Helium(HNT)とは?マイニングの仕組みと「毎月1万5000円」が今は通用しない理由・国内取扱いゼロを忖度なく解説

ICHIZEN Capitalのイチ押しポイント!
- Heliumは「アンテナを設置して電波を提供し、報酬にHNTをもらう」DePINの草分け。基盤は2023年にSolanaへ移行済み
- ホットスポットと呼ばれる機器を置き、Proof-of-Coverage(カバレッジ証明)で「本当に電波を出しているか」を証明する仕組み
- 価格は約0.21ドル(約34円)・時価総額は約3,829万ドルで530位(2026年7月時点)
- 最高値54.88ドルから約99.6%下落。DePINの代表格が時価総額530位まで沈んだのが現在地
- 2021年11月12日の54.88ドルが頂点。現在の価格はその0.4%程度にとどまる
- 2025年8月1日の半減期で新規発行は年750万HNT(日次約20,548HNT)へ半減した
- 「毎月1万5000円稼げる」という解説は、価格が今の150〜260倍だった頃の話。今その水準は狙えない
- 解説にある「月2〜3HNT」をそのまま現在価格に置き直すと約68〜102円。海外の報告でも月数ドル規模
- 機器代・電気代がかかり「ノーリスク」ではない。2025年8月の半減期で報酬の原資も半減した
- 国内取引所での取扱いはゼロ。Binanceも2022年に全ペアの取引を停止している
- JVCEAの取扱暗号資産一覧(2026年7月15日版)にHNTの記載は1件もない
- マイニング報酬の税金は国税庁FAQ問1-7に明文の規定があり、機器代・電気代は必要経費になりうる
木田 陽介Heliumは「置くだけで不労所得」と紹介されてきた銘柄ですが、忖度なく言うと、その紹介文の多くは2021年の価格のまま更新が止まっています。当時の前提で書かれた「月1万5000円」を今の価格で計算し直すと、桁が2つ変わります。この記事は、その再計算と一次ソースの確認を正面からやります。


監修 木田 陽介
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役
2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。
Helium(HNT)とは?基本情報
Heliumは、個人が自宅にアンテナ付きの機器を設置して無線ネットワークを広げ、その対価としてHNTを受け取れるDePIN(分散型物理インフラネットワーク)です。通信基地局を通信会社が自前で建てるのではなく、世界中の個人に少しずつ負担してもらう。この発想でIoT機器向けの通信網を作ったのが、Heliumの出発点でした。
DePINという言葉が広まるより前から動いていたため、Heliumはこの分野の草分けとして語られることが多い銘柄です。ブロックチェーンは当初独自のものでしたが、2023年4月にSolanaへ移行しました。現在のHNTはSolana上のトークンとして流通しています(※1)。
| 項目 | 内容(2026年7月時点) |
|---|---|
| 名称 | Helium(ヘリウム)/トークンはHNT |
| ジャンル | DePIN(分散型無線ネットワーク・IoT/モバイル) |
| チェーン | Solana(2023年4月に独自チェーンから移行) |
| コンセンサス | Proof-of-Coverage(カバレッジ証明) |
| 価格 | 約0.2105ドル(約34円) |
| 時価総額 | 約3,829万ドル(暗号資産全体で530位) |
| 循環供給量 | 約1億8,184万HNT(上限の約81.5%が発行済み) |
| 最大供給量 | 2億2,300万HNT(HIP-20で上限を設定) |
| 新規発行 | 年750万HNT・日次約20,548HNT(2025年8月1日の半減期後) |
| 過去最高値(ATH) | 54.88ドル(2021年11月12日)/現在は約99.6%下落 |
| 国内取引所での取扱い | なし(2026年7月時点で1社も取り扱っていない) |
| 日本での税務上の扱い | 暗号資産(マイニング報酬は原則として雑所得・総合課税) |
価格・時価総額はCoinGeckoの2026年7月16日時点のデータです(※2)。循環供給量はSolanaのメインネットに直接問い合わせて確認した実数(181,841,556HNT)で、CoinGeckoの公表値ともほぼ一致しました(確認日:2026年7月16日)。数値は日々変動するため、最新値はご自身でもご確認ください。
Heliumの仕組み|なぜアンテナを置くとHNTがもらえるのか
Heliumの報酬は、善意で配られているわけではありません。「通信網を使いたい側が料金を払い、電波を提供した側が受け取る」という経済の循環が設計されています。ここを押さえると、報酬が減った理由も見通せるようになるでしょう。
Proof-of-Coverage|「本当に電波を出しているか」を証明する
Heliumの中核にあるのが、Proof-of-Coverage(カバレッジ証明・PoC)と呼ばれる独自の仕組みです。ビットコインのマイニングが計算力を競うのに対し、Heliumが証明させるのは「その場所に実際に機器があり、電波を飛ばしているか」という物理的な事実になります。
近くのホットスポット同士が電波を送り合い、受信できたかどうかを相互に検証する。この確認を通じて、申告どおりの場所でカバレッジを提供している機器に報酬が配分される流れです。設置場所を偽って報酬だけを得る不正を防ぐための設計だと理解しておきましょう。
Data Credits|使われるほどHNTが焼かれる
ネットワークを利用する側は、HNTを直接支払うわけではありません。HNTを焼却(バーン)して生成される「Data Credits」というドル連動の利用権に変えてから、通信料として消費します(※3)。Data Creditsは譲渡できず、使い切りです。
この設計は「burn-and-mint equilibrium(バーン・アンド・ミント均衡)」と呼ばれます。公式ドキュメントは、この仕組みによってHNTの供給量がネットワークの利用状況に応じて増減すると説明しています(※3)。使われるほど焼かれ、供給が絞られる。理屈としては、実需と価格を結びつける狙いがあります。
ただし現実には、後述するとおり価格は最高値から約99.6%下落しました。仕組みが合理的であることと、価格が上がることは別の話だという点は、Heliumが示す実例の1つと言えるでしょう。
HIP-138でIOT・MOBILEは役目を終え、報酬はHNTに一本化
Heliumは一時期、用途ごとにトークンを分けていました。IoT向けの「IOT」、モバイル向けの「MOBILE」というサブDAOトークンです。この分割はHIP-138という提案によって撤回され、報酬はHNTへ一本化されました(※4)。
HIP-138は2024年11月22日に承認され、2025年1月29日に実装が完了しています。これ以降、IoTホットスポットもモバイルホットスポットも、受け取る報酬はHNTです(※4)。当メディアがSolana上で確認したところ、IOT・MOBILEのトークン自体は現在も存在していますが、新規の発行は止まっています(確認日:2026年7月16日)。
日本語の解説には「IOTとMOBILEを稼げる」と書かれたままのものが残っています。2025年1月で終わった仕組みなので、その記述を前提に機器を買うのは避けてください。情報の更新が止まっている記事を見分ける、1つの目印にもなります。
HNTの価格・トークノミクス|最高値から約99.6%下落
Heliumを検討するうえで、価格の推移は避けて通れません。結論から言えば、HNTは暗号資産全体でも際立って大きな下落を経験した銘柄です。この事実を伏せた解説は、判断材料として成立しないでしょう。
価格推移|54.88ドルから0.21ドルへ
HNTは2021年11月12日に54.88ドルの最高値をつけました。DePINという言葉が注目を集め、Heliumがその象徴として語られていた時期です。2026年7月16日時点の価格は約0.2105ドル(約34円)で、最高値からの下落率は約99.6%に達します(※2)。
時価総額は約3,829万ドルで、暗号資産全体の530位です。かつて「次の通信インフラ」と期待された銘柄が、時価総額で500位台に沈んでいるという事実は、率直に受け止める必要があります。24時間の出来高も約231万ドルにとどまり、流動性は決して厚くありません(※2)。
供給量と半減期|すでに81.5%が発行済み
HNTには2億2,300万枚という発行上限があります。これはHIP-20という提案で設定されたもので、あわせて2年ごとに新規発行を半分にする半減期が導入されました(※3)。半減期は8月1日に実施され、2021年・2023年に続いて、直近は2025年8月1日に行われています。
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 最大供給量 | 2億2,300万HNT | HIP-20で設定 |
| 発行済み(実測) | 181,841,556HNT | 上限の約81.5%(Solanaへ直接照会・2026/07/16) |
| 残りの発行枠 | 約4,116万HNT | 半減期により年々細る |
| 年間発行量 | 750万HNT | 2025年8月1日の半減期後(従来1,500万) |
| 日次発行量 | 約20,548HNT | 750万÷365 |
| 次回半減期 | 2027年8月1日 | 2年ごと・8月1日 |
注目すべきは、上限の81.5%がすでに世に出ている点です。ビットコインのように「これから徐々に増えていく」段階はとうに過ぎており、半減期による需給の引き締め効果は、回を追うごとに小さくなっていきます。2025年8月の半減期の後も価格が大きく戻していない事実は、この構造と無関係ではないでしょう。
マイニングをする側から見ると、半減期の意味はもっと直接的です。新規発行が年1,500万HNTから750万HNTへ半減したということは、ネットワーク全体に配られる報酬の原資が半分になったということでもあります。次の章で、この影響を具体的な金額に置き直します。
「毎月1万5000円稼げる」は本当か|現在価格で再計算する
日本語で「ヘリウム マイニング」と検索すると、「毎月数万円の不労所得」「ノーリスクでお小遣い」といった見出しが今も上位に並びます。具体例として「渋谷区で月2〜3HNT、金額にして1万5000円〜1万8000円」という数字を挙げる解説もあります。
この数字が正しいかどうかは、当時の記述をそのまま現在の価格に置き直せば、誰でも検算できます。結論を先に言うと、金額の前提が完全に崩れています。
逆算すると「1HNT=5,000〜9,000円」が前提になっている
まず、その主張が成り立つために必要なHNTの単価を逆算します。月3HNTで1万5000円なら1HNT=5,000円、月2HNTで1万8000円なら1HNT=9,000円が前提です。ところが2026年7月時点のHNTは1枚あたり約34円にすぎません(※2)。
1HNTが5,000〜9,000円だったのは、ドル建てで30〜55ドル前後の水準、つまり2021年後半の最高値近辺だけです。これらの記述は、当時の価格のまま更新が止まっていると考えるのが自然でしょう。同じ枚数を今の価格で計算すると、次のようになります。
| 月あたりの報酬 | よく見る解説の金額 | 現在価格での再計算 |
|---|---|---|
| 2HNT | 約18,000円 | 約68円 |
| 3HNT | 約15,000円 | 約102円 |
| 前提となるHNT単価 | 5,000〜9,000円 | 約34円 |
CoinGecko APIで取得した2026年7月16日時点のHNT価格(0.210477ドル/34.13円)を用い、日本語解説で見られる「月2〜3HNT」という報酬枚数をそのまま当てはめた試算です(試算日:2026年7月16日)。報酬枚数の前提自体、2025年8月1日の半減期で新規発行が半減しているため、現在はさらに下回る可能性があります。実際の報酬は設置場所・周辺の機器数・実際の通信需要で変動し、当メディアは日本国内でのホットスポット運用を実測していません(未測定)。
桁が2つ変わります。「毎月1万5000円」と紹介されてきた運用が、同じ枚数なら100円前後にしかならないという差は、投資判断を根本から覆す規模です。ここで示したのはあくまで「当時の記述の金額部分が、今も通用するか」の検算だという点は補足しておきます。
では実際の報酬はいくらなのか。ここは正直に申し上げると、当メディアは日本国内でホットスポットを運用した実測データを持っていません(未測定)。海外の運用者向けメディアには、好条件の都市部でも1日あたり0.1〜1.5ドル程度、多くの運用者は月4〜8ドル(およそ650〜1,300円)にとどまるとする報告があります(※11)。これらは二次情報のため、幅を持って捉えてください。
検算の結果と海外の報告には開きがありますが、どちらの数字を採っても「毎月数万円の不労所得」という水準には遠く届きません。そのうえ2025年8月1日の半減期で新規発行は半分になり、2027年8月にはもう一度半減することが決まっています。機器が増えれば1台あたりの取り分も薄まります。報酬は「これから増える」方向ではなく、構造として絞られていく設計だと理解しておきましょう。
「ノーリスク」ではない|機器代・電気代・設置制限
もう1つ訂正しておきたいのが「ノーリスク」という表現です。ホットスポットの運用には、機器の購入費用が先に発生します。日本国内で流通する機器の価格は販売元によって幅がありますが、無料ではありません。
さらに、常時通電が前提となるため電気代と回線費用が毎月かかり続けます。月の収入が数百円規模にとどまるなら、電気代だけで赤字になる可能性は十分に現実的です。加えてHeliumには機器を一定の間隔で分散させる設計思想があり、近隣に既存の機器があると報酬が伸びにくくなります。
先に費用を払い、後から変動する報酬を受け取る。これは構造としては投資であり、「ノーリスク」とは呼べません。機器代を回収できないまま終わる可能性を、最初から見込んでおく必要があるでしょう。
HNTはどこで買えるのか|国内取扱いゼロ・Binanceも停止済み
2026年7月時点、日本の暗号資産交換業者はHNTを1社も取り扱っていません。そして、多くの日本語記事が「買える」と紹介するBinanceでも、実はHNTの取引はできません。どちらも一次情報で確認できる事実なので、根拠から示します。
JVCEAの取扱一覧にHNTは1件もない
日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)は、会員各社が取り扱う暗号資産の一覧を公開しています。当メディアが2026年7月15日版のファイルを取得して全文を検索したところ、HNT・Heliumの記載は1件もありませんでした(※5。確認日:2026年7月16日)。
検索が正しく働いていることを確かめるため、同じファイルでBTC・ETH・SOLも数えています。BTCが46件、ETHが68件、SOLが30件ヒットした一方で、HNTは0件でした。つまり「ファイルを読めていないから0件」ではなく、本当に記載がないという意味の0件です。
「HNTにおすすめの国内取引所」としてCoincheckやbitbankを挙げる記事も見かけますが、これらの取引所でHNTは買えません。海外取引所へ送るための資金を用意する場所という意味であれば正しく、その説明がないままでは誤解を招きます。
Binanceは取引停止済み|APIには4.67ドルで凍結された記録が残る
ここは、日本語の解説で最も誤りが多い部分です。BinanceでHNTは購入できません。Binanceは2022年10月6日にHNTの取引ペア廃止を告知し、同年10月12日にHNT/BTC・HNT/USDT・HNT/BUSDの廃止を実施しました(※6)。その後もHNTがBinanceの現物に戻ることはありませんでした。
当メディアがBinanceの公開APIで確認したところ、3つのペアはいずれも「BREAK」(取引停止)状態のまま残っていました(※7。確認日:2026年7月16日)。さらに示唆的なのが、このAPIが返す最終価格です。
HNT/USDTの最終価格は4.67ドルのまま凍結されていました。実際のHNTは約0.21ドルですから、22倍もかけ離れた数字です。取引が止まった時点の価格が、そのまま更新されずに残っているためです。数字が何年も動いていないこと自体が、そこで売買が行われていない何よりの証拠だと言えるでしょう。
この4.67ドルという数字には、注意すべき副作用もあります。APIの数字を鵜呑みにした価格情報サイトやツールが、実勢から大きく外れた値を表示してしまう可能性があるためです。HNTの価格を確認する際は、実際に取引が続いている取引所の板を見るようにしてください。
なお当時、Binanceは「上場銘柄を定期的に見直している」という趣旨の説明をしています。これに対しHeliumのCOOは「HNTのペアを廃止する根拠はない。HNTの健全性に変化はなく、取引所が定める基準を満たし続けている」と反論しました(※6)。この経緯を踏まえずに「Binanceに上場している」と書く記事は、4年前の情報で止まっています。
実際に買える取引所と出来高(実測)
では、どこで買えるのか。当メディアが各取引所の公開APIとCoinGeckoで実際に確認した結果が次の表です。「上場しているか」と「実際に取引されているか」は別問題なので、出来高もあわせて示します。
| 取引所 | HNT現物の取扱い | 24時間出来高 | 確認日 |
|---|---|---|---|
| Binance | 取引停止(BREAK) | —(2022年10月で停止) | 2026/07/16 |
| Bybit | あり(HNT/USDT) | 約155,873ドル | 2026/07/16 |
| Coinbase | あり(HNT/USD) | 約91,706ドル | 2026/07/16 |
| Gate | あり(HNT/USDT) | 約89,681ドル | 2026/07/16 |
| Kraken | あり(HNT/USD) | 未測定 | 2026/07/16 |
| Bitget | あり(HNT/USDT) | 約8,416ドル(薄い) | 2026/07/16 |
| OKX | なし | — | 2026/07/16 |
| 国内取引所(全社) | なし | — | 2026/07/16 |
出来高はCoinGeckoが集計する取引所別の24時間換算値、取扱いの有無は各取引所の公開APIで直接確認しました(※2、※7)。HNT全体の24時間出来高は約231万ドルで、これが多数の取引所に分散しています。単独で突出した板を持つ取引所はありません。
出来高1位の取引所は金融庁の無登録業者リストに載っている
ここは、HNTを調べる方にぜひ知っておいていただきたい点です。CoinGeckoでHNTの出来高1位に表示される「bitcastle」は、金融庁が公表する無登録業者のリストに掲載されています。当メディアが金融庁のPDFを取得して原文を確認しました(※12。確認日:2026年7月16日)。
リストには「bitcastle LLC」が、日本居住者を相手方として無登録で暗号資産交換業を行っていた者として記載されています(令和6年11月掲載)。出来高ランキングの上位に出てくるからといって、日本の居住者が安心して使える取引所とは限りません。むしろ出来高だけを頼りに取引所を選ぶ危うさを示す実例と言えるでしょう。
同じリストには、Bitget・Bybit・Binance・MEXC・KuCoinなど、日本語圏でよく名前を聞く海外取引所も掲載されています(※12)。海外取引所は、日本の登録業者ではないという前提を理解したうえで利用するかどうかを判断する必要があります。国内の登録業者とは、トラブル時に使える枠組みが異なる点は押さえておきましょう。
忖度なくお伝えすると、当メディアが送客先として挙げているBitgetも、HNTに関しては出来高が約8,416ドルと薄い部類です。HNTを厚い板で売買したいのであれば、現時点ではBybitやCoinbaseのほうが条件は良くなります。優先度の都合で数字を歪めては、実測で語る意味がありません。
そのうえでBitgetを候補として残す理由は、HNT単体ではなく総合力(取扱銘柄数・日本語対応・サポート)で選ぶ場合の使いやすさにあります。HNTだけが目的なら板の厚い取引所を、複数銘柄を扱う拠点として選ぶならBitgetを、という判断が現実的でしょう。
HNTの買い方|基本の3ステップ
国内で直接買えない以上、入手の流れは次の3ステップになります。
- 国内取引所で暗号資産を購入|日本円でビットコイン(BTC)やUSDTなど、送金しやすい銘柄を買う
- 海外取引所へ送金|HNTを扱う海外取引所の自分の口座へ送る(初回は必ず少額でテスト)
- HNTへ交換|HNT/USDTなどのペアで購入する
海外取引所は取扱銘柄・コスト・日本語対応で選びます。送金に使うUSDTの基礎はUSDT(テザー)とはで解説しています。Heliumが属するDePINという分野の全体像はDePINとはもあわせてご覧ください。


\複数銘柄を扱う拠点として総合力No.1/
Helium(HNT)のリスク・注意点(忖度なし)
Heliumのリスクは、価格変動だけではありません。機器を買って運用する以上、通常の暗号資産投資とは違う種類の負担が乗ってきます。整理しておきましょう。
- 価格リスク|最高値54.88ドルから約99.6%下落。時価総額は530位まで低下
- 報酬の少なさ|「毎月数万円」は過去の話。現在は月数百円規模の報告もあり電気代で相殺されうる
- 初期費用の回収|機器代が先に発生し、回収できない可能性がある
- 半減期|2025年8月に新規発行が年750万HNTへ半減。報酬の原資が縮小
- 流動性|24時間出来高は全体で約231万ドル。売りたい時に売れない可能性
- 国内で買えない|国内取扱いゼロ。送金の手間と送金ミスのリスクを伴う
- 情報の陳腐化|日本語解説の多くが2021年前後の価格・仕様のまま止まっている
- 税金|報酬を受け取った時点で課税されうる。値下がりしても税額は減らない
2026年6月、Helium Mobileは売却された
日本語の解説がまだ反映できていない、最も新しい変化がこれです。Heliumを開発するNova Labsは、2026年6月2日、携帯サービス「Helium Mobile」を実業家アンドリュー・ヤン氏のNoble Mobileへ売却しました。売却条件は非開示です(※10)。
誤解しやすいのですが、売られたのは携帯サービスの事業であって、Heliumのネットワークやトークンではありません。Nova Labsはネットワーク本体と、通信会社向けのデータオフロード事業を引き続き手がけます。HNTを含むトークンは、従来どおりHelium DAOの管轄にとどまると説明されています(※10)。
それでも、この売却の意味は小さくありません。個人向けの携帯サービスという「HNTの使いどころ」として語られてきた看板が、他社の手に渡ったことになるためです。Nova Labsは今後、通信会社向けの事業に集中する構えだと報じられています。買い手のNoble MobileはHeliumのネットワークを引き続き使うとされており、関係が切れたわけではない点もあわせて押さえておきましょう。
「大手通信会社と提携」の解像度に注意
Heliumの将来性を語る文脈で、T-Mobileをはじめとする大手通信会社との関係が挙げられることがよくあります。ここも、事実の切り分けが必要な部分です。
Helium Mobileが大手の回線を借りて提供されてきたこと自体は事実です。一方で「大手が自社の通信量をHeliumの基地局へ流している(キャリアオフロード)」という話については、T-Mobile側が正式な合意の存在を否定したと報じられています(※8)。
「Heliumが大手の回線を借りる」ことと「大手がHeliumに通信を委ねる」ことは、意味がまったく違います。後者であればHeliumの通信網に実需が生まれますが、前者は一般的なMVNOの構図にすぎません。提携という言葉の中身がどちらを指しているのかは、必ず確認したほうがよいでしょう。この領域は動きが速いため、最新の発表もあわせてご確認ください(要確認)。
ICHIZEN Capitalの視点|Heliumの税金には「明文の規定がある」
ここが、上位記事がほとんど踏み込めていない領域です。エアドロップやポイント報酬の税務は「明文の規定がなく類推で運用されている」のが実情ですが、Heliumのホットスポット運用は文字どおり「マイニング」であり、国税庁のFAQに正面から規定があります。事業者として税務に向き合ってきた立場から、その射程を正確に示します。
問1-7|マイニング報酬は「取得時点の時価」が収入になる
国税庁が公表する「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」の令和7年12月版を、当メディアで全文確認しました。問1-7「マイニング、ステーキング、レンディングなどにより暗号資産を取得した場合」に、次のとおり明記されています(※9。確認日:2026年7月16日)。
「マイニング、ステーキング、レンディングなど(中略)により暗号資産を取得した場合、その取得した暗号資産の取得時点の価額(時価)については所得の金額の計算上総収入金額(法人税においては益金の額)に算入され、マイニング等に要した費用については所得の金額の計算上必要経費(法人税においては損金の額)に算入されることになります。」(関係法令等:所法27、35、36、37)
ポイントは2つあります。1つは受け取った時点の時価が収入になること。売っていなくても、HNTを受け取った瞬間に所得が発生します。その後にHNTが値下がりしても、受取時に確定した税額は減りません。最高値から99.6%下落した銘柄では、この順序が牙を剥く場面が起こりえます。
もう1つは、「マイニング等に要した費用については必要経費に算入される」と明記されている点です。ここはHeliumの運用者にとって実益のある部分でしょう。
機器代・電気代・回線費用は経費にできるのか
必要経費の具体的な範囲は、問2-3「暗号資産の必要経費」が参考になります。同FAQはインターネットやスマートフォン等の回線利用料、パソコン等の購入費用についても、直接必要な支出と認められる部分に限り必要経費に算入できるとしています(※9)。ただし、2つの条件が付きます。
- 回線利用料は「明確に区分できる場合に限り」|家庭の回線と混在している分は、区分できなければ算入できません
- 機器は使用可能期間が1年以上かつ一定金額を超えると、その年に一括計上できない|減価償却の対象になります
ホットスポットは常時通電・常時接続の機器ですから、電気代も回線費用も家庭の生活分と混ざります。丸ごと経費に入れられるわけではなく、合理的に区分できる根拠が要る、と理解しておきましょう。月数百円規模の収入に対して、区分計算の手間が見合うかどうかも現実的な論点です。
300万円と帳簿保存という分岐
所得区分についても、押さえておきたい分岐があります。問2-2「暗号資産取引の所得区分」(令和7年12月更新)は、原則として雑所得(その他雑所得)としつつ、その年の暗号資産取引に係る収入金額が300万円を超える場合の扱いを示しています(※9)。
| その年の収入金額 | 帳簿書類の保存 | 所得区分 |
|---|---|---|
| 300万円以下 | — | 原則として雑所得(その他雑所得) |
| 300万円超 | あり | 原則として事業所得 |
| 300万円超 | なし | 業務に係る雑所得 |
Heliumの報酬だけでこの水準に届く方は、現在の価格ではまず想定しにくいでしょう。ただし暗号資産の収入は合算で判断されるため、他の取引と合わせれば射程に入る方はいます。帳簿を残しているかどうかで区分が変わるという設計は、記録の重要性を端的に示しています。暗号資産の税金の全体像は仮想通貨の税金の記事で詳しく解説しています。



マイニング系の報酬で怖いのは、受け取った時に課税されて、その後の値下がりでは税額が戻らないことです。Heliumのように最高値から99.6%下がった銘柄では、「税金を払うために売る」状況すら起こりえます。金額が小さいうちは影響も限定的ですが、記録だけは必ず残してください。経費の区分に迷う場面では、税理士への確認をおすすめします。
よくある質問
ヘリウムマイニングは今でも稼げますか?月いくらですか?
「毎月数万円」という水準ではありません。日本語の解説でよく見る「月2〜3HNTで1万5000円〜1万8000円」という数字は、1HNTが5,000〜9,000円だった2021年前後の価格が前提です。2026年7月時点のHNTは約34円のため、同じ枚数なら約68〜102円にしかなりません。海外の運用者向けメディアには月4〜8ドル(約650〜1,300円)程度とする報告もありますが、いずれにせよ数万円には遠く届かないのが実情です。
HNTは国内取引所で買えますか?
買えません。日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)が公開する取扱暗号資産の一覧(2026年7月15日版)を当メディアで全文検索したところ、HNT・Heliumの記載は1件もありませんでした。同じファイルでBTCは46件、ETHは68件ヒットしているため、検索漏れではなく本当に記載がないという意味です。国内取引所を「HNTにおすすめ」と紹介する記事は、海外取引所へ送る資金を用意する場所という意味にすぎません。
HNTはBinanceで買えますか?
買えません。Binanceは2022年10月6日に廃止を告知し、同年10月12日にHNT/BTC・HNT/USDT・HNT/BUSDの廃止を実施しています。当メディアがBinanceの公開APIで確認したところ、3ペアはいずれも「BREAK」(取引停止)状態のままで、最終価格は4.67ドルで凍結されていました(2026年7月16日確認)。実際のHNTは約0.21ドルですから、22倍かけ離れた古い数字が残り続けている状態です。この値を現在値として引用しているツールにはご注意ください。
ヘリウムマイニングは本当にノーリスクですか?
ノーリスクではありません。ホットスポットの機器代が先に発生し、常時通電が前提のため電気代と回線費用が毎月かかり続けます。月の収入が数百円規模にとどまるなら、電気代だけで赤字になる可能性は十分に現実的です。先に費用を払って後から変動する報酬を受け取る構造は、実質的に投資です。機器代を回収できないまま終わる可能性を見込んでおく必要があります。
Heliumのマイニング報酬に税金はかかりますか?いつ課税されますか?
かかります。課税されるのは「受け取った時点」です。国税庁のFAQ(令和7年12月版)問1-7に、マイニング等により暗号資産を取得した場合は取得時点の価額(時価)を総収入金額に算入すると明記されています。エアドロップと違い、マイニングには明文の規定がある点が特徴です。売却していなくても受け取った時点で所得が発生し、その後に値下がりしても税額は減りません。
ホットスポットの機器代や電気代は経費にできますか?
一定の範囲で可能です。国税庁FAQ問1-7は「マイニング等に要した費用は必要経費に算入される」と明記しています。ただし問2-3によれば、回線利用料は暗号資産取引に係る分を明確に区分できる場合に限られ、機器は使用可能期間が1年以上で一定金額を超えると減価償却の対象になります。家庭の電気代・回線費用と混ざるため、丸ごと経費にはできない点にご注意ください。
HNTの半減期はいつですか?
2年ごとの8月1日で、直近は2025年8月1日に実施されました。次回は2027年8月1日の予定です。HIP-20という提案により、最大供給量2億2,300万HNTと、2年ごとに新規発行を半減させる仕組みが導入されました。2025年8月の半減期で新規発行は年1,500万HNTから750万HNT(日次約20,548HNT)へ半減しています。すでに上限の約81.5%が発行済みです。
HeliumはなぜSolanaに移行したのですか?
Heliumは当初、独自のブロックチェーンで稼働していましたが、2023年4月にSolanaへ移行しました。現在のHNTはSolana上のトークンとして流通しています。独自チェーンの維持には開発リソースが必要になるため、既存の高速なチェーンへ移ることで、ネットワークの拡張とアプリケーションの開発に集中する狙いがあったとされています。移行後もProof-of-Coverageによる報酬の仕組み自体は維持されています。
IOTトークンやMOBILEトークンはどうなりましたか?
報酬としての役目を終えています。HIP-138という提案が2024年11月22日に承認され、2025年1月29日に実装が完了しました。これによりIoTホットスポットもモバイルホットスポットも、受け取る報酬はHNTに一本化されています。当メディアがSolana上で確認したところ、IOT・MOBILEのトークン自体は現在も存在していますが、新規の発行は止まっています(2026年7月16日確認)。
HeliumはT-Mobileと提携しているのですか?
「提携」の中身を切り分ける必要があります。Helium Mobileが大手の回線を借りて提供されてきたこと自体は事実です。一方で、大手が自社の通信量をHeliumの基地局へ流す「キャリアオフロード」については、T-Mobile側が正式な合意の存在を否定したと報じられています。回線を借りることと、通信を委ねられることはまったく違うため、最新の発表でご確認ください。
Helium Mobileが売却されたと聞きましたが、HNTはどうなりますか?
HNTやHeliumのネットワーク自体は売却されていません。2026年6月2日、Nova Labsは携帯サービス「Helium Mobile」をアンドリュー・ヤン氏のNoble Mobileへ売却しました(条件非開示)。ただし売られたのは携帯サービスの事業で、ネットワーク本体とデータオフロード事業はNova Labsが継続し、トークンは引き続きHelium DAOの管轄です。買い手もHeliumのネットワークを使い続けるとされています。
HNTの将来性はありますか?
投資判断はご自身で行っていただく前提で、事実を整理します。仕組みの面では、使われるほどHNTが焼かれるData Creditsの設計や、実際の物理インフラを持つ点に独自性があります。一方で価格は最高値54.88ドルから約99.6%下落し、時価総額は530位、24時間出来高は全体で約231万ドルにとどまります。すでに上限の81.5%が発行済みで、半減期による需給の引き締め効果も縮小していきます。
まとめ|Heliumは「稼ぐ手段」より「DePINの現在地を示す教材」
Heliumは、個人がアンテナを設置して無線ネットワークを広げ、報酬としてHNTを受け取るDePINの草分けです。Proof-of-Coverageで設置場所を証明させ、使われるほどHNTが焼かれるData Creditsで需給を結びつける。設計思想そのものは、今読んでも合理的です。基盤も2023年にSolanaへ移り、2025年1月には報酬がHNTへ一本化されました。
一方で、数字は厳しい現実を示しています。価格は約0.21ドル(約34円)、時価総額は約3,829万ドルで530位、最高値54.88ドルからは約99.6%の下落です(2026年7月時点)。国内取引所での取扱いはゼロで、Binanceも2022年10月に取引を停止したまま。APIには4.67ドルという当時の価格が凍結されて残っています。
そして最も注意したいのが、日本語の解説の多くが2021年前後の価格のまま更新されていないことです。「毎月1万5000円」は1HNTが5,000〜9,000円だった頃の話で、同じ枚数を現在価格に置き直せば月68〜102円にすぎません。機器代・電気代を考えれば「ノーリスク」でもないでしょう。事業面でも2026年6月にHelium Mobileが売却され、Nova Labsは通信会社向けの事業へ軸足を移しています。
税金についても、マイニング報酬は国税庁FAQ問1-7に明文の規定があり、受け取った時点の時価が収入になります。値下がりしても税額は戻りません。機器代・電気代は必要経費になりうる一方、区分の手間は残ります。Heliumは「置くだけで稼ぐ手段」として期待するより、DePINという構想が現実の数字とどう向き合っているかを学ぶ教材として捉えるほうが、実態に合っていると言えるのではないでしょうか。
参考文献
1. Helium 公式ドキュメント(ネットワーク概要・Solanaへの移行)https://docs.helium.com/
2. CoinGecko「Helium (HNT)」価格・時価総額・取引所別出来高(2026年7月16日取得)https://www.coingecko.com/en/coins/helium
3. Helium 公式ドキュメント「The Helium Network Token (HNT)」(最大供給量・HIP-20の半減期・Data Credits・burn-and-mint equilibrium)https://docs.helium.com/tokens/hnt-token/
4. Helium「HIP 138: Return to HNT」(提案内容・承認・実装)https://github.com/helium/HIP/issues/1120
5. 日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)「取扱暗号資産一覧」2026年7月15日版https://jvcea.or.jp/statistics/document/assets/
6. Cointelegraph「’No basis’ for Binance’s partial delisting of HNT — Helium COO」(2022年10月6日告知・10月12日停止・HeliumのCOOの反論)https://cointelegraph.com/news/no-basis-for-binance-s-partial-delisting-of-hnt-helium-coo
7. 各取引所の公開API(Binance exchangeInfo/Bitget・Bybit・OKX・Gate・Kraken・Coinbase の銘柄・取引状態、Solana JSON-RPC getTokenSupply による供給量確認。2026年7月16日実施)https://api.binance.com/api/v3/exchangeInfo
8. Light Reading「Helium teases offload from T-Mobile – but there’s no formal deal」(キャリアオフロードに関するT-Mobile側の見解)https://www.lightreading.com/oss-bss-cx/helium-teases-offload-from-t-mobile-but-there-s-no-formal-deal
9. 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」令和7年12月版(問1-7/問2-2/問2-3)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/kasoutuka/
10. Helium Mobile 公式ブログ「Helium Mobile is Being Acquired by Andrew Yang’s Noble Mobile」(2026年6月2日・売却の発表)https://blog.heliummobile.com/noble//Fortune による報道https://fortune.com/2026/06/02/andrew-yang-business-acquires-helium-mobile/
11. AMBCrypto「How much can you really earn with Helium hotspots in 2025?」(ホットスポット収益の報告・二次情報)https://eng.ambcrypto.com/how-much-can-you-really-earn-with-helium-hotspots-in-2025/
12. 金融庁「無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等について」(bitcastle LLC・Bitget Limited 等の掲載を原文で確認、2026年7月16日取得)https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/angoushisan_mutouroku.pdf
※本記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の暗号資産(仮想通貨)・取引所への投資を勧誘するものではありません。価格・時価総額・上場状況・マイニング報酬は変動するため、最新の情報は公式サイトおよび各取引所でご確認ください。マイニング報酬の金額は設置場所・周辺環境により大きく変動し、本記事の試算は公表値に基づく目安です。税務の具体的な判断は税理士等の専門家にご確認ください。暗号資産取引にはリスクが伴い、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。








