Bitgetがハッキング被害で約563億円流出|出金一時停止・利用者の資産は安全か・日本利用者の対処を解説

「忙しい人向け」ニュース要約


  • 暗号資産取引所Bitgetがハッキング被害を受け、約3億5,160万ドル(約563億円)が不正に流出した
  • 出金は一時停止(入金・取引は継続)。被害はホット/ウォームウォレットの一部で、コールドウォレットは無事とされる
  • 同社は約4億6,400万ドルのユーザー保護基金で全額カバー可能と主張し、24時間以内に原因報告書を出すとした
  • 2026年で最大級の取引所流出。Bitgetは日本撤退の手続き中でもあり、日本の利用者は出金停止と重なる点に注意
  • 【続報】流出額は約3億8,750万ドル(約610億円)に上方修正。出金は段階的に再開(BTC 9月28日17:00・JST〜)、損失はユーザー保護基金で補填する方針

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水野 倫太郎

まず落ち着いて事実を押さえます。
流出は起きたが、コールドウォレットと保護基金が焦点です。

水野 倫太郎
(株)ICHIZEN HOLDINGS

代表取締役

この記事の執筆者/監修者

慶應義塾大学経済学部卒。2017年米国留学時にブロックチェーンと出会い、Web3の業界に足を踏み入れる。2018年、仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。2019年には同社のCMOに就任し、2020年に東証二部上場企業とM&Aを行い、様々なクリプト事業を展開。2022年に現在代表取締役社長を務めるICHIZEN HOLDINGSを立ち上げ様々なWeb3事業を手がける。複数のWeb3系事業に出資を行いながら有識者として活動。

監修 水野 倫太郎
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役

慶應義塾大学経済学部。2017年米国留学時にブロックチェーンと出会い、Web3の業界に足を踏み入れる。2018年には、日本有数の仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。2019年には同社のCMOに就任し、2020年に東証二部上場企業とM&Aを行い、様々なクリプト事業を展開する。2022年に現在代表取締役社長を務めるICHIZEN HOLDINGSを立ち上げ様々なWeb3事業を手がける。複数のWeb3系事業に出資を行いながら有識者として活動。

目次

何が起きたのか|約563億円が不正流出

暗号資産取引所のBitgetは2026年9月、ハッキングによって約3億5,160万ドル(1ドル約160円換算で約563億円)が不正に流出したと明らかにしました(※1)。同社のGracy Chen(グレイシー・チェン)CEOがX(旧Twitter)で声明を出し、被害額を公表しています。これは2026年で最大級の取引所からの流出で、9月の暗号資産の被害総額を一気に押し上げました。

Bitgetの説明によると、2026年9月24日18時31分(協定世界時)に、複数のホットウォレット(常時ネットに接続した取引用の財布)から不正な送金が出ていることをセキュリティシステムが検知しました。資産をオフラインで保管するコールドウォレットは影響を受けていないとされ、被害はホットウォレットとウォームウォレットの一部に限られると説明されています。

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項目内容
流出額約3億5,160万ドル(約563億円)=2026年で最大級
検知日時2026年9月24日 18時31分(UTC)
被害箇所ホット/ウォームウォレットの一部(コールドは無事とされる)
出金一時停止(入金・取引は継続)
補填ユーザー保護基金(約4億6,400万ドル)で全額カバー可能と主張
公式対応24時間以内に原因・対策の報告書を公表予定(本記事時点で確認中)
Bitget CEOの声明および各社報道(2026年9月24〜25日)より作成

【9/28更新】出金を段階的に再開・流出額は約610億円に上方修正

本記事の公開後、Bitgetから続報が発表されました。以下は2026年9月26〜28日の同社の公式発表と各社報道に基づく更新です。

まず流出額について、Bitgetは当初の約3億5,160万ドルから、集計に含まれていなかったZEC(Zcash)やTRX(Tron)を加えて約3億8,750万ドル(約610億円)へ上方修正しました。あわせて同社は、脆弱性はすでに特定・修正済みで、Mandiant(Google傘下)やSlowMistといった外部のセキュリティ専門会社が調査に協力していると説明しています。

そのうえで、一時停止していた出金を段階的に再開すると発表しました。スケジュールは次のとおりです(いずれも日本時間)。

対象再開日時(JST)対応ネットワーク
BTC9月28日 17:00Bitcoin
ETH9月29日 17:00Ethereum/BSC/Arbitrum/Base/Optimism
USDT9月30日 17:00Ethereum/BSC/Solana/Tron
その他トークン・法定通貨・P2P10月2日 17:00–
Bitgetが発表した出金の段階的再開スケジュール。出典:Bitget公式(2026年9月26日発表)。時刻は協定世界時(UTC)8:00を日本時間17:00に換算

同社は、今回の出金停止はセキュリティ上の一時的な措置であり、ユーザーの残高には影響がないと説明しています。そのうえで、今回のプラットフォーム規模の損失はユーザー保護基金(約4億6,400万ドル)で補填するとしています。CEOのGracy Chen氏は、BTC出金の再開直前にあたる9月28日16:30(日本時間)にAMA(質疑応答)を実施するとしました。以下は同社の公式発表です。

ただし、「補填する方針」であることと、「実際に補填が完了する」ことは別です。基金の評価方法や、請求が自動か申請制かといった手続きの詳細は、本記事時点で完全には示されていません。とくに日本の利用者は、もともとの撤退手続き(2026年12月31日以降は強制決済)とも重なるため、公式の一次情報を確認しながら、出金再開後は計画的に引き出すことをおすすめします。

利用者の資産は安全なのか

Bitget側は「ユーザーの資産は安全」と説明しています。根拠として挙げているのが、被害を受けていないコールドウォレットと、損失を穴埋めするためのユーザー保護基金です。同社の保護基金は約4億6,400万ドルとされ、今回の流出額(約3億5,160万ドル)を上回るため、計算上は全額を基金でカバーできるという主張です。

ただし、注意したいのは「カバーできる」と「実際に補填された」は別だという点です。金額の上では基金が損失を上回っていても、補填の対象範囲・時期・手続きは今後の同社の対応しだいになります。加えて、出金が一時停止されている間は、たとえ資産が帳簿上あっても手元に引き出せません。安全性の最終的な評価は、Bitgetが予告した原因報告書と出金再開のタイミングを見てから判断するのが妥当です。

攻撃の手口|Arbitrum上の異常な買いから始まった

攻撃の正確な経路(どこから侵入されたか)について、Bitgetは調査中として断定を避けています。一方で、ブロックチェーン上の動きを追うオンチェーン分析からは、流出の流れがある程度読み取れます。あくまで第三者の分析にもとづく推定である点を前提に整理します。

分析によると、新規に作られたアドレスが約1,967万USDTを使い、Arbitrum(イーサリアムの拡張ネットワーク)上で約6分間に7,111ETHを、相場より最大5%高い価格で買い付けたとされます。その後、複数のウォレットからETH・USDT・USDC・AVAX・BNBなどが単一の新規アドレスへ集約され、最初の約1時間で1億7,000万ドルを超える資産が動いたと報告されています。相場より高く買うという不自然な取引は、盗んだ資金を素早く動かす過程で生じたとみられます。

日本の利用者への影響|撤退手続き中の出金停止に注意

日本の利用者にとっては、事情がやや特殊です。Bitgetは金融庁から無登録での勧誘について警告を受けており、2026年8月に日本居住者向けサービスの段階的な終了を発表していました。新規登録は停止済みで、2026年12月31日以降は未決済ポジションが強制決済されるスケジュールが示されています(※2)。

つまり日本の利用者は、もともと撤退にあわせて資産を引き出す必要があるのに、今回のハッキングで出金が一時停止されたという重なりに直面しています。今できることは、あわてて操作するより次の点を押さえることです。

  • Bitgetの公式アナウンスと出金再開の告知を一次情報で確認する(SNSの不確かな情報に反応しない)
  • 出金が再開されたら、撤退スケジュール(12月31日)より前に資産を計画的に引き出す
  • 「補填」「サポート」をかたるフィッシング(偽サイト・偽DM)に注意する。相談先は消費者ホットライン188

なお、編集部が保有するBitgetアカウントを2026年9月25日時点で確認したところ、口座の資産残高に変化はありませんでした。ここからは推測になりますが、今回の被害は取引所側のホットウォレットで起きたもので、個々の利用者の残高が直接引き出された事象ではない可能性があります。日本の利用者についても、少なくとも残高そのものが減っているわけではないと見られます。ただしこれはあくまで編集部の一例であり、出金停止は続いているため資産を動かせない状態である点は変わりません。最終的な影響はBitgetの報告書と出金再開を待って判断してください。

編集部のBitgetアカウントの資産概要 残高303.70USDで変化なし(2026年9月25日時点)
編集部が保有するBitgetアカウントの資産概要(2026年9月25日時点)。総資産評価額は約303.70USD(USDT 303.8)で、ハッキング後も残高に変化は見られなかった(出所:編集部のBitget画面)

Bitgetの日本撤退の全体像(出金期限・強制決済・乗り換え先)はBitgetの日本撤退を解説した記事で整理しています。

ICHIZEN Capitalの視点|「安全」は主張でなく実績で見る

今回のニュースで押さえておきたいのは、どんな大手取引所でもハッキングの標的になり得るという現実です。差が出るのは「被害に遭うかどうか」だけでなく、被害に遭ったときにどれだけ守れる設計になっているかです。今回で言えば、資産の大半をオフラインのコールドウォレットに置いていたこと、損失を上回る保護基金を持っていたことが、被害を限定する要素として働いています。

一方で、「ユーザーの資産は安全」という取引所側の主張と、実際に出金できる状態は別物です。安全性は声明ではなく、コールドウォレットの比率・保護基金・そして過去の無事故という実績で見るのが現実的です。加えて、日本の金融庁に登録していない海外取引所は、トラブル時に国内の枠組みでの救済を受けにくい点も、あらためて意識しておく必要があります。長く無事故で運営されてきた取引所を選ぶことは、こうしたリスクを下げる一つの方法です。

今回のニュースから学べること
  • 大手でもハッキングの標的になる=「絶対安全」はない
  • 差が出るのはコールド比率・保護基金・無事故の実績
  • 「安全」の主張と、実際に出金できる状態は別
  • 無登録の海外取引所はトラブル時の救済を受けにくい

よくある質問

Bitgetのハッキングはいつ、いくら流出したのですか?

Bitgetは2026年9月24日18時31分(UTC)に不正送金を検知し、約3億5,160万ドル(約563億円)が流出したと公表しました。2026年で最大級の取引所からの流出です。

利用者の資産は無事ですか?

Bitgetはコールドウォレットが無事で、約4億6,400万ドルのユーザー保護基金で損失を全額カバーできると説明しています。ただし「カバーできる」ことと「実際に補填された」ことは別で、出金停止中は資産を引き出せません。最終判断は同社の報告書と出金再開を見てからが妥当です。

出金はできますか?いつ再開しますか?

本記事時点で出金は一時停止されています(入金と取引は継続)。再開の時期は同社の告知しだいです。Bitgetは24時間以内に原因報告書を出すとしており、公式の一次情報で確認してください。

ホットウォレットとコールドウォレットの違いは?

ホットウォレットは常時ネットに接続した取引用の財布で、利便性が高い反面、攻撃を受けやすい部分です。コールドウォレットは資産をオフラインで保管する財布で、外部から狙われにくいのが特徴です。今回の被害はホット/ウォームの一部で、コールドは無事とされています。

日本の利用者は何をすればいいですか?

Bitgetは日本撤退の手続き中(2026年12月31日以降は強制決済)で、今回の出金停止と重なっています。公式の出金再開の告知を一次情報で確認し、再開後は撤退期限より前に計画的に引き出すのが基本です。補填やサポートをかたるフィッシングにも注意してください。

保護基金があれば必ず全額返ってきますか?

金額の上では基金(約4億6,400万ドル)が流出額(約3億5,160万ドル)を上回るため、計算上はカバー可能です。ただし補填の対象・時期・手続きは同社の対応しだいで、「必ず全額返る」と保証されたものではありません。公式の続報を確認してください。

ハッキング被害の少ない取引所はどこですか?

運営年数が長く、大きなハッキング被害を出していない取引所は判断材料になります。ただしどの取引所も「絶対安全」ではないため、コールドウォレットの運用や過去の無事故という実績を含めて総合的に選ぶことが大切です。

自分の資産を守るにはどうすればいいですか?

取引所に置く資産を必要な分に絞る、長期保有分は自己管理のウォレットに移す、二段階認証を有効にする、といった基本が有効です。取引所を選ぶ際は、手数料や機能だけでなく、コールドウォレットの運用や過去の無事故という実績も確認してください。

まとめ|流出は起きた。焦点はコールド・基金・実績

この記事のまとめ
  • Bitgetがハッキングで約563億円(約3.5億ドル)流出
  • 出金は一時停止(入金・取引は継続)
  • コールドは無事・保護基金で全額カバー可能と主張
  • 日本は撤退手続き中=出金停止と重なり注意
  • 安全は主張でなく、無事故の実績で見る

Bitgetのハッキングは、約3億5,160万ドルという2026年最大級の流出でありながら、コールドウォレットと保護基金によって被害を限定できるかどうかが焦点です。ただし「安全」という主張と、実際に出金できる状態は別物であり、最終的な評価は同社の原因報告書と出金再開のタイミングを見てからになります。

とくに日本の利用者は、もともと撤退にあわせて資産を引き出す必要がある中での出金停止という重なりに直面しています。あわてて操作せず、公式の一次情報を確認しながら対応してください。そのうえで、取引所選びでは手数料や機能だけでなく、長く無事故で運営されてきたという実績も判断材料に加えることをおすすめします。

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水野倫太郎 水野倫太郎|株式会社ICHIZEN HOLDINGS 共同代表@mizuno_ichizen

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※1 Bitget CEO(Gracy Chen)によるX上の声明、およびBloomberg・CoinDesk・NADA NEWSほか各社報道(2026年9月24〜25日)
※2 Bitgetの日本居住者向けサービス終了に関する発表(2026年8月)・各社報道。流出額・保護基金額・時刻は各社報道値で、確定した最終報告は同社の公式報告書を参照
※為替は1ドル約160円で円換算(概算)

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