リミックスポイントが自社株買いを決議|取得枠20億円・上限800万株、ビットコインは売らず【2026年9月】

東証スタンダード上場のリミックスポイント(証券コード3825)が、2026年9月4日に自己株式取得(自社株買い)を決議したと開示しました。取得枠は上限20億円・最大800万株で、取得期間は2026年10月1日から2027年3月31日です。同社は保有する約1,506BTCのビットコインを売らず、エネルギー事業の売却で得た資金を株主還元に回す形になります。IR資料の記載をもとに整理します。
- 取得枠は上限20億円・上限800万株(発行済株式の5.36%)。期間は2026年10月1日から2027年3月31日です。
- ただし20億円は「上限」で、実行の基本方針は10億円以上。IR本文に上限と下限が書き分けられています。
- 原資はエネルギー事業の譲渡代金51億円。ビットコインは1枚も売っていません。
木田 陽介自社株買いのIRは、金額の大きさより先に「それは上限か、下限か」を見ます。今回はそこがはっきり書き分けられています。



もう1つの読みどころは原資です。ビットコインを売ったのか、別のところから出したのかで意味がまったく変わります。


監修 木田 陽介
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役
2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。
何が決まったのか|取得枠20億円・上限800万株
リミックスポイントは2026年9月4日、同日開催の取締役会で「自己株式取得に係る事項の決定」を決議したと発表しました。会社法第459条第1項および同社定款第46条の規定に基づくもので、株主総会を経ずに取締役会の決議で自己株式を取得できる枠組みです。開示された内容は次のとおりです。
| 取得対象株式の種類 | 普通株式 |
| 取得し得る株式の総数 | 8,000,000株(上限) 発行済株式総数(自己株式を除く)の5.36% |
| 取得価額の総額 | 2,000百万円=20億円(上限) |
| 取得期間 | 2026年10月1日〜2027年3月31日 |
| 取得方法 | 東京証券取引所における市場買付 |
| 発行済株式総数(自己株式を除く) | 149,044,800株(2026年6月30日時点) |
| 自己株式数 | 2,435,000株(同上) |


取得方法は東証での市場買付です。特定の株主から直接買い取る形ではなく、市場で通常の売買として買い付けます。取得した自己株式は発行済株式から除かれるため、1株あたりの利益や株主価値が高まるのが自社株買いの基本的な効果です。
「20億円」は上限|下限として10億円以上を明記している
ここが今回の開示でもっとも読み違えやすい部分です。20億円はあくまで取得枠の上限であり、同社が実行を約束しているのは「10億円以上」です。IR本文には次のように書かれています。


同社はこの書き分けを、開示の第3項でもう一度繰り返しています。「会社法上の自己株式取得枠として取得価額の総額20億円を上限としておりますが、当社は、現時点において、取得総額10億円以上の実行を基本方針としております」という表現です。同じ内容を2か所に書くのは、上限と実行方針を混同されたくないという意思表示と読むのが自然でしょう。
したがって「20億円の自社株買い」という理解は正確ではありません。実際に市場で買われる金額は10億円から20億円のレンジで、その中のどこに着地するかは業績・財務状況・市場環境・株式の流動性を見ながら判断される、というのが開示された内容です。上限どおり800万株を20億円で取得した場合の平均取得単価は1株250円になります。
買い戻しの原資はエネルギー事業の譲渡代金51億円
今回の自社株買いは単独で出てきた施策ではありません。IRでは取得理由として、2026年8月28日に公表したエネルギー事業に関する一連の取引に触れ、そこで生まれる財務余力を成長投資と株主還元の双方に配分すると説明しています。ここ1週間の開示を時系列で並べると、資金の流れがはっきり見えます。
| 日付 | 開示内容 | 金額 |
|---|---|---|
| 2026年8月28日 | 子会社リミックスでんきの株式譲渡(H-Powerホールディングス)を公表 | 基準譲渡価額 51億円 |
| 2026年8月28日 | 上記の前払金を受領 | 30億円 |
| 2026年9月1日 | 保有アルトコイン(ETH・SOL・XRP・DOGE)を全売却 | 売却価額 約8.79億円 |
| 2026年9月4日 | 自己株式取得を決議 | 上限 20億円 |
| 2026年10月1日 | 株式譲渡の実行日 = 自己株式の取得開始日 | — |
注目したいのは日付です。エネルギー事業の譲渡が実行される2026年10月1日と、自己株式の取得を開始する日がぴったり一致しています。前払金30億円は8月28日に受領済みで、同社は9月4日に「予定どおり受領している」とわざわざ経過開示を出しました。入ってくる現金を確認したうえで、その入金日から買い戻しを始める設計になっているわけです。
保有ビットコイン約1,506BTCは売っていない
ビットコインを保有する上場企業が株主還元を行うとき、市場がまず心配するのは「保有ビットコインを売って原資にするのではないか」という点です。今回はそうではありません。売却されたのはエネルギー事業と、9月1日に手放したアルトコインだけで、ビットコインの保有枚数には手をつけていません。
同社は2026年9月1日にETH・SOL・XRP・DOGEの4銘柄をすべて売却し、保有する暗号資産をビットコインのみに一本化しました。この時点の保有枚数が約1,506BTCです。詳しい内訳はリミックスポイントが全アルトコインを売却した記事にまとめています。
さらに同社は、このビットコインをレンディング(貸し出し)に回して金利収入を得ています。2026年2月24日から8月31日までの期間貸借料は合計14.92BTC・円換算で約1億6,421万円でした。ビットコインを売らずに現金を生む仕組みを持っていることが、今回の判断の背景にあると考えられます。
株価は+5.2%|時価総額359億円に対しビットコインは190億円
開示を受けて株価は上昇しました。2026年9月4日午前の東京株式市場で、リミックスポイント株は前日終値229円に対し241円(+12円、+5.24%)で前場を終えています。高値は245円、前場の出来高は約193万株でした。
この株価をもとに、同社の時価総額と保有資産を並べると次のようになります。ビットコイン保有企業を見るときの基本的な物差しです。
| 項目 | 金額 | 時価総額に対する比率 |
|---|---|---|
| 時価総額(241円×149,044,800株) | 約 359億円 | 100% |
| 保有ビットコイン(約1,506BTC)の評価額 | 約 190億円 | 約53% |
| エネルギー事業の譲渡代金 | 51億円 | 約14% |
| 上記2つの合計 | 約 241億円 | 約67% |
| 今回の自己株式取得枠(上限) | 20億円 | 約5.6% |
時価総額359億円のうち、ビットコインと譲渡代金だけで約67%を説明できる計算です。残る約118億円が、蓄電池などのエネルギー事業やデジタルアセット事業の評価ということになります。取得枠の上限20億円は時価総額の約5.6%にあたり、規模としては小さくありません。
ビットコインを持つ上場企業では、株を新しく発行して(希薄化して)ビットコインを買い増す戦略が知られています。リミックスポイントが今回選んだのは、その逆方向にあたる自社株買いです。ビットコインを増やすのではなく、ビットコインを持ったまま株数を減らして1株あたりの価値を高める、という選択になります。



この積み上げはあくまで目安です。事業の価値も相場も動くので、比率は日々変わります。
投資家が押さえておきたい3つの注意点
好材料として受け止められた開示ですが、開示文をそのまま読むと注意すべき点も書かれています。3つに整理します。
- 取得は確約ではない。業績・財務・市場環境に重大な変化が生じた場合は、取得規模・時期・条件を見直す場合があると明記されています。
- 1株利益の上振れは一過性の要因を含む。2027年3月期の予想は売上高が下方修正される一方、純利益は上方修正されています。
- ビットコイン価格の変動が業績に直結する。保有はビットコイン一本のため、相場が下げれば評価損として跳ね返ります。
とくに2つめは誤読されやすいところです。2026年8月28日に公表された業績予想の修正では、連結範囲の変更により売上高が約187億円減る一方、親会社株主に帰属する当期純利益は上振れる見通しとなりました。利益が増える主因はエネルギー事業の譲渡にともなう特別利益であり、毎期続く性質のものではありません。1株当たり利益の見た目だけで割安と判断するのは危険です。
よくある質問
リミックスポイントの自社株買いはいくらですか?
取得価額の総額は上限20億円です。ただし同社は「取得総額10億円以上の実行を基本方針とする」とも明記しているため、実際の金額は10億円から20億円のレンジになります。取得株数の上限は800万株です。
自社株買いはいつからいつまでですか?
取得期間は2026年10月1日から2027年3月31日までです。取得方法は東京証券取引所における市場買付とされています。
なぜ自社株買いをするのですか?
株主への利益還元を経営上の重要課題と位置づけており、資本効率の向上と1株当たりの株主価値の向上を図るためと説明されています。方針を示すだけでなく具体的な実行を積み重ねることが株主との信頼関係の強化につながる、との考えも示されました。
自社株買いの資金はどこから出るのですか?
2026年8月28日に公表した子会社リミックスでんきの株式譲渡が原資と位置づけられています。基準譲渡価額は51億円で、うち前払金30億円は同日受領済みです。譲渡の実行日は2026年10月1日で、自己株式の取得開始日と一致します。
リミックスポイントはビットコインを売るのですか?
今回の開示にビットコイン売却の記載はありません。原資はエネルギー事業の譲渡代金であり、保有する約1,506BTCには手をつけていません。9月1日に売却したのはアルトコイン4銘柄です。
自社株買いをすると株価は上がりますか?
必ず上がるとは言えません。一般には市場での買い需要が生まれ、発行済株式が減って1株当たりの価値が高まるため株価に追い風とされます。開示当日の2026年9月4日午前は前日比+5.24%の241円で前場を終えましたが、その後の値動きは相場環境にも左右されます。
取得枠20億円は必ず使い切るのですか?
使い切るとは限りません。20億円は会社法上の取得枠の上限で、業績・財務状況・市場環境・株式の流動性を総合的に勘案して機動的に取得するとされています。重大な変化が生じた場合は取得規模や時期を見直す可能性にも言及があります。
リミックスポイントは今ビットコインを何枚持っていますか?
2026年9月2日の開示時点で約1,506BTCです。アルトコインを全売却したため保有する暗号資産はビットコインのみで、その一部をレンディングに回して金利収入を得ています。
- リミックスポイント(3825)が自己株式取得を決議。上限20億円・800万株。
- 20億円は上限、基本方針は10億円以上。IRに書き分けあり。
- 原資はエネルギー事業の譲渡代金51億円。
- ビットコイン約1,506BTCは売却せず保有継続。
- 株価は9月4日前場に+5.24%の241円。
ビットコインを持つ上場企業の資本政策としては、株を発行してビットコインを買い増す動きが目立ってきました。今回のリミックスポイントは、事業を売って作った現金でビットコインを持ったまま株数を減らすという逆向きの選択です。取得期間は2027年3月31日まであるため、実際にどのペースで買われるかは今後の月次の取得状況の開示で確認できます。
出典
・株式会社リミックスポイント「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」(2026年9月4日)
・同社「(開示事項の経過)子会社の異動(株式譲渡)に係る前払金受領のお知らせ」(2026年9月4日)
・同社「(開示事項の経過)暗号資産の運用実績およびアルトコインの売却に関するお知らせ」(2026年9月2日)
・同社「業績予想の修正に関するお知らせ」(2026年8月28日)
・株数・金額・期間はすべて上記IR資料の記載に基づく。株価は2026年9月4日午前(前場終了時)、ビットコイン価格は同日時点の市場値
※本記事は2026年9月4日時点で公表された事実の整理であり、特定の銘柄や株式の売買を推奨するものではありません。暗号資産・株式の価格は変動します。投資の判断はご自身の責任で行ってください。









