【KSK2稼働】国税庁の新システムで何が変わった?影響を受ける人と仮想通貨の申告漏れ対策を解説

「忙しい人向け」ニュース要約


  • 国税庁が2026年9月24日、約25年ぶりに刷新した次世代システム「KSK2(国税総合管理システム)」を稼働させた
  • 旧KSKは税目ごとの縦割り管理。KSK2はマイナンバーを軸に個人と法人のデータを一元化し、AIで申告内容を分析する
  • 影響が大きいのは個人事業主・副業者・仮想通貨投資家・資産家。年末調整で完結する会社員への直接影響は限定的
  • 仮想通貨は年間取引報告書・銀行入出金・海外情報(CARF)まで照合され、申告漏れがAIで把握されやすくなる

※相場やニュースの日々の見方は、水野のX(@mizuno_ichizen)で発信中です。

水野 倫太郎

税務署のシステムが約25年ぶりに新しくなりました。
「規模が小さいから大丈夫」が通用しにくくなる変化です。

水野 倫太郎
(株)ICHIZEN HOLDINGS

代表取締役

この記事の執筆者/監修者

慶應義塾大学経済学部卒。2017年米国留学時にブロックチェーンと出会い、Web3の業界に足を踏み入れる。2018年、仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。2019年には同社のCMOに就任し、2020年に東証二部上場企業とM&Aを行い、様々なクリプト事業を展開。2022年に現在代表取締役社長を務めるICHIZEN HOLDINGSを立ち上げ様々なWeb3事業を手がける。複数のWeb3系事業に出資を行いながら有識者として活動。

監修 水野 倫太郎
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役

慶應義塾大学経済学部。2017年米国留学時にブロックチェーンと出会い、Web3の業界に足を踏み入れる。2018年には、日本有数の仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。2019年には同社のCMOに就任し、2020年に東証二部上場企業とM&Aを行い、様々なクリプト事業を展開する。2022年に現在代表取締役社長を務めるICHIZEN HOLDINGSを立ち上げ様々なWeb3事業を手がける。複数のWeb3系事業に出資を行いながら有識者として活動。

目次

KSK2とは?国税庁が約25年ぶりに刷新した基幹システム

KSK2(ケイエスケイツー)とは、国税庁の税務事務を支える基幹システム「国税総合管理システム」の次世代版です。国税庁は2026年9月24日にこのKSK2への更改を実施し、本格的な稼働を開始しました。開発にはアクセンチュアなどが携わっています。

現行のKSKは全国の税務署をネットワークでつなぎ、申告や納税のデータを一元的に管理してきたシステムで、約25年にわたって日本の税務行政を支えてきました。今回のKSK2は、その大規模な刷新にあたります。単なるシステムの入れ替えではなく、「書面中心の税務行政をデータ中心へ転換する」という点が最大のねらいです。

KSK2の3つのポイント
  • 国税庁の基幹システムが約25年ぶりに刷新(2026年9月24日に稼働)
  • マイナンバー・法人番号を軸に、個人と法人のデータを一元管理
  • AIで申告内容を分析。書面で出した申告もデータ化されて対象になる

この記事では、旧KSKから具体的に何が変わったのか、実際に影響を受けるのはどんな人なのか、そして仮想通貨(暗号資産)の申告にどう関わってくるのかを、順番に整理して解説します。

旧KSKから何が変わったのか|3つの大きな変化

KSK2で変わったポイントは、大きく3つに整理できます。いずれも「国税庁が個人や事業者の情報をどれだけ横断的に、かつ自動で分析できるようになったか」に関わる変化です。

1. 税目ごとの「縦割り」から、納税者単位の一元管理へ

旧KSKは、所得税・法人税・消費税といった税目ごとにデータを管理する構造でした。KSK2では、マイナンバーや法人番号を軸に、個人と法人の情報が納税者単位でひも付けられます。これにより、たとえば「個人の所得」と「その人が代表を務める法人の状況」を、横断的に照らし合わせやすくなりました。

2. AI・AI-OCRの活用で、ほぼ全ての申告がデータ分析の対象に

KSK2ではAI-OCR(文字認識)が活用され、紙で提出された申告書もスキャンしてデジタル化されます。電子申告か書面申告かを問わず、ほぼ全ての情報がシステムに蓄積され、AIによる分析の対象になります。申告内容の不自然な点や、過去データ・他の資料との食い違いを、AIが自動で洗い出す方向に進んでいます。

3. 税目をまたいだ整合性チェックで、税務調査の選定精度が向上

データが納税者単位で統合されたことで、税目をまたいだ整合性のチェックがしやすくなりました。所得の規模と資産の増え方、事業の売上と生活実態などにズレがあれば、調査対象として選ばれやすくなります。結果として、税務調査の「選ばれ方」の精度と深さが上がると見られています。

比較項目旧KSKKSK2(次世代版)
データ管理税目ごとの縦割り納税者単位で一元化
個人と法人別々に管理マイナンバー・法人番号で横断
書面申告の扱いデジタル化は限定的AI-OCRでデジタル化・分析対象
不正・漏れの検知職員の経験や個別確認が中心AIによる自動分析を強化
旧KSKとKSK2の主な違い(国税庁・日経クロステックの公表内容をもとに編集部作成)
KSK2で変わった3つのこと
  • 税目ごとの「縦割り」から、納税者単位の一元管理へ
  • AI・AI-OCRの活用で、ほぼ全ての申告がデータ分析の対象に
  • 税目をまたいだ整合性チェックで、税務調査の選定精度が向上

実際に影響を受けるのは誰か|会社員・個人事業主・投資家

「KSK2で全部バレる」といった声もありますが、影響の大きさは立場によって異なります。誰にどの程度関わるのかを整理します。

立場KSK2の影響度ポイント
個人事業主・フリーランス大毎年の確定申告が必須。売上・経費・消費税・インボイスとの整合が精緻に照合される
仮想通貨投資家大年間取引報告書や海外情報まで照合対象。詳細は次章
法人経営者・資産家大個人と法人、贈与・相続が横断把握され、所得と資産のズレが見えやすい
副業のある会社員中〜大副業所得が年20万円を超えると申告義務。仮想通貨・せどり・アフィリエイトなども対象
年末調整で完結する会社員限定的勤務先が源泉徴収・年末調整を行い、原則として自分で確定申告しないため直接の影響は小さい
立場別に見たKSK2の影響度(編集部整理)

ポイントは、これまで「規模が小さいから調査は来ないだろう」と考えられていた層でも、申告内容に不自然な点があれば選定されやすくなるという点です。特に、確定申告を自分で行う個人事業主・副業者・投資家は、これまで以上に正確な申告と資料の保管が求められます。

会社員でも「確定申告が必要になる人」はいる

「自分は会社員だから関係ない」と思っていても、次のいずれかに当てはまる場合は、自分で確定申告をする必要があります。KSK2で照合が強化される以上、当てはまる人は特に正確な申告を心がけましょう。

確定申告が必要になる主な人(目安)
  • 個人事業主・フリーランスなど、事業所得がある人
  • 給与以外の所得(副業・仮想通貨・ネット販売・不動産など)の合計が、年20万円を超える会社員
  • 給与収入が年2,000万円を超える人
  • 2か所以上から給与を受け取っていて、一定の条件に当てはまる人
  • 株式・不動産などの売却益がある人(源泉徴収ありの特定口座などを除く)

上記は一般的な目安です。控除の適用や個別の事情によって扱いは変わるため、判断に迷う場合は国税庁の案内や税理士に確認してください。仮想通貨の利益(雑所得)の申告については、仮想通貨の税金を解説した記事もあわせてご覧ください。

なぜ仮想通貨が「重点チェック対象」になりやすいのか

KSK2の稼働で特に注目されているのが、仮想通貨(暗号資産)の申告です。仮想通貨の取引は、次のような複数のデータと突き合わせやすい性質を持っているためです。

KSK2に集まり、AIで照合される主なデータ
📄年間取引報告書暗号資産交換業者が交付
🏦銀行の入出金取引所への入金・出金
🌐海外の取引情報CRS・CARFで自動交換
💬SNS・ウェブ発信「利益が出た」等の投稿
▼  AIが照合
KSK2(国税総合管理システム)
申告データと突き合わせ、ズレを自動で検知
  • 年間取引報告書:国内の暗号資産交換業者が利用者に交付する書類。売買数量・金額・手数料・年初と年末の残高などが記載されます
  • 銀行口座の入出金履歴:取引所への入金・出金は銀行を経由するため、資金の流れが追いやすくなります
  • 海外との情報交換(CRS・CARF):海外口座や海外取引所の情報も、税務当局間で共有される仕組みが整いつつあります(後述)
  • SNS・ウェブ上の発信:「仮想通貨で利益が出た」といった投稿やオンラインの利用履歴も、申告内容との突き合わせの参考にされ得ます

これらのデータがKSK2上で結び付けられることで、「取引はあるのに申告がない」「利益が出ているはずなのに所得が少ない」といったズレが、AIによって浮かび上がりやすくなります。

なお、現在の日本では、個人の仮想通貨の利益は原則として雑所得に区分され、給与などと合算して課税される総合課税の対象です。所得が大きいほど税率も上がり、住民税と合わせて最大で約55%になります。一部で議論されている「申告分離課税(税率20%)」への見直しは、あくまで税制改正の要望・検討段階であり、2026年9月時点で確定した制度ではない点に注意してください。仮想通貨の税金の基本は、仮想通貨の税金を解説した記事もあわせてご確認ください。

仮想通貨がチェックされやすい理由
  • 交換業者の年間取引報告書で、取引の全体像が把握できる
  • 銀行の入出金・海外情報・SNS発信まで、複数データと突合しやすい
  • 利益は原則「雑所得・総合課税」。申告漏れはズレとして検知されやすい

仮想通貨で確定申告が必要になる人(おさらい)

仮想通貨について、確定申告が必要になる主なケースをおさらいします。大切なのは、日本円に換えていなくても、利益が確定した時点で課税の対象になり得るという点です。

  • 会社員(給与所得者)で、仮想通貨などの利益(給与以外の所得)の合計が年20万円を超える人
  • 学生・専業主婦(主夫)・専業投資家など給与のない人で、所得の合計が年48万円(基礎控除)を超える人
  • 仮想通貨を売却して利益が出た人、別の暗号資産に交換した人、商品やサービスの購入(決済)に使った人
  • ステーキング・レンディング・マイニングなどで報酬を受け取った人

反対に、仮想通貨を保有しているだけで含み益がある状態(まだ売却などをしていない)は、課税の対象になりません。なお、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が別途必要になることがあります。判断に迷うときは、税理士に相談すると安心です。

CARFで海外取引所の情報も「国境を越えて」共有される

「海外の取引所を使えば把握されないのでは」と考える人もいますが、その前提は崩れつつあります。カギとなるのがCARF(暗号資産等報告枠組み)です。

CARFは、OECD(経済協力開発機構)が2022年に策定した、暗号資産の取引情報を各国の税務当局間でやり取りするための国際的な枠組みです。日本も令和6年度税制改正でこれを法制化し、導入が進んでいます。国税庁の公表内容によると、大まかな流れは次の通りです。

2026年1月〜
利用者が取引業者へ
居住地国などを届け出る
▶
2027年〜
取引業者が2026年分を
国税庁へ報告
▶
その後
各国の税務当局間で
自動的に情報交換

つまり、KSK2による国内データのAI分析と、CARFによる海外情報の自動交換が、ほぼ同じタイミングで立ち上がることになります。国内・海外を問わず、仮想通貨の取引情報が税務当局に集まりやすくなる流れだと理解しておくとよいでしょう。ステーブルコインの税務上の扱いについては、USDC・USDTの税金を解説した記事も参考になります。

CARFのポイント
  • 海外の取引所の取引情報も、税務当局間で共有される仕組みが整いつつある
  • 2026年に届出 → 2027年に報告 → その後、各国で自動的に情報交換
  • 「海外だから把握されない」という前提は崩れつつある

稼働直後に起きているトラブル|納税証明書の遅延など

大規模な刷新のため、稼働直後には現場での混乱も報じられています。日経クロステックなどの報道によると、稼働初日の2026年9月24日以降、全国の税務署の窓口で、現金の受け渡しや納税証明書の交付といった手続きに相当の時間がかかる状況が続いています。

国税庁は2026年9月25日、納税証明書の作成・交付についてはKSK2ではなく旧KSKで処理するよう、全国の税務署に指示したと明らかにしました。あわせて、手数料の支払いに現金が必要な場合に備え、収入印紙をあらかじめ用意するよう呼びかけています。e-Taxの一部機能にも不具合が生じており、一部機能は2026年10月以降に段階的に稼働させる方向で検討が進められています。

納税証明書の取得や窓口手続きを予定している場合は、時間に余裕を持って手続きすることをおすすめします。

稼働直後の注意点
  • 納税証明書などの窓口手続きは、時間に余裕を持って行う
  • 手数料の現金決済に備え、収入印紙を事前に用意しておく
  • e-Taxの一部機能に不具合。一部機能は2026年10月以降に段階稼働の見込み

今からやっておくべきこと|資料の保管と正確な申告

KSK2は「申告している人を狙い撃ちする」ための仕組みというより、申告内容と各種データの整合性を高い精度で確認できるようにする基盤です。正しく申告している人が過度に恐れる必要はありません。大切なのは、次の基本を徹底することです。

  • 取引所の年間取引報告書や取引履歴を保管しておく
  • 利益が出たら、雑所得として漏れなく確定申告する
  • 取引が多い場合は、損益計算ツールや税理士を活用して計算ミスを防ぐ
  • 判断に迷う取引は、早めに専門家へ相談する

申告漏れや無申告が後から見つかった場合、本来の税金に加えて、過少申告加算税・無申告加算税・重加算税や延滞税といった重いペナルティが課される可能性があります。データの照合精度が上がる今後は、「見つからないだろう」という前提でのリスクは、これまで以上に高くなると考えておくべきです。

この記事のまとめ
  • 国税庁が2026年9月24日、約25年ぶりに刷新した「KSK2」を稼働させた
  • 税目ごとの縦割りから納税者単位の一元管理へ変わり、AIによる分析が強化された
  • 影響が大きいのは個人事業主・副業者・仮想通貨投資家・資産家。年末調整で完結する会社員への直接影響は限定的
  • 仮想通貨は年間取引報告書・銀行入出金・CARFの海外情報まで照合対象になり得る
  • 資料の保管と正確な申告が、これまで以上に重要になる

よくある質問(FAQ)

KSK2とは何ですか?

国税庁の基幹システム「国税総合管理システム」の次世代版です。全国の税務署のデータを管理する仕組みで、2026年9月24日に約25年ぶりの刷新として稼働を開始しました。

KSK2はいつから稼働していますか?

2026年9月24日から稼働しています。ただし一部の機能については、2026年10月以降に段階的に稼働させる方向で検討が進められています。

旧KSKと比べて何が変わったのですか?

最大の違いは、税目ごとの縦割り管理から、マイナンバー・法人番号を軸にした納税者単位の一元管理へ変わった点です。AI-OCRで書面申告もデジタル化され、AIによる申告分析が強化されました。

KSK2で税務調査は厳しくなりますか?誰が対象になりやすいですか?

データの照合精度が上がるため、申告内容に不自然な点があれば規模の大小にかかわらず選定されやすくなります。特に個人事業主・副業者・仮想通貨投資家・資産家は、正確な申告と資料の保管がより重要になります。

給与所得だけの会社員も影響を受けますか?

年末調整で申告が完結する会社員への直接的な影響は限定的です。ただし、副業所得が年20万円を超える場合や、仮想通貨で利益が出た場合などは確定申告が必要になり、KSK2による照合の対象になります。

仮想通貨の利益はKSK2で把握されますか?

把握されやすくなります。交換業者が交付する年間取引報告書や銀行口座の入出金、海外情報などと突き合わせやすいためです。利益は原則として雑所得(総合課税)となり、漏れなく申告することが求められます。

海外の取引所を使えば申告しなくてもバレませんか?

そうとは言えません。CARF(暗号資産等報告枠組み)により、海外取引所の取引情報も各国の税務当局間で自動的に交換される仕組みが整いつつあります。国内・海外を問わず、利益が出たら申告が必要です。

申告漏れが見つかるとどうなりますか?

本来の税金に加えて、過少申告加算税・無申告加算税・重加算税や延滞税といったペナルティが課される可能性があります。悪質と判断されるほど負担は重くなるため、正確な申告が大切です。

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水野倫太郎 水野倫太郎|株式会社ICHIZEN HOLDINGS 共同代表@mizuno_ichizen

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【参考文献】
国税庁「暗号資産等報告枠組み(CARF)に基づく自動的情報交換に関する情報(CARFコーナー)」
国税庁「非居住者に係る暗号資産等取引情報の自動的交換のための報告制度(FAQ)」
日経クロステック「国税庁の『KSK2』、手続き遅れ解消せず 納税証明書は旧システムで処理」
日経クロステック「国税庁、税務署の窓口手続きで遅延 新『国税総合管理システム』稼働初日」

※本記事は2026年9月29日時点の公表情報にもとづく解説であり、税務上の判断や具体的な申告手続きについては、税理士などの専門家や所轄の税務署にご確認ください。投資や納税に関する最終的な判断はご自身の責任でお願いいたします。

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