFDとの違いを理解したうえで判断しましょう。
- 買い手の最大損失がプレミアム(オプション料)に限定される
- 原油価格の上昇・下落どちらにもポジションを取れる
- レバレッジが効くため、少額の資金で大きな値動きを狙える
- 既存の原油関連資産のヘッジ(保険)として使える
- 先物やFXとの損益通算が可能(税務上のメリット)
- プレミアムは「掛け捨て」。予想が外れればオプション料は全額失われる
- 時間的価値の減少(タイムディケイ)で、保有期間が長いほどプレミアムが目減りする
- 売り手に回ると損失は理論上無限大(個人には非推奨)
- 流動性が低い限月・権利行使価格ではスプレッドが広がりやすい
- 仕組みが複雑で、先物やCFDより学習コストが高い
先物取引・CFDとの違いを整理する
原油に投資する手段は複数あり、それぞれ特性が異なります。以下の比較表で整理します。
| 比較項目 | 原油オプション | 原油先物 | 原油CFD |
|---|---|---|---|
| 損失の上限(買い手) | プレミアムに限定 | 無限大(証拠金追加あり) | 原則無限大(ストップロスで緩和可) |
| レバレッジ | 高い | 高い | 高い |
| 取引コスト | プレミアム+手数料 | 手数料+スプレッド | スプレッド中心 |
| 学習コスト | 高い | 中程度 | 低い |
| ヘッジ活用 | 最適 | 可能 | 限定的 |
| 日本での入手性 | やや限定的 | 限定的(海外先物口座) | 手軽(国内CFD業者多数) |
原油オプションの最大の利点は「損失をプレミアムに限定しつつ、利益は青天井」という非対称のリターン構造です。ただし、プレミアムは掛け捨てであるため、相場が動かなくても時間経過で価値が減っていきます。短期の方向感がある局面で最も威力を発揮する手法と言えるでしょう。
原油オプション取引の税金|申告分離課税と損益通算
日本居住者が原油オプション取引で得た利益は、「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税20.315%が適用されます。これは所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%の合計で、所得額にかかわらず一律です(※1)。
大きなメリットは、他の「先物取引に係る雑所得等」との損益通算が可能な点です。具体的には、FX(外国為替証拠金取引)、日経225先物・オプション、商品先物などとの間で利益と損失を相殺できます。また、年間の損益が赤字になった場合は、確定申告をしておくことで翌年以降3年間にわたり繰越控除が使えます(※2)。
なお、年間の利益が20万円以下の給与所得者は所得税の確定申告が不要ですが、住民税の申告は別途必要です。利益が出た年は必ず確定申告を行い、損失が出た年も繰越控除のために申告しておくのが得策です。
暗号資産の税金との違いも押さえておきましょう。暗号資産は「雑所得(総合課税)」で最大55%の税率がかかりますが、原油オプション等の先物取引は一律20.315%です。詳しくは「仮想通貨の税金|確定申告の基本と節税のポイント」も参考にしてください。
ICHIZEN Capitalの視点|原油オプションの実務的な使いどころ
ICHIZEN Capitalでは暗号資産を中心に運用していますが、ポートフォリオのリスク分散としてコモディティ(商品)への分散は常に検討対象です。特に原油オプションは、暗号資産とは異なる値動き要因(地政学・需給)で動くため、相関の低い分散先として機能します。
原油オプションが有効な局面は「方向感は強いが、タイミングが読みにくい」場面です。たとえば中東情勢の緊迫化やOPEC減産決議が見込まれるとき、「上がるとは思うが、いつ動くかわからない」ケース。先物やCFDでロングを持つと、動くまでの間にスワップや証拠金維持のコストがかかります。しかしコールオプションなら、最悪プレミアムを失うだけで、動いた瞬間に大きな利益を得られます。
逆に、相場が横ばいの時期にオプションを買い続けるのは、プレミアムの垂れ流しになるため非効率です。「イベントドリブン」の局面で狙い撃ちする使い方が、個人投資家にとっての現実的な活用法だと考えています。
効く場面:地政学イベント前(中東緊張・OPEC会合前)、経済指標前の方向感が明確な局面、既存ポジションのヘッジ。効かない場面:方向感のないレンジ相場、ボラティリティが既に高騰してプレミアムが割高な局面。
よくある質問
原油オプション取引とは何ですか?
将来のある時点で原油を「あらかじめ決めた価格」で買う権利(コール)または売る権利(プット)を売買する取引です。買い手の最大損失はオプション購入代金(プレミアム)に限定されるのが最大の特徴で、先物取引よりリスクを限定しながら原油価格の値動きを狙えます。
個人でも原油オプション取引はできますか?
はい、可能です。日本ではIG証券のノックアウト・オプション(原油対応)が最も手軽に始められます。また、サクソバンク証券やIB証券の海外先物口座を通じて、CMEのマイクロWTI原油オプション(100バレル/枚)を直接取引する方法もあります。
原油オプション取引に必要な資金はいくらですか?
IG証券のノックアウト・オプションであれば、ノックアウト価格の設定次第で数万円程度から取引可能です。CMEのマイクロWTI原油オプションの場合、プレミアム×100バレルが最低必要で、目安として数百〜数千ドル程度です。標準サイズ(1,000バレル)は資金が大きくなるため、個人にはマイクロサイズが現実的です。
原油オプション取引の税金はどうなりますか?
日本居住者の場合、先物取引に係る雑所得等として申告分離課税20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)が適用されます。FXや日経225先物・オプション等との損益通算が可能で、損失は3年間の繰越控除も使えます。
原油オプションと原油先物の違いは何ですか?
最大の違いは「義務か権利か」です。先物取引は満期に必ず決済する義務がありますが、オプションの買い手は権利を放棄できます。そのため、オプション買い手の損失はプレミアムに限定される一方、先物は証拠金を超える損失が発生する可能性があります。ただしオプションにはプレミアム(掛け捨て)のコストがかかります。
ノックアウト・オプションとは何ですか?
IG証券が提供するリスク限定型の金融商品で、あらかじめ設定した「ノックアウト価格」に到達するとポジションが自動決済される仕組みです。損失がノックアウト価格で確定するため、想定外の急変動でも損失が膨らまないのが特徴です。原油を含む商品、FX、株価指数など幅広い銘柄に対応しています。
原油オプション取引のリスクは?初心者が注意すべき点は?
買い手のリスクはプレミアムの全損です。予想と逆方向に動くか、横ばいのまま満期を迎えるとプレミアムは全額失われます。また、時間経過でオプションの価値が減少する「タイムディケイ」にも注意が必要です。初心者は売りポジションを避け、まず少額の買いから仕組みを理解することが重要です。
原油オプションでヘッジはできますか?
できます。たとえば原油関連のETFや株式を保有している場合、プットオプションを買っておけば原油価格が下落した際の損失を相殺できます。損失はプレミアムに限定されるため、保険(掛け捨て型)として機能します。実需企業が燃料コストの上昇リスクをヘッジする際にも同じ仕組みが使われています。
原油オプション取引の手数料はいくらですか?
IG証券のノックアウト・オプションはスプレッドに手数料が含まれる形式で、別途の取引手数料はかかりません。CMEのWTI原油オプションを海外先物口座で取引する場合は、1枚あたり数ドル〜十数ドルの往復手数料が一般的です。プレミアム自体が実質的なコストになる点も忘れずに考慮しましょう。
まとめ|原油オプション取引は「損失限定×方向性」で使いこなす
原油オプション取引は、買い手の損失をプレミアムに限定しながら、原油価格の大きな値動きを狙える金融商品です。先物やCFDと比較して学習コストは高いものの、「損失限定」という非対称のリターン構造は他にない強みです。
日本の個人投資家が始めるなら、IG証券のノックアウト・オプションが最も手軽で、税制上も申告分離課税20.315%が適用されます。より本格的に取り組みたい方は、海外先物口座を通じてCMEのマイクロWTI原油オプションを検討してみてください。いずれの場合も、まず少額で仕組みを理解し、方向感のある局面で狙い撃ちするのが個人にとっての現実的な活用法です。
原油市場は地政学リスクやOPEC動向で急変動することがあります。オプションの「損失限定」を活かせば、こうした不確実性の高い局面でも冷静にポジションを取ることができるでしょう。なお、海外取引所の活用に興味がある方は「海外取引所おすすめランキング」も併せてご覧ください。
参考文献
※1. 国税庁「No.1522 先物取引に係る雑所得等の課税の特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1522.htm
※2. 松井証券「先物・オプション取引の税金」https://www.matsui.co.jp/fop/study/qa/qa_09.html
※3. CME Group「マイクロ原油オプションの基礎知識」https://www.cmegroup.com/ja/education/courses/basic-principles-of-micro-wti-crude-oil-futures/basic-principles-of-micro-crude-oil-options.html
※4. IG証券「ノックアウト・オプションとは?」https://www.ig.com/jp/knock-outs
※5. 日本取引所グループ「エネルギー|先物・オプション」https://www.jpx.co.jp/derivatives/products/energy/index.html
※当サイトの情報は投資判断の参考となる一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を勧誘するものではありません。先物・オプション取引にはリスクが伴い、投資元本を超える損失が生じる可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の情報は2026年7月時点のものであり、税制・取引条件は変更される場合があります。








