Pudgy Penguins(PENGU/パジーペンギン)とは?最高値はローンチ初日という現在地・ETF申請書は16か月間未修正・国内取扱いゼロを忖度なく解説

ICHIZEN Capitalのイチ押しポイント!


  • PENGUは、8,888体のNFT「Pudgy Penguins」から生まれたSolanaのトークン
    • NFTは2021年7月に匿名の開発者4人が公開し、2022年初頭に創業者がコミュニティによって追放されています
    • 実物の玩具・独自チェーンAbstractまで展開しており、絵柄だけのミームコインとは事情が異なります
  • 最高値はローンチ初日。そこから約91.0%下落したまま戻していない
    • 価格は約0.0062ドル(約1.0円)、時価総額は約629億円で118位前後です(2026年7月時点)
    • 2024年12月17日の配布開始当日に0.068447ドルを付け、以後1年8か月更新していません
  • 見落とされがちな事実|「ETF申請中」の中身は、16か月間1度も修正されていない申請書
    • 編集部がSEC提出書類を直接確認したところ、S-1は2025年3月20日の初版のみで修正版がありません
    • 申請書には空欄と括弧付きの未確定値が残ったままで、SEC自身の判断期限も過ぎています
  • 日本の取引所での取扱いはゼロ。税金は話題の「20%分離課税」の対象外
    • JVCEAの取扱一覧に記載がなく、国内主要5社いずれも未上場でした(公開データで実測)
    • 実在してロックされたPENGUが約166億枚残り、2028年12月まで解除が続く計算になります
木田 陽介

PENGUは「ETF申請が進んでいる期待の銘柄」として紹介されがちですが、忖度なく言うと、そこが最大の誤解です。実際にSECの提出書類を1件ずつ辿ったところ、申請書は2025年3月の初版から1度も更新されていませんでした。しかも中身には空欄と未確定の数値が残ったままです。他のミームコインと違い、NFTや玩具という実体を持つ点は正当に評価できます。ただし数字と書類は自分で確かめると景色が変わります。順番に見ていきましょう。

木田 陽介
(株)ICHIZEN HOLDINGS

代表取締役

この記事の執筆者/監修者

2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。

監修 木田 陽介
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役

2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。

目次

Pudgy Penguins(PENGU)とは?基本情報

Pudgy Penguins(PENGU/パジーペンギン)は、8,888体のNFTコレクション「Pudgy Penguins」から生まれた、Solana上のトークンです。2024年12月17日にエアドロップという形で配布が始まりました。NFTのブランドを軸に、実物の玩具や独自チェーンまで広げている点が特徴になります。

ここで押さえておきたいのが、PENGUは「ミームコイン」に分類されつつも、DOGEやPOPCATのような絵柄だけの銘柄とは成り立ちが違うという点です。背後にはNFTの知的財産を保有する企業があり、玩具の販売という実際の売上も存在します。一方で、その事業の売上がトークンの保有者に還元される仕組みは用意されていません。この距離感が、PENGUを評価するうえでの出発点になります(※1)。

スクロールできます
項目内容(2026年7月時点)
名称Pudgy Penguins(パジーペンギン)/ティッカー:PENGU
チェーンSolana(主軸)/Ethereum・Abstract・BNB Chain・HyperEVMにも展開
分野NFT発のミームコイン・コミュニティトークン
トークン誕生2024年12月17日(エアドロップ配布開始)
NFTコレクション誕生2021年7月/8,888体
コントラクト(Solana)2zMMhcVQEXDtdE6vsFS7S7D5oUodfJHE8vd1gnBouauv
価格約0.0062ドル(約1.0円)
時価総額約3億8,797万ドル(約629億円)/118位前後
24時間出来高約6,754万ドル(時価総額比 約17.4%)
循環供給量約628億6,040万枚(最大供給量の約70.7%)
最大供給量88,888,888,888枚(公称)
実測供給量(5チェーン合計)約794億8,856万枚(オンチェーンで実測。公称より約10.6%少ない)
発行権限(mint authority)放棄済み=追加発行は不可(オンチェーンで実測)
凍結権限(freeze authority)放棄済み=運営による口座凍結は不可(オンチェーンで実測)
過去最高値0.068447ドル(2024年12月17日)※現在は約91.0%下
Binanceでの扱い現物・無期限先物ともに取扱いあり(2024年12月17日開始)
日本での取扱い国内取引所は取扱いなし(海外取引所で購入)
日本での税務上の扱い暗号資産(雑所得・総合課税/20%分離課税の対象外)

価格・時価総額は日々変動します。ここからは「NFTとしての実体」と「トークンとしての現在地」を切り分けて解説していきます。PENGUはブランドが強いぶん、この2つが混ざって語られやすい銘柄だからです。

PENGUの現在地|最高値はローンチ初日、そこから約91%下落

ブランドの話に入る前に、投資判断に必要な数字を先に確認します。PENGUの価格は約0.0062ドル(約1.0円)、時価総額は約3億8,797万ドル(約629億円)で、CoinGecko基準の順位は118位前後です(2026年7月時点・※1)。

注目すべきは最高値を付けた日付です。過去最高値0.068447ドルの記録日は2024年12月17日——エアドロップの配布が始まったその日でした。つまりPENGUは取引が始まった初日に天井を打ち、以後1年8か月にわたって一度もその水準を更新していないことになります。現在はそこから約91.0%下落しており、戻すには約11.1倍が必要な計算です。

スクロールできます
時点価格現在との比較
過去最高値(2024年12月17日=配布開始当日)0.068447ドル約91.0%下/回復には約11.1倍
過去最安値(2025年4月9日)約0.0037ドル約1.66倍上
現在(2026年7月時点)約0.0062ドル

直近の推移も芳しくありません。1年前と比べて約80.5%下落し、直近30日でも約14.5%下げています(※1)。この形は、エアドロップ型のトークンに繰り返し現れるものです。配布された大量のトークンが初日から売りに回る一方、買う側は期待だけで支えなければならないため、初値が天井になりやすい構造があります。「これから上がる話」ではなく「1年8か月戻せていない事実」から出発するほうが、判断を誤りにくいでしょう。

見落とされがちな論点|「PENGUのETF申請」の中身を書類で確かめた

PENGUを語るとき、必ずと言っていいほど「米国でETFが申請されている」という材料が挙げられます。日本語の解説記事の多くは、ここを期待材料として短く触れるにとどめています。そこで編集部は、SECの提出書類そのものを直接取得して中身を確認しました。結果は、一般に流通している説明とかなり印象が異なります。

本記事の検証方法

2026年7月、編集部が米国SECのEDGAR(提出書類データベース)と連邦官報(Federal Register)のAPIへ直接照会し、Canary PENGU ETF(CIK 0002059693)の全提出書類と、Cboe BZXの規則変更申請(SR-CboeBZX-2025-081)に関する全公示文書を取得して確認しました。あわせてS-1の原文も直接読んでいます。各数値に取得時点を併記しています。

S-1は2025年3月20日の初版のみ|16か月間、1度も修正されていない

Canary PENGU ETFがSECに提出した書類は、2025年3月20日のS-1(登録届出書)1件だけです。編集部がEDGARの提出履歴を照会したところ、その後16か月にわたり、修正版(S-1/A)も上場通知(8-A)も一切提出されていません(2026年7月時点・※2)。ティッカーも上場市場も、EDGAR上では未登録のままです。

これがどの程度異例かは、同じCanary Capitalの他の商品と比べると分かります。同社のLitecoin ETFは四半期報告(10-Q)を提出する段階に進み、HBAR ETFやSUI ETFも2026年に入ってから修正届を重ねています。書類が動いている商品と、初版で止まったままの商品の差は明確です。一般にETFは、S-1を修正しながら記載を確定させて発効に至ります。修正が1度もないという状態は、手続きが前に進んでいないことを示唆します

申請書には空欄と「[80-95%]」という未確定値が残っている

S-1の原文を読むと、その停滞ぶりがより具体的に見えてきます。信託が保有する資産の配分は、確定値ではなく角括弧付きで書かれています(※3)。原文の該当箇所は次のとおりです。

スクロールできます
S-1の記載項目原文での書かれ方意味
PENGUの組入比率[80-95%](角括弧付き)未確定のプレースホルダー
Pudgy Penguin NFTの組入比率[5-15%](角括弧付き)未確定のプレースホルダー
Transfer Agent(名義書換代理人)________(下線の空欄)受託先が未定・未記載
提出日2025年3月20日以後、修正版なし

目論見書の草案で角括弧や空欄が残ること自体は珍しくありません。問題は、その未確定の状態が16か月間そのまま放置されている点です。組入比率が固まらず、名義書換代理人すら決まっていない書類は、投資家が買える商品としての完成にはまだ距離があると読むのが自然でしょう。

なお設計そのものは目を引きます。S-1によれば、この信託はPENGUトークンとPudgy PenguinsのNFTを直接保有し、必要に応じてSOLやETHも持つという構成です。NFTを組み入れる米国の上場投信は前例がありません。運用会社にNFTを裁量で売買する権限が与えられる設計も含め、審査に時間がかかる理由は書類の側にもあると考えられます。

SEC自身の判断期限(2026年3月11日)は過ぎたが、命令は公示されていない

上場の可否を決めるのは、取引所側が出す規則変更申請です。Cboe BZXがPENGU ETFの上場を求めた申請(SR-CboeBZX-2025-081)について、編集部は連邦官報に載った全文書を時系列で取得しました(※4)。

スクロールできます
公示日内容
2025年7月14日申請の受理・公示(Notice of Filing)
2025年8月28日判断期間の延長を指定
2025年9月30日承認・不承認を判断する手続の開始(Order Instituting Proceedings)
2026年1月12日さらに60日延長し、判断期限を2026年3月11日に指定
2026年3月11日以降承認・不承認いずれの命令も公示されていない(2026年7月時点で確認)

連邦官報に掲載されたPENGU ETF関連の文書は、この4件のみです。2026年1月12日の公示で指定された期限は2026年3月11日でしたが、その後4か月が経過した2026年7月時点でも、承認・不承認・取下げのいずれの文書も確認できませんでした(※4)。

ここは正直に書きます。期限経過後に何が起きたのかを、編集部は一次情報として確認できていません。制度上は所定の期限までに判断されなかった申請の扱いに関する規定が存在しますが、それを当てはめて「承認された」と述べることは、確認できた事実の範囲を超えます。したがって本記事では断定を避け、「2026年7月時点でPENGUのETFは上場・取引開始に至っておらず、最終命令も公示されていない」という事実のみを示します。ETFを材料にPENGUを買うのであれば、この空白そのものがリスクだと理解しておく必要があるでしょう。

木田 陽介

実務の感覚で言うと、ETF申請を材料に買うときは「申請したかどうか」ではなく「書類が動いているかどうか」を見ます。修正届が定期的に出ていれば、発行体と当局のやり取りが続いている証拠です。PENGUの場合、初版から16か月間その気配がありません。期待は否定しませんが、期待の根拠として使うには弱い状態だと考えています。

PENGUのトークノミクス|チェーンに直接聞いて分かったこと

次に供給の構造を確認します。ミームコインで警戒すべきは、運営が勝手に増刷して価値を薄める「増刷型のラグプル」と、ロック解除による将来の売り圧の2つです。PENGUについて、編集部はSolanaの公開ノードへ直接照会しました。

増刷も口座凍結も技術的に不可能

結論として、PENGUは追加発行も口座凍結も技術的に不可能でした。トークンの発行元アカウントを照会すると、発行権限(mint authority)と凍結権限(freeze authority)がいずれも「null」=放棄済みと記録されています(※5)。異なる2つの公開ノードへ問い合わせ、同一の結果が返ることも確かめました。

スクロールできます
項目実測値意味
発行権限(mint authority)放棄済み(null)運営が増刷して価値を薄めることは不可能
凍結権限(freeze authority)放棄済み(null)運営が保有者の資産を凍結することは不可能
Solanaの供給量76,722,858,843.315枚実在するPENGUの約96.5%がSolana上にある
5チェーンの実測合計約794億8,856万枚公称の88,888,888,888枚より約94億枚少ない
循環供給量約628億6,040万枚最大供給量の約70.7%/実測合計の約79.1%
小数点以下の桁数6桁(Solana)

測定日は2026年7月です。増刷による希薄化の心配がない点は、素直に評価できる材料と言えます。運営が保有者を締め出す操作もできません。ただしPENGUには、この種のミームコインが通常抱えない弱点が別にあります。次で見ていきます。

最大供給量の約29%が未流通|他のミームコインとの決定的な違い

ここがPENGU最大の注意点です。循環供給量は約628億6,040万枚で、公称の最大供給量88,888,888,888枚に対して約70.7%にとどまります。裏を返せば、約29.3%はまだ市場に出ていないことになります(2026年7月時点・※1)。

ただしこの「未流通分」は、後述するとおり一部が実在しません。実在する枚数(5チェーンの実測合計)から循環分を差し引くと、実際に存在してロックされているPENGUは約166億2,817万枚——現在価格で約1億267万ドル(約166億円)相当という計算になります(※1・※5)。これが将来の売り圧の実像です。

この違いは軽視できません。POPCATやPNUTのようなミームコインは、発行時点で全量が市場に出ており、将来のロック解除による売り圧が存在しません。対してPENGUは、配分の一部に1年のクリフ(据置期間)と3年のベスティング(段階的な解除)が設定されています。この配分表は、ETFのS-1に法定開示として記載されており、編集部は原文で確認しました(※3)。

スクロールできます
配分先比率ロックの有無
Pudgy Penguinsコミュニティ(エアドロップ)25.9%なし
その他コミュニティ24.12%なし
流動性サポート用に確保12.35%なし
従業員への報酬17.8%1年クリフ+3年ベスティング
Pudgy Penguinsの保有分11.48%1年クリフ+3年ベスティング
Proliferation(普及促進)4%なし
慈善・公共財への配布4%なし
FTT(旧FTX発行トークン)保有者への配布0.35%なし
合計100.00%

ここで1つの数字が符合します。ロックの対象は従業員報酬17.8%とPudgy Penguins保有分11.48%を合わせた29.28%です。そして最大供給量に対する未流通分の割合も、計算すると29.28%——小数点以下まで一致します(※1・※3)。

この一致は偶然ではないと考えられます。CoinGeckoの循環供給量が「最大供給量からベスティング対象分を差し引いた値」として機械的に算出されていると見れば、きれいに説明がつくためです。実際にウォレットを数えた値ではなく、設計値からの逆算である可能性が高い——数字を鵜呑みにせず、こう読める点は押さえておく価値があります。編集部として断定はしませんが、循環供給量という指標が推計を含むことは知っておくべきでしょう。

いずれにせよロックの存在自体は、S-1という法定開示に明記された事実です。据置期間は2024年12月の配布開始から1年、つまり2025年12月に明けており、3年かけた段階的な解除がすでに進行中という読みが成り立ちます。単純計算では2028年12月まで解除が続くことになります。時価総額が横ばいでも、流通量が増える分だけ1枚あたりの価格には下押しが効く構造です。「増刷はできない」ことと「売り圧がない」ことは別問題——PENGUを他のミームコインと同じ枠で語ると、この差を見落とします。

もう1つ、配分表には日本語の解説記事がまず触れない項目があります。破綻した暗号資産取引所FTXが発行していたFTTトークンの保有者に対し、0.35%が配布されているという点です(※3)。金額としては小さいものの、コミュニティの取り込みをどこまで広げようとしたかを示す記録として押さえておく価値があります。

実在するPENGUは約94億枚少ない|5チェーンを全部数えて分かったこと

もう1つ、数字の出どころによる食い違いがあります。PENGUの最大供給量は88,888,888,888枚(888億8,888万8,888枚)と広く紹介されています。8を並べた縁起の良い数で、NFTの8,888体とも符合する設計です。

ただしPENGUはSolanaだけでなく、Ethereum・Abstract・BNB Chain・HyperEVMにも発行されています。そこで編集部は、5つのチェーンそれぞれに直接照会して発行量を数え上げました(※5)。1つのチェーンだけを見ても全体像はつかめないためです。

スクロールできます
チェーン実測した発行量構成比
Solana約767億2,286万枚約96.52%
Abstract約25億5,831万枚約3.22%
HyperEVM約1億3,636万枚約0.17%
Ethereum約4,609万枚約0.06%
BNB Chain約2,495万枚約0.03%
5チェーン合計約794億8,856万枚100%

この合計値には裏取りができました。5チェーンの実測合計は約794億8,856万枚で、CoinGeckoが公表する総供給量とは0.0001%しか違いません(※1・※5)。独立に数えた数字が第三者の集計と一致する以上、この値は信頼してよいでしょう。実在するPENGUの約96.5%はSolana上にあり、残りは他チェーンへ橋渡しされた分という構図です。

ここから見えるのが公称値とのズレです。最大供給量88,888,888,888枚に対し、実在するのは約794億8,856万枚——差は約94億枚(約10.6%)あります。発行権限は5チェーンとも放棄済みのため、この差が今後埋まることはありません。つまり「888億8,888万8,888枚」は設計上の数字であって、実際に存在する枚数ではないということになります。

差の理由については、編集部では一次情報として確認できなかったため断定を避けます。エアドロップに請求期限が設けられ、未請求分が市場に出ないまま処理されたことと整合はしますが、「焼却された」と結論づけるだけの証拠は得られていません。確かめられたのは、実在する枚数が公称値より約94億枚少ないという事実のみです。

実務的には、FDV(完全希薄化後の時価総額)をどちらで計算するかで結論が1割以上変わる点を押さえておけば十分です。最大供給量で計算すると約5億4,874万ドル、実測値なら約4億9,071万ドルになります。CoinGeckoが表示するFDVは後者に一致しました(※1)。数字の出どころによって値が動くことは、この銘柄に限らず知っておいて損はありません。

ミームコインとしては異例|NFT・玩具・独自チェーンという実体

ここまで厳しい数字が続きましたが、PENGUには他のミームコインが持たない強みがあります。それが「実体のあるブランド」です。ここを見ずにミームコインの一語で片付けると、評価を誤ります。

この章の内容
  • 8,888体のNFT|匿名の開発者4人から始まり、創業者が追放されるまで
  • Pudgy Toys|Walmartの店頭に並ぶ実物の玩具という収益源
  • NFTとトークンの距離|フロア時価はトークン時価の約19%

8,888体のNFT|匿名の開発者4人と、創業者追放という転機

出発点はトークンではなくNFTです。Pudgy Penguinsは、2021年7月に匿名の開発者4人が公開した8,888体の手描きペンギンNFTでした(※3)。この経緯は、ETFのS-1という法定開示文書に記載されています。メディア記事より強い一次情報として扱える点で貴重です。

転機は2022年初頭に訪れます。S-1は「2021年後半にプロジェクトの運営体制と方向性への懸念が生じ、2022年初頭に当初の創業者が運営への不満からコミュニティによって追放された」と記録しています(※3)。その後、Luca Netz氏が率いる新体制がブランドの再建に着手しました。創業者が去ったあとに価値が伸びた稀な例であり、いまのPudgy Penguinsはこの再建の産物です。

なお、買収時の金額として「750ETH」という数字が広く紹介されています。ただし当時の米ドル換算については、情報源によって約75万ドルと約250万ドルで説明が割れており、一次情報を確認できませんでした。本記事では金額の断定を避けます。運営法人についても、S-1の表記は「LSLTT Holdings LLC」である一方、多くのメディアは「Igloo Inc.」と記しています(※3)。

Pudgy Toys|Walmartの店頭に並ぶ「売上のあるミームコイン」

PENGUを他のミームコインと分ける最大の要素が、実物の玩具「Pudgy Toys」です。2023年にWalmartの約2,000店舗で販売が始まり、その後1,100店舗が追加されて計3,100店舗規模へ拡大したと報じられています。1年足らずで75万個超・1,000万ドル規模を販売したとされ、Target・Amazonなどでも取り扱われています(※7)。

玩具に付属するコードでWeb3ゲーム「Pudgy World」のデジタルアイテムが開くという設計も用意されました。店頭の玩具からWeb3への入口を作るという発想であり、絵柄しか持たないミームコインには真似のできない構造です。プロジェクトはEthereumのレイヤー2「Abstract」も立ち上げています。

ただし、この章の数字には注意書きが必要です。店舗数や販売額はいずれも報道・プレスリリースを出所とする二次情報であり、編集部が一次情報として確認できたものではありません。公式サイトはアクセス制限により本文を取得できませんでした。玩具の売上が伸びること自体は事実として報じられている一方、その売上がPENGU保有者へ還元される仕組みは確認できていません。ここは切り分けて理解する必要があります。

NFTのフロア時価は、トークン時価の約19%にすぎない

ブランドの実体とトークンの評価額には、実は大きな開きがあります。Pudgy PenguinsのNFTフロア価格は4.38ETH(約8,403ドル)で、8,888体すべてを合計したフロア時価総額は約7,469万ドル(約121億円)です(2026年7月時点・※8)。保有アドレス数は5,194でした。

スクロールできます
項目数値(2026年7月時点)
NFTフロア価格4.38ETH(約8,403ドル)
NFT総数/保有アドレス数8,888体/5,194アドレス
NFTフロア時価総額約7,469万ドル(約121億円)
PENGUトークン時価総額約3億8,797万ドル(約629億円)
NFT時価 ÷ トークン時価約19.3%

この比率をどう読むかは、投資判断の分かれ目になります。ブランドの実体はNFT側にあるにもかかわらず、市場はトークンにその5倍以上の値を付けているという状態だからです。トークンには売上の分配も議決権もなく、S-1が挙げるPENGUの用途は「コミュニティとのつながり」に近いものにとどまります(※3)。ブランドが強いことと、そのブランドの価値がトークン価格を支えることは別——この距離感が、PENGUの評価で最も難しい部分でしょう。

PENGUの将来性|評価できる点と、割り引くべき点

将来性を数字で断定することはできません。玩具の売上がトークンへ還元される仕組みがない以上、業績予想に相当するものが存在しないためです。できるのは、構造面の良し悪しを事実で並べることになります。

評価できる点
  • 増刷が不可能|発行権限は放棄済み。運営による希薄化のリスクがない(オンチェーンで実測)
  • 実体のあるブランド|Walmartの店頭に並ぶ玩具という収益源を持つ。絵柄だけの銘柄とは異なる
  • 流動性が分散している|特定の1社に出来高が偏っておらず、上位ペアでも1割前後にとどまる
  • 規制の厳しい取引所にも上場|Binance現物・Coinbase・Krakenで取引されている。時価総額は118位前後
割り引くべき点
  • 最高値がローンチ初日|2024年12月17日の高値を1年8か月更新できず、約91.0%下落している
  • ロック解除の売り圧が残る|最大供給量の29.28%が未流通。2028年12月まで解除が続く計算になる
  • ETFは実質的に停滞|S-1は16か月間修正なし。SECの判断期限を過ぎても命令が公示されていない
  • 価値がトークンへ還元されない|玩具やNFTの価値がPENGU保有者へ配分される仕組みは確認できない
  • Solanaへの依存|独自チェーンを持たず、S-1もSolanaの障害リスクを明記している
  • 日本では税制上不利|国内未上場のため20%分離課税の対象外。最大約55%のまま

整理すると、「ブランドは本物、ただしトークンはその価値とつながっていない」というのがPENGUの姿です。S-1自身が「PENGUへの投資は極めて投機的であり、投資額の全額を失うリスクを含む高い水準のリスクを伴う」と明記しています(※3)。発行体の法定開示がここまで踏み込んで書いている点は、判断材料として重く受け止めるべきでしょう。

日本でPENGUを買う方法|国内取引所の取扱いはゼロ

2026年7月時点、日本の暗号資産交換業者でPENGUを取り扱っているところはありません。編集部は日本暗号資産取引業協会(JVCEA)が公表する取扱暗号資産の一覧を直接取得し、「PENGU」「Pudgy」「ペンギン」「パジー」のいずれも記載がないことを確かめました(※9)。あわせて主要5社の公開データも実測しています。

スクロールできます
国内取引所PENGUの取扱い確認方法(2026年7月時点)
Coincheckなし公開APIのレート照会が不可(BTCは取得可)
bitbankなし公開APIの全62ペアに該当なし
GMOコインなし公開APIの全30銘柄に該当なし
bitFlyerなし公開APIの全マーケットに該当なし
SBI VCトレードなしJVCEA一覧・公式情報に記載なし

興味深いのは、国内でもDOGE(ドージコイン)・SHIB(柴犬コイン)・PEPEといったミームコインは上場している点です。同じJVCEAの一覧に、これらの名前は確かに載っています。つまり「ミームコインだから上場できない」わけではありませんPENGUが個別に選ばれていないという事実として受け止めるのが正確でしょう。そしてこの違いは、後述するとおり税率の分岐点にもなります。

PENGUの現物が買える海外取引所|Binance現物にも上場している

海外に目を向けると、状況は一変します。PENGUはBinanceの現物・Coinbase・Kraken・OKX・Bybit・Bitgetのいずれでも取引できます。編集部が各取引所の公開APIを一つずつ照会して確認しました(2026年7月時点・※10)。ミームコインの多くが先物だけの上場にとどまるなか、主要な取引所の現物に揃って並んでいる銘柄は多くありません

スクロールできます
取引所PENGU現物備考(2026年7月時点)
Binanceあり(USDT・USDC・TRY建て)無期限先物も2024年12月17日から稼働。BNB・FDUSD建ては停止中
Bitgetあり(USDT建て)無期限先物は最大75倍
Coinbaseあり(USD建て)米国の規制下の大手
Krakenあり(USD・EUR・USDC・USDT建て)法定通貨ペアが複数ある
OKXあり(USDT・USDC・USD・EUR・TRY建て)5ペアが稼働中
Bybitあり(USDT建て)無期限先物も取扱い
Upbit(韓国)あり(KRW・BTC・USDT建て)韓国ウォン建ての上場はアジア圏の流動性の裏付け

流動性の分散も評価できます。POPCATのように出来高の約半分が知名度の低い1社に偏る銘柄と違い、PENGUは最大手のBinanceでも上位ペア合計の1割前後です(※1)。特定の1社に何かあっても逃げ場が残るという意味で、板の状態は健全な部類に入ります。

PENGUの買い方|基本の3ステップとチェーン取り違えの注意

日本からPENGUを買う場合、次の3ステップが基本の流れになります。

  1. 国内取引所で暗号資産を購入|日本円で送金しやすい銘柄を買う。送金手数料の観点ではXRPやSOLが現実的で、ETHはガス代が高くつきやすい
  2. 海外取引所へ送金|PENGUを扱う海外取引所の自分の口座へ送る。初回は必ず少額でテスト送金する
  3. PENGUへ交換|USDTなどに替えたうえで、PENGU/USDTのペアで購入する
PENGU特有の注意|チェーンの取り違え

PENGUはSolana・Ethereum・Abstract・BNB Chain・HyperEVMと複数のチェーンに存在します。送金時にネットワークを取り違えると、資産が取り出せなくなる恐れがあります。他の銘柄より取り違えのリスクが構造的に高い点は、送金前に必ず押さえてください。取引所側が指定するネットワークと、送金元で選ぶネットワークが一致しているかを毎回確認することが大切です。

海外取引所の口座開設が前提になるため、PENGUのペアがあり、日本語に対応している取引所が現実的な選択肢になります。国内取引所の選び方は国内取引所ランキングを、送金に使うUSDTの入手手順はUSDTの買い方もあわせてご覧ください。

海外取引所Bitgetの紹介画像

\PENGUの現物・無期限先物どちらも取扱い/

公式サイトはこちら

ただし買う前に、次章の税金の話を必ず読んでおくことをおすすめします。海外取引所で買う銘柄は、国内上場銘柄と比べて税務上の扱いも手続きの負担も重くなるためです。ここを知らずに始めると、利益が出たときに想定外の税額に直面しかねません。

ICHIZEN Capitalの視点|税金と「海外取引所で買う」ことの実務負担

ここからは、上位の解説記事がほとんど触れていない論点を扱います。「PENGUの利益にいくら課税されるのか」と「海外取引所で買うと何が増えるのか」です。どちらも手を出す前に知っておくべき内容でありながら、日本語の情報がほぼ存在しない領域になります。

PENGUの税金|話題の「20%分離課税」の対象にならない

「暗号資産の税金が20%になる」という話を耳にした方は多いはずです。しかしPENGUは、その20%分離課税の対象にならない公算が大きい銘柄です。ここは手取り額が倍近く変わりうるポイントなので、正確に押さえておく必要があります。

令和8年度税制改正により、「特定暗号資産」の譲渡による所得に対する申告分離課税(所得税15%)が創設されました。ただし対象となる「特定暗号資産」には、次の2つの要件があります(措法38の2①・※11)。

  • (a) その名称が金融商品取引業者登録簿に登録されていること
  • (b) 譲渡が暗号資産取引業者への売委託、または暗号資産取引業者に対するものであること

PENGUは国内で1社も取扱いがないため(a)を満たしません。さらに売買の場が海外取引所になるため、(b)も満たしません。つまり2つの要件を両方とも外すことになり、従来どおり雑所得・総合課税の対象です。他の所得と合算して5〜45%、住民税を含めると最大約55%の税率が適用されます。

スクロールできます
項目PENGUの場合
(a) 金商業者登録簿への登録✕(国内取扱いゼロ)
(b) 暗号資産取引業者への譲渡✕(海外取引所で売買)
適用される課税方式雑所得・総合課税
税率5〜45%+住民税(最大約55%)
20%申告分離課税対象外の公算が大きい

ここから導かれる示唆は明確です。国内取引所に上場しているかどうかが、税率の分岐点になりうるということ。同じミームコインでも、国内上場のDOGEとPENGUでは手取りが大きく変わる可能性があります。なお適用開始時期は未確定で、金融商品取引法等改正法の施行日が政令に委ねられているため、「◯年から20%」と断定できる段階にはありません。海外取引所やDeFiの具体的な線引きも政令・通達待ちです。暗号資産の税金の全体像は仮想通貨の税金の記事で詳しく解説しています。

海外取引所で買うと増える実務負担|年間取引報告書が出ない

税率以外にも、見落とされがちな負担があります。国内取引所が発行する「年間取引報告書」に相当する書類が、海外取引所では基本的に用意されていないという点です。損益は自分で計算する必要があります。

PENGUを買うまでの導線を思い出してください。円→XRPやSOLを購入→海外送金→USDTへ交換→PENGU購入という流れでした。この途中にある「XRP→USDT」のような交換も、日本の税務では課税対象の取引に当たります。PENGUをまだ売っていなくても、その時点で利益が確定していれば課税されうるということです。

さらに、雑所得は株式のような損益通算や翌年への繰越しができません。PENGUで大きな損失を出しても、給与所得と相殺することはできず、翌年の利益から差し引くこともできない仕組みです。最高値から約91%下落した実績が示すとおり、値動きの荒い銘柄ほど、この非対称性は重く効いてきます。取引の記録を都度残しておくことが、後の負担を減らす唯一の方法と言えるでしょう。

水野 倫太郎

税務・事業者の視点で見ると、PENGUは「税制上いちばん不利な条件が揃った銘柄」です。国内未上場なので20%分離課税の対象にならず、雑所得のまま最大約55%。損益通算も繰越しもできません。しかも購入導線の途中にある通貨の交換それぞれが課税対象になり、報告書も出ないため計算はすべて自力です。同じミームコインでも、DOGEのように国内で買える銘柄とは扱いが分かれます。ブランドや玩具の実績と、日本の投資家にとっての手取りは別の話です。少額なら影響は限定的ですが、大きく増えたときほど手取りが削られる構造だという点は、買う前に知っておいてください。判断に迷う場合は税理士へのご相談をおすすめします。

よくある質問

Pudgy Penguins(パジーペンギン)とは何ですか?

2021年7月に匿名の開発者4人が公開した、8,888体の手描きペンギンNFTコレクションです。2022年初頭に当初の創業者がコミュニティによって追放され、Luca Netz氏が率いる新体制がブランドを再建しました。現在はWalmartなどで実物の玩具「Pudgy Toys」を販売し、Ethereumのレイヤー2「Abstract」も手がけています。2024年12月には、このプロジェクトのトークンとしてPENGUが発行されました。

仮想通貨PENGUとPudgy PenguinsのNFTは何が違うのですか?

別物です。NFTは8,888体しかない一点物のデジタル資産で、フロア価格は4.38ETH(約8,403ドル)と高額です。対してPENGUは最大888億8,888万8,888枚が発行された代替可能なトークンで、1枚あたり約1.0円で買えます(2026年7月時点)。PENGUを持ってもNFTの所有権は得られず、NFTの売買代金がPENGU保有者に配分される仕組みもありません。

PENGUは日本の取引所で買えますか?

買えません。2026年7月時点で、JVCEAが公表する取扱暗号資産の一覧に「PENGU」「Pudgy」「ペンギン」「パジー」の記載はなく、Coincheck・bitbank・GMOコイン・bitFlyer・SBI VCトレードのいずれも取り扱っていません。入手するには、国内取引所でXRPやSOLなどを購入し、海外取引所へ送金してPENGUに交換する流れになります。国内上場の予定は公表されていません。

PENGUはどこで買えますか?買い方を教えてください

Binanceの現物・Bitget・Coinbase・Kraken・OKX・Bybitなどの海外取引所で買えます(2026年7月時点で編集部が各取引所の公開APIを照会して確認)。手順は、①国内取引所で送金しやすいXRPやSOLを買う、②海外取引所へ送金する、③USDTに替えてPENGU/USDTで購入する、の3ステップです。PENGUは複数のチェーンに存在するため、送金時のネットワーク選択には特に注意してください。

PENGUのエアドロップは今でももらえますか?

もらえません。エアドロップは2024年12月17日に配布が始まり、請求には期限が設けられていました(報道では2025年3月15日まで)。対象は、Pudgy PenguinsのNFT保有者、提携する他のNFTコミュニティ、SolanaとEthereumの初期利用者、そしてFTX破綻で知られるFTTトークンの保有者です。総供給量の25.9%がこのコミュニティ向け配布に割り当てられました。現在PENGUを入手するには、取引所での購入が必要です。

PENGUのETFは承認されましたか?

2026年7月時点で、PENGUのETFは上場・取引開始に至っていません。Canary Capitalが2025年3月20日にS-1を提出しましたが、編集部がSECのEDGARを照会したところ、以後16か月にわたり修正版も上場通知も提出されていませんでした。SECは判断期限を2026年3月11日と指定したものの、連邦官報には承認・不承認いずれの命令も公示されていません。「承認間近」と紹介する記事は2025年時点の情報にとどまるため注意が必要です。

PENGUの現在価格と時価総額はいくらですか?最高値はいくらでしたか?

価格は約0.0062ドル(約1.0円)、時価総額は約3億8,797万ドル(約629億円)で、CoinGecko基準の順位は118位前後です(2026年7月時点)。過去最高値は0.068447ドルで、記録日は配布が始まった2024年12月17日でした。つまり取引初日が天井で、以後1年8か月更新していません。現在はそこから約91.0%下落しており、戻すには約11.1倍が必要な計算になります。

PENGUの利益にかかる税金はどうなりますか?20%の分離課税になりますか?

雑所得・総合課税で、最大約55%です。令和8年度税制改正で創設された申告分離課税(所得税15%)の対象は「特定暗号資産」に限られ、①名称が金融商品取引業者登録簿に登録されていること、②譲渡が暗号資産取引業者に対するものであること、という2要件が必要になります。PENGUは国内取扱いがなく売買も海外取引所のため、どちらも満たしません。損益通算や翌年への繰越しもできない点に注意が必要です。

PENGUは安全ですか?追加発行やラグプルのリスクはありますか?

リスクは分けて考える必要があります。運営が増刷して価値を薄める型のラグプルは不可能です。編集部がSolanaの公開ノード2系統へ直接照会し、発行権限(mint authority)と凍結権限(freeze authority)がいずれも放棄されていることを確認しました(2026年7月時点)。一方で、S-1には従業員報酬17.8%と運営保有分11.48%に1年クリフ+3年ベスティングが設定されており、実在してロックされた約166億枚の解除が2028年12月まで続く計算になります。S-1自身も「投資額の全額を失うリスクを含む」と明記しており、値動きの荒さは前提として受け止める必要があります。

Pudgy Penguinsのぬいぐるみやフィギュアはどこで買えますか?

米国ではWalmart・Target・Amazonなどで販売されていると報じられています。2023年にWalmartの約2,000店舗でデビューし、その後1,100店舗が追加されて計3,100店舗規模へ拡大したとされます。玩具に付属するコードでWeb3ゲーム「Pudgy World」のデジタルアイテムが開く設計です。ただし玩具を買ってもPENGUがもらえるわけではなく、日本での販売状況は各販売店にご確認ください。

まとめ|ブランドは本物、ただし「ETF期待」と「初日が天井」の事実は切り分けて見る

PENGUは、2021年7月に匿名の開発者4人が公開した8,888体のNFT「Pudgy Penguins」から生まれた、Solana上のトークンです。2022年初頭に創業者がコミュニティによって追放され、新体制がWalmartの店頭に玩具を並べるまでブランドを再建した——この歩みは、絵柄しか持たないミームコインとは明確に一線を画します。実体のある事業を持つ点は、正当に評価すべき強みです。

ただし2026年7月時点の数字は厳しいものです。価格は約0.0062ドル(約1.0円)、時価総額は約629億円で118位前後過去最高値0.068447ドルを記録したのは配布初日の2024年12月17日で、以後1年8か月にわたり一度も更新していません。現在はそこから約91.0%下落し、回復には約11.1倍が必要です。

本記事で最も伝えたいのは、「ETF申請が進んでいる」という一般的な紹介が、書類の実態と食い違っているという点です。編集部がSECの提出書類を直接辿ったところ、S-1は2025年3月20日の初版のみで、16か月間1度も修正されていません。中身には組入比率が角括弧付きの未確定値のまま残り、名義書換代理人の欄は空欄でした。SEC自身が指定した2026年3月11日の判断期限を過ぎてなお、承認・不承認いずれの命令も公示されていません。期限経過後に何が起きたのかは確認できておらず、本記事では断定を避けます。その空白自体がリスクだと理解しておくべきでしょう。

供給構造にも独特の事情があります。発行権限・凍結権限はいずれも5チェーンで放棄済みで、増刷による希薄化は起こりません。この点はオンチェーンで実測しました。一方でS-1には、従業員報酬17.8%と運営保有分11.48%に1年クリフ+3年ベスティングが設定されていると明記されています。実在する枚数から循環分を引くと、約166億枚がロックされたまま残っており、2028年12月まで段階的な解除が続く計算です。「増刷できない」ことと「売り圧がない」ことは別問題——POPCATのように全量が流通済みの銘柄と同じ感覚で見ると、ここを見誤ります。

日本の投資家にとって決定的なのは国内取扱いがゼロという事実です。購入は海外取引所が前提になり、税制面では話題の20%申告分離課税の対象にならず、雑所得・総合課税で最大約55%のままになる公算が大きいと考えられます。同じミームコインでも国内上場のDOGEとは手取りが変わりうる点は、判断の前に押さえておきたいところです。ブランドを応援することと、いまトークンを買うことは別——この一点を切り分けたうえで、リスクの取り方を決めることが大切です。

参考文献

1. CoinGecko「Pudgy Penguins (PENGU)」価格・時価総額・順位・循環供給量・最大供給量・過去最高値/最安値・取引所別出来高(2026年7月16日にAPIで取得)https://www.coingecko.com/en/coins/pudgy-penguins
2. SEC EDGAR「Canary PENGU ETF」提出書類一覧(CIK 0002059693。提出済みはS-1(2025年3月20日)1件のみで、S-1/A・8-A・424Bの提出がないこと、tickers/exchangesが未登録であることを2026年7月16日にAPIで確認)https://data.sec.gov/submissions/CIK0002059693.json
3. Canary PENGU ETF「Form S-1」(2025年3月20日提出。8,888体のNFTが2021年7月に匿名の開発者4人により公開されたこと/2022年初頭の創業者追放とLuca Netz氏の新体制/PENGUが2024年12月にLSLTT Holdings LLCにより発行された総供給88,888,888,888枚のSPLトークンであること/配分表(コミュニティ25.9%・その他コミュニティ24.12%・流動性12.35%・従業員報酬17.8%・運営保有11.48%・普及促進4%・慈善4%・FTT保有者0.35%、いずれも合計100.00%)/従業員報酬と運営保有分に1年クリフ+3年ベスティングが設定されていること/組入比率[80-95%]・[5-15%]が角括弧の未確定値であること/Transfer Agent欄が空欄であること/「投資額の全額を失うリスク」の記載/PENGUが独自チェーンを持たずSolanaに依存する旨を、原文で2026年7月16日に確認)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/2059693/000199937125002883/canarypengu-s1_032025.htm
4. Federal Register(連邦官報)API「Canary PENGU ETF」全文書(File No. SR-CboeBZX-2025-081。2025年7月14日の受理公示/2025年8月28日の期間延長/2025年9月30日の審査手続開始/2026年1月12日の60日延長と2026年3月11日の判断期限指定の計4件のみで、承認・不承認・取下げの公示が存在しないことを2026年7月16日に確認)https://www.federalregister.gov/documents/2026/01/12/2026-00294/
5. 各チェーンの公開ノードへ直接照会(2026年7月16日実測)。Solana JSON-RPC(getTokenSupply/getAccountInfo)で発行権限・凍結権限がいずれもnullであること、供給量76,722,858,843.315415枚(decimals 6)を api.mainnet-beta.solana.com と solana-rpc.publicnode.com の2ノードで一致確認(コントラクト 2zMMhcVQEXDtdE6vsFS7S7D5oUodfJHE8vd1gnBouauv)。あわせて各EVMチェーンへ eth_call(totalSupply/decimals)を実行し、Abstract 2,558,305,509.19枚(0x9ebe3a824ca958e4b3da772d2065518f009cba62)/HyperEVM 136,362,607.45枚(0xfa44c2634ff17cbe26dc3007d36bd61c79068c14)/Ethereum 46,087,296.96枚・BNB Chain 24,950,520.64枚(いずれも0x6418c0dd099a9fda397c766304cdd918233e8847)を実測。5チェーン合計 79,488,564,777.56枚は CoinGecko の総供給量 79,488,659,725.83枚と 0.00012% の差で一致https://api.mainnet-beta.solana.com
6. CoinGecko「Introducing PENGU: The Pudgy Penguins Token」(トークノミクスの補足。2026年7月16日確認)https://www.coingecko.com/learn/what-is-pengu-pudgy-penguins-token
7. PR Newswire「Pudgy Penguins Continues Growth with Expanded Toy Collection in Major US Retail Chain」ほか(Pudgy ToysのWalmart展開・店舗数・販売実績。いずれも報道・プレスリリースベースの二次情報。2026年7月16日確認)https://www.prnewswire.com/news-releases/pudgy-penguins-continues-growth-with-expanded-toy-collection-in-major-us-retail-chain-302066557.html
8. CoinGecko NFT API「Pudgy Penguins」(フロア価格4.38ETH・総数8,888体・保有アドレス5,194・フロア時価総額。コントラクト 0xBd3531dA5CF5857e7CfAA92426877b022e612cf8。2026年7月16日にAPIで取得)https://api.coingecko.com/api/v3/nfts/pudgy-penguins
9. 日本暗号資産取引業協会(JVCEA)「取扱い暗号資産に関する情報」(2026年7月15日付の取扱暗号資産及び暗号資産概要説明書を直接取得し、PENGU/Pudgy/ペンギン/パジーの記載が無いこと、およびDOGE・SHIB・PEPEの記載があることを2026年7月16日に確認)https://jvcea.or.jp/statistics/document/assets/
10. 各取引所の公開API(Binance `api/v3/exchangeInfo`=現物PENGUUSDT・PENGUUSDC・PENGUTRYがTRADING、PENGUBNB・PENGUFDUSDがBREAK/Binance `fapi/v1/exchangeInfo`=無期限PENGUUSDTのonboardDate 2024年12月17日16時15分UTC/Bitget `api/v2/spot/public/symbols`=PENGUUSDT online・`api/v2/mix/market/contracts`=USDT-M先物 最大75倍/Coinbase `products`=PENGU-USD online/Kraken `AssetPairs`=PENGUUSD・PENGUEUR・PENGUUSDC・PENGUUSDT/OKX・Bybit・Upbitの各シンボル一覧。国内はbitbank `tickers`(全62ペア)・GMOコイン `ticker`(全30銘柄)・bitFlyer `markets`・Coincheck `rate/pengu_jpy`(Invalid pair)。2026年7月16日実測)https://api.binance.com/api/v3/exchangeInfo
11. 財務省「令和8年度税制改正の解説」租税特別措置法等(所得税関係)の改正(P.329〜「二 特定暗号資産の譲渡による所得に係る申告分離課税制度等の創設」/特定暗号資産の意義・譲渡の意義=措法38の2①、適用関係=改正法附則39①、金商法等改正法の施行日=同法附則1。2026年7月16日に原文を確認)https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/explanation/PDF/p0210-0436.pdf
12. 国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」https://www.nta.go.jp/

※本記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の暗号資産(仮想通貨)・取引所への投資を勧誘するものではありません。価格・時価総額・出来高・各取引所の取扱い銘柄は日々変動し、制度・税務の取扱いは変更される場合があるため、最新の情報は公式サイトおよび金融庁・国税庁の情報でご確認ください。税務の具体的な判断は税理士等の専門家にご相談ください。暗号資産取引にはリスクが伴い、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

目次