位置: 第5部 第46回 / 前提: 第43回、第45回 / 数学編: M16 / この回でできるようになること: ある市場で裁定が起きないことを、価格と整合する確率の重みが存在するかどうかで判定できる
目次
0. 物語 ― 割引を忘れると判定を誤る
今の1万円と1年後の1万円は、同じ金額でも価値が違います。銀行に預ければ利息が付くからです。この「時間によるズレ」を無視すると、金融の判定が狂います。
株が今100円で、1年後に120円か90円のどちらかになるとします。銀行の利率は5パーセントです。この市場で「タダで確実に儲かる方法」が無いかどうかを調べたいとき、ある計算方法があります。すべての資産の将来の値段を、ある重みで平均して、今の値段と比べるのです。
ところが、ここで「将来の値段をそのまま使う」人と「利息の分を差し引いてから使う」人がいます。差し引く操作を忘れた人は、株についてはうまくいったように見えます。重みを3分の1と3分の2にすると、平均はちょうど100円になるからです。
しかし銀行預金を同じ方法で調べると、話が壊れます。100円を預けると1年後に105円になります。先ほどの重みで平均しても、結果は105円のままです。今の価値である100円とは一致しません。株と預金の両方を同時に整合させる重みが、存在しなくなるのです。
「差し引き」を正しく行えば、預金は自動的に整合します。来年の105円を1.05で割ると、ちょうど100円に戻るからです。この差し引きこそが「割引」と呼ばれる操作で、今回証明する定理の中心にあります。
定理が言っているのは、「タダで儲かる方法が無い」ことと「すべての資産の割引後の値段を整合させる重みが存在する」ことが、実は同じ主張である、ということです。割引を忘れると、この判定そのものが成り立たなくなります。
1. 動機 ― 第45回で見つけた確率は何者だったのか
この回を読み終えると、ある市場で裁定が起きないことを、価格と整合する確率の重みが存在するかどうかで判定できます。
第45回では、コールオプションの複製コストを整理したら「主観確率 p が消えて別の確率 q だけが残る」ことを見ました。あの q は偶然の産物ではなく、「無裁定」という仮定の必然的な帰結です。
今回は視点を上げます。特定のオプションを離れ、市場全体が無裁定であることと、ある種の確率測度が存在することは同値であることを証明します。これが資産価格付けの第一基本定理です。
第45回までは「リスク中立確率」と呼んでいた Q を、今回から同値マルチンゲール測度と呼びます。名前が変わるのは、定理を正確に述べるのに「同値」と「マルチンゲール」という2つの概念が必要だからです。
この記事で証明すること
- THM-FFT-1 有限の1期間モデルにおいて、無裁定であることと、割引後の資産価格をマルチンゲールにする同値な確率測度が存在することは同値です。
- THM-FFT-2 「同値」とは、現実の確率で起こりうる状態すべてに正の確率を与えることを意味します。
- THM-FFT-3 同値マルチンゲール測度の各状態の確率は、状態価格を割引係数で割ったものに一致します。
2. 設定と仮定 ― 有限状態の1期間市場
仮定を全部並べます。
- 時間: t=0(現在)と t=1(満期)の1期間のみ。
- 状態: 満期に起こりうる状態は有限個、Ω={ω1,ω2,…,ωN}。
- 主観確率: P(ωj)=pj>0(全ての j)。つまり全ての状態が実際に起こりうる。
- 資産: 安全資産1本と危険資産 n 本。安全資産の利率は r>−1(確定)。危険資産 i の現在価格は S0(i)、満期の状態 ωj での価格は S1(i)(ωj)。
- 摩擦なし: 取引コスト・空売り制約はない。
ポートフォリオは安全資産の保有額 B と危険資産の保有量 Δ1,…,Δn で表します。時刻0の価値と時刻1の価値は
V0V1(ωj)=B+i=1∑nΔiS0(i),=B(1+r)+i=1∑nΔiS1(i)(ωj)
です。裁定とは、V0≤0 かつ全ての ωj で V1(ωj)≥0 かつ少なくとも一つの ωj で V1(ωj)>0 となるポートフォリオです。これが存在しないとき、市場は無裁定であるといいます。
割引価格を S~1(i)(ωj)=S1(i)(ωj)/(1+r) と定義します。安全資産で測った相対価格です。
同値マルチンゲール測度とは、次の2条件を満たす確率測度 Q のことです。
- 同値: 全ての j について Q(ωj)>0(THM-FFT-2 で述べる条件)。
- マルチンゲール: 全ての危険資産 i について EQ[S~1(i)]=S0(i)。
条件2を展開すると、∑j=1NQ(ωj)S1(i)(ωj)/(1+r)=S0(i) です。割引後の将来価格の Q-期待値が、今の価格に一致する。これが「マルチンゲール」の意味です。
この節のまとめです。有限個の状態と有限本の資産からなる1期間市場を設定しました。同値マルチンゲール測度は「全状態に正の確率を与え、割引後の資産価格の期待値を現在価格に一致させる」測度です。
3. 主張 ― 無裁定と測度の存在は同値
3つの定理を述べます。
定理 THM-FFT-1(第一基本定理)
上の1期間有限状態モデルにおいて、次は同値である。
(A) 市場は無裁定である。
(B) 同値マルチンゲール測度 Q が存在する。
定理 THM-FFT-2(同値性の意味)
同値とは、P(ωj)>0 であるすべての状態 ωj について Q(ωj)>0 が成り立つことである。仮定により P(ωj)>0 は全ての j で成り立つから、Q も全ての状態に正の確率を与える。
定理 THM-FFT-3(状態価格との対応)
Q が同値マルチンゲール測度であるとき、ϕj=Q(ωj)/(1+r) とおくと ϕj>0 であり、任意の資産 i について
S0(i)=j=1∑NϕjS1(i)(ωj)(3.1)が成り立つ。逆に、全ての ϕj>0 が (3.1) を満たすなら、Q(ωj)=ϕj(1+r) は同値マルチンゲール測度である。
THM-FFT-3 の ϕj は状態価格(Arrow-Debreu 価格)です。状態 ωj でだけ1を払う証券の価格が ϕj に等しいことを意味します。同値マルチンゲール測度と状態価格は、割引係数 (1+r) で掛け割りするだけの関係にあります。
この節のまとめです。第一基本定理は「無裁定 ⇔ 同値マルチンゲール測度の存在」を主張します。THM-FFT-3 はその測度と状態価格の1対1対応を与えます。
証明を読む(読まなくても記事は完結します)
4. 証明 ― 裁定が無いことから測度を構成する
この節は読まなくても記事は完結します。
この証明を追いたい人は、数学編 第16回「条件付き期待値は射影である」へ。
THM-FFT-1 の証明
(B) ⇒ (A): 同値マルチンゲール測度が存在するなら無裁定。
Q を同値マルチンゲール測度とします。裁定ポートフォリオ (Δ1,…,Δn,B) が存在すると仮定して矛盾を導きます。
V0≤0 と仮定します。割引後の満期価値を V~1=V1/(1+r) と書きます。マルチンゲール条件から
EQ[V~1]=B+i=1∑nΔiEQ[S~1(i)]=B+i=1∑nΔiS0(i)=V0(4.1)
が成り立ちます。期待値の線形性を使い、マルチンゲール条件 EQ[S~1(i)]=S0(i) を代入しました。安全資産は割引すると元本 B に戻るので、そのまま B が残ります。
裁定の条件から V1(ωj)≥0 かつある ωk で V1(ωk)>0 です。割引しても符号は変わらないので V~1(ωj)≥0 かつ V~1(ωk)>0 です。
Q は同値なので Q(ωk)>0 です。非負の確率変数に正の確率の状態があるので
EQ[V~1]=j=1∑NQ(ωj)V~1(ωj)≥Q(ωk)V~1(ωk)>0.(4.2)
しかし (4.1) より EQ[V~1]=V0≤0 です。これは (4.2) と矛盾します。よって裁定は存在しません。
ここで「同値」条件が効きます。もし Q(ωk)=0 であれば、V~1(ωk)>0 の項は期待値に寄与せず、矛盾が出ません。つまり同値でない測度では裁定を排除できないのです。
(A) ⇒ (B): 無裁定なら同値マルチンゲール測度が存在する。
これは幾何学的な議論で示します。割引後の利得ベクトルを使います。
各ポートフォリオ (Δ1,…,Δn,B) に対し、割引後の利得を
Gj=V~1(ωj)−V0=i=1∑nΔi(S~1(i)(ωj)−S0(i))
と定義します。安全資産は割引で相殺されて消えます。V0 を引いた利得にしているので、G は「元手に対する超過リターン」を表します。
全てのポートフォリオから生じる利得の集合を W={G∈RN:Gj=∑iΔi(S~1(i)(ωj)−S0(i)),Δi∈R} とします。これは RN の線形部分空間です(Δi は任意の実数を取れるので)。
無裁定の条件を利得で書き直します。裁定が存在しないとは、G∈W で Gj≥0(全 j)かつ Gk>0(ある k)であるものが存在しないことです。言い換えると、
ここで R+N={x∈RN:xj≥0} は非負象限です。正確には、W の元で非負のものはゼロベクトルだけ、ということです(G≥0 かつ G=0 のものがないので、W と R+N の共通部分は原点のみ)。
ここで分離超平面定理(数学編 M16)を使います。非負象限のうち成分の和が1になる部分を K={x∈R+N:∑jxj=1} とします。K は有界な閉凸集合です。K の元は非負でゼロベクトルではないので、(4.3) より W と K は交わりません。W は閉凸集合(実際には線形部分空間)なので、閉凸集合と有界閉凸集合を強く分離する形の分離超平面定理により、ベクトル ψ=(ψ1,…,ψN) と実数 c が存在して
j=1∑NψjGj<c(G∈W),j=1∑Nψjxj>c(x∈K)(4.4)
が成り立ちます。
(4.4) の左側の条件を使います。W は線形部分空間なので、G∈W ならば任意の実数 λ について λG∈W です。もしある G∈W で ∑jψjGj=0 なら、λ の符号と大きさを選ぶと λ∑jψjGj をいくらでも大きくでき、c を超えてしまいます。これは左側の条件に反するので
j=1∑NψjGj=0for all G∈W.(4.5)
また 0∈W を左側の条件に代入すると 0<c です。
ψj>0 であること(等号でなく強い不等式)を示します。各 j について単位ベクトル ej(第 j 成分だけ1)は K に属するので、(4.4) の右側の条件に x=ej を代入すると ψj>c>0 です。ここで無裁定の条件 (4.3) が、W と K が交わらないという形で効いています。
よって ψj>0 が全 j で成り立ちます。(4.5) に Gj=S~1(i)(ωj)−S0(i) を代入すると
j=1∑Nψj(S~1(i)(ωj)−S0(i))=0.
Ψ=∑jψj として Q(ωj)=ψj/Ψ と定義すると、Q(ωj)>0 かつ ∑jQ(ωj)=1 です。上の式を Ψ で割ると
j=1∑NQ(ωj)S~1(i)(ωj)=S0(i)
が全ての i で成り立ちます。これはマルチンゲール条件そのものです。
Q は全ての状態に正の確率を与えるので同値です。以上で同値マルチンゲール測度の存在が示されました。 ∎
THM-FFT-2 の証明
THM-FFT-2 は定義の確認です。2つの測度 P と Q が同値であるとは、任意の事象 A について P(A)>0⇔Q(A)>0 が成り立つことです。有限の Ω では、これは各状態 ωj について
であることと同値です。本モデルでは仮定により P(ωj)>0 が全ての j で成り立つので、Q が同値であることは全ての j で Q(ωj)>0 であることに他なりません。
この条件がなぜ必要かは、(B) ⇒ (A) の証明で見た通りです。Q(ωk)=0 を許すと、ωk でだけ正のペイオフを持つポートフォリオを Q-期待値で検出できなくなります。反例 CEX-FFT-1 で具体的に壊れる様子を見ます。 ∎
THM-FFT-3 の証明
Q を同値マルチンゲール測度とします。ϕj=Q(ωj)/(1+r) と定義します。Q(ωj)>0 かつ 1+r>0 なので ϕj>0 です。
マルチンゲール条件を書き出します。
S0(i)=j=1∑NQ(ωj)1+rS1(i)(ωj)=j=1∑NϕjS1(i)(ωj).
Q(ωj) を (1+r) で割った ϕj を使って書き直しただけです。これが (3.1) です。
安全資産でも整合性を確かめます。安全資産は時刻0に1を投資して時刻1に 1+r を受け取るので、状態価格で値付けすると
j=1∑Nϕj(1+r)=(1+r)j=1∑N1+rQ(ωj)=j=1∑NQ(ωj)=1.
時刻0の投資額1と一致します。
逆に、全ての ϕj>0 が (3.1) を満たすとします。Q(ωj)=ϕj(1+r) とおくと、Q(ωj)>0 です。∑jQ(ωj)=(1+r)∑jϕj ですが、安全資産に (3.1) を適用すると 1=∑jϕj(1+r) なので ∑jQ(ωj)=1。マルチンゲール条件は (3.1) を (1+r) で割るだけで出ます。よって Q は同値マルチンゲール測度です。 ∎
5. 反例 ― 確率0を許すと裁定が生まれる
CEX-FFT-1: 同値でない測度は裁定を見逃す
THM-FFT-2 の「同値」条件を外すとどうなるかを見ます。2状態モデル(S0=100, u=1.2, d=0.9, r=0.05)を使います。
測度 Q′ を Q′(ωu)=0, Q′(ωd)=1 と定義します。これは同値ではありません(ωu に確率0を与えている)。
ここでデジタルコール(ωu で1、ωd で0を払う証券)を考えます。Q′ による割引期待値は
です。価格が0なのでタダで手に入ります。しかし ωu が実際に起こると1の利益を得ます。元手0、損失なし、利益あり。裁定です。
正しい同値マルチンゲール測度(q=1/2)ではデジタルコールの価格は 10/21≈0.4762 です。正の価格が付くので裁定にはなりません。
この反例が示しているのは、ωu に確率0を与えると、その状態での利益を「見えなくしてしまう」ということです。THM-FFT-1 の証明 (4.2) で Q(ωk)>0 を使った箇所が、まさにここに対応します。
この節のまとめです。同値でない測度は、確率0の状態に利益を集中させた裁定を検出できません。
CEX-FFT-2: 測度は一意とは限らない
状態が資産数より多いとき、同値マルチンゲール測度は一意でなくなります。3状態モデルで確かめます。
S0=100、株の満期価格は S1(ωu)=130, S1(ωm)=110, S1(ωd)=80、r=0.05 とします。
マルチンゲール条件は
1.05qu⋅130+qm⋅110+qd⋅80=100
すなわち qu⋅130+qm⋅110+qd⋅80=105 です。これに qu+qm+qd=1 を合わせると、3つの未知数に2本の方程式なので自由度が1です。
qd=t をパラメータに取ると
qu=2030t−5,qm=1−qu−t=2025−50t
です。全成分が正になる条件は qu>0⇔t>1/6、qm>0⇔t<1/2 です。したがって
の範囲で同値マルチンゲール測度が無限に存在します。測度の集合は1次元の線分です。
具体的に2点を確かめます。
| t |
qu |
qm |
qd |
| 1/3 |
1/4 |
5/12 |
1/3 |
| 1/4 |
1/8 |
5/8 |
1/4 |
どちらもマルチンゲール条件を満たし、全成分が正です。
端点ではどうなるか。t=1/6 だと qu=0(ωu に確率0)、t=1/2 だと qm=0(ωm に確率0)で、いずれも同値性が崩れます。開区間の端は同値マルチンゲール測度の集合に含まれません。
この節のまとめです。状態数が資産数(安全資産を含めて2本)を超えると、マルチンゲール条件の連立方程式が不定になり、測度が一意に定まりません。
CEX-FFT-3: 割引を忘れると測度が存在しない
マルチンゲール条件の「割引」を忘れるとどうなるか。2状態モデル(S0=100, u=1.2, d=0.9, r=0.05)で、割引せずに q⋅120+(1−q)⋅90=100 を解くと q=1/3 です。
しかし安全資産を同じ q でチェックします。安全資産は時刻0に1、時刻1に 1.05 なので、マルチンゲール条件(割引なし版)は
q⋅1.05+(1−q)⋅1.05=1.05=1.
安全資産の時刻0の価値は1ですが、「割引なし期待値」は 1.05 になってしまいます。整合しません。
正しい条件は割引後の価格 S~1=S1/(1+r) に対して EQ[S~1]=S0 です。割引を入れると安全資産は自動的に整合します(S~1=(1+r)/(1+r)=1=S0)。割引を忘れると、r>0 である限り安全資産の条件が壊れ、株と安全資産を同時にマルチンゲールにする測度が存在しなくなります。
この節のまとめです。割引は「お金の時間的価値を揃える」操作です。これを省くと、安全資産の存在と矛盾し、測度が存在しなくなります。
6. 数値例 ― 状態価格から測度を作る
2状態モデル(S0=100, u=1.2, d=0.9, r=0.05)で THM-FFT-3 を数値で確かめます。
同値マルチンゲール測度: q=1/2, 1−q=1/2。
状態価格: ϕu=q/(1+r)=(1/2)/1.05=10/21≈0.4762、ϕd=(1−q)/(1+r)=10/21≈0.4762。
検算(株):
ϕu⋅120+ϕd⋅90=2110×120+2110×90=211200+900=212100=100=S0.
検算(安全資産):
ϕu⋅1.05+ϕd⋅1.05=2110×2021+2110×2021=2010+2010=1.
安全資産の時刻0の価値1と一致します。
コール(K=100):
ϕu⋅20+ϕd⋅0=2110×20=21200≈9.5238.
第45回で求めた複製コスト 200/21 と一致します。状態価格を使えば、複製の計算をしなくても価格が出ます。THM-FFT-3 が保証しているのは、この2つの方法が常に同じ答えを与えることです。
状態価格の和: ϕu+ϕd=20/21≈0.9524。これは割引係数 1/(1+r)=20/21 に等しいです。全状態に1を払う証券(つまり安全資産)の価格がちょうど割引係数になるためです。
この節のまとめです。状態価格は同値マルチンゲール測度の確率を割引係数で割ったもので、どちらからでも相互に変換できます。
7. 次回へ ― 価格が一意に決まる条件
今回の定理は「無裁定 ⇔ 測度の存在」でした。しかし CEX-FFT-2 で見たように、測度が複数あるときには1つのペイオフに対して異なる価格が計算できてしまいます。つまり無裁定だけでは価格が一意に定まりません。
次回(第47回)では、測度が一意であるための条件を扱います。それが市場の完備性であり、資産価格付けの第二基本定理の内容です。
次のマイルストーンまであと 8 本です。
よくある質問
測度という言葉が急に出てきましたが
確率の割り当て方のことです。現実の確率とは別の割り当てを使う、という意味で名前を変えています。
なぜ割引するのですか
金利があると、そのままではお金の価値が時点で変わるからです。割り引いて揃えると公平な賭けの形になります。
同値とはどういう意味ですか
起こりうる状態の集合が同じ、ということです。現実で起こる状態には、新しい測度でも正の確率を与えます。
参考文献
- Harrison J. M. and Kreps D. M.、Martingales and Arbitrage in Multiperiod Securities Markets、Journal of Economic Theory、1979年、DOI 10.1016/0022-0531(79)90043-7
- Föllmer H. and Schied A.、Stochastic Finance ― An Introduction in Discrete Time、第4版、De Gruyter、2016年
数値例は compute.py により有理数演算で検算済み。本文中の小数は4桁で丸めている。