オプション取引のバタフライスプレッドとは?仕組み・損益計算・種類と実践のコツを忖度なく解説

ICHIZEN Capitalのイチ押しポイント!


  • バタフライスプレッドは「狭いレンジに収まる」と予想するときに使う損失限定型の戦略
    • 3つの行使価格でコール(またはプット)を組み合わせ、最大損失=支払いプレミアムに限定される
    • 損益図が「蝶の羽」の形になることが名前の由来。相場が動かないほど利益が出る設計
  • 種類は4つ|ロング・ショート・アイアン・ブロークンウィングを目的で使い分ける
    • ロングバタフライ=レンジ相場狙い(最も基本)、ショート=大変動狙い、アイアン=コールとプットの組み合わせ
    • コンドルスプレッドとの違いは「利益ゾーンの幅」。バタフライはピンポイント、コンドルはやや広い
  • 日経225・米国株・仮想通貨の3市場で実践できる
    • 日経225オプション(SBI証券・楽天証券等)は個別レッグで構築。ミニオプションなら少額から可能
    • 仮想通貨オプション(Deribit・Bybit)でもBTC建てのバタフライが組める
  • 注意点|利益ゾーンが狭く、手数料負けとスリッページが実際の敵
    • 理論上は損失限定だが、3本(アイアンなら4本)の注文を同時に通す必要があり約定コストがかさむ
    • 税金は日経225=申告分離課税20.315%、仮想通貨=雑所得(総合課税・最大55%)と大きく異なる
木田 陽介

バタフライスプレッドは「相場が動かない」に賭ける戦略です。損失が限定されるので初心者にも勧められることが多いですが、正直なところ、利益ゾーンの狭さと3本脚の約定コストを甘く見て負けるケースが実戦では多い。この記事では仕組みだけでなく「どこで失敗するか」まで率直に解説します。

木田 陽介
(株)ICHIZEN HOLDINGS

代表取締役

この記事の執筆者/監修者

2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。

監修 木田 陽介
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役

2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。

目次

バタフライスプレッドとは?基本情報

バタフライスプレッド(Butterfly Spread)とは、3つの異なる行使価格のオプションを組み合わせて、原資産価格が「狭い範囲に収まる」ことで利益を得る戦略です。最大損失が支払ったプレミアム(オプション料)に限定されるため、リスク管理がしやすい点が特徴です。

名前の由来は損益図(ペイオフダイアグラム)の形状にあります。中央の行使価格で最大利益、両端で最大損失となり、その形が蝶の羽に似ていることから「バタフライ」と呼ばれます。ストラドルやストラングルと同じく「ボラティリティ戦略」に分類されますが、損失が事前に確定する点がバタフライの最大の強みです。

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項目内容
戦略名バタフライスプレッド(Butterfly Spread)
分類ボラティリティ戦略(レンジ相場型)
使用する脚数3本(コールまたはプット)。アイアンバタフライは4本
最大利益中央行使価格と隣接行使価格の差額 − 支払いプレミアム
最大損失支払いプレミアム(ネットデビット)に限定
利益が出る条件満期時に原資産価格が中央の行使価格付近にある場合
相場観「大きく動かない」と予想するとき(ロングバタフライの場合)
対応市場日経225オプション・米国株オプション・仮想通貨オプション(Deribit等)

次の章から、バタフライスプレッドの具体的な仕組みと損益計算を掘り下げていきます。

バタフライスプレッドの仕組み|3つの行使価格で損益を限定する

バタフライスプレッドの核心は、「中央の行使価格で2枚売り、両端の行使価格で1枚ずつ買う」という3本脚の構造にあります。もっとも基本的な「ロング・コール・バタフライ」を例に、仕組みを具体的に見ていきましょう。

ロングバタフライの構造|「買い+売り+買い」の3本脚

ロング・コール・バタフライは、以下の3つのポジションを同じ限月・同じ原資産で同時に建てます。

  1. 低い行使価格のコールを1枚買う(例:行使価格35,000円)
  2. 中央の行使価格のコールを2枚売る(例:行使価格36,000円)
  3. 高い行使価格のコールを1枚買う(例:行使価格37,000円)

3つの行使価格の間隔は等間隔にするのが基本です(上の例では各1,000円間隔)。中央の行使価格は、現在の原資産価格(ATM付近)に設定するのが一般的です。このとき、売りで受け取るプレミアム(2枚分)よりも、買いで支払うプレミアム(2枚分)の方が大きくなるため、ポジション構築時に差額(ネットデビット)を支払います。

損益図(ペイオフダイアグラム)の読み方

バタフライスプレッドの損益図は、中央にピークがあり両端が平坦になる「蝶の羽」型です。ロングバタフライの場合、各ポイントの損益は次のようになります。

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満期時の原資産価格損益解説
35,000円以下最大損失(支払いプレミアム)全オプションがOTMで無価値失効。損失はネットデビット分のみ
35,000〜36,000円の間損失縮小→利益へ転換低い行使価格のコールに内在価値が発生し始める
36,000円ちょうど(中央)最大利益買いコールの利益が最大、売りコール2枚はATMで無価値に近い
36,000〜37,000円の間利益縮小→損失へ転換売りコール2枚の損失が膨らみ、買いの利益を食い始める
37,000円以上最大損失(支払いプレミアム)売りの損失と高い行使価格の買いの利益が相殺し、残るのはネットデビット分の損失

要するに、原資産が中央の行使価格にピタリと着地するほど利益が大きく、大きく離れるほど損失になるが、その損失は最初に支払ったプレミアムまでで止まるのです。この「損失の上限が確定している」という性質が、バタフライスプレッドの最大のメリットです。

最大利益・最大損失の計算方法

ロング・コール・バタフライの損益を数式で整理すると、以下のとおりです。

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項目計算式具体例(行使価格35,000/36,000/37,000円、間隔1,000円)
ネットデビット(支払額)低C買い+高C買い − 中C売り×2例:420円+180円 −(280円×2)= 40円
最大利益行使価格の間隔 − ネットデビット1,000円 − 40円 = 960円
最大損失ネットデビット40円
損益分岐点(下)低い行使価格 + ネットデビット35,000円 + 40円 = 35,040円
損益分岐点(上)高い行使価格 − ネットデビット37,000円 − 40円 = 36,960円

上の例では、最大利益960円に対して最大損失40円(リスクリワード比24:1)と理論上は非常に魅力的に見えます。しかし、最大利益が出るのは原資産が36,000円ちょうどに着地した場合のみ。現実には手数料(3本分)とスリッページも加わるため、額面通りの好条件にはならない点に注意が必要です。

バタフライスプレッドの種類|4つのバリエーション

バタフライスプレッドには、相場観や使用するオプションの組み合わせによって複数のバリエーションがあります。それぞれの特徴と使いどころを整理します。

この章の内容
  • ロングバタフライ(コール型・プット型)
  • ショートバタフライ
  • アイアンバタフライ
  • ブロークンウィング・バタフライ

ロングバタフライ(コール型・プット型)

もっとも基本的な形が「ロング・コール・バタフライ」です。前章で解説したとおり、低い行使価格と高い行使価格のコールを1枚ずつ買い、中央の行使価格のコールを2枚売ります。「相場が動かない(レンジ内に収まる)」と予想するときに使います。

同じ構造をプットオプションで組んだものが「ロング・プット・バタフライ」です。理論上の損益構造はコール型とまったく同じになります。実務では流動性の高い方(日経225オプションではコールの方が板が厚いことが多い)を選ぶのが一般的です。

ショートバタフライ|大変動に賭ける逆バージョン

ショートバタフライは、ロングの逆ポジションです。中央の行使価格のオプションを2枚買い、両端を1枚ずつ売ります。「相場が大きく動く」と予想するときに使いますが、最大利益がネットクレジット(受取額)に限定される一方、最大損失は行使価格の間隔から受取額を差し引いた額になります。

ストラドルやストラングルの買いと似た相場観ですが、バタフライの逆ポジションのため利益は小さめです。実務で使う機会はロングバタフライほど多くありません。

アイアンバタフライ|コールとプットを混ぜた4本脚

アイアンバタフライは、同じ行使価格のコール売りとプット売りを中央に置き、上下に離れた行使価格でコール買いとプット買いを1枚ずつ加える4本脚の戦略です。実質的にはロングバタフライと同じ損益構造ですが、ネットクレジット(受取)でポジションを組む点が異なります。

ロングバタフライとの大きな違いは約定のしやすさです。コールとプットを混ぜることで、片方の板が薄いときにもう片方で代替できるという実務上のメリットがあります。特にBTC等の仮想通貨オプションでは、アイアンバタフライの方が流動性を確保しやすいケースがあるでしょう。

ブロークンウィング・バタフライ|片側のリスクを偏らせる応用型

ブロークンウィング・バタフライ(BWB)は、行使価格の間隔を左右非対称にした変形版です。たとえば「下落方向のリスクは抑えつつ、上方向には少し余裕を持たせる」といった方向感を織り込んだバタフライが組めます。

中上級者向けの応用戦略で、通常のバタフライに慣れてから検討するのが無難です。本記事では基本形の理解を優先します。

バタフライ vs コンドル vs ストラドル|似た戦略との違い

バタフライスプレッドは「ボラティリティ戦略」の一種ですが、同じカテゴリに属するコンドルスプレッドやストラドルとは損益構造が異なります。どれを選ぶかは「利益ゾーンの幅と深さのトレードオフ」で決まります。

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戦略利益ゾーン最大利益最大損失脚数向いている場面
ロングバタフライ狭い(中央の行使価格付近のみ)大きいネットデビット3本「ここに着地する」と高い確信があるとき
ロングコンドルやや広い(中央2つの行使価格の間)やや小さいネットデビット4本「この範囲には収まる」と思うが着地点は絞れないとき
ショートストラドル中程度受取プレミアム理論上無限2本レンジ相場を見込むが損失無限を許容できるとき
ショートストラングル広い受取プレミアム理論上無限2本広めのレンジ内で収まると予想するとき

バタフライの強みは「損失が限定される」こと、弱みは「利益ゾーンが狭すぎる」ことです。コンドルは利益ゾーンを広げる代わりに最大利益が小さくなります。ストラドル・ストラングルの売りは利益ゾーンが広い反面、損失が無限大のリスクを抱えます。自分のリスク許容度と相場の確信度で使い分けるのが実務的な判断です。

バタフライスプレッドとストラドルストラングルの詳しい解説は、それぞれの記事で確認できます。

バタフライスプレッドのメリット・デメリット

バタフライスプレッドの長所と短所を率直に整理します。教科書的なメリットだけでなく、実際にポジションを組んだときに感じるデメリットまで踏み込みます。

メリット
  • 最大損失が事前に確定する|支払ったプレミアム以上は失わない
  • リスクリワード比が理論上は高い|少ないコストで大きな利益の可能性
  • セータ(時間減価)が満期に近づくほど味方になる|中央付近なら時間が経つほど有利
  • 証拠金が比較的少額|売りと買いが相殺されるため、裸売りよりネット証拠金が低い
デメリット
  • 利益ゾーンが極めて狭い|原資産が中央から外れるほど利益が急減する
  • 手数料が3本分(アイアンなら4本分)かかる|少額の利益を手数料が食いつぶすリスク
  • スリッページが発生しやすい|3〜4本を同時に約定させる必要があり、流動性が低い銘柄では不利
  • 途中決済が難しい|3本脚を同時に手仕舞うのは約定の関係で想定より困難
  • 満期直前の「ピンリスク」|中央行使価格近辺で満期を迎えると、売りオプションが行使されるか否かが不確定で、意図しないポジションを抱える可能性がある

バタフライスプレッドの実践|日経225・米国株・仮想通貨

バタフライスプレッドは理論だけでなく、実際に日経225オプション・米国株オプション・仮想通貨オプションの3市場で組むことができます。市場ごとの特徴と始め方を整理します。

この章の内容
  • 日経225オプションでの組み方
  • 米国株オプションでの組み方
  • 仮想通貨オプション(Deribit・Bybit)での組み方

日経225オプション|SBI証券・楽天証券で個別レッグを構築

日本で最も一般的なバタフライの実践場所が日経225オプション(大阪取引所上場)です。SBI証券・楽天証券・松井証券・三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)などで取引できます。

ただし、日本の証券会社のほとんどは「バタフライ」として一括発注する機能を持っていません。3本のレッグ(脚)を個別に注文して自分で組み立てる必要があります。注文の際は以下の手順を踏みます。

  1. 日経225オプションの板情報を確認し、中央の行使価格(ATM付近)を決める
  2. 中央から等間隔で上下の行使価格を選ぶ(例:中央36,000円→下35,500円・上36,500円)
  3. 低い行使価格のコールを1枚買い、中央を2枚売り、高い行使価格を1枚買い、の3注文をなるべく同時に出す
  4. 約定後にネットデビットを確認し、想定どおりの損益構造になっているかを検証する

少額で始めたい場合は日経225ミニオプションが選択肢です。通常オプションの10分の1の単位で取引でき、楽天証券のトウシルでは具体的な持ち切り型バタフライの構築例が紹介されています(※1)。ミニオプションの手数料は1枚あたり19.8円(税込)と低コストです。

米国株オプション|moomoo証券・サクソバンク証券で取引可能

S&P500やナスダック100、個別株(NVIDIA・Apple等)の米国株オプションでもバタフライは組めます。日本から取引できる主な証券会社はmoomoo証券とサクソバンク証券です。

米国株オプションの利点は流動性が圧倒的に高いこと。S&P500オプション(SPX/SPY)やVIXオプションは板が厚く、3本脚でもスリッページが比較的小さい傾向があります。CMEグループは公式教育資料「25の定番戦略」でバタフライを収録しており、先物オプションでの運用も想定されています(※2)。

米国株オプションに興味がある方は、オプション取引おすすめ証券会社8選の記事も参考にしてください。

仮想通貨オプション|Deribit・Bybitでビットコインのバタフライ

仮想通貨オプションの分野でもバタフライは活用されています。世界最大の暗号資産オプション取引所Deribitでは、BTC・ETHのオプションでバタフライを組むことが可能で、公式ブログで「The Call Butterfly Strategy」として戦略を解説しています(※3)。Bybitでもバタフライスプレッドの組み方が公式ヘルプで紹介されています。

仮想通貨オプションでバタフライを使うメリットは、ビットコインの高いボラティリティに対して損失を限定しつつレンジ予想ができる点です。ただし、日経225や米国株オプションと比べて板が薄く、スリッページが大きくなりやすい点には注意が必要です。

バタフライスプレッドに対応する証券会社・取引所

バタフライスプレッドを組める主な証券会社・取引所を一覧で比較します。「バタフライ一括注文」に対応している会社は日本では少なく、ほとんどが個別レッグの手動構築になります。

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証券会社・取引所対応市場バタフライ構築方法特徴
SBI証券日経225オプション個別レッグで手動構築HYPER SBIで板を見ながら発注可能
楽天証券日経225オプション(ミニ含む)個別レッグで手動構築ミニオプション対応。トウシルに戦略解説記事あり
松井証券日経225オプション個別レッグで手動構築証拠金シミュレーター提供
三菱UFJ eスマート証券日経225オプション個別レッグで手動構築先物・オプションボードで管理
サクソバンク証券米国株・指数オプション個別レッグで手動構築海外オプション多数対応
moomoo証券米国株オプション個別レッグで手動構築ロングバタフライの戦略解説を提供
DeribitBTC/ETHオプションコンボ注文に対応暗号資産オプション最大手。建玉約269億ドル規模
BybitBTC/ETHオプション個別レッグで構築バタフライ戦略の公式解説あり

日経225オプションの取引を検討する場合、SBI証券と楽天証券の手数料はほぼ横並びで、選択のポイントは取引ツールの使いやすさや板情報の見やすさになります。少額から試すなら楽天証券のミニオプションが入口として適しています。

ICHIZEN Capitalの視点|バタフライで失敗しやすい3つのパターン

バタフライスプレッドは「損失限定」という安心感がある一方で、実際に組んでみると想定と違う結果になるケースが少なくありません。ここでは、実務でよく見られる失敗パターンを率直にまとめます。

失敗パターン1:手数料負け|利益を3本分の手数料が食いつぶす

バタフライは3本(アイアンなら4本)のレッグを組みます。1本あたりの手数料が小さくても、往復で6〜8回分の売買手数料がかかる計算です。ネットデビットが数十円〜数百円程度の小さいバタフライでは、手数料だけで利益が消えてしまうことがあります。

対策としては、行使価格の間隔をある程度広げて1回あたりの利益ポテンシャルを大きくするか、手数料の安い証券会社(ミニオプションなど)を選ぶことが有効です。

失敗パターン2:スリッページ|3本同時約定の難しさ

3本のレッグを「同時に」約定させるのは、理論より遥かに難しい作業です。1本目を約定させている間に原資産価格が動けば、2本目・3本目の約定価格がずれます。このスリッページが積み重なると、計算上は有利だったバタフライが不利なポジションに変わるのです。

流動性の高い市場(日経225オプションのATM付近、S&P500オプション等)を選び、板が薄い時間帯(開場直後・引け際)を避けることがスリッページ軽減のポイントです。

失敗パターン3:満期直前のピンリスク

満期日に原資産価格が中央の行使価格ギリギリにあると、売りオプションが行使されるかどうかが確定しない「ピンリスク」が発生します。特に日経225オプションの最終清算値(SQ値)は寄り付きで決まるため、前日の引け値とSQ値が大きくずれることがあります。

ピンリスクを避けるには、満期数日前の時点で含み益があれば途中決済して利益を確定するのが安全策です。「最大利益を狙って満期まで持ち切る」執着が裏目に出ることは珍しくありません。

木田 陽介

正直に言うと、バタフライで「最大利益」が出るケースは稀です。実践では最大利益の3〜5割を取れれば十分。満期前に利確するルールを事前に決めておくのが、長く使い続けるコツだと思います。

バタフライスプレッドの税金

バタフライスプレッドの損益にかかる税金は、取引する市場によって税制が大きく異なります。投資判断の前に、税率の違いを把握しておくことが重要です。

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市場税区分税率損益通算繰越控除
日経225オプション先物取引に係る雑所得等(申告分離課税)20.315%先物・オプション間で可能3年間繰越可
米国株オプション先物取引に係る雑所得等(申告分離課税)20.315%先物・オプション間で可能3年間繰越可
仮想通貨オプション雑所得(総合課税)最大約55%(所得税45%+住民税10%)仮想通貨内のみ繰越不可

日経225・米国株オプションでのバタフライは申告分離課税(一律20.315%)です。損失が出た場合は他の先物・オプション取引の利益と損益通算でき、翌年以降3年間の繰越控除も使えます。

一方、仮想通貨オプション(Deribit・Bybit等)は雑所得として総合課税になります。給与などの他の所得と合算され、所得が高いほど税率が上がります。仮想通貨オプションでバタフライを組む場合は、税負担まで含めた損益計算が不可欠です。確定申告の詳細は仮想通貨の税金の記事で解説しています。

よくある質問

バタフライスプレッドとは初心者にもわかるように言うと何ですか?

「相場が大きく動かない」と予想するときに使う戦略です。3つの行使価格でオプションを組み合わせ、原資産が中央の価格付近に着地すれば利益、大きく離れると損失になります。最大損失は最初に支払った金額に限定されるため、リスク管理がしやすい点が特徴です。

ロングバタフライとショートバタフライの違いは何ですか?

ロングバタフライは「相場が動かない」に賭けるポジションで、中央の行使価格で売り・両端で買いを組みます。ショートバタフライはその逆で「相場が大きく動く」に賭け、中央で買い・両端で売りを組みます。ロングが圧倒的に使われる頻度が高く、ショートは利益が小さいため実務ではあまり使われません。

バタフライスプレッドとコンドルスプレッドの違いは何ですか?

どちらもレンジ相場型の損失限定戦略ですが、利益ゾーンの幅が異なります。バタフライは利益ゾーンが1点(中央の行使価格)に集中し、最大利益は大きいが当たりにくい設計です。コンドルは利益ゾーンが中央2つの行使価格の間に広がり、最大利益は小さいが当たりやすい設計です。「ピンポイント予想」ならバタフライ、「ざっくりレンジ」ならコンドルが適しています。

アイアンバタフライとバタフライスプレッドの違いは何ですか?

損益構造はほぼ同じですが、使うオプションの組み合わせが異なります。通常のバタフライはコール(またはプット)のみで3本脚、アイアンバタフライはコールとプットを混ぜた4本脚です。アイアンバタフライはネットクレジット(受取)で組めるため、一部の市場では流動性を確保しやすいメリットがあります。

バタフライスプレッドはどんな相場環境で使うべきですか?

もっとも有効なのは「レンジ相場(ボックス相場)が続く」と見込めるタイミングです。具体的には、重要イベント通過後にボラティリティが低下する局面や、IV(インプライド・ボラティリティ)が高すぎると判断したときにロングバタフライを建てるケースが多いです。逆に、決算発表やFOMCなど大きな変動が予想される局面では不向きです。

日経225オプションでバタフライを組むにはいくら必要ですか?

ロングバタフライの場合、必要資金はネットデビット(支払いプレミアム)+手数料です。通常の日経225オプションでは行使価格の間隔や残存期間によりますが、数万円〜十数万円程度からポジションを組めます。ミニオプション(通常の10分の1単位)を使えば、さらに少額から始められます。

バタフライスプレッドに対応している日本の証券会社はどこですか?

日経225オプションを扱うSBI証券・楽天証券・松井証券・三菱UFJ eスマート証券などで構築できます。ただし「バタフライ」として一括発注できる証券会社は日本ではほとんどなく、3本のレッグを個別に注文して自分で組み合わせる必要があります。米国株オプションではmoomoo証券やサクソバンク証券が対応しています。

ビットコイン(仮想通貨)オプションでもバタフライは使えますか?

はい、使えます。Deribit(世界最大の暗号資産オプション取引所)やBybitでBTC・ETHのオプション取引が可能で、バタフライスプレッドを組む環境があります。ただし、日経225や米国株オプションと比べて板が薄く、スリッページのリスクが高い点と、税制が雑所得(総合課税・最大約55%)になる点には注意が必要です。

バタフライスプレッドの確定申告はどうすればいいですか?

日経225オプション・米国株オプションでの損益は「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税(20.315%)です。確定申告書の「先物取引に係る雑所得等」の欄に損益を記載します。損失が出た場合は翌年以降3年間の繰越控除が可能です。仮想通貨オプションは雑所得(総合課税)となり、計算方法が異なるため税理士への相談を推奨します。

バタフライスプレッドで失敗しやすいポイントは何ですか?

代表的な失敗は3つあります。1つ目は手数料負け(3本分の手数料がネットデビットに対して大きすぎる)。2つ目はスリッページ(3本の同時約定が困難で不利な価格で約定する)。3つ目は満期直前のピンリスク(中央行使価格近辺で売りが行使されるか不確定になる)。対策は行使価格の間隔を適切に取り、流動性の高い市場で組み、満期前に利確ルールを決めておくことです。

まとめ|バタフライスプレッドは「損失限定のレンジ狙い」、ただし利益ゾーンの狭さを甘く見ない

バタフライスプレッドは、3つの行使価格を組み合わせて「相場が動かない」に賭ける損失限定型の戦略です。最大損失が支払いプレミアムに限定されるため理論上はリスクリワード比に優れますが、利益ゾーンが極めて狭く、手数料・スリッページ・ピンリスクという実務上のハードルがあります。

種類はロング・ショート・アイアン・ブロークンウィングの4つ。実践では日経225オプション(SBI証券・楽天証券等)・米国株オプション(moomoo証券・サクソバンク証券)・仮想通貨オプション(Deribit・Bybit)の3市場で組むことが可能です。

税金は市場によって大きく異なり、日経225・米国株は申告分離課税(20.315%)、仮想通貨は雑所得(総合課税・最大約55%)です。バタフライを使いこなすには、仕組みだけでなく、税負担・約定コスト・利確ルールまで含めた総合判断が求められます。「損失限定だから安心」と過信せず、実践のハードルまで理解した上で活用しましょう。

参考文献

1. 楽天証券トウシル「ミニオプションの両建て戦略(持ち切り型ロングバタフライ)」https://media.rakuten-sec.net/articles/-/42018
2. CMEグループ「25の定番戦略(日本語版)」https://www.cmegroup.com/articles/files/2022/25-proven-strategies-ja.pdf
3. Deribit Insights「Mastering Bitcoin Volatility: The Call Butterfly Strategy」https://insights.deribit.com/daily-trade-inspiration/mastering-btc-volatility-the-call-butterfly-strategy/
4. JPX 大阪取引所「デルタニュートラルとストラドル・バタフライ」https://www.jpx.co.jp/ose-toshijuku/column/OPdeltabasic04.html
5. 国税庁「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」https://www.nta.go.jp/

※本記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品・暗号資産への投資を勧誘するものではありません。オプション取引にはリスクが伴い、特に売りポジションでは想定を超える損失が発生する可能性があります。手数料・税制・制度は変更される場合があるため、最新の情報は各証券会社・取引所の公式サイトおよび国税庁の情報でご確認ください。税務の具体的な判断は税理士等の専門家にご相談ください。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

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