AMM(自動マーケットメイカー)とは?仕組み・DEXとの関係・インパーマネントロスと税金を忖度なく解説【2026年最新】

ICHIZEN Capitalのイチ押しポイント!
- AMM(自動マーケットメイカー)は、取引相手がいなくても交換が成立するDEXの中核の仕組み
- Automated Market Makerの略で「エーエムエム」と読む。売買を人ではなくプログラム(スマートコントラクト)が自動でさばく
- 「AMM」は仕組みの名前、「DEX」はその仕組みを使った取引所の名前。別々の言葉として整理すると理解が早い
- 価格は「流動性プール」と定数積の数式(x*y=k)で自動的に決まる
- 誰かが預けた2つのトークンの在庫比率で価格が動く。板(注文)も約定相手も要らない
- 代表例はUniswap。TVL(預かり資産)は約31億ドルで、DEXの中で最大級(2026年7月時点・DefiLlama)
- 流動性を預ければ手数料を稼げるが「インパーマネントロス」に注意
- 取引のたびに発生するスワップ手数料が、流動性提供者(LP)の報酬になる
- 預けたペアの価格が動くと含み損(変動損失)が出る。価格が2倍動けば約5.7%が目安
- リスクと税金|スリッページ・MEV・詐欺トークン、そして交換のたびに課税
- 大口取引ほど価格がずれる(スリッページ)。サンドイッチ攻撃や詐欺トークンの見極めも必要
- 日本ではAMMでのスワップやLP報酬も課税対象になりうる。海外DEXは記録が出ず計算が煩雑
木田 陽介AMMは、DeFiやDEXを触るなら最初に理解しておきたい「土台の仕組み」です。忖度なく言うと、”誰でも預けて稼げる”の一面だけを見て流動性提供に飛び込むと、インパーマネントロスや税金でつまずきます。この記事では、なぜ相手なしで取引が成立するのかという核心から、稼ぎ方とリスク、日本での税金までまとめて整理します。


監修 木田 陽介
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役
2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。
AMM(自動マーケットメイカー)とは?基本情報
AMM(自動マーケットメイカー)とは、取引相手を探さなくても暗号資産を交換できるようにする、DEX(分散型取引所)の中核となる仕組みです。Automated Market Makerの略で「エーエムエム」と読みます。売り手と買い手をマッチングする代わりに、あらかじめ用意された「流動性プール」に対してプログラムが自動で価格を計算し、スワップ(交換)を成立させます。
従来の取引所は、板(オーダーブック)に並んだ注文を人間やマーケットメイカーがマッチングして取引していました。AMMはこの「相手探し」をなくし、数式と流動性プールだけで24時間いつでも交換できるようにした発明です。Uniswapをはじめとする多くのDEXがこの仕組みで動いており、DeFi(分散型金融)が広がる土台になりました。
| 項目 | 内容(2026年7月時点) |
|---|---|
| 名称 | AMM(Automated Market Maker/自動マーケットメイカー) |
| 読み方 | エーエムエム |
| 役割 | DEXで取引相手なしにスワップを成立させる仕組み |
| 価格決定 | 流動性プールの在庫比率と数式(定数積 x*y=k など)で自動決定 |
| 登場人物 | トレーダー/流動性提供者(LP)/スマートコントラクト |
| 代表例 | Uniswap/Curve/PancakeSwap/Raydium など |
| 主なメリット | 相手不要・24時間・誰でも参加可(パーミッションレス) |
| 主なリスク | インパーマネントロス/スリッページ/MEV/詐欺トークン |
まず多くの人がつまずくのが「AMMとDEXは何が違うのか」という点です。次の章で、この2語の関係をはっきり整理してから、仕組みの中身に入っていきます。
AMMとDEXの違い|混同しやすい2語を整理
AMMは「価格を決める仕組み」、DEXは「その仕組みを使った取引所そのもの」です。この2つはセットで語られるため混同されがちですが、レイヤーが違います。DEX(Decentralized Exchange=分散型取引所)という建物の中で、価格決定と約定を担っているエンジンがAMM、というイメージが正確です。
たとえばUniswapはDEXですが、その内部でスワップを成立させているのはAMMの仕組みです。逆に言えば、AMMを使わないDEX(オーダーブック型のDEX)も存在します。「AMM=DEXの一種の実装方式」と捉えると、両者の関係がすっきりします。DEX全体の仕組みやCEX(中央集権取引所)との違いは、別記事で詳しく解説しています。
AMMの仕組み|なぜ相手がいなくても取引が成立するのか
AMMが「相手探しなし」で交換を成立させられるのは、「流動性プール」という共有の資金プールと、価格を自動計算する数式という2つの部品があるからです。誰かが売買相手になるのではなく、プールを相手にトークンを出し入れする——この発想の転換が、AMMの本質です。順番に分解します。
流動性プールとLP|取引の元手を皆で出し合う
流動性プール(Liquidity Pool)とは、2種類のトークンをペアで貯めておく共有の金庫のようなものです。たとえば「ETHとUSDCのプール」には、ETHとUSDCが一定の価値バランスで預けられています。トレーダーはこのプールにETHを入れてUSDCを引き出す、といった形で交換します。
このプールに元手を提供する人を流動性提供者(LP=Liquidity Provider)と呼びます。LPは2つのトークンをペアで預ける見返りに、預入シェアを示すLPトークンを受け取ります。引き出すときはこのLPトークンを返すことで、プール内の自分の持ち分と、その間にたまった手数料を回収できる仕組みです。つまりAMMは、不特定多数のLPが出し合った資金を「取引の元手」として動いているのです。
定数積モデル(x*y=k)|価格が自動で決まる数式
AMMの価格決定で最も基本的なのが定数積モデル(CPMM=Constant Product Market Maker)です。プール内の2トークンの数量をx・yとしたとき、その積 x*y が常に一定(=k)になるよう保たれる、というルールで価格が決まります。式にすると「x * y = k」です。
具体的に見てみます。ETHが10個、USDCが40,000枚あるプール(k=400,000)を考えます。誰かがETHを1個買うと、プールのETHは9個に減り、kを保つためUSDCは約44,444枚に増えます。つまり買った人は約4,444USDCを支払ったことになり、1ETH=約4,444USDCで約定します。ETHの在庫が減るほど次の1個はさらに高くなる——このように「在庫が減った側が高く、増えた側が安くなる」方向へ価格が自動で動きます。
板も約定相手も要らず、数式が価格を決めるのがポイントです。なお、この「大口の注文ほど価格が大きくずれる」性質が、後述するスリッページの正体でもあります。安定コイン同士のように値動きが近いペアでは、Curveのように定数積と定数和を組み合わせた式を使い、価格のずれ(スリッページ)を抑える工夫もされています。
スワップ手数料|LPの報酬になる取引コスト
トレーダーがスワップするたびに、取引額に応じたスワップ手数料が発生します。この手数料はプールに加算され、流動性を預けているLPへ持ち分に応じて分配されるのが基本設計です。LPが「預けるだけで稼げる」と言われるのは、この手数料収入があるためです。
手数料率はDEXやプールによって異なります。目安として、Uniswapのv2は一律0.30%、v3ではペアの値動きの荒さに応じて0.01%/0.05%/0.30%/1.00%などのティア(段階)から選ぶ方式です。安定コインペアに強いCurveは0.01〜0.04%程度と低めに設定されています(各料率は変更されるため最新は公式で要確認)。さらに、受け取ったLPトークンを別の場所に預けて追加の報酬を狙うイールドファーミング(流動性マイニング)という積み増しの手法もあります。詳しくは流動性マイニングの記事で解説しています。
AMMとオーダーブック(板取引)の違い
AMMの特徴は、従来のオーダーブック(板取引)と比べると、より鮮明になります。板取引は、多くのCEX(中央集権取引所)や一部のDEXが採用している、買い注文と売り注文を価格順に並べてマッチングする方式です。両者の違いを整理します。
| 比較項目 | AMM(自動マーケットメイカー) | オーダーブック(板取引) |
|---|---|---|
| 約定の相手 | 流動性プール(相手不要) | 反対注文を出した別のトレーダー |
| 価格の決まり方 | プールの在庫比率と数式で自動 | 売り手と買い手の合意価格 |
| 取引の成立条件 | プールに資金があればいつでも可 | 価格の合う相手がいれば成立 |
| 流動性の担い手 | 不特定多数のLP | マーケットメイカー・板参加者 |
| 参加のしやすさ | 誰でもLP・取引可(パーミッションレス) | 取引所の口座・審査が前提のことが多い |
| 不利になりやすい局面 | 大口取引・薄いプール(スリッページ大) | 板が薄い銘柄(注文が刺さらない) |
AMMの強みは、相手がいなくても、プールに資金がある限り即座に交換できる点にあります。一方で、大口の取引や流動性の薄いプールでは価格が大きくずれやすいという弱点もあります。板取引は価格の透明性や大口の効率で優れる場面がある反面、常に約定相手が必要です。どちらが優れているというより、役割と得意分野が違うと理解するのが実務的です。
主要なAMM系DEXと仕組みのバリエーション
ひとくちにAMMといっても、価格を決める数式や対象資産によっていくつかのタイプがあります。代表的なAMM系DEXと、その特徴・規模感を整理します。TVL(Total Value Locked=預かり資産)は各DEXの流動性の厚みを示す目安で、大きいほどスリッページが起きにくい傾向があります。
| DEX | 主なチェーン | 特徴 | TVL(2026年7月時点) |
|---|---|---|---|
| Uniswap | Ethereum ほか多数 | 汎用ペアの最大手。v3で集中流動性を導入 | 約31億ドル |
| PancakeSwap | BNB Chain 中心 | Uniswap系フォーク発祥。手数料が安め | 約17億ドル |
| Curve | Ethereum ほか | 安定コイン等の近い値動きペアに最適化・低スリッページ | 約13億ドル |
| Raydium | Solana | Solana上のAMM。オーダーブックとのハイブリッド設計 | 約8億ドル |
数値はDefiLlamaを参照した概算で、TVLは日々変動します(※1)。最新値は各DEXの公式やDefiLlamaでご確認ください。Uniswapが汎用DEXの最大手で、EthereumだけでなくBaseやArbitrumなど複数チェーンに展開しています。次に、価格決定の「式」のバリエーションを見ていきます。
定数積型・安定コイン型・集中流動性の違い
AMMの数式には、対象資産に合わせた進化があります。代表的な3タイプを押さえておくと、DEXごとの得意分野が見えてきます。
- 定数積型(CPMM・x*y=k)|Uniswap v2など。どんなペアにも使える汎用型。値動きの大きいペア向き
- 安定コイン最適化型|Curveなど。値動きが近い資産どうしのペアで、スリッページを極小化する式を採用
- 集中流動性型(CLMM)|Uniswap v3など。LPが価格レンジを指定して資金を集中投下する方式
とくにUniswap v3で導入された「集中流動性」は大きな進化です。従来のv2は価格0から無限大までまんべんなく資金を薄く広げていましたが、実際に取引が起きるのは今の価格の近辺だけです。v3ではLPが「この価格帯だけ」と範囲を指定して資金を集中させられるため、同じ資金でより多くの取引をさばき、手数料を効率よく稼げます。反面、価格が指定レンジの外へ出ると、その流動性は稼働を止めて手数料を生まなくなり、後述するインパーマネントロスも顕在化しやすくなります。効率と手間・リスクのトレードオフがある点は理解しておきましょう。
AMMのリスク・注意点(忖度なし)
AMMは「誰でも預けて稼げる」と紹介されがちですが、実際には固有のリスクがいくつもあります。とくに流動性提供(LP)は、手数料収入という利点と、価格変動による損失やコントラクトの危険が背中合わせです。混同されやすいので、主なリスクを分けて整理します。
- インパーマネントロス|預けたペアの価格が動くと含み損が出る
- スリッページ|大口取引や薄いプールで、想定より不利な価格で約定する
- MEV・サンドイッチ攻撃|取引を前後で挟まれ、値幅を抜き取られる
- 詐欺トークン・ラグプル|発行者が流動性を引き抜く・売却不能に設計する
- コントラクトリスク|バグ・ハッキング・承認(approve)の悪用
インパーマネントロス(変動損失)|LP最大の落とし穴
インパーマネントロス(IL=変動損失)とは、流動性を預けたペアの価格比が変わったときに、「ただ持っていた場合(HODL)」と比べて生じる含み損のことです。AMMは価格が動くと自動でリバランスし、値上がりした側を売り、値下がりした側を買い増す挙動をとります。その結果、値上がりトークンの利益を取りこぼしてしまうのです。
「インパーマネント(非永続的)」と呼ばれるのは、価格が元の比率に戻れば損失も消えるためです。逆に、価格が離れたまま引き出せば損失は確定します。定数積モデルでのILの目安は次のとおりです。
| 預入後の価格変動(片方) | インパーマネントロス(HODL比・目安) |
|---|---|
| 1.25倍 | 約0.6% |
| 1.5倍 | 約2.0% |
| 2倍 | 約5.7% |
| 3倍 | 約13.4% |
| 5倍 | 約25.5% |
表のとおり、価格が大きく動くほどILは急に膨らみます。ポイントは、この含み損を上回るスワップ手数料を稼げれば通算でプラスになる、という点です。値動きの近い安定コインペアはILが小さく、値動きの荒いペアはILが大きくなりやすい——だからこそ、預けるペアの選択が重要になります。ILの詳しい仕組みや対策は、インパーマネントロスの記事で早見表つきで解説しています。
スリッページ|大口ほど価格がずれる
スリッページとは、注文したときに想定していた価格と、実際に約定した価格のずれのことです。AMMでは、定数積の性質上注文が大きいほどプールの在庫比率を大きく動かし、価格が不利な方向へずれます。流動性の薄い(TVLの小さい)プールほど、この影響は大きくなります。
多くのDEXでは、スワップ時に「スリッページ許容度(何%までのずれを許すか)」を設定できます。許容度を狭くすると不利な約定を防げますが、価格が動くと取引自体が失敗しやすくなります。少額の取引や厚いプールを選ぶ、許容度を適切に設定するといった対策が基本です。
MEV・サンドイッチ攻撃|取引を挟み取られる
オンチェーンのAMM特有のリスクがMEV(Maximal Extractable Value)、とくにサンドイッチ攻撃です。これは、あなたのスワップ注文が処理される前に、その内容を見た第三者(ボット)が先回りで買い、あなたの取引で価格が上がった直後に売り抜けることで、スリッページ分の利益を抜き取る敵対的な行為です。
対策としては、スリッページ許容度を必要以上に広げないこと、取引内容が事前に見えにくいプライベートRPCを使うこと、確定見積型のDEXを選ぶことなどが挙げられます。大口の取引ほど狙われやすいため、金額を分割する方法もあります。
詐欺トークン・コントラクトリスク|自己責任の世界
AMMは誰でもプールを作れるパーミッションレスな仕組みのため、詐欺的なトークンも紛れ込みます。発行者が集めた流動性を突然引き抜く「ラグプル」や、買えるのに売れないよう設計された「ハニーポット」が典型です。見極めには、ミント権限が放棄されているか、流動性がロックされているか、監査を受けているかといった確認が有効です。
加えて、AMMはスマートコントラクトで動くため、コード自体のバグやハッキング、トークンの利用許可(approve)を悪用される危険もあります。中央の管理者がいない分、トラブル時に助けてくれる窓口もありません。DeFiは基本が自己責任である点を、便利さと同じ重さで意識しておく必要があります。
AMMを実際に使うには|基本の流れ
AMM(DEX)でスワップや流動性提供を試す場合、いきなりDEXから始めることはできません。DEXは日本円を直接扱えないため、まず取引所で元手となる暗号資産を用意し、ウォレットへ移してからDEXに接続するのが基本の流れです。
- 取引所で暗号資産を購入|国内取引所で日本円を入金し、ETHやUSDT・SOLなど対象チェーンで使える銘柄を買う
- ウォレットへ送金|MetaMaskやPhantomなどのウォレットを用意し、買った暗号資産を送る(チェーンの選択ミスに注意)
- DEXに接続してスワップ/LP|UniswapなどのDEXにウォレットを接続し、スワップや流動性提供を行う
元手となる暗号資産の調達では、取扱銘柄が多く、対象チェーンへの出金に対応した取引所を選ぶと動きやすくなります。当メディアでは、総合力とサポートのバランスからBitgetを主軸の候補として挙げています。海外DEXやオンチェーンでのスワップに厚い流動性を求める場合は、Perp DEXのHyperliquidのような選択肢もあります。


\DEXの元手づくりに使える総合力No.1/
ICHIZEN Capitalの視点|AMMと税金の落とし穴
多くの入門記事は「AMMで稼げる」で終わりますが、実際に使うと必ず関わるのが税金です。ここは上位記事が最も手薄な領域なので、税務・事業者の視点で正確に整理します。結論から言うと、AMMでのスワップも流動性提供の報酬も、日本では課税対象になりうるという点を、使う前に理解しておく必要があります。
スワップは「交換した時点」で課税されうる
日本の居住者にとって、暗号資産の利益は原則「雑所得」として総合課税されます。税率は他の所得と合算して5〜45%(住民税を含めると最大約55%)で、給与所得者は暗号資産を含む雑所得が年20万円を超えると原則確定申告が必要です。
ここで見落とされがちなのが、「日本円に換えていなければ非課税」という思い込みです。AMMでのスワップ、たとえばETHをUSDCに交換した時点でも、手放したETHに利益が出ていれば課税対象になりえます。円に換えたかどうかではなく、損益が確定したかどうかで判断されるのが原則です(※2)。AMMは手軽に何度もスワップできるぶん、そのたびが課税イベントになりうる点は要注意です。暗号資産の税金の全体像は、仮想通貨の税金の記事で詳しく解説しています。
流動性提供の報酬・実務負担という論点
流動性提供(LP)にも税務の論点があります。受け取ったスワップ手数料やイールドファーミングの報酬は、受け取った時点の時価が所得として認識されるのが一般的な考え方です。さらに、プールへの預け入れや引き出しの際にも、暗号資産を手放した・受け取ったと見て損益が生じうる場面があります。ただし、DeFi固有の処理は国税庁から明確な指針が示されていない論点も多く、実務では解釈が分かれる部分が残っています。
もう一つの現実的な壁が記録・計算の負担です。海外のDEXは国内取引所のような年間取引報告書を出してくれません。スワップやLPの出し入れをすべて自分で記録し、その都度の時価で損益を計算する必要があり、取引回数が増えるほど手作業では追いきれなくなります。損益計算ツールの利用が前提になりやすいのが実情です。



税務の現場で見ていると、AMMやDeFiは「稼げた金額」より「記録が残っていないこと」でつまずく方が多いです。円に換えていなくても、スワップやLP報酬で課税対象になりうるのが日本のルール。DeFi固有の処理は未確定の論点も多いので、取引履歴を必ず残し、判断に迷う場合は税理士や税務署への確認をおすすめします。
よくある質問
AMMとは何ですか?わかりやすく教えてください
AMM(自動マーケットメイカー)は、取引相手を探さなくても暗号資産を交換できるようにするDEXの仕組みです。売り手と買い手をマッチングする代わりに、あらかじめ用意された流動性プールに対して、プログラムが数式で価格を計算してスワップを成立させます。人ではなくプログラムが自動でさばくため「自動マーケットメイカー」と呼ばれます。
AMMとDEXの違いは何ですか?
AMMは「価格を決める仕組み」、DEXは「その仕組みを使った分散型取引所そのもの」です。DEXという取引所の内部で、価格決定と約定を担うエンジンがAMM、という関係になります。UniswapはDEXですが、その中で動いているのがAMMです。AMMを使わないオーダーブック型のDEXも存在します。
AMMではなぜ相手がいなくても取引できるのですか?
相手ではなく「流動性プール」を相手に取引するためです。プールには2種類のトークンがペアで預けられており、片方を入れてもう片方を引き出す形で交換します。価格は定数積(x*y=k)などの数式で自動的に決まるため、約定相手を探す必要がありません。プールに資金がある限り、24時間いつでもスワップできます。
定数積(x*y=k)とは何ですか?価格はどう決まりますか?
プール内の2トークンの数量x・yの積が常に一定(k)になるよう保つ、AMMの基本的な価格決定モデルです。片方のトークンを買うとその在庫が減り、kを保つためもう片方の必要量が増えます。これにより「在庫が減った側が高くなる」方向に価格が自動で動きます。大口の取引ほど価格が大きくずれ、これがスリッページの原因になります。
AMMで流動性を提供すると稼げますか?
スワップのたびに発生する手数料が持ち分に応じて分配されるため、流動性提供(LP)で手数料収入を得られます。ただしインパーマネントロス(変動損失)があり、預けたペアの価格が動くと含み損が出ます。手数料収入が変動損失を上回れば通算プラス、下回れば損失です。「預けるだけで必ず儲かる」わけではない点に注意が必要です。
インパーマネントロスとは何ですか?なぜ発生しますか?
流動性を預けたペアの価格比が変わったとき、単に保有していた場合(HODL)と比べて生じる含み損です。AMMは価格が動くと値上がりした側を売り、値下がりした側を買い増すため、値上がりの利益を取りこぼします。価格が2倍動くと約5.7%、5倍で約25%が目安です。価格が元の比率に戻れば損失は消えるため「非永続的(インパーマネント)」と呼ばれます。
代表的なAMMのDEXにはどんなものがありますか?
汎用ペアの最大手がUniswap、安定コインペアに強いのがCurve、BNB Chain中心で手数料が安めのPancakeSwap、Solana上のRaydiumなどが代表例です。TVL(預かり資産)ではUniswapが最大級で、複数チェーンに展開しています。DEXごとに得意なペアや価格決定の式が異なります。
AMMで得た利益に税金はかかりますか?確定申告は必要ですか?
日本では原則、AMMでの利益も雑所得として課税対象になりえます。日本円に換えていなくても、暗号資産同士のスワップやLP報酬の受け取りで利益が出れば課税されうる点に注意が必要です。給与所得者は暗号資産を含む雑所得が年20万円を超えると原則確定申告が必要です。DeFi固有の処理は未確定の論点も多いため、取引記録を残し、迷う場合は税理士に確認しましょう。
まとめ|AMMはDeFiの土台、稼ぎ方とリスクをセットで
AMM(自動マーケットメイカー)は、取引相手を探さずに暗号資産を交換できるようにした、DEXの中核の仕組みです。流動性プールと定数積(x*y=k)という数式によって、板も約定相手もなしに24時間いつでもスワップが成立します。「AMM=仕組み、DEX=その仕組みを使った取引所」と整理すると、混同せずに理解できます。
流動性を預ければスワップ手数料を稼げますが、インパーマネントロス・スリッページ・MEV・詐欺トークンといった固有のリスクがあり、「預けるだけで儲かる」ものではありません。そして日本では、円に換えていなくてもスワップやLP報酬で課税されうる点は使う前に必ず押さえておきましょう。仕組み・稼ぎ方・リスク・税金までセットで理解することが、AMMと賢く付き合う第一歩です。
参考文献
1. DefiLlama「各プロトコルのTVL(Uniswap/Curve/PancakeSwap/Raydium)」(2026年7月時点・要確認)https://defillama.com/
2. 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い(FAQ)」https://www.nta.go.jp/
3. 国税庁 税務大学校論叢113号「暗号資産・DeFi取引に係る所得税の課税関係」(令和6年)https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/
※本記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の暗号資産(仮想通貨)・取引所・DeFiサービスへの投資を勧誘するものではありません。AMM・DeFiの仕様や手数料、税務上の扱いは変更される場合があるため、最新の情報は各公式サイトおよび金融庁・国税庁の情報でご確認ください。税務の具体的な判断は税理士等の専門家にご相談ください。暗号資産取引にはリスクが伴い、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。









