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セカンドレイヤーとは?ブロックチェーンの新技術の仕組みや目的

最近、ビットコインをはじめとした暗号資産(仮想通貨)の話題でよく出てくる、「セカンドレイヤー」をご存知でしょうか?​

ライトニングネットワークや、ライデンネットワークなど、最新の有名なプロジェクトで広く使われている技術です。

​今回は、セカンドレイヤーと呼ばれる技術について、その意味から、仕組みを始め、メリットや実装例、問題点などを、初心者の方が詳しくなれるレベルまで分かりやすく解説します!

セカンドレイヤーはこれからのビットコイン2.0などと言われる、次世代の暗号資産(仮想通貨)の技術に欠かせない概念です。これを読んで、最新技術に遅れを取らないようにしましょう!

目次

ブロックチェーンのセカンドレイヤー(レイヤー2)とは?​

​セカンドレイヤーとは

ブロックチェーンのセカンドレイヤーとは、ブロックチェーンネットワークの上に重ねて、様々な便利な利用方法を実現するための構造のことを言います。何かしらの具体的なシステムのことを指している訳ではありません。

皆さんの生活の中で、物理的な原理を知らずに使っている技術は多いと思います。例えば、パソコンの一番下の原理は、物理的な接続と電気信号です。しかし、皆さんはそのことを意識する必要はなく、パソコンを開いてWebブラウザを開けば、すぐにネットサーフィンができます。

このように、原理的な要素を一番下の層として、その上に層のように構造を重ね、最も上に操作が簡単な要素を重ねる構造を、レイヤーモデルと言います。

レイヤーモデルの、2番目の層にあたるのがセカンドレイヤーです。ブロックチェーンについていうと、1層目がメインのブロックチェーンのネットワークであり、サイドチェーンや、ライトニングネットワークなどのオフチェーンネットワークがセカンドレイヤーとなります。

セカンドレイヤーの仕組み​

上の図のように、セカンドレイヤーはブロックチェーンの情報を元に、セカンドレイヤー上でオフチェーン取引や、サイドチェーンシステムを動かし、その結果をブロックチェーンに再び記録することで、メインチェーンと相互に影響を与え合っています。

先ほど言った、レイヤーモデルの下層の原理を知らなくても上層で動かせると言ったように、このとき、セカンドレイヤーとブロックチェーンのやりとりは多くの場合自動化されており、ブロックチェーンのことを意識することなく、セカンドレイヤー上のやり取りだけを見ることとなります。

セカンドレイヤーのメリットと目的​

​​セカンドレイヤーのメリット①メインチェーンの負担を軽減できる

ブロックチェーンはトランザクションを承認するのにマイニングを行う必要があるため、手数料・時間が多くかかります。時間は一定になるように設定されていますが、手数料はトランザクションの混み具合によって変化し、場合によっては非常に高額になります。トランザクションの数が、ブロックサイズと呼ばれる容量を超えるようになると、承認が追いつかなくなり、取引が承認されないまま放置される送金詰まりが起きてしまいます。

セカンドレイヤー上で取引の一部を行い、メインチェーン上でのトランザクションを削減することで、負担を軽減することができます。

利用者の目線でいうと、「送金手数料が安くなる」ことや、「取引承認までの時間が大幅に削減される」ことがメリットとして挙げられます。

セカンドレイヤーのメリット②メインチェーンに影響を及ぼさずに実験できる

仕組みの項で、ブロックチェーンとセカンドレイヤーは相互影響を与え合うというように述べましたが、厳密にはその影響の仕方は少し異なります。
ブロックチェーンからセカンドレイヤーへの影響はシステムの変化などであり、セカンドレイヤーからブロックチェーンへの影響はコインの移動などとなります。

しかし、ブロックチェーンからセカンドレイヤーへの影響は必ず起こるものであり、セカンドレイヤーからブロックチェーンへの影響は、ブロックチェーン側から認めない限り、起こることはありません

したがって、メインチェーンは迅速なシステム変更や、改善が行いづらいのに対して、セカンドレイヤーはメインチェーンに対して影響を及ぼすことなく変更の実験を行うことができます。

セカンドレイヤーのメリット③クロスチェーンを実現しうる

​レイヤーモデルを形成させる上で重要なメリットは、上の層に向かってだんだん抽象化されていくということです。下の層の違いを上の層が吸収して、一つのシステムにまとめるということです。

例えば、ブロックチェーンの抽象化の例として、クロスチェーンが挙げられます。これはまだ実装段階にはない技術なのですが、「ビットコインとライトコインを仲介なしで直接交換する」ことを可能にするものです。異なるブロックチェーン同士をクロスさせるということです。分散型取引所(DEX)などはアトミックスワップを利用して、クロスチェーンさせることで、中央集権所のない取引所を実現させようとしています。

上の例では、ブロックチェーン同士の抽象化でしたが、将来的には共通のスマートコントラクトで全てのチェーン上で動くプログラムが書けるようになることなどが期待されています。抽象化は下層のチェーンの形を変えずとも、それらをまとめることができ、今後の暗号資産(仮想通貨)業界を大きく変化させる構想であり、非常に期待が持てます。

セカンドレイヤーの実装例 ​

​まだ、クロスチェーンさせるようなセカンドレイヤーは実装していませんが、メインチェーンの働きを助けるためのセカンドレイヤーはいくつか開発されています。ここでは、いくつかの代表的なセカンドレイヤー技術をご紹介します。

セカンドレイヤーの実装例①ライトニングネットワーク 

​今注目されているライトニングネットワークは、ビットコインネットワークのセカンドレイヤーの中で最も有名なものです。これは、ビットコインにおけるスケーラビリティ問題を解決すると同時に、マイクロペイメントを実現するために開発されています。

ライトニングネットワークの特徴としては、これ自体がメインネットの手助けのためだけに存在しているということです。何かしらの中央集権所が作ったわけではなく、ビットコイン同様、分散型のネットワークを形成して、コインの取引のために存在しています。

ライトニングネットワークの詳しい仕組みや、技術については下の記事をご覧ください

セカンドレイヤーの実装例②ライデンネットワーク 

​ライトニングネットワークが、ビットコインに最適化されたセカンドレイヤーであるのに対して、イーサリアムに最適化したものがライデンネットワークです。

ライデンネットワークも、ライトニングネットワーク同様、イーサリアムのスケーラビリティ問題を解決する可能性を持ったプロジェクトですが、大きく異なる点として、RDNという独自トークンを発行し、ICOを行ったところです。RDNはライデンネットワーク内のサービスを利用するための手数料のために必要なのですが、イーサリアムの開発者からは批判を受けています。

ライデンネットワーク の詳しい仕組みや、技術については下の記事をご覧ください。​

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セカンドレイヤーの実装例③サイドチェーン

​サイドチェーンはリスク(Lisk)などが実装しようとしている、「メインチェーンを分岐させて、分岐したチェーン上で独自のシステムを構築させる」技術です。サイドチェーン上では独自のトークンやコンセンサスアルゴリズム、さらにはスマートコントラクトが実装することができます。

サイドチェーンの詳しい仕組みや、技術については下の記事をご覧ください。

セカンドレイヤーのデメリットと問題点​

​セカンドレイヤーは、ブロックチェーンに対して、全ての面で優れているというものではありません。

セカンドレイヤーは、あくまでブロックチェーンを補完・拡張するものです。ここではセカンドレイヤー技術がもつデメリットや問題点をご紹介します。

セカンドレイヤーのデメリット①セキュリティが脆弱になる

セカンドレイヤーは、ブロックチェーンと比べてセキュリティが脆弱になることが懸念されています。

セカンドレイヤーは一時的にブロックチェーンから切り離されたところでネットワークを形成します。ゆえに、その移動の途中で攻撃を受けやすくなってしまいます。

ブロックチェーンは、手軽さの面でいったら不便と言わざるを得ません。しかしながら、不便でありスピード感が遅いからこそ、オフラインで通貨が保管できたり、マイニングが安定したりなど、そのセキュリティは極めて強固なものとなっています。セカンドレイヤーはそれと比べて、手軽さを追求しており、ブロックチェーンのように取引記録が共有されるわけではないので、セキュリティ面では不安が残ります。

利便性と安全性はトレードオフであると言えるのです。

セカンドレイヤーのデメリット②取引がブラックボックス化する

​ビットコインなどのブロックチェーンは、他のトランザクションを参照すること、ネットワーク上全ての取引記録を確認することができます。それこそがブロックチェーンの正当性の保証となっています。それに対して、セカンドレイヤー上の取引の多くは、取引記録の確認や、監視を行うことができません。ゆえに、セカンドレイヤーはブラックボックスと化すことが考えられます。

しかし、一般的には、確認や監視行わなくても済むようなシステムが構築されているようです。例えばライトニングネットワークの場合、その取引は両者の合意がないと行われないようになっており、プログラム上で不正を防止しています。

セカンドレイヤーのデメリット③従来のマイナーからの反感

短期的に見ると、メインチェーンでのトランザクションの数が減少することによって、送信者からの追加の手数料が減少し、マイナーにとってはマイニングで得られる報酬が減ることにつながります。例えばライトニングネットワークの場合、トランザクションを作る必要があるのは一連の取引の最初と最後の2回だけです。

現状、ビットコインを始めとして、多くの暗号資産(仮想通貨)のネットワークの支配力は大手のマイニングプールが持っています。したがって、セカンドレイヤーを導入を検討する際、そうしたマイニングプールが反発し、ハードフォークを起こしたり、分散してしまう危険性があります。

しかし、長期的に見た場合、マイニングで得られるその通貨の絶対量が減ったとしても、利便性が向上したことで流動性が上がり、価格が上昇することで、得られる相対的な価値は上昇することが期待できます。なので、マイニングプールは、導入されるセカンドレイヤーが、本当に価値のあるものなのか評価する立場にあります。

セカンドレイヤーまとめ​​

​​これからの暗号資産(仮想通貨)技術の中心になっていくに違いない、「セカンドレイヤー」について開設しました。

ブロックチェーン自体が安定化してくると、そこに変化を及ぼすことのリスクは大きくなります。セカンドレイヤーはそうしたリスクを軽減し、さらにはクロスチェーンなどの可能性も持った、今後確実に開発が進む領域です。

ブロックチェーンとの関係性を正しく理解するようにしましょう!

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この記事を書いた人

水野倫太郎のアバター 水野倫太郎 Ichizenholdings代表

慶應義塾大学経済学部。
2017年米国留学時にブロックチェーンと出会い、Web3の業界に足を踏み入れる。
2018年には、日本有数の仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。
2019年には同社のCMOに就任し、2020年に東証二部上場企業とM&Aを行い、様々なクリプト事業を展開する。
2022年に現在代表取締役社長を務めるICHIZEN HOLDINGSを立ち上げ様々なWeb3事業を手がける。
複数のWeb3系事業に出資を行いながら有識者として活動。

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