gumiが暗号資産評価損15.3億円を計上|株価19%安とPTS続落の理由、保有8割の2銘柄に買い手がいない

「忙しい人向け」ニュース要約


  • gumi(3903)が暗号資産評価損15億3,700万円を計上し、最終赤字18億6,800万円に転落しました。2026年9月11日15時の開示です。
  • 株価は大引けで19.10%安の216円、引け後のPTSでも207.2円まで売られています。開示が大引け30分前だったため、織り込みが終わっていません。
  • 本当の焦点は評価損ではなく、保有8割を占めるFCTとOSHIの暴落です。簿価106億円に対し、買い注文は世界中で約49万円しかありません。
  • FCTは簿価から78%安、OSHIは96%安。ただし買い板が薄すぎて、この値段で売れる量ではありません。会社自身が「活発な市場の有無を検討中」としています。
木田 陽介

速報の見出しは「評価損15億円」ですが、重いのは開示の後半です。保有の8割を占めるFCTとOSHIは、値段のつく市場がほとんど残っていません。株価が2割近く下げたのは、この先を織り込みにいったからだと見ています。

木田 陽介
(株)ICHIZEN HOLDINGS

代表取締役

この記事の執筆者/監修者

2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。

監修 木田 陽介
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役

2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。

目次

何が起きたか|gumiが暗号資産評価損15億3,700万円を計上(2026年9月11日)

2026年9月11日15時、モバイルゲームと暗号資産事業を手がける株式会社gumi(証券コード3903・東証プライム)が、「営業外費用の計上に関するお知らせ」を開示しました。2027年4月期第1四半期(2026年5月1日〜7月31日)に、暗号資産評価損を連結で15億3,700万円、単体で6億7,500万円計上したという内容です。暗号資産相場の下落を受けて、保有している暗号資産の時価を算定し直した結果です。

gumiが2026年9月11日に開示した営業外費用の計上に関するお知らせ。暗号資産評価損を連結1,537百万円・個別675百万円計上と記載
図:gumiが2026年9月11日に開示した「営業外費用の計上に関するお知らせ」の該当部分。暗号資産評価損を連結決算で1,537百万円、個別決算で675百万円を営業外費用として計上するとしている。出所:gumi(TDnet)

ただし、営業外費用として出たのは評価損だけではありません。同じ日に開示された決算短信を見ると、暗号資産の売却損1億5,300万円と、ファンドからの持分法による投資損失1億8,700万円も計上されています。営業外費用の合計は19億1,400万円です。

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営業外費用の項目金額
暗号資産評価損15億3,788万円
暗号資産売却損1億5,312万円
持分法による投資損失1億8,755万円
支払利息・その他3,608万円
営業外費用 合計19億1,470万円
出所:gumi「2027年4月期第1四半期決算短信」(2026年9月11日)をもとに作成。

赤字の中身|本業の赤字は1億8,600万円、残りはすべて暗号資産

この決算を読むうえで最も大事なのは、赤字の大半が本業ではなく暗号資産から出ているという点です。営業損失は1億8,600万円にとどまるのに対し、経常損失は20億1,800万円まで膨らんでいます。この差の約18億円が、先ほどの営業外費用です。

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項目前年同期当四半期
売上高13億5,400万円16億2,800万円(+20.2%)
営業利益7,200万円△1億8,600万円
経常利益12億3,400万円△20億1,800万円
親会社株主に帰属する純利益12億4,700万円△18億6,800万円
1株当たり四半期純利益25円21銭△34円67銭
出所:gumi「2027年4月期第1四半期決算短信」(2026年9月11日)をもとに作成。対象期間は2026年5月1日〜7月31日。

売上高はむしろ20.2%増えています。事業別に見ると、ゲームを扱うネオメディアエンタメ事業は売上高11億1,100万円(+32.2%)ながら営業損失4億9,800万円で、「ジョジョの奇妙な冒険 オラオラオーバードライブ」が想定を下回ったことと、2026年8月6日に配信を始めた「僕のヒーローアカデミア UNITED SURVIVAL」の開発費増加が理由とされています。一方で暗号資産を扱うネオクリプト事業は営業利益3億1,100万円(+18.7%)の黒字です。つまり暗号資産事業は営業段階では稼いでおり、評価損は営業の外側で発生しています。

もうひとつ見落とせないのが、前年同期は暗号資産で利益が出ていたことです。前年同期の営業外収益には暗号資産評価益10億9,400万円と売却益1億2,900万円が並んでいました。それが今回は評価損15億3,700万円と売却損1億5,300万円に反転しています。暗号資産だけで、前年同期比およそ26億円の振れ幅が生じた計算です。経常利益が12億円の黒字から20億円の赤字へ32億円動いた主因はここにあります。

株価の反応|大引け19%安、PTSでは安値に張り付いたまま

開示は15時ちょうど、東証の大引けは15時30分です。つまりこのニュースは、取引終了までわずか30分しか残っていないタイミングで出ました。当日の始値265円・高値265円に対して安値は210円まで沈んでおり、値動きのほぼすべてが最後の30分に集中したことがわかります。

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項目2026年9月11日
始値/高値/安値265円/265円/210円
終値(大引け)216円(前日比△51円・△19.10%)
出来高172万6,700株(前日51万株の約3.4倍)
売買代金4億1,000万円
PTS デイタイム(16時13分)211円(大引け比△2.31%)
PTS ナイトタイム(17時)207.2円(大引け比△4.08%)
出所:株探(東証)およびジャパンネクスト証券のPTS気配をもとに作成(2026年9月11日16時13分時点)。

注目したいのは引け後のPTS(私設取引システム)です。デイタイム・セッションでは16時13分に211円をつけ、これはその時点のPTS安値と同じ水準でした。さらに17時から始まったナイトタイム・セッションでは206円で寄り、207.2円まで下げています。大引けの216円と比べると4.08%安です。

つまり売りは一度で終わっておらず、216円→211円→207.2円と時間外でも段階的に下げ続けているということです。立会時間に残されていた30分では材料を消化しきれなかった投資家が、時間外でも売りに回っている状況が読み取れます。なお日中の安値210円をつけたのも15時24分で、開示が出たあとの時間帯です。

gumi(3903) 開示前後の値動き(2026年9月11日)200220240260前日終値 267円15:00 開示2679/10終値15:302659/11 始値(高値も同値)09:00210開示後安値15:24216大引け15:30211PTSデイ16:13207.2PTSナイト17:00※横軸は時刻の間隔どおりではない。線は確認できた値どうしを結んだもの。出所:株探(東証)・ジャパンネクスト証券(PTS)。(ICHIZEN作成)
図:gumi(3903)の2026年9月11日の値動き。15時の開示を境に前日終値267円から大引け216円まで下げ、引け後のPTSでも207.2円まで売られた。分足は公開されていないため、時刻を確認できた値どうしを線で結んでいる。出所:株探(東証)・ジャパンネクスト証券(PTS)。(ICHIZEN作成)

図で見ると、9時の始値265円がその日の高値でもあったことがわかります。一日を通して前日終値を一度も上回れないまま、最後の30分で一気に崩れた形です。

その結果、ひとつ象徴的なことが起きました。会社の時価総額が、保有している暗号資産の簿価を下回ったのです。発行済株式数5,390万1,034株に株価216円を掛けた時価総額は約116億円ですが、2026年7月末時点の保有暗号資産は133億円あります。前日の株価267円なら時価総額143億円で暗号資産の1.08倍でしたが、この日で0.87倍まで割り込みました。純資産203億円に対するPBRも0.57倍です。

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株価時価総額暗号資産133億円との比PBR
267円(9月10日終値)143.9億円1.08倍0.71倍
216円(9月11日終値)116.4億円0.87倍0.57倍
211円(PTS)113.7億円0.86倍0.56倍
出所:株価は株探・ジャパンネクスト証券、株式数と暗号資産・純資産はgumiの決算短信(2026年9月11日)をもとに作成。暗号資産は2026年7月末時点の簿価。

本当の焦点|保有8割のFCTとOSHIに、買い板が49万円しかない

ここからが、速報の見出しでは伝わらない部分です。gumiの決算短信には「重要な後発事象」として、保有する暗号資産2銘柄の上場廃止が2件記載されています。そしてこの2銘柄は、gumiの保有暗号資産の実に8割を占めます。

gumiグループが保有する暗号資産の内訳。FCTが60.0%、OSHIが20.0%を占め、両銘柄は上場廃止を受けて評価方法を検討中と記載
図:gumiの決算説明資料に掲載された保有暗号資産の内訳(2026年7月末時点)。FCTが60.0%、OSHIが20.0%を占める。上部には「FCT及びOSHIは、他取引所での取扱いは継続しているものの、一部取引所での上場廃止を受け、活発な市場の有無や評価方法(評価損の可能性等)を検討中」と会社自身が明記している。出所:gumi(TDnet)
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銘柄保有数量簿価構成比
FCT973,159,23679億8,697万円60.0%
OSHI509,556,74026億5,564万円20.0%
BTC(ビットコイン)11211億1,356万円8.4%
TRX(トロン)9,504,9715億円3.8%
XRP(リップル)1,979,4483億3,324万円2.5%
USDT(テザー)1,860,6452億9,983万円2.3%
SOL(ソラナ)24,6732億9,007万円2.2%
BNB6806,437万円0.5%
その他5,694万円0.4%
合計133億658万円100.0%
出所:gumi「2027年4月期第1四半期決算説明資料」(2026年9月11日)をもとに作成。2026年7月末時点。ファンド保有分は除く。

後発事象として書かれている内容は次のとおりです。FCT(簿価79億8,700万円)は、上場していた取引所のひとつであるMEXCで2026年8月14日に上場廃止となりました。OSHI(簿価26億5,600万円)は、国内取引所のBITPOINTで2026年10月28日に上場廃止となることが9月4日に公表され、さらに海外のGate.ioで9月16日、MEXCで9月12日に上場廃止となる可能性が高いことが9月9日に公表されています。

OSHIの国内での取扱い終了については、当メディアでも別記事で扱っています。BITPOINTとSBI VCが計9銘柄を廃止する一連の動きのなかにOSHIが含まれており、国内の登録業者で買える場所がなくなる見通しです。詳しくはBITPOINT・SBI VCが計9銘柄を取扱い廃止|対象銘柄・期限・出金方法をご覧ください。

そして保有の6割を占めるFCTは、gumi自身が開発に関わったゲームのトークンです。gumiが2024年5月23日に公表したニュースリリースによると、FCTはgumiとCROOZ Blockchain Labが共同開発し、EPOCH FACTORYが運営するNFTゲーム『エルゴスム』のマーケットプレイス上で流通するトークンで、2024年5月24日にMEXC Globalへ上場しました。名前が似ているため混同されやすいのですが、コインチェックなどが取り扱うFiNANCiEのトークン(FNCT)とは別のものです。

調べるうえで注意が必要なのが、決算資料の「FCT」という表記と、取引所での表記が違う点です。FCTは正式名称を「Fave Character Token」といい、取引所ではティッカー「FAVE」で売買されています。決算資料だけを見て取引所を探しても見つかりません。

そのFAVEの値段を追うと、状況がはっきりします。最初の上場先だったMEXCが2026年8月14日に取扱いを終了したあと、8月21日からLBankで取引が始まりました。取引そのものは続いていますが、価格は大きく崩れています。

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時点FCT(FAVE)単価保有9億7,315万枚の評価額
2026年7月31日(決算の簿価)8.2073円79億8,697万円
2026年8月21日(LBank取引開始)3.856円約37億5,000万円
2026年9月10日1.781円約17億3,000万円
簿価との差約△62億5,000万円(△78.3%)
出所:保有数量はgumi決算短信(2026年9月11日)、価格はLBankの日足(FAVE/USDT)をもとに作成。円換算は1ドル154.24円。

ただしこの価格はそのまま受け取るべきではありません。LBankでのFAVEは9月1日に32.9%安、翌2日に36.5%高、3日に38.4%安、7日に42.2%安と、連日30〜40%動いています。極端に流動性が薄い状態で、この値段で9億7,000万枚すべてを処分できる保証はありません。gumiが「活発な市場の有無を検討中」としているのは、まさにこうした状況を指しています。

木田 陽介

保有の6割が、自社の共同開発したゲームのトークンです。事業としては自然でも、資産評価では話が別になります。決算資料に「FCT」としか書かれず、正体を過去のリリースまで遡らないと分からないのも、80億円という規模を考えると説明が足りません。

簿価106億円に対し、世界中の買い注文は約49万円

FCTとOSHIは、どちらも取引そのものは続いています。上場廃止で売れなくなったわけではありません。ただし値段は大きく崩れており、FCTは簿価8.2073円に対し1.781円(△78.3%)、OSHIは5.2117円に対し0.1968円(△96.2%)です。

もっとも、この価格を保有数量に掛けて「含み損は何億円」と計算することには意味がありません。なぜなら、その値段がついている市場がほとんど存在しないからです。当メディアが2026年9月11日時点で各取引所の公開APIから板(注文状況)を取得したところ、次のような状態でした。

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銘柄7月末の簿価取扱取引所買い注文の総額gumiの保有量
FCT(FAVE)79億8,697万円LBank 1社約23万円9億7,315万枚(買い板の898倍)
OSHI26億5,564万円BTSEほか
(MEXCは9/12・Gate.ioは9/16に廃止予定)
約26万円5億955万枚
合計106億4,261万円約49万円
出所:LBank・MEXC・Gate.io・BTSEの公開APIから取得した板情報(2026年9月11日時点)をもとに作成。買い注文の総額は、板に並んでいる買い注文をすべて合計した金額。

簿価106億円の資産に対して、世界中の買い注文を足しても約49万円しかありません。仮にgumiが保有する全量を板にぶつけたとしても、FCTは9億7,200万枚(99.9%)が、OSHIも大半が売れ残る計算になります。FCTの24時間出来高は約1万5,000ドルで、gumiの保有量はその732日分にあたります。

さらにOSHIについては、この約26万円という買い注文の内訳がMEXCで約8万円、Gate.ioで約14万円、BTSEで約4万円です。MEXCは9月12日、Gate.ioは9月16日に取扱いを終えるため、9月16日を過ぎると当メディアが確認できた範囲の買い注文はBTSEの約4万円だけになります(BITPOINTは10月28日まで、Biteconomyなど一部の取引所は本稿では確認できていません)。

木田 陽介

「いくら下がったか」ではなく「値段のつく場所がない」のが実態です。1枚1.781円は23万円分の買い注文の上についた値段で、9億枚を持つ会社には参考値にもなりません。gumiが「活発な市場の有無を検討中」と書くのは、この状態を指しています。

なお板の状況は時々刻々と変わります。ここに示したのは2026年9月11日時点の実測値で、各取引所が公開しているAPIから誰でも同じ手順で再現できます。

OSHIは96%下落|国内で買えなくなり、2営業日で9割安

ここまでは「これから評価損が出るかもしれない」という話でしたが、OSHIについてはすでに値段が崩れています。きっかけは、国内取引所BITPOINTが2026年9月4日に取扱い廃止を公表したことです。OSHIを扱う国内の登録暗号資産交換業者はBITPOINTだけだったため、この発表は日本の投資家にとって「買える場所がなくなる」という意味を持ちました。

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日付OSHI価格前日比出来事
9月3日4.9454円△0.8%それまで4.9〜5.0円で横ばい
9月4日4.0082円△19.0%BITPOINTが取扱い廃止を公表
9月5日0.4918円△87.7%翌日に暴落
9月7日0.2872円△37.8%
9月9日0.2803円△10.6%Gate.io・MEXCの廃止が公表
9月11日0.1968円△4.3%
出所:CoinGeckoの日次価格(日本円建て)をもとに作成。2026年9月11日時点。

9月3日から9月5日までのわずか2営業日で90.1%下落し、現在までの下落率は96.0%に達しています。値段は執筆時点で0.1968円です。複数の取引所のAPIで直接確認したところ、MEXCが0.001271ドル、Gate.ioが0.001274ドル、BTSEが0.001263ドルと、いずれもほぼ同じ水準でした。特定の取引所だけの異常値ではありません。

ここで問題になるのが、gumiの決算に載っている26億5,564万円という簿価は、2026年7月31日時点のものだという点です。当時のOSHI価格は5.17円で、簿価から逆算した単価5.2117円とほぼ一致します。同じ保有数量を現在の0.1968円で評価し直すと、どうなるでしょうか。

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時点OSHI単価保有5億955万枚の評価額
2026年7月31日(決算の簿価)5.2117円26億5,564万円
2026年9月11日(現在)0.1968円約1億円
差額約△25億6,000万円
出所:保有数量はgumi決算短信(2026年9月11日)、価格はCoinGecko・各取引所APIをもとに作成。現在値は概算。

つまりOSHI1銘柄だけで、およそ25億6,000万円の含み損が発生している計算になります。これは今回計上された暗号資産評価損15億3,700万円を上回る規模です。しかもこの下落はすべて8月以降に起きているため、今回の第1四半期の数字にはまったく反映されていません。gumiの自己資本は189億7,900万円、9月11日終値時点の時価総額は116億円です。

もちろん、gumiがこの間にOSHIを売却していれば話は変わりますし、会計上の扱いも「活発な市場が存在するか」の判定次第です。それでも、株価が19%下げた背景にこの数字があると考えれば、市場の反応は理解しやすくなります。BITPOINTの取扱い廃止についてはBITPOINT・SBI VCが計9銘柄を取扱い廃止|対象銘柄・期限・出金方法で詳しく扱っています。

なぜ取引所の移動が損失につながるのか|「活発な市場」を失うと評価方法が変わる

上場廃止がなぜ決算に効いてくるのか、会計のしくみを押さえておくと理解が早くなります。日本の会計基準では、企業が持つ暗号資産は「活発な市場が存在するか」で扱いが2つに分かれます(実務対応報告第38号)。

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区分評価方法損益への出方
活発な市場が存在する期末の市場価格で評価する値上がりも値下がりも毎期の損益に反映される
活発な市場が存在しない取得原価で計上する処分見込価額が取得原価を下回る場合に評価損を計上する
出所:企業会計基準委員会「資金決済法における暗号資産の会計処理等に関する当面の取扱い」(実務対応報告第38号)をもとに作成。

取引所が減っていくと、その銘柄に「活発な市場」があるとは言えなくなる可能性が出てきます。gumiは現時点でどちらとも判断しておらず、「検討中」と表明している段階です。会社自身は決算短信で、活発な市場が存在しないと判断した場合には評価方法が変更され、処分見込価額が取得原価を下回れば評価損を計上することになると説明し、「翌四半期連結会計期間以降の当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります」と明記しています。

規模感を確かめておきましょう。FCTとOSHIの簿価は合計で106億4,300万円です。これに対してgumiの自己資本は189億7,900万円ですから、仮にこの2銘柄の価値を全額差し引くと自己資本は83億3,000万円まで縮みます。9月11日終値時点の時価総額116億円は、まだその水準を上回っていますが、市場がすでにこの2銘柄を相応に割り引いて見始めていることは株価の水準から読み取れます。もちろん実際に全額が消えるという話ではなく、あくまで上限を測るための計算です。

gumiはどこへ向かうのか|XRPへの一本化とカバード・コール戦略

ここまで見てきた問題に対し、gumiはすでに方針転換を打ち出しています。決算説明資料には2026年6月12日に公表した事業方針が再掲されており、「ステーキング中心の運用から、XRPへの集中とオプション取引等による積極的運用へ移行」と明記されています。

具体的には「日本におけるXRPの最大保有・運用事業者を目指す」「gumi本体では、原則XRP一本化で運用効率を向上」「保有暗号資産をXRPへ適宜移行」という内容です。従来の複数銘柄を保有してステーキングで利回りを取るモデルは、市況悪化で利回りが大幅に低下し、十分な収益を確保できない構造になったと会社自身が認めています。

実際、2026年7月末の保有状況にはその動きが表れています。ビットコインは前期末の144.14枚から112枚へ減少し、一方でTRXは3枚から950万枚へ、XRPは134万枚から198万枚へ増加しました。ステーブルコインのUSDTは383万から186万へ減っており、手元のドル建て資金を取り崩して別の銘柄を買い付けた動きが読み取れます。

もうひとつ注目すべきは、収益手法として「カバード・コール等のオプション取引で安定収益を創出」と書かれている点です。決算短信では、この部分がより具体的に説明されています。

当社本体では原則として特定の暗号資産へ集約し、当該暗号資産の国内最大の保有・運用事業者を目指してまいります。あわせて、保有する暗号資産を原資産としたオプション取引を活用した積極的な運用により、利回りの改善と安定収益の創出を図ってまいります。

gumi「2027年4月期第1四半期決算短信」(2026年9月11日)

つまりXRPへ一本化したうえで、そのXRPを原資産としてオプションを組むという二段構えです。カバード・コールはそもそも保有している資産そのものにコールを売る戦略なので、XRPを持ちながら別の銘柄のオプションを売っても「カバード」にはなりません。戦略の要点は3つです。

カバード・コールとは
  • 保有している資産にコールオプション(買う権利)を売り、プレミアム(オプション料)を受け取ります
  • 横ばい相場でも収入が入るかわりに、大きく値上がりすると上値を取り逃がします
  • 下落そのものは防げません。今回のような値下がりを止める手段ではありません

仕組みと損益図はカバードコールとは?損益図でわかる仕組み・ETF・投資信託・税金で詳しく解説しています。

つまりgumiが目指しているのは、暗号資産を「値上がりを待つ資産」ではなく「継続的に収入を生む資産」に変えることです。その方向性自体は、評価損で振り回される今の構造への回答になっています。ただし、カバード・コールは下落局面を防ぐ戦略ではないため、今回のような相場下落による評価損そのものを止める手段ではない点は理解しておく必要があります。

木田 陽介

会社は「保有する暗号資産を原資産としたオプション」と明記しています。必要なのはXRPのオプションです。ところが中心地のDeribitに1本もありません(9月11日時点・公開APIで確認)。板がなければ相対取引になり、価格の妥当性も相手方の信用も自分で抱えます。

見解|「いまの資産でオプション、XRPは長期で」なら筋は通る

ただしこれは、時間軸を分けて読む必要があります。決算短信の表現は「保有する暗号資産を原資産とした」であり、XRPに限定していません。XRPへの集約も決算説明資料では「保有暗号資産をXRPへ適宜移行」「価格を注視しつつ、XRPの取得を継続」と書かれており、短期で完了する前提にはなっていません。

そう読むと、当面は現在の保有資産でオプションを組み、XRPへの集約は時間をかけて進めるという順序が見えてきます。この場合、実行上の問題はほとんどありません。gumiは2026年7月末時点でビットコインを112枚保有しており、Deribitのビットコインオプションは954銘柄・建玉44万枚超と厚みがあります。112枚程度であれば十分に吸収される規模で、板を見ながら適正な価格でカバード・コールを組めます。当メディアはこの読み方のほうが実務的で、戦略として筋が通っていると考えます。

論点が表面化するのは、XRPへの一本化が実際に進んだあとです。原資産がXRPに寄るほど、先ほどの「XRPのオプション市場が存在しない」という制約に近づきます。逆に言えば、XRPの取得ペースとオプション市場の整備が釣り合っているかが、この戦略が機能するかどうかの分かれ目になります。第2四半期以降の開示で、どの銘柄を原資産に、どの場でオプションを組んだのかが示されるかどうかに注目したいところです。

暗号資産を保有する上場企業が損失局面でどう動くかについては、同じく暗号資産を保有するリミックスポイントの事例も参考になります。あわせてリミックスポイントが全アルトコインを売却|ETH・SOL・XRP・DOGEをすべて手放しビットコインへ一本化もご覧ください。

投資家が次に確認すべき3つのポイント

今回の開示を受けて、これから注視すべき点を整理します。いずれも次の四半期決算(2027年4月期第2四半期)までに動く可能性がある論点です。

  • FCTとOSHIの「活発な市場」判定|会社が検討中としている判断がどちらに転ぶかが最大の分岐です。活発な市場なしとなれば取得原価評価に変わり、追加の評価損が出る可能性があります。
  • OSHIの上場廃止スケジュール|MEXCが9月12日、Gate.ioが9月16日、BITPOINTが10月28日と、いずれも第2四半期(8月〜10月)のうちに実行されます。取扱い取引所が実際にどこまで減るかが判定を左右します。
  • XRPへの移行ペース|「保有暗号資産をXRPへ適宜移行」という方針が、FCT・OSHIの処分をどこまで含むのかは明らかにされていません。流動性が落ちた銘柄を売却できるかどうかは別問題です。

なおgumiは2027年4月期の業績予想を開示していません。決算短信では「当社グループを取り巻く事業環境は短期的な変化が激しいことから、適正かつ合理的な数値の算出が困難である」と説明されています。配当についても2027年4月期は未定です。予想がない以上、四半期ごとの開示を個別に追っていく必要があります。財務面では総資産266億1,700万円、純資産203億2,900万円、自己資本比率71.3%と、財務体質そのものは維持されています。

よくある質問

gumiの株価はなぜ下落したのですか?

2026年9月11日15時に暗号資産評価損15億3,700万円の計上を開示し、最終赤字18億6,800万円に転落したことが直接の理由です。ただし株価が19.10%も下げた背景には、保有暗号資産の8割を占めるFCTとOSHIが8月以降に大きく値下がりしており、簿価106億円に対して買い注文が世界中で約49万円しかないことがあります。次の四半期に評価方法が変わる可能性があります。

gumiの暗号資産評価損はいくらですか?

連結決算で15億3,788万円、個別決算で6億7,500万円です。対象期間は2027年4月期第1四半期にあたる2026年5月1日から7月31日までで、営業外費用として計上されています。このほかに暗号資産の売却損1億5,312万円も別に計上されています。

gumiの株価はPTSでも下がっていますか?

下がっています。2026年9月11日のPTS(ジャパンネクスト証券)では、デイタイムで211円、17時からのナイトタイムで207.2円まで下げています。大引けの216円から4.08%安い水準です。戻りを試さず段階的に下げ続けているのが特徴です。開示が大引け30分前だったため、立会時間で消化しきれなかった売りが時間外に出た形です。

gumiはどんな暗号資産を保有していますか?

2026年7月末時点で合計133億658万円を保有しています。内訳はFCTが60.0%(79億8,697万円)、OSHIが20.0%(26億5,564万円)、ビットコインが8.4%(11億1,356万円)、以下TRX・XRP・USDT・SOL・BNBと続きます。上位2銘柄だけで全体の8割を占める、かなり偏ったポートフォリオです。

gumiが持つFCTとはどんなトークンですか?

NFTゲーム『エルゴスム』のマーケットプレイスで流通するトークンです。gumiとCROOZ Blockchain Labが共同開発し、EPOCH FACTORYが運営しており、2024年5月24日にMEXC Globalへ上場しました。gumiの保有暗号資産の60%(簿価79億8,697万円)を占めますが、そのMEXCが2026年8月14日に上場廃止しています。コインチェックなどが扱うFiNANCiEのトークン(FNCT)とは別の銘柄です。

gumiのビットコイン保有数は何枚ですか?

2026年7月末時点で112枚、簿価で11億1,356万円です。前期末(2026年4月30日)は144.14枚でしたので、四半期中におよそ32枚減っています。保有暗号資産全体に占める割合は8.4%で、FCT・OSHIに次ぐ3番目です。

gumiは上場廃止になるのですか?

なりません。話題になっているのはgumiの株式ではなく、gumiが保有している暗号資産のFCTとOSHIが一部の取引所で取扱いを終了したという話です。どちらも別の取引所では取引が続いています。gumi自身は東証プライム市場に上場を継続しており、自己資本比率も71.3%を維持しています。混同しやすいので注意してください。

gumiの決算発表はいつですか?

今回の2027年4月期第1四半期決算は2026年9月11日15時に発表されました。gumiの決算期は4月末のため、第2四半期(5月〜10月)の決算はおおむね12月中旬の発表が見込まれます。なお2027年4月期の業績予想は「適正かつ合理的な数値の算出が困難」として開示されていません。

gumiはXRPをどれくらい買ったのですか?

2026年7月末時点の保有は197万9,448XRP(簿価3億3,324万円)で、前期末の134万1,541XRPから増えています。gumiは2026年6月12日に「日本におけるXRPの最大保有・運用事業者を目指す」という方針を公表しており、今後も取得を継続するとしています。保有暗号資産をXRPへ移行する方針も示されています。

gumiの株価は今後どうなりますか?

将来の株価は誰にも予測できませんが、判断材料として確認すべき点ははっきりしています。最大の分岐はFCTとOSHIについて「活発な市場が存在するか」の判定で、存在しないとされれば取得原価評価に変わり追加の評価損が出る可能性があります。この記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

まとめ

この記事のまとめ
  • gumi(3903)が2026年9月11日、暗号資産評価損15億3,700万円を計上し最終赤字18億6,800万円に転落しました
  • 営業損失は1億8,600万円にとどまり、赤字の大半は暗号資産に由来します。前年同期は逆に評価益10億9,400万円でした
  • 株価は大引けで19.10%安の216円、引け後のPTSでも207.2円まで下げ続けました
  • 焦点は保有の8割を占めるFCT(60.0%)とOSHI(20.0%)の上場廃止で、合計106億円が評価方法の見直し対象です
  • gumiは「日本におけるXRPの最大保有・運用事業者」を目指し、カバード・コールなどオプション取引での収益化へ舵を切っています

gumiの2027年4月期第1四半期は、売上高が20.2%増えながら最終赤字に沈むという、事業と資産評価がちぐはぐな決算になりました。本業の損失は1億8,600万円にすぎず、赤字の実態は保有暗号資産の値下がりです。前年同期は同じ暗号資産が10億9,400万円の評価益を生んでいたわけで、この事業モデルが相場次第で業績を大きく揺らすことがはっきりしました。

そして株価が19%下げ、引け後のPTSでも売られ続けた理由は、計上済みの損失ではなくこれから起きるかもしれない損失にあります。保有の8割を占めるFCTとOSHIが相次いで取引所から姿を消しつつあり、会社自身が「活発な市場の有無を検討中」「翌四半期以降に重要な影響を及ぼす可能性がある」と書いています。時価総額が保有暗号資産の簿価を下回ったのは、市場がこのリスクを織り込みにいった結果と見るのが自然です。

一方で、gumiは手をこまねいているわけではありません。XRPへの一本化とカバード・コールによる収益化という具体的な方針をすでに示しています。評価益・評価損に振り回される保有モデルから、継続収入を生む運用モデルへという転換です。次の四半期決算では、FCT・OSHIの会計判定と、この移行がどこまで進んだかの2点が焦点になります。

※本記事は2026年9月11日時点の公表情報にもとづく解説であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断はご自身の責任で行ってください。

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