Grass(GRASS)とは?帯域幅共有で稼ぐ仕組み・国内取扱いゼロの事実・Stage 2がUSDC建ての理由を忖度なく解説

ICHIZEN Capitalのイチ押しポイント!
- Grassは「未使用の回線帯域」を貸してAI学習用のデータ収集を支えるDePIN。Solana上のトークンがGRASS
- ブラウザ拡張機能やアプリを入れて放置し、ポイントを貯めて報酬を受け取る仕組み
- 価格は約0.38ドル・時価総額は約2.4億ドルで146位。最高値3.89ドルから約90%下落(2026年7月時点)
- 稼げる額は「お小遣い未満」。公式の収益実績から逆算すると上限は半年で数百円規模
- 2026年上半期の収益は1,700万ドル。全額を850万ユーザーへ均等配分しても1人あたり約2ドル
- 「月2,000〜5,000円」とする解説もありますが、一次的な根拠は確認できません
- 日本の取引所では買えない。Binanceですら現物は非上場で、あるのは先物だけ
- JVCEAの取扱暗号資産一覧(2026年7月15日版)とグリーンリストのどちらにもGRASSはない
- 入手先はBybit・OKX・Kraken・Bitget等の海外取引所か、Raydium等のDEX経由に限られる
- リスクの本体は「個人情報」ではなく、自分のIPが使われることと税金
- 公式は閲覧履歴を見ないと明言。ただし自分のIP経由でスクレイピングが走る点は公式も認めている
- 国税庁FAQにエアドロップの明文規定はなく、マイニング等の扱いからの類推が実務上の拠り所
木田 陽介Grassは「放置するだけで稼げる」と紹介されがちですが、忖度なく言えば金額は期待しないほうがいい水準です。むしろ重要なのは、自分のIPアドレスを他人のデータ収集に貸すという行為の意味と、受け取ったトークンの税金。この記事は数字と一次ソースで、そこまで踏み込みます。


監修 木田 陽介
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役
2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。
Grass(GRASS)とは?基本情報
Grassは、ユーザーが使っていないインターネット回線の帯域を共有し、その対価として報酬を受け取れるDePIN(分散型物理インフラネットワーク)です。集めた帯域は、AI企業が学習データとして使う「公開Webサイトの情報収集」に使われます。ブロックチェーンはSolanaで、ネットワーク内で使われるトークンがGRASSです。
ビットコインのように「値上がりを狙って買う資産」として始まったわけではない点が、Grassの特徴です。参加者は資金を出すのではなく、余っている回線を差し出すことでネットワークに貢献します。公式サイトは、世界で850万人以上に利用されていると説明しています(※1)。この数値は第三者の監査を受けたものではなく、運営側の公表値である点は踏まえておきましょう。
| 項目 | 内容(2026年7月時点) |
|---|---|
| 名称 | Grass(グラス)/トークンはGRASS |
| ジャンル | DePIN(帯域幅共有・AI学習データ収集) |
| チェーン | Solana |
| 開発・運営 | Wynd Labs(Grass Foundationに開発・管理を提供) |
| 価格 | 約0.383ドル(約62円) |
| 時価総額 | 約2億4,200万ドル(暗号資産全体で146位) |
| 循環供給量 | 約6億3,208万GRASS(総供給の約63%) |
| 総供給量 | 10億GRASS(上限固定) |
| 過去最高値(ATH) | 3.89ドル(2024年11月8日)/現在は約90%下落 |
| 国内取引所での取扱い | なし(2026年7月時点で1社も取り扱っていない) |
| 日本での税務上の扱い | 暗号資産(原則として雑所得・総合課税) |
価格・時価総額はCoinGeckoの2026年7月16日時点のデータです(※2)。数値は日々変動するため、最新値は必ずご自身でご確認ください。次章から、「なぜ回線を貸すとお金になるのか」という仕組みを掘り下げます。
Grassの仕組み|なぜ帯域幅を貸すとお金になるのか
Grassの収益源は、「AI企業が学習用データを欲しがっている」という需要そのものです。回線を貸すという行為が報酬に変わるまでには、明確な経済的な理由があります。ここを理解すると、稼げる金額の水準もリスクの所在も見通しやすくなるでしょう。
AI学習データの需要と「公開Webのスクレイピング」
AIモデルの学習には、膨大なWeb上のテキストや画像が必要です。ところが大規模なデータ収集を1か所のサーバーから行うと、アクセス元のIPアドレスが「大量アクセスをしている業者」と判定され、ブロックされたりCAPTCHAを求められたりします。企業側にとって、これがデータ収集の大きな壁になっています。
Grassはこの壁を、世界中の個人の回線に分散させることで越えようとします。一般家庭の回線からの通信は「普通の人のアクセス」に見えるため、ブロックされにくいのです。集めるのは公開されているWebデータのみで、ログインが必要な情報は対象外だと公式は説明しています(※3)。つまり参加者は、自分のIPアドレスという「ブロックされにくい入り口」を貸して報酬を得ている構図になります。
2種類のポイント|Uptime PointsとNetwork Points
Grassの報酬は、2種類のポイントで計算されます。Uptime Pointsは「接続している時間」と紹介実績に対して、Network Pointsは「実際に流れたトラフィック量」に対して付与される仕組みです。単に繋いでいるだけでなく、実需のある地域・回線ほど有利になります。
デスクトップ版のノードを使うとUptimeにブーストがかかり、公式ドキュメントによればAndroidが3倍、Mac・Windows・Linuxが2倍と定められています(※3)。ブラウザ拡張機能だけの参加より条件が良くなる一方、常時起動が前提になるため電気代という別のコストが発生する点は見落とされがちです。
運営はWynd Labs|「Wynd Network」表記との違い
日本語の解説記事では運営元を「Wynd Network」と書くものが目立ちますが、公式ドキュメントの表記はWynd Labsです。同社はGrass Foundationに対して開発・管理を提供する第三者事業者として位置づけられています(※3)。旧ドキュメントのURLが`wynd-network`だった名残が、そのまま引き写されているものと考えられます。
細かい違いに見えますが、運営主体の名称すら孫引きで広まっているという事実は、Grassに関する日本語情報の精度を測る目安になります。後述する上場取引所や収益の話でも、同種の誤りが繰り返されています。
Grassで実際いくら稼げるのか|公式の収益から逆算する
最も知りたいのはここでしょう。結論から言うと、Grassの報酬は「お小遣い」と呼べる水準にも届かないと考えるのが現実的です。個々のユーザーの受取額は公開されていませんが、ネットワーク全体の収益とユーザー数から上限を逆算することはできます。この計算は他ではあまり見かけないため、少し丁寧に示します。
公式が公表した収益実績
2026年7月7日に開催されたトークンホルダー向けのコールで、Grass側は収益実績を公表しています。それによると2025年通年の収益は1,700万ドル(上半期270万ドル・下半期1,430万ドル)で、2026年上半期はすでに1,700万ドルに達したとされます(※4)。2026年通年では6,500万〜7,500万ドルを見込むという説明もありました。
数字としては急成長ですが、これはAI学習用データの販売から生じたネットワーク全体の売上であり、ユーザーへの配分額ではありません。この区別が、次の逆算の前提になります。
1人あたりの上限を逆算する
ここで、公式の2つの数字を突き合わせます。2026年上半期の収益1,700万ドルを、公式が公表する850万ユーザーで単純に割ると、1人あたり約2ドル(約320円)です。これは半年分であり、しかも売上の全額をユーザーへ均等に配ったと仮定した場合の数字にすぎません。
実際には開発費・サーバー費・人件費が差し引かれるため、ユーザーの手取りはこの水準を下回るのが自然です。つまり約2ドルは実績値ではなく、構造上の上限の目安と捉えてください。もっとも850万は累計の登録者数とみられ、稼働していないユーザーを除けば実働者の受取額はこれより上振れする可能性があります。それでも桁が大きく変わるとは考えにくいでしょう。
この逆算を示す理由は、日本語の解説記事に「月2,000〜5,000円が目安」といった記述が見られるためです。半年に換算すると1万2,000〜3万円になり、先ほどの上限と大きく乖離します。これらの記述には一次的な根拠が確認できず、当メディアとしては採用しません。回線を貸して得られるのは、あくまで少額だと理解しておくのが安全です。
2026年7月7日の公式コールで公表された収益(2026年上半期1,700万ドル)と、公式サイトの利用者数(850万人以上)を用いた試算です。どちらも運営側の公表値で、第三者による監査は受けていません。個々のユーザーへの配分実績は非公開のため、上限の目安として提示しています(試算日:2026年7月16日)。
GRASSの価格・トークノミクス
GRASSは2024年10月に配布・上場が始まったトークンです。価格の推移と配分の内訳は、これから参加するかどうかを判断するうえで欠かせない材料になります。とくに配分は、誰がどれだけ持っているかという需給の話に直結します。
価格推移|最高値から約90%下落
GRASSは2024年11月8日に3.89ドルの最高値をつけたあと、長期的に下落が続いています。2026年2月6日には0.166785ドルの最安値を記録し、2026年7月16日時点では約0.383ドルです(※2)。最高値からの下落率は約90%で、最安値からは約130%戻した水準にあります。
時価総額は約2億4,200万ドルで全体の146位、完全希薄化後の時価総額(FDV)は約3億8,300万ドルです。収益が2025年通年の1,700万ドルから2026年上半期だけで1,700万ドルへ伸びる一方、価格は最高値の1割程度にとどまっている点は、事業の成長と価格が連動していない実例として押さえておきましょう。
配分内訳|コミュニティ30%に対し投資家・貢献者が47.2%
総供給量は10億GRASSで上限が固定されています。公式ドキュメントが示す配分は次のとおりです(※5)。
| 区分 | 数量 | 比率 |
|---|---|---|
| 初期投資家 | 2億5,200万GRASS | 25.2%(1年クリフ+1年ベスティング) |
| Foundation・エコシステム | 2億2,800万GRASS | 22.8% |
| コントリビューター | 2億2,000万GRASS | 22.0%(1年クリフ+3年ベスティング) |
| コミュニティ(合計) | 3億GRASS | 30.0% |
| └ 今後のインセンティブ | 1億7,000万GRASS | 17.0% |
| └ Airdrop One | 1億GRASS | 10.0% |
| └ Router報酬 | 3,000万GRASS | 3.0% |
注目すべきは、初期投資家とコントリビューターの合計が47.2%と、コミュニティ配分の30%を上回っている点です。いずれも1年のクリフ(ロック期間)を経て段階的に解除される設計で、2024年10月の配布から1年が経過した現在は解除が進む局面に入っています。解除されたトークンが市場で売られれば、価格の重しになります。最高値からの下落には、この需給要因も関係していると考えられます。
エアドロップの経緯とStage 2|報酬はUSDC建てへ
Grassの話題の中心にあり続けているのがエアドロップです。2024年のAirdrop Oneはすでに終了しており、現在の焦点は「Stage 2」に移っています。ここには、多くの日本語記事が触れていない重要な変更が含まれます。
Airdrop One(2024年)はすでに終了
第1回のエアドロップでは、総供給の10%にあたる1億GRASSが配布されました。内訳は、Stage 1参加者へ9%、GigaBuds NFT保有者へ約499万GRASS(1体あたり515GRASS)、デスクトップノードとSaga導入者へ500万GRASSです(※5)。
受け取り条件は、いずれかのエポックで500 Grass Points以上を獲得し、2024年10月14日20時(UTC)までにウォレットを連携していることでした。クレームは2024年10月28日13時30分(UTC)に始まり、延長を経て2025年3月末ごろに締め切られています。この第1回に間に合わなかった分を、いまから遡って受け取ることはできません。
Stage 2はUSDC建て・新規発行ゼロ
ここが最も誤解されている点です。Stage 2の配分は、GRASSトークンではなくUSDC(米ドル連動のステーブルコイン)で行われると公式が明言しています。原資はネットワークが稼いだ収益で、新規のトークン発行を伴わない設計だと説明されています(※4)。
これは参加者にとって、意味の大きな変更です。報酬がGRASSであれば価格変動の影響を受けますが、USDCであれば受け取り時点でほぼドル建ての価値が確定します。同時に「Grassを続ければGRASSトークンが増える」という前提も崩れました。配分額はノードの稼働率・接続の安定性・地域ごとの需要・実際のデータ量からプログラム的に算定されるとされています。
あわせて、専用ウォレットが2026年7月中旬にリリース予定であること、そしてGrasshopperデバイスについては現時点でロールアウトを進めない方針が示されました(※4)。デバイスの登場を前提に語る記事も残っていますが、この点は更新されていません。
なお、Stage 2のクレーム開始日を「2026年7月22日」、締切を「2027年1月22日」とする情報が一部で流れています。ただし当メディアが確認した限り、公式のコール要約にこれらの具体的な日付の記載はなく、裏付けが取れていません(要確認)。同様に「1億7,000万枚が配布される」という数値も、出典側が推測値と明示しています。日程と数量は、必ずGrass公式の発表とダッシュボードでご確認ください。
詐欺サイトへの注意|正規のクレーム先は1つだけ
エアドロップの時期は、必ず偽サイトが増えます。公式ドキュメントは、正規のクレーム先は`grassfoundation.io`のみであり、Grassが秘密鍵の入力やトークンの送金を求めることは絶対にないと明記しています(※5)。
「先に手数料を送れば受け取れる」「シードフレーズを入力して認証を」といった案内は、すべて詐欺です。検索結果や広告、SNSのリプライから遷移せず、公式アカウントが示すURLを自分で確認する習慣が身を守ります。
GRASSはどこで買えるのか|国内取扱いはゼロ
2026年7月時点、日本の暗号資産交換業者はGRASSを1社も取り扱っていません。これは推測ではなく、業界団体の公式資料で確認できる事実です。ここは日本語の解説記事が最も曖昧なまま流している部分なので、根拠から示します。
JVCEAの一覧にGRASSは存在しない
日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)は、会員各社が取り扱う暗号資産の一覧を公開しています。2026年7月15日版の一覧を確認したところ、GRASSの記載は1件もありませんでした(※6)。今後の取扱いが見込まれる銘柄をまとめたグリーンリストにも、GRASSは含まれていません(※7)。
注意したいのは、「GRASSにおすすめの取引所」としてCoincheckやbitbank、SBI VCトレードといった国内業者を挙げる記事が存在することです。これらの取引所でGRASSは買えません。あくまで海外取引所へ送るためのビットコイン等を購入する場所であり、その説明がないままでは誤解を招きます。
Binanceは現物非上場|先物だけがある
もう1つ、広く流通している誤りがあります。Binanceで現物のGRASSは購入できません。当メディアがBinanceの公開APIで確認したところ、現物取引の銘柄一覧にGRASSUSDTは存在せず、無期限先物にのみ存在しました(※8。確認日:2026年7月16日)。
実際に現物を扱う主要な取引所は、Bybit・OKX・Kraken・KuCoin・Gate・Bitget・MEXCなどです。韓国のBithumb・Coinone・Korbitにも上場しており、DEXではSolana上のRaydium・Orca・Meteoraで取引できます(※2)。
ただし出来高には注意が必要です。24時間の出来高は約2,525万ドルとされますが、上位には信頼性の評価が定まっていない取引所が少なからず含まれます。表示された出来高をそのまま流動性の高さと読むのは避け、実際に売買する取引所の板を自分で確認するのが安全です。
GRASSの買い方|基本の3ステップ
国内で直接買えない以上、入手の流れは次の3ステップになります。
- 国内取引所で暗号資産を購入|日本円でビットコイン(BTC)やUSDTなど、送金しやすい銘柄を買う
- 海外取引所へ送金|GRASSを扱う海外取引所の自分の口座へ送る(初回は必ず少額でテスト)
- GRASSへ交換|GRASS/USDTなどのペアで購入する
海外取引所は取扱銘柄・コスト・日本語対応で選びます。当メディアでは、総合力とサポートのバランスからBitgetを主軸の候補として挙げています。選び方の詳細は海外取引所おすすめランキングを、送金に使うUSDTの基礎はUSDT(テザー)とはもあわせてご覧ください。


\GRASSも取引できる総合力No.1/
Grassのリスク・注意点(忖度なし)
Grassのリスクを「個人情報が抜かれるかどうか」で語る記事が大半ですが、それは論点が少しずれています。実際に効いてくるのは別のところにあります。整理しておきましょう。
- IPの評価低下|自分のIPがスクレイピング元と見なされ、CAPTCHAやブロックが増える恐れ
- プロバイダの規約|回線の第三者提供・再販を禁じる約款に触れる可能性
- 報酬の少なさ|逆算した上限は半年で約2ドル。電気代で相殺されうる
- 価格リスク|最高値から約90%下落。ロック解除による売り圧も続く
- 税金|受け取った時点で課税されうる。エアドロップの明文規定は存在しない
- 詐欺|エアドロップに便乗した偽サイト・偽クレームが多発する
「個人情報は見られない」は論点のすり替え
公式ドキュメントは、「個人情報にアクセスすることはない」「閲覧履歴を見たり使ったりしない」「取得するのは100%公開されたWebデータだ」と明言しています(※3)。この説明自体を疑う材料は、現時点で見つかりません。
ただし、ここで答えられているのは「Grassがユーザーのデータを覗くか」という問いだけです。本当のリスクは、自分のIPアドレスを経由して第三者へのアクセスが行われること自体にあります。公式も「ユーザーのIPアドレスを通じてインターネット通信をルーティングしている」と認めています(※3)。
つまり、自分の回線が「データ収集の出口」として外部のサイトに記録されるということです。その結果として考えられるのが、自分のIPが大量アクセス元として評価され、普段使っているサイトでCAPTCHAが頻発したり、アクセスを弾かれたりする事態です。データを見られる心配とは別の、回線そのものの使い勝手に関わる問題だと理解しておきましょう。
なお日本語記事でよく見る「AppEsteemやAMTSOの認証を取得している」「使う帯域は0.3%だけ」といった説明は、公式ドキュメント・公式サイトのいずれにも記載が確認できませんでした。出所が追えないため、当メディアは事実として扱いません。
プロバイダの利用規約に触れる可能性
見落とされやすいのが、契約しているインターネットプロバイダとの関係です。多くの個人向け回線契約には、回線を第三者に提供・転売することを禁じる条項があります。帯域を貸して報酬を得るGrassの仕組みは、この条項に触れると解釈される余地があります。
条項の文言や運用は事業者ごとに異なり、当メディアとして個別のプロバイダの約款を網羅的に確認したわけではありません(未調査)。断定はできませんが、気になる場合は契約中の約款を自分で読むか、事業者へ直接確認するのが確実です。最悪の場合、規約違反として契約を解除されるリスクは理屈のうえでは残ります。半年で数百円のために回線契約を失うのは、割に合わない取引でしょう。
ポイントが貯まらないケース
「接続しているのにポイントが増えない」という声は少なくありません。Network Pointsは実際に流れたトラフィック量に応じて付与されるため、その地域・回線に対する需要がなければ、繋いでいても伸びない構造になっています。
日本からの参加は、需要の大きい地域と比べて不利に働く可能性があります。接続が安定していることと、報酬が発生することは別問題だと理解しておきましょう。
ICHIZEN Capitalの視点|Grassの税金には「明文規定がない」
ここが、上位記事が最も踏み込めていない領域です。多くの解説は「エアドロップは受け取った時点で時価課税」と断言しますが、国税庁の公式FAQを実際に読むと、そこに「エアドロップ」という言葉は一度も出てきません。事業者として税務に向き合ってきた立場から、正確な射程を示します。
国税庁FAQにエアドロップの記載はない
国税庁が公表する「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」の令和7年12月版を当メディアで全文確認したところ、「エアドロップ」および「エアドロ」という語の登場回数はいずれも0回でした(※9。確認日:2026年7月16日)。つまりエアドロップに直接あてはまる規定は、現時点で存在しません。
では実務上、何を拠り所にするのか。参照されるのが問1-7「マイニング、ステーキング、レンディングなどにより暗号資産を取得した場合」です。ここでは「取得した暗号資産の取得時点の価額(時価)は総収入金額に算入し、要した費用は必要経費に算入する」と示されています(※9)。エアドロップやGrassのポイント報酬は、この扱いからの類推で「受け取った時の時価で課税」と整理されているにすぎません。
実務としてこの類推は合理的で、当メディアも受取時課税を前提に考えるべきだという立場です。ただし「明文の規定がある」と「類推で運用されている」はまったく違います。断言する解説を鵜呑みにせず、金額が大きくなる場合は税理士に相談する。この誠実な区別こそ、読者が知っておくべきことでしょう。
300万円と帳簿保存という分岐
もう1つ、ほとんど語られていない論点があります。暗号資産の所得は原則として雑所得(その他雑所得)に区分されますが、令和7年12月に更新された問2-2は、その年の収入金額が300万円を超える場合に分岐があることを示しています(※9)。
| その年の収入金額 | 帳簿書類の保存 | 所得区分 |
|---|---|---|
| 300万円以下 | — | 原則として雑所得(その他雑所得) |
| 300万円超 | あり | 原則として事業所得 |
| 300万円超 | なし | 業務に係る雑所得 |
Grassの報酬だけでこの水準に届く方は稀ですが、暗号資産の収入は合算で判断されるため、他の取引と合わせれば射程に入る方はいます。帳簿を残しているかどうかで区分が変わるという点は、記録の重要性を端的に示しています。なお雑所得の損失は、給与など他の所得と損益通算できません(問2-11)。暗号資産の税金の全体像は仮想通貨の税金の記事で詳しく解説しています。
最後に、Stage 2がUSDC建てになった点は税務的にも意味があります。受け取るのがほぼドル建てで価値の確定した資産になるため、受取時の時価の算定は明快になります。一方で、USDCも日本では暗号資産として扱われ、円に換えなくても他の資産へ交換した時点で損益が生じうる点は変わりません。



「無料でもらったものに税金はかからない」と思われがちですが、実務は逆です。受け取った時点の時価が収入になるという整理が一般的で、その後に値下がりしても税額は減りません。Grassのように少額なら影響は限定的ですが、記録だけは必ず残してください。国税庁のFAQにエアドロップの明文規定がない以上、判断に迷う場面では税理士への確認をおすすめします。
よくある質問
Grassって危険じゃないの?個人情報は見られる?
公式は、個人情報や閲覧履歴にはアクセスせず、取得するのは公開Webデータのみだと明言しています。ただし本当の論点はそこではありません。自分のIPアドレスを経由して第三者へのデータ収集が行われるため、自分の回線が大量アクセス元として評価され、CAPTCHAの増加やアクセス制限につながる可能性があります。データを覗かれるリスクとは別物として捉えてください。
Grassって実際いくら稼げるの?月にどれくらい?
お小遣いと呼べる水準には届かないと考えるのが現実的です。公式が公表した2026年上半期の収益1,700万ドルを、公式の利用者数850万人で割ると1人あたり約2ドル(半年分)にすぎません。しかもこれは売上の全額を均等配分した場合の上限で、実際の手取りはこれを下回ります。「月2,000〜5,000円」とする解説もありますが、一次的な根拠は確認できませんでした。
国内取引所でGRASSは買えますか?
買えません。JVCEA(日本暗号資産等取引業協会)が公開する取扱暗号資産の一覧(2026年7月15日版)にGRASSの記載はなく、今後の取扱いが見込まれる銘柄のグリーンリストにも含まれていません。国内取引所を「GRASSにおすすめ」と紹介する記事もありますが、それらは海外取引所へ送る資金を用意する場所にすぎない点にご注意ください。
GRASSはBinanceで買えますか?
現物は買えません。Binanceの公開APIで確認したところ、現物取引にGRASSUSDTは存在せず、無期限先物にのみ上場しています(2026年7月16日確認)。現物を購入したい場合は、Bybit・OKX・Kraken・KuCoin・Gate・Bitget・MEXCなどを利用します。「Binanceに上場」と書かれた記事は、先物と現物を混同している可能性があります。
エアドロップはいつ受け取れますか?
2024年のAirdrop Oneは2025年3月末ごろに締め切られており、いまから遡っての受け取りはできません。現在の焦点はStage 2で、報酬はGRASSではなくUSDCで配分されると公式が明言しています。クレーム開始日を2026年7月22日とする情報もありますが、公式の発表で裏付けが取れていないため、必ずGrass公式のアナウンスとダッシュボードでご確認ください。
Grassの税金は?いつ課税されるの?
実務上は、報酬やトークンを受け取った時点の時価が収入として扱われ、原則として雑所得で総合課税されると整理されています。ただし国税庁のFAQ(令和7年12月版)に「エアドロップ」の記載は一度もなく、マイニング等に関する問1-7からの類推にとどまります。明文の規定があるわけではないため、金額が大きい場合は税理士へご相談ください。
プロバイダの利用規約違反になりませんか?
可能性は否定できません。個人向けの回線契約には、回線を第三者に提供・転売することを禁じる条項が含まれることが多く、帯域を貸して報酬を得る行為が抵触すると解釈される余地があります。条項や運用は事業者ごとに異なるため、契約中の約款をご確認いただくか、事業者へ直接お問い合わせください。
帯域幅を提供すると通信速度は遅くなりますか?
未使用の帯域のみを使う設計だと説明されており、通常の利用で大きな影響が出るとは考えにくいでしょう。ただし「使う帯域は0.3%だけ」といった具体的な数値を挙げる解説は、公式ドキュメント・公式サイトのいずれにも記載を確認できませんでした。回線が細い環境では体感に影響する可能性があるため、実際に試して判断するのが確実です。
ポイントが貯まらないのはなぜですか?
Network Pointsは実際に流れたトラフィック量に応じて付与されるため、その地域や回線に対する需要がなければ、接続していても増えません。接続が安定していることと報酬が発生することは別の問題です。デスクトップ版のノードを使うとUptimeにブーストがかかり、公式によればAndroidが3倍、Mac・Windows・Linuxが2倍と定められています。
Grassは詐欺プロジェクトではありませんか?
プロジェクト自体は実在し、AI学習用データの販売で2026年上半期に1,700万ドルの収益を公表するなど、事業の実体があります。ただしエアドロップに便乗した偽サイトは多発しています。公式は、正規のクレーム先はgrassfoundation.ioのみで、秘密鍵の入力やトークンの送金を求めることは絶対にないと明記しています。手数料の前払いを求める案内はすべて詐欺です。
Grassをやめたいときはどうすればいいですか?
ブラウザ拡張機能であれば、ブラウザの拡張機能管理画面から削除すれば通信の中継は停止します。デスクトップ版のノードは、アプリを終了したうえで通常の手順でアンインストールしてください。すでに獲得済みのポイントやトークンの扱いは公式ダッシュボードでご確認ください。回線への中継を止めたい場合は、まずアプリを終了することが最優先です。
GRASSの将来性はありますか?
事業面では、収益が2025年通年の1,700万ドルから2026年上半期だけで1,700万ドルへ伸び、2026年通年で6,500万〜7,500万ドルの見込みが示されるなど成長しています。一方で価格は最高値から約90%下落し、初期投資家とコントリビューターに47.2%が配分されたロック解除の売り圧も残ります。事業の成長と価格が連動していない点は、投資判断の材料としてご自身で評価してください。
まとめ|Grassは「稼ぐ手段」より「仕組みを知る教材」
Grassは、未使用の回線帯域を貸してAI学習用データの収集を支えるDePINです。価格は約0.383ドル・時価総額は約2億4,200万ドルで146位、最高値3.89ドルからは約90%下落しています(2026年7月時点)。AI企業がデータ収集で直面するIPブロックという壁を、個人の回線に分散することで越える。この着眼点そのものは合理的で、収益も実際に伸びています。
一方で、参加する側の期待値は冷静に見るべきです。公式の収益と利用者数から逆算すると、1人あたりの上限は半年で約2ドルにとどまります。国内取引所での取扱いは1社もなく、Binanceですら現物は非上場です。そして本当のリスクは個人情報ではなく、自分のIPが第三者のデータ収集の出口として使われることにあります。プロバイダの約款に触れる可能性も残ります。
税金についても、国税庁のFAQにエアドロップの明文規定はなく、マイニング等の扱いからの類推で運用されているのが実情です。受取時の時価で課税されると整理しておくのが無難でしょう。Stage 2の報酬がGRASSではなくUSDC建てになる点も含め、Grassは「放置で稼ぐ手段」として期待するより、DePINという仕組みを実地で学ぶ教材として捉えるほうが、実態に合っていると言えます。
参考文献
1. Grass 公式サイト(利用者数・サービス概要)https://www.grass.io/
2. CoinGecko「Grass (GRASS)」価格・時価総額・上場取引所(2026年7月16日取得)https://www.coingecko.com/en/coins/grass
3. Grass 公式ドキュメント(仕組み・ポイント・プライバシーに関する説明)https://grass-foundation.gitbook.io/grass-docs
4. Grass 公式「July 7 Grass Token Holder and Network Participant Call」要約(収益実績・Stage 2のUSDC建て・Grasshopper)https://www.grass.io/learn/july-7-grass-token-holder-and-network-participant-call
5. Grass 公式ドキュメント「GRASS Tokenomics」(配分内訳・Airdrop One)https://grass-foundation.gitbook.io/grass-docs/introduction/grass/grass-tokenomics
6. 日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)「取扱暗号資産一覧」2026年7月15日版https://jvcea.or.jp/statistics/document/assets/
7. 日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)「グリーンリスト」(2026年7月8日時点)https://jvcea.or.jp/statistics/document/greenlist/
8. Binance 公開API(現物 exchangeInfo/先物 fapi による上場確認、2026年7月16日実施)https://www.binance.com/
9. 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」令和7年12月版(問1-7/問2-2/問2-11)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/kasoutuka/
※本記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の暗号資産(仮想通貨)・取引所への投資を勧誘するものではありません。価格・時価総額・上場状況・エアドロップの日程は変動するため、最新の情報は公式サイトおよび各取引所でご確認ください。税務の具体的な判断は税理士等の専門家に、回線の利用規約については契約中のプロバイダにご確認ください。暗号資産取引にはリスクが伴い、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。








