moomoo証券がJPXから戒告処分|NISA対象外の米国ETFを「対象」と偽り販売・経緯と利用者の注意点【2026年8月】

ネット証券大手のmoomoo証券(ムームー証券)が、2026年8月26日、日本取引所グループ(JPX)から「戒告」の処分を受けました。理由は、NISAで買えないはずの米国ETF・ETNを「NISA対象」と偽って販売していたことなど。しかも問題はこれだけではありません。公表された事実を、できるだけ短く整理します。
- 2026年8月26日、JPX(東証・大阪取引所)がmoomoo証券に「戒告」+業務改善報告書の請求。
- 処分理由は3つ:①NISA対象外の商品を「対象」と偽装販売 ②預けた株を他社へ移す「出庫」を一律拒否 ③マネロン対策(疑わしい取引の検討)の不備。
- 利用者はまず自分のNISA口座の保有銘柄と、会社からの案内を確認。サービス自体は止まっていない。

何が起きたのか
JPX傘下の東京証券取引所と大阪取引所が、moomoo証券に処分を出しました。単なる口頭注意ではなく、会社としての立て直しを公的に求められた形です。
- 処分:東京証券取引所=戒告/大阪取引所=戒告
- あわせて業務改善報告書の提出を請求
- 決定は日本取引所自主規制法人の審議に基づく(きっかけは証券取引等監視委員会の検査)
処分の理由は「3つ」
「NISAのミス」1つだけ、と思われがちですが、認定された問題は独立して3つあります。まず全体像から。
| # | 問題 | ざっくり言うと |
|---|---|---|
| ① | NISA対象外を「対象」と偽装販売 | 買えないはずの米国ETF・ETNをNISAで買わせた(虚偽告知) |
| ② | 株式の「出庫」を一律拒否 | 預けた国内株を他社に移せない状態だった(善管注意義務違反) |
| ③ | マネロン対策の不備 | 1,531人分の「疑わしい取引」の検討を怠った(犯収法違反の可能性) |
①NISA対象外の商品を「対象」と偽って販売
NISAの成長投資枠では、ETFは対象でも、指標連動の外国社債券であるETNは対象外です。ところがmoomoo証券は担当部署がこのルールを正しく把握しておらず、注文画面で「NISA対象」と誤って表示して販売していました。
- 期間・規模:2025年2月21日〜5月27日に、米国ETF・ETN計77銘柄を誤表示 → 59人がNISA口座で売買。
- 再発:5月にいったん停止も実効的な改善をせず、2025年11月〜2026年1月に1銘柄で再発(1人が購入)。
- 認定:金融商品取引法第38条第1号の「虚偽告知」に該当。
さらに、誤って買わせた顧客への事後対応も「著しく杜撰」「顧客ごとに異なる」と指摘されました。
- 周知不足:税務申告に影響する重要な決定を、問い合わせた一部の顧客にしか伝えていなかった。
- 自社都合:「一括処理できない」という自社の都合だけで、特定口座への移管をしないと決めた。
- 不公平:要望した1人だけ先に是正し、残る58人は2025年12月まで是正しなかった。
②預けた株を他社に移せない「出庫拒否」
これは見落とされがちですが、影響が大きい問題です。moomoo証券は、顧客が持つ国内株式を他社口座へ移す「出庫」の申請を、2024年4月以降ずっと一律に受け付けていませんでした(公開買付の場合を除く)。
- 公募投資信託の入出庫も、対応できるのに2024年9月以降一律に拒否。
- サイトで「出庫を可能にする予定」と表示しながら、検査時点でも何も準備していなかった。
- 金融商品取引法第43条の「善良な管理者の注意義務」に違反と認定。
平たく言えば、「預けた株を他社に動かせない」状態だったということです。
③マネロン対策(疑わしい取引の届出)の不備
金融機関は法律(犯収法)で、「疑わしい取引」に当たるかを検討し、必要なら届け出る義務があります。moomoo証券は「口座開設を断った相手は取引がないから検討不要」と誤解し、義務を果たしていませんでした。
- 2023年9月〜2025年7月17日、口座開設を断るなどした延べ1,531人について、疑わしい取引の検討・判断をしていなかった。
- 本来届け出るべき取引が届け出られていない懸念があり、犯収法に違反する可能性があると指摘。
これまでの経緯
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2024年1月 | moomoo証券がNISAでの商品提供を開始 |
| 2025年2〜5月 | NISA対象外の77銘柄を「対象」と誤表示販売(59顧客) |
| 2025年5月27日 | いったん販売を停止 |
| 2025年11月〜2026年1月 | 改善不十分で1銘柄が再発(1顧客) |
| 2026年6月5日 | 証券取引等監視委員会が金融庁へ処分を勧告 |
| 2026年8月26日 | JPX(東証・大阪取引所)が戒告+業務改善報告書を請求 |
なお、6月の勧告を受けて金融庁が別途、行政処分(業務改善命令など)を検討する可能性もあります。
moomoo証券とは
2023年10月から個人向けのネット証券サービスを提供。米国株・日本株・投資信託・NISAなどを扱い、手数料の安さやアプリ、口座開設キャンペーン(買付代金の贈呈など)で新規口座を伸ばしてきました。今回の処分は、急拡大に社内の管理態勢が追いつかなかったことが背景と読み取れます。

利用者は今どうすればいい?
結論は「まず自分の口座を確認、あわてて動かさない」です。
- 保有銘柄を確認:NISA口座で買った米国ETF・ETNが、本当にNISA対象かをチェック。
- 通知を見落とさない:対象者にはメール・アプリで振替や取消の案内が届いている可能性。
- 税金に注意:非課税のはずが課税扱いになる等、確定申告に影響することも。不明点はサポートや税務署へ。
- あわてて資産を動かさない:処分は「戒告+業務改善」で、サービス停止ではない。事実を確認してから判断。
教訓|ネット証券・NISAで自衛するには
- NISAで買う前に「その商品は対象か」を自分でも確認(ETNや一部の投信は対象外)。
- キャンペーンの豪華さより、会社の管理態勢・処分歴もチェック。
- 証券会社が金融庁の登録業者か、監視委員会や取引所の処分を受けていないかを確認。
よくある質問
moomoo証券はどんな処分を受けたのですか?
2026年8月26日、JPX(東京証券取引所・大阪取引所)から「戒告」の処分を受け、あわせて業務改善報告書の提出を請求されました。日本取引所自主規制法人の審議結果に基づく決定です。
なぜ処分されたのですか?
理由は3つです。①NISA対象外の米国ETF・ETNを「NISA対象」と偽って販売(虚偽告知・再発あり)、②顧客の株式の「出庫」を一律に拒否(善管注意義務違反)、③口座開設を断った顧客のマネロン対策(疑わしい取引の検討)を怠ったこと、です。
「戒告」とはどのくらい重い処分ですか?
規則違反を認定して戒める処分です。業務停止などと比べれば軽い部類ですが、今回は業務改善報告書の提出請求を伴い、会社としての態勢の立て直しを公的に求められています。
NISA口座で対象外の商品を買っていた場合、どうなりますか?
本来NISAで買えない商品なので、非課税の前提が崩れ、課税口座への振替や約定取消で是正されます。税金や確定申告に影響する場合があるため、会社の案内を確認し、不明点はサポートや税務署・税理士に相談してください。
自分が対象の顧客かどうかは、どう確認すればいいですか?
NISA口座(成長投資枠)で米国ETF・ETNを買っていないかを確認し、moomoo証券からのメールやアプリ通知をチェックしてください。判断に迷う場合は同社サポートへ問い合わせるのが確実です。
moomoo証券に預けた株式は、他社に移せますか?
今回の検査時点では、国内株式を他社口座へ移す「出庫」が2024年4月以降一律に受け付けられておらず、これも処分理由の一つとされました。今後は業務改善の対象になると見られますが、実際の可否は同社の最新の公式案内でご確認ください。
moomoo証券は今後も使って大丈夫ですか?
今回の処分は「戒告+業務改善報告書の請求」であり、サービス自体の停止ではありません。利用の可否は各自の判断ですが、まずは事実を確認し、同社が求められた業務改善にどう対応するかを見守るのがよいでしょう。
金融庁からの行政処分もあるのですか?
2026年6月5日に証券取引等監視委員会が金融庁へ処分を勧告しており、金融庁が業務改善命令などの行政処分を検討する可能性があります。これは取引所による今回の戒告とは別のルートの手続きです。
他のネット証券でも同じことは起きますか?
制度の理解不足や管理態勢の不備は、どの会社でも起こり得ます。NISAで買う前に「その商品が対象か」を自分でも確認する、会社の登録状況や処分歴を確認する、といった自衛が有効です。
- 2026年8月26日、JPX(東証・大阪取引所)がmoomoo証券に戒告+業務改善報告書の請求。
- 理由は3つ:①NISA対象外を「対象」と偽装販売 ②株式の出庫を一律拒否 ③マネロン対策の不備。
- 利用者はまずNISA口座の保有銘柄と会社の案内を確認し、税務への影響に注意。
- 教訓は「NISA対象かは自分でも確認」「登録・処分歴もチェック」。大手やアプリ表示を過信しない。
出典
・日本取引所グループ「moomoo証券株式会社に対する処分等について」(2026年8月26日)https://www.jpx.co.jp/news/1060/20260826.html
・証券取引等監視委員会「検査結果に基づく勧告について」(2026年6月5日)https://www.fsa.go.jp/
※本記事は2026年8月26日時点で公表されている公的機関の発表に基づく事実の整理であり、特定の投資判断を推奨するものではありません。NISAの対象・非対象や税務上の取り扱いは制度改正や個別事情により異なる場合があるため、最終的なご判断の前に、証券会社の公式案内や金融庁・税務署等の一次情報を各自ご確認ください。

