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オラクル(Oracle)とは?スマートコントラクトの実用性を広げる重要なシステムを解説!

オラクルって何?スマートコントラクトの実用性を高める!?

そんなことをお考えですか?

この記事を読めばオラクルとはどういうものなのか、その利点や問題点まで知ることができます。

元々ブロックチェーンは暗号資産(仮想通貨)のみで使われていましたが、このオラクルにより暗号資産(仮想通貨)だけでなくビジネスにも応用することができ、また、スマートコントラクトが高速にリアルタイムで行うことができるようになります。

今のうちからオラクルについて理解を深めておきましょう!

目次

オラクル(Oracle)とは?​

オラクルとは簡潔に説明するとブロックチェーンと世の中の情報を繋ぐシステムです。天気、事件、不動産価格、為替などのさまざまなブロックチェーン外の情報・データをブロックチェーンに持ってくることができます。また、その外部から持ってきた情報が正しいのかどうか判断をします。

昨今ビジネスにブロックチェーンを取り入れる流れが増え始めているので、ブロックチェーンに情報を入れる必要性が高くなっています。ですが、ブロックチェーンは自ら世の中の情報を持ってくる機能がありません。なのでオラクルはブロックチェーンに情報をもたらすシステムとしてとても重要な役割を果たしています。

(今回解説するオラクルはIT用語で出てくるデーターベースのオラクルとは違います!)

オラクルの種類 ​

ブロックチェーンにブロックチェーン外の情報をもたらしてくれるオラクルは集中型オラクル分散型オラクルの二種類に分けることができます。1つずつ見ていきましょう!

集中型オラクル 

​1つの管理主体によって運営されているオラクルを集中型オラクルといいます。

この管理主体はブロックチェーン外の世の中の情報を効率的に集めて、それをブロックチェーンと繋げてくれます。集中型オラクルの管理主体は正しい情報をもたらすことが必要なため、高い信頼性を求められます。しかし、集中型オラクルが不正やハッキングの被害に会い、間違った外部情報がブロックチェーンに流れると困るので、ハッキング防止システムに多くの管理コストがかかってしまいます。

分散型オラクル 

​分散型オラクルは参加者全員で分散して管理されているオラクルです。

集中型オラクルとは違い管理主体が1つではないため、外部からハッキングされても情報が改ざんされるリスクはほとんどありません。ですが、分散型オラクルの実現は今現在では非常に難しくなっています。

分散型オラクルはみんなで管理するため、一見安全なように思えますが、オラクルの情報を正当化させるインセンティブ設計が難しいため分散型オラクルは実現にいたっていません。

同じ分散型の管理方法である暗号資産(仮想通貨)は取引が行われたときに、その取引記録を正しく計算すると暗号資産(仮想通貨)が貰えるインセンティブがあるため、情報の正当性が成り立っています。

ですが反対に、分散型オラクルではそのような報酬を貰えるインセンティブがありません。なので情報の正当性が低くなってしまいます。

このようなことから実際に今利用されているオラクルのほとんどは集中型オラクルとなっています。

オラクルは早くてリアルタイムなスマートコントラクトを実現する

オラクルはブロックチェーン上でスマートコントラクトするのにとても重要な役割を果たします

イーサリアムのスマートコントラクトは契約の自動執行を行うもので、例えば、「明日の天気は晴れもしくは雨か?晴れの場合は1ETHを貰える」というような契約をするとします。

これをスマートコントラクトする場合、ブロックチェーン内には天気の情報がないため天気が晴れになったのか雨になったのか分かりません。なのでこの天気の情報をブロックチェーン内に持ってくるためにオラクルが必要不可欠になります。

素早く自動的に契約執行ができる 

​オラクルを使ってスマートコントラクトをすることで外部の情報を瞬時に取り入れ自動的に契約を執行でき、また条件分岐などの複雑なシステムも実装することができます。

これによって低コストでリアルタイムなスマートコントラクトをすることができます

ブロックチェーンで様々なビジネスをすることができるようになる

今までは主に暗号資産(仮想通貨)に使用されていたブロックチェーンでしたが、オラクルの導入によって​ブロックチェーンで扱える情報が格段に増え、様々なビジネスに応用することができます。

オラクルはブロックチェーン上でギャンブル、保険、金融などのビジネスをすることができ、グローバルで情報量の多い大きなプラットフォームが作れるととても期待されています。

オラクルの問題点 ​

​オラクルは今後非常に重要なシステムとなってきますが二つほど問題点があります。

情報の正確性

​先ほど申したようにオラクルはほとんど集中型オラクルなため、1つの管理主体が運営しています。当たり前のことですが、オラクルが持ってくる外部の情報の真偽がわからなければ、そのオラクルは使うことはできません。管理主体は自信に利益となるように情報を不正に改ざんすることも可能なのです。

なので管理主体は信頼性を確保するようにさまざまな取り組みをしなければなりません

ハッキングリスク 

​集中型オラクルでは外部の情報を1度集めてそれをブロックチェーン内に流し、その情報をもとにスマートコントラクトが行われています。なので集めた情報がハッキングされ改ざんされてしまうと、誤った情報でスマートコントラクトが行われることになってしまいます。

このハッキングリスクはオラクルを利用するうえで伴うリスクで、これを避けるためにもセキュリティに多額なコストがかかってしまいます。

オラクル関連のプロジェクト3選 ​

Gnosis 

https://gnosis.pm/

Gnosisはイーサリアムのブロックチェーンを使ったスマートコントラクトでの予想市場アプリケーションを作ることを目指したプロジェクトです。予想市場とは未来の事象にたいして結果を予想し、それに参加者が金銭を賭けるプラットフォームの事をいいます。

日本では予想市場として競馬や競輪、競艇などがありますね。それをブロックチェーン上で行おうとしているのです。

仕組みは以下の図のようになっています。

予想市場では「1か月以内に地震が起きる」などの予想に市場参加者が賭けていき、その結果に応じて報酬が払われるようなスマートコントラクトが組まれていて、1か月以内地震が起きたかどうかを確認するためにオラクルを使っています。

​Oraclize 

https://www.oraclize.it/#contac…

oraclizeとはWeb APIと分散型アプリケーション(Dapps)を繋げるオラクルのことをいいます。APIとはApplication Programming Interface​の略で、Web上のシステムを呼び出すものです。

​Oraclizeはイーサリアムだけでなく、RootstockやEtherisc​などのプロジェクトの橋渡しとなっています

Rootstock​はビットコインにスマートコントラクトを導入し、ビットコインの利便性をあげるためのプロジェクトです。またRootstock​はイーサリアムとも互換性があるため、イーサリアムネットワークはビットコインネットワークの安全性を受け継ぐことができるようになっています。Rootstock​でスマートコントラクトを行う時、Oraclizeが利用されています。

Etherisc​(Eris)はスマートコントラクトを用いて分散型保険アプリケーションを作ることを目的としたプロジェクトです。仲介者をなくすことで保険料を安くするような取り組みをしています。Etherisc​​でスマートコントラクトを行う時、Oraclize​が利用されています。

BlockOne IQ

​BlockOne IQ​は為替レートや株価、暗号資産(仮想通貨)の価格など金融市場のデータをCorda、EthereumまたはQuorum​でのスマートコントラクトの際に使われるオラクルです。

​ロイター通信でお馴染みのトムソン・ロイター社が提供するオラクルで、ブロックチェーン外の情報はロイター通信から持ってきており全てトムソン・ロイターの署名がついているので信頼性の高いオラクルといえます。

オラクル​まとめ

​オラクルは世の中の外部の情報をブロックチェーン内にもたらすシステムでした。

オラクルには集中型オラクルと分散型オラクルがあり、今現在あるオラクルはほとんど集中型オラクルが使われています。分散型オラクルだと参加者が公正に保つインセンティブがないため、信頼性のある情報がもたらされることが集中型オラクルより少なくなってしまいます。

スマートコントラクトとオラクルの相性は抜群で、この2つの組み合わせによって外部にある膨大な量の情報を早く自動的な契約執行をすることができるようになります。これによりビジネスへの応用が可能になっています。

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この記事を書いた人

水野倫太郎のアバター 水野倫太郎 Ichizenholdings代表

慶應義塾大学経済学部。
2017年米国留学時にブロックチェーンと出会い、Web3の業界に足を踏み入れる。
2018年には、日本有数の仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。
2019年には同社のCMOに就任し、2020年に東証二部上場企業とM&Aを行い、様々なクリプト事業を展開する。
2022年に現在代表取締役社長を務めるICHIZEN HOLDINGSを立ち上げ様々なWeb3事業を手がける。
複数のWeb3系事業に出資を行いながら有識者として活動。

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