金融庁が本人確認「ICチップ読取」への早期移行を要請|暗号資産の口座開設はどう変わるのか

「忙しい人向け」ニュース要約


  • 金融庁が2026年10月9日、本人確認を「券面画像の送信」から「ICチップの読取」へ早期に移すよう要請(暗号資産交換業者も対象)
  • きっかけはサイバー攻撃による免許証画像などの情報漏えいの続発と、なりすまし口座の手口の巧妙化
  • 2027年4月1日に画像送信方式は廃止され、マイナンバーカードなどのICチップ読取に一本化。金融庁はそれを待たず前倒しを促す
  • 暗号資産取引所の口座開設の手順も変わる。今後はICチップ対応スマホとマイナンバーカードなどの準備が必要になる見込み

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水野 倫太郎

「免許証が使えなくなる」という話ではありません。変わるのは本人確認の「やり方」で、免許証の写真を送る方式をやめ、ICチップを直接読み取る方式に移す、という内容です。暗号資産の取引所も対象なので、これから口座を作る方は、ICチップを読めるスマホとマイナンバーカードの準備を頭に入れておくと安心です。狙いは、漏れても悪用されにくくすること。なりすまし口座が資金洗浄に使われる流れを断つための動きです。

水野 倫太郎
(株)ICHIZEN HOLDINGS

代表取締役

この記事の執筆者/監修者

慶應義塾大学経済学部卒。2017年米国留学時にブロックチェーンと出会い、Web3の業界に足を踏み入れる。2018年、仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。2019年には同社のCMOに就任し、2020年に東証二部上場企業とM&Aを行い、様々なクリプト事業を展開。2022年に現在代表取締役社長を務めるICHIZEN HOLDINGSを立ち上げ様々なWeb3事業を手がける。複数のWeb3系事業に出資を行いながら有識者として活動。

監修 水野 倫太郎
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役

慶應義塾大学経済学部。2017年米国留学時にブロックチェーンと出会い、Web3の業界に足を踏み入れる。2018年には、日本有数の仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。2019年には同社のCMOに就任し、2020年に東証二部上場企業とM&Aを行い、様々なクリプト事業を展開する。2022年に現在代表取締役社長を務めるICHIZEN HOLDINGSを立ち上げ様々なWeb3事業を手がける。複数のWeb3系事業に出資を行いながら有識者として活動。

目次

何があったのか|金融庁が「ICチップ読取」への前倒しを要請

この章のポイント

金融庁が2026年10月9日、金融機関や暗号資産交換業者に対し、オンラインの本人確認を「券面画像の送信」から「ICチップの読取」へ早く移すよう要請しました。サイバー攻撃による情報漏えいが相次いだことが背景です。

金融庁は2026年10月9日、金融機関などに向けて、非対面(オンライン)の本人確認の方法を早期に切り替えるよう求める注意喚起を公表しました。具体的には、スマートフォンで本人確認書類と顔写真を撮影して送る「画像送信方式」から、マイナンバーカードなどのICチップ情報を読み取る方式へ、速やかに移行するよう要請しています。

この要請の対象は、暗号資産交換業者だけではありません。銀行・証券会社・保険会社・暗号資産交換業者など「金融機関等」全般が対象です。暗号資産交換業者も、2024年10月に策定された「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」で銀行や証券会社と並んで「金融機関等」に位置づけられており、今回の要請の範囲に含まれます。つまり、暗号資産の取引所に限らず、銀行口座や証券口座をオンラインで開くときも、本人確認は同じようにICチップ読取へ移っていきます。本人確認書類の画像送信方式は、もともと2027年4月1日に廃止が予定されていますが、金融庁はその期日を待たず、前倒しで対応するよう促した形です。

金融庁の注意喚起(2026年10月9日)のタイトルと本文
出典:金融庁「現下の情勢を踏まえたサイバーセキュリティ対策の強化と各種取引申込等における対応について」(2026年10月9日)

そもそも何が変わるのか|「画像送信」から「ICチップ読取」へ

この章のポイント

これまでの主流は、免許証などの写真と顔写真を撮って送る方法でした。2027年4月以降は、この画像送信方式が使えなくなり、マイナンバーカードなどのICチップを読み取る方式に原則一本化されます。免許証そのものが使えなくなるわけではなく、確認の「やり方」が変わります。

これまでオンラインで口座を開くとき、多くの取引所や銀行では、運転免許証などの本人確認書類をスマホで撮影し、自分の顔写真と一緒に送る「画像送信方式」が使われてきました。手軽な一方で、送られた画像は偽造やコピーがしやすく、漏えいした画像が悪用されやすいという弱点がありました。

これに代わるのが、カードに埋め込まれたICチップの情報を直接読み取る方式です。マイナンバーカードのICチップ(運転免許証のICチップなども対象)を、スマホのICカード読み取り機能(NFC)で読み込み、本人であることを確認します。チップの情報は画像のように簡単にコピーできないため、なりすましがぐっと難しくなります。2027年4月1日からは、画像送信方式は原則として使えなくなり、このICチップ読取に一本化される予定です。

金融庁の注意喚起(2026年10月9日)で示された要請事項(記の3項目)
出典:金融庁「現下の情勢を踏まえたサイバーセキュリティ対策の強化と各種取引申込等における対応について」(2026年10月9日)

なぜ今なのか|サイバー攻撃となりすまし口座

この章のポイント

インターネット上のシステムへの不正アクセスが相次ぎ、運転免許証などの本人確認書類の画像を含む顧客情報が漏えいする事案が続きました。漏れた画像でなりすまし口座が作られ、特殊詐欺や資金洗浄に悪用される流れを断つことが、前倒し要請の狙いです。

金融庁が前倒しを急ぐ背景には、サイバー攻撃の多発があります。インターネットに公開されたシステムへの不正アクセスが続き、運転免許証など本人確認書類の画像を含む顧客情報が漏えいする事案が相次ぎました。画像は一度漏れると、別人がその画像を使って本人になりすますことが可能になります。

こうしてなりすましで作られた口座は、特殊詐欺の受け皿や、だまし取った資金の洗浄(資金洗浄)に悪用されてきました。画像をいくら厳重に管理しても、漏れてしまえば悪用のリスクは残ります。そこで、そもそも悪用されにくいICチップ読取へ早く切り替えることで、なりすまし口座が生まれる入り口をふさぐ、というのが今回の狙いです。

暗号資産ユーザーへの影響|口座開設はこう変わる

この章のポイント

暗号資産取引所の口座開設も対象です。今後は、写真を送るだけの方法が使えなくなり、ICチップを読み取れるスマホ(NFC対応)とマイナンバーカードなどの準備が必要になる見込みです。早めに手元の環境を確認しておくと、口座開設でつまずきにくくなります。

今回の要請は暗号資産交換業者も対象のため、暗号資産取引所の口座開設の手順も変わっていきます。これまでのように、免許証の写真と顔写真を送るだけでは完結しなくなり、ICチップを読み取る方式が前提になります。取引所ごとに対応時期は分かれる可能性がありますが、方向性は共通です。

これから暗号資産の口座を開く場合に備えて、次の点を確認しておくとスムーズです。第1に、ICチップを読み取れるスマートフォン(NFC対応)を持っているか。第2に、マイナンバーカードを用意できるか(運転免許証のICチップが使える場合もあります)。第3に、マイナンバーカードの暗証番号を把握しているか。手続きの入り口でつまずかないよう、早めに環境を整えておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

運転免許証は本人確認に使えなくなるのですか?

免許証そのものが使えなくなるわけではありません。変わるのは確認の方法で、免許証の「写真を送る」方式が廃止され、ICチップを読み取る方式に移ります。運転免許証のICチップが読み取り対象になる場合もあります。

いつから変わるのですか?

画像送信方式は2027年4月1日に廃止が予定されています。ただし金融庁は、その期日を待たず早めに移行するよう要請しているため、取引所によってはそれより前に切り替わる可能性があります。

暗号資産の取引所も対象ですか?

対象です。暗号資産交換業者は「金融機関等」に位置づけられており、今回の要請の範囲に含まれます。取引所の口座開設方法も、ICチップ読取が前提に変わっていきます。

暗号資産以外の口座(証券・銀行)も対象ですか?

対象です。今回の要請は銀行・証券会社・保険会社・暗号資産交換業者など「金融機関等」全般に向けたものです。証券口座や銀行口座をオンラインで開くときも、同じようにICチップ読取へ移行していきます。

なぜ画像送信方式はやめるのですか?

サイバー攻撃で本人確認書類の画像が漏えいする事案が相次ぎ、漏れた画像でなりすまし口座が作られ、特殊詐欺や資金洗浄に悪用されてきたためです。ICチップ読取は、画像のように簡単にコピーできず、なりすましが困難になります。

口座開設のために何を準備すればよいですか?

ICチップを読み取れるスマートフォン(NFC対応)、マイナンバーカード(運転免許証のICチップが使える場合もあります)、そしてマイナンバーカードの暗証番号を用意しておくとスムーズです。

マイナンバーカードがないと口座を作れなくなりますか?

ICチップ読取が原則となるため、マイナンバーカードを用意できると手続きがスムーズです。運転免許証のICチップなど、ほかの対応手段が使える場合もあります。詳しい対応方法は各取引所の案内で確認してください。

すでに開設済みの口座はどうなりますか?

今回の話は、新たに口座を開くときの本人確認の方法に関するものです。すでに本人確認が済んでいる口座がすぐに使えなくなるわけではありませんが、取引所からの追加の手続き案内には注意しておきましょう。

本人確認が厳しくなると不便になりませんか?

準備は少し増えますが、なりすましや口座の悪用を防ぎ、利用者全体を守るための変更です。ICチップ読取は、慣れれば画像を撮って送るより手早く、安全性も高い方法です。

この記事のまとめ

この記事のまとめ
  • 金融庁が2026年10月9日、本人確認を「券面画像の送信」から「ICチップの読取」へ早期に移すよう要請。暗号資産交換業者も対象。
  • 変わるのは確認の「やり方」。免許証そのものが使えなくなるのではなく、画像を送る方式をやめ、ICチップ読取に一本化する。
  • きっかけはサイバー攻撃による免許証画像などの漏えい続発と、なりすまし口座の悪用(特殊詐欺・資金洗浄)。
  • 2027年4月1日に画像送信方式は廃止予定だが、金融庁はそれを待たず前倒しを要請。
  • 暗号資産の口座開設も変わる。NFC対応スマホとマイナンバーカードなどを早めに準備しておくとスムーズ。
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水野倫太郎 水野倫太郎|株式会社ICHIZEN HOLDINGS 共同代表@mizuno_ichizen

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参考文献

  • 金融庁の注意喚起(金融機関等のサイバーセキュリティ対策・非対面本人確認の厳格化に関する要請、2026年10月9日)
  • 日本経済新聞「免許写真で口座開設、金融庁が廃止前倒しを要請 サイバー攻撃多発で」、ITmedia NEWS、共同通信、CoinPostほか報道(2026年10月9日)

※本記事は公表資料・報道に基づく情報提供を目的としたもので、投資助言ではありません。具体的な口座開設の手続き・対応時期は、各金融機関や取引所の案内に従ってください。制度の詳細は今後変わる可能性があります。

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