Zcash(ジーキャッシュ/ZEC)とは?1年で約25倍・なぜ急騰したのか・買い方と将来性【2026年最新】

この記事で伝えたいこと
- Zcash(ZEC)は1年で約25倍。約48ドルから約1,185ドルへ上がり、時価総額はトップ10圏に復活しました
- きっかけは著名投資家の1つの投稿。そこへETF上場と企業の買い集めが重なりました
- 日本の取引所では1社も扱っておらず、日本円では買えません
- 1日で17%動く相場です。「上がったから買う」で追いかけると、高値づかみのリスクがあります
木田 陽介Zcashは、2016年からある古参のプライバシーコインです。長く「知る人ぞ知る」銘柄でしたが、2025年秋から様子が一変しました。1年で約25倍という値動きは、暗号資産のなかでも突出しています。この記事では、なぜ上がったのかを日付と出典つきで分解し、そのうえで「日本から買えるのか」「今から乗って大丈夫なのか」を忖度なくお伝えします。


監修 木田 陽介
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役
2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業に6億円でM&A。bitgetの月間取引高で世界4位を獲得。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。
Zcash(ジーキャッシュ/ZEC)とは?基本情報
Zcash(ジーキャッシュ)は、送金の中身を暗号で隠せる「プライバシーコイン」の代表格です。ビットコインが「誰から誰へいくら送ったか」を全世界に公開する台帳であるのに対し、Zcashは希望すれば送金者・受取人・金額を第三者から見えなくできます(※1)。この秘匿を支えるのが、後で説明する「ゼロ知識証明(zk-SNARK)」という暗号技術です。
成り立ちも押さえておきます。Zcashは2016年10月28日に公開された、比較的歴史の長い暗号資産です。通貨単位はZEC、発行上限はビットコインと同じ2,100万枚に設定されています(※1)。モネロ(XMR)やダッシュ(DASH)と並ぶ「匿名通貨」の一角ですが、全員を強制的に匿名にするモネロと違い、Zcashは公開と秘匿をユーザーが選べる(選択的開示)点が最大の違いになります。
| 項目 | 内容(2026年9月時点) |
|---|---|
| 名称/通貨単位 | Zcash(ジーキャッシュ)/ZEC |
| ジャンル | プライバシーコイン(匿名通貨) |
| 公開日 | 2016年10月28日 |
| 価格 | 約1,185ドル(約18万5,000円) |
| 時価総額 | 約200億ドル(約3.1兆円)/暗号資産全体で9〜11位前後 |
| 24時間出来高 | 数億ドル規模 |
| 循環供給量 | 約1,692万ZEC(発行上限の約80%) |
| 発行上限 | 2,100万ZEC(ビットコインと同じ上限モデル) |
| 直近1年の値動き | 約+2,400%(約48ドル→約1,185ドル/約25倍) |
| コンセンサス | PoW(Equihash/ASIC耐性) |
| 国内取引所での取扱い | なし(日本の登録業者で日本円購入は不可) |
| 日本での税務上の扱い | 雑所得・総合課税(最大約55%)/20%の申告分離課税の対象外 |
価格・時価総額・順位・供給量はCoinGeckoの2026年9月7日時点のデータです(※2)。価格については、当メディアがKraken・Coinbase・Gemini・OKXの公開APIへ個別に照会し、いずれも1,185〜1,187ドルの範囲で一致することを確認しました(確認日:2026年9月7日。※3)。数値は日々大きく動くため、最新値はご自身でもご確認ください。
なぜZcashは急騰したのか?きっかけは1つの投稿だった
ここが、この記事でいちばん知りたい方が多い部分でしょう。Zcashの急騰は、著名投資家の1つの投稿が点火し、そこへ「ETF上場」と「企業の買い集め」が重なって続いた、という順番で起きています。「なんとなく上がった」ではなく、日付を追える出来事の連鎖です。順に分解します。
- 点火|2025年10月、著名投資家ナヴァル・ラヴィカントのX投稿
- 追随|アーサー・ヘイズら著名人の買い増し・強気予想
- お墨付き|2026年8月、米国初のZcash現物ETFがNYSEに上場
- 買い集め|上場企業がZECを準備金として蓄積
- 実需|送金を暗号化する「遮蔽プール」の残高が過去最高圏へ
点火剤|「ビットコインはドルへの保険、Zcashはビットコインへの保険」
始まりは、たった1つの投稿でした。シリコンバレーの著名投資家ナヴァル・ラヴィカント氏が、2025年10月1日にX(旧Twitter)で「ビットコインは法定通貨(フィアット)に対する保険であり、Zcashはビットコインに対する保険だ」と投稿しました(※4)。ビットコインは取引が全世界に公開されるため、本当のプライバシーがない——だからこそ匿名性を持つZcashに価値がある、という主張です。
この一言が相場を動かしました。複数の報道によれば、ZECは9月末の約53ドルから、投稿後1週間ほどで約230ドルまで上昇し、月間の上昇率は370%を超えました(※4)。機関の大量買いや技術的な新発表がきっかけではなく、直接の引き金は1つの投稿だったという点が、この初動の特徴です。
ただし、ここは忖度なく書いておきます。ラヴィカント氏はZcashの初期段階に出資しており、Zcash財団の理事も務めていた人物です(※5)。つまり「自分が保有・関与する銘柄を推している」という利益相反があり、この点は複数のメディアからも批判されました。発言の内容が正しいかどうかと、発言者に金銭的な動機があるかどうかは、分けて評価する必要があります。
追随|アーサー・ヘイズら著名人が買い増し・強気予想
火がついた相場に、他の著名人も乗りました。元BitMEX CEOのアーサー・ヘイズ氏がZcashの購入・積み増しを公言し、強気な価格見通しを示したと報じられています(※6)。著名人が次々と発言することで注目がさらに集まり、「プライバシーコインに資金が戻ってきた」というテーマ性が強化されていきました。
この段階での上昇は、期待や物語(ナラティブ)が主導する典型的な動きです。裏付けとなる実需やお金の流れが伴っていたかどうかは、次のETF・企業の動きで初めて確認できるようになります。ここまでは「話題」で上がった局面だと理解しておくのが正確です。
お墨付き|米国初のZcash現物ETFがNYSEに上場
話題が実際のお金の入り口に変わったのが、ETFの上場です。大手運用会社グレイスケールのZcash現物ETF「ZCSH」が、2026年8月25日にニューヨーク証券取引所のArcaで取引を開始しました(※7)。これは世界で初めて、Zcash(ZEC)そのものに現物で連動する上場投資商品(ETP)とされ、運用資産は上場時点で約3億ドルと報じられています。
ETF化の意味は大きいです。証券口座しか持たない機関投資家や個人でも、暗号資産取引所を使わずにZcashへ投資できるようになるためです。「怪しい匿名通貨」という長年のイメージがある銘柄に、規制された市場から資金が入る経路ができた——この事実が相場の支えになりました。ただし信託報酬(手数料)は年2.5%と高めで、ETFだから安心・低コストというわけではありません(※7)。
買い集め|上場企業がZECを準備金として蓄積し始めた
もう1つの支えが、企業による買い集めです。米国の上場企業サイファーパンク・テクノロジーズが、ZECを企業の準備金として積み上げていると報じられています(※8)。報道では流通量の数%にあたるZECをすでに保有し、最終的に流通供給の5%まで蓄積することを目標に掲げているとされます(保有量は報道によって差があり、正確な数値は要確認)。
この構図は、ビットコインで先に起きたことの再現です。企業が自社の資金でZECを買い、市場から流通量を吸い上げると、売り物が減って価格が上がりやすくなります。2024年11月の半減期(後述)で新規発行が半分になったところへ、ETFと企業の買いが重なった——需要が増え、供給が細るという、価格が上がりやすい条件がそろった形です。
実需|送金を暗号化する「遮蔽プール」の残高が過去最高圏へ
物語や資金の流れだけでなく、実際の使われ方も伸びています。Zcashで送金を暗号化して保有する「遮蔽(シールデッド)プール」の残高が、2026年に入って大きく増えました。公開集計サイトzecstatsによると、2026年9月3日時点で全ZECの約28.8%(約488万ZEC)が遮蔽プールに入っており、1年前の約23%、5年前の約8%から上昇しています(※9)。
この数字が注目される理由は、投機と実需を見分ける手がかりになるからです。プライバシー機能が実際に使われている割合が増えているということは、値上がり期待だけでなく「隠して持ちたい」需要が伴っていると読めます。もっとも、これも相場の過熱と同時に進んだ動きであり、遮蔽残高が増え続ける保証はありません。あくまで「今のところ実需も伴っている」という現状の確認です。



急騰の理由を並べると強気材料ばかりに見えますが、冷静に見てほしいのは順番です。最初に上げたのは「発言」で、後から「ETF」「企業の買い」という中身がついてきました。話題が先、実弾が後、という順序です。ここで怖いのは、話題で集まった資金は話題が冷めると同じ速さで引くことです。1日で17%動く値動きは、その裏返しでもあります。材料の1つひとつは本物ですが、「本物の材料がある=今の値段が安い」ではありません。
【実測】Zcashの価格推移|1年で約48ドルから約1,185ドルへ
数字で値動きを確認しておきます。Zcashはこの1年で約48ドルから約1,185ドルへ、およそ25倍になりました。当メディアがCoinGeckoの日次データで各時点の終値を拾ったところ、上昇は一気ではなく、2026年に入ってから加速しています(※2)。とくに直近1か月で約2.3倍という、末期的な急角度になっている点は見逃せません。


| 時点 | 価格(1ZEC) | 現在までの倍率 |
|---|---|---|
| 1年前(2025年9月) | 約48ドル | 約25倍 |
| 6か月前(2026年3月) | 約221ドル | 約5.4倍 |
| 3か月前(2026年6月) | 約459ドル | 約2.6倍 |
| 1か月前(2026年8月) | 約511ドル | 約2.3倍 |
| 現在(2026年9月7日) | 約1,185ドル | — |
過去の水準とも比べておきます。Zcashは2016年10月の公開直後に一時数千ドルまで跳ね上がり、その後は長く低迷していました(公開直後の異常な高値は取引が薄いなかで付いたもので、CoinGeckoは過去最高値を約3,192ドルと記録しています。※2)。今回の約1,185ドルは、2018年以来の高値圏にあたります。つまり「新高値」ではありませんが、実質的に何年も動かなかった銘柄が息を吹き返した、という意味では歴史的な水準だと言えます。
値動きの荒さも数字で押さえます。当メディアがBinanceの公開APIで確認した2026年9月7日時点の24時間の値幅は、高値約1,257ドル・安値約1,062ドルでした(※3)。1日のうちに約18%も振れているということです。25倍になった後の相場は、上にも下にも大きく動きます。「1年で25倍」という数字だけを見て後から飛び乗ると、翌日に2割動く世界に放り込まれる点は、必ず頭に入れておいてください。
Zcashの匿名性の仕組み|ゼロ知識証明で「中身を見せずに正しさを証明」する
Zcashの価値の源泉は、この匿名化の技術にあります。Zcashは「ゼロ知識証明(zk-SNARK)」という暗号技術を使い、取引の中身を隠したまま、その取引が正しいことだけを証明します。金額も相手も見せずに「不正はしていない」と数学的に示せる——これが匿名通貨としての中核です(※1)。噛み砕いて分解します。
ゼロ知識証明(zk-SNARK)|秘密を明かさずに「知っていること」を示す
まず考え方です。ゼロ知識証明とは、「ある事実が正しいこと」を、その事実の中身を一切明かさずに相手へ証明する手法です。例えるなら、暗証番号そのものを言わずに「私はこの番号を知っている」とだけ相手に信じさせる技術になります。Zcashはこれを送金に応用し、「送金者・受取人・金額を伏せたまま、その送金がルール通りである」ことをネットワークに証明します(※1)。
ノード(検証者)の立場で言うと、こうなります。ノードは金額も相手も知らないのに、その取引が二重支払いなどの不正を含んでいないことだけを確認できるということです。透明性を犠牲にせずにプライバシーを足せるという点が、単純に情報を暗号化するだけの手法との違いになります。
遮蔽アドレスと透明アドレス|Zcashは「隠す・見せる」を選べる
Zcashには2種類のアドレスがあります。1つは中身が公開される「透明(トランスペアレント)アドレス」で、ビットコインと同じように取引が台帳に見えます。もう1つが、zk-SNARKで中身を暗号化する「遮蔽(シールデッド)アドレス」です(※1)。ユーザーはこの2つを場面によって使い分けられます。
ここがモネロとの決定的な違いです。モネロは全ユーザーが強制的に匿名になりますが、Zcashは「見せる」ことも選べます。取引所や監査人には内容を開示し、それ以外には隠す、といった「選択的開示」ができるということです。この柔軟さが、規制のある市場でZcashがモネロより生き残りやすい理由になっています(この点は後の「日本で買えるか」で詳しく触れます)。
Orchard・Equihash|信頼できる初期設定不要の新プールとASIC耐性
技術は世代を重ねています。Zcashの遮蔽の仕組みは「Sapling」を経て、2022年5月のアップグレード(NU5)で最新の「Orchard」プールへ進みました(※10)。Orchardは「Halo 2」という証明方式を採用し、初期に必要だった特別な準備(トラステッドセットアップ)を不要にした点が大きな前進です。かつてZcashは「最初の設定に使った秘密が悪用されると通貨を偽造できる」という弱点を指摘されていましたが、その懸念を技術で解消した形になります。
採掘(マイニング)の仕組みにも特徴があります。ZcashはPoW(プルーフ・オブ・ワーク)を採用し、「Equihash」というメモリを多く使うアルゴリズムでASIC(専用機)による独占を避ける設計です(※11)。ブロック生成の間隔は約75秒で、2024年11月の半減期以降、1ブロックあたりの新規発行は1.5625ZECになっています(※12)。この「新規発行が半減した」ことが、前章で触れた供給面の追い風につながっています。
Zcashは日本で買える?|国内の取扱いはゼロ、海外取引所が必要
日本で検索する方にとって、ここが最大の論点です。結論から言うと、Zcashは日本の取引所では買えません。日本円で直接購入する手段は、2026年9月時点で存在しません。当メディアが国内主要取引所の公開APIを1社ずつ照会し、海外取引所の稼働状況もあわせて実測した結果を示します。
国内はゼロ|2018年のコインチェック廃止以来、1社も扱っていない
まず国内の実態です。当メディアがbitbank・Coincheck・GMOコイン・bitFlyerの公開APIへ「ZEC」の価格を問い合わせたところ、いずれも取扱いが無く、応答が返りませんでした(確認日:2026年9月7日。※3)。日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)が公開する国内取扱い銘柄の一覧にも、ZEC(Zcash)は含まれていません(※13)。プライバシーコインは、モネロ・ダッシュを含めて国内では1つも扱われていないのが現状です。
国内ゼロの起点は2018年です。コインチェックは2018年6月18日付で、Zcash・Monero・Dash・Augurの4銘柄の取扱いを廃止しました(※14)。同社が2018年1月に約580億円相当のNEM流出事件を起こしたあと、態勢を立て直す過程での判断で、背景にはマネーロンダリング対策(AML)を維持しにくいという事情がありました。「金融庁がZcashを名指しで禁止した」と説明されることがありますが、実態は規制当局の要請を踏まえた事業者側の自主的な判断で、以来約8年間、国内で新たに上場した業者は1社もありません。
【実測】海外ではモネロより健在|大手取引所で今も買える
一方で、海外の状況はモネロと大きく異なります。当メディアが主要な海外取引所の公開APIへ照会したところ、Zcash(ZEC)の現物取引はBinance・Kraken・Coinbase・Gemini・OKXのいずれでも稼働中でした(確認日:2026年9月7日。※3)。取引所から次々と姿を消したモネロと違い、Zcashは規制の厳しい米国系のCoinbase・Geminiでも取引が続いています。
| 取引所 | ZEC現物 | 当メディアの確認方法 |
|---|---|---|
| Binance | 稼働中(約1,187ドル) | 公開APIでZECUSDTを照会 |
| Kraken | 稼働中(約1,186ドル) | 公開APIでZEC/USDを照会 |
| Coinbase | 稼働中(約1,186ドル) | 公開APIでZEC-USDを照会 |
| Gemini | 稼働中(約1,186ドル) | 公開APIでzecusdを照会 |
| OKX | 稼働中(約1,186ドル) | 公開APIでZEC-USDTを照会 |
| 国内各社(bitbank/Coincheck/GMO/bitFlyer) | なし | ZECの照会に応答なし(※3) |
なぜZcashは生き残れたのか。前章で触れた「選択的開示」が効いています。全員が強制匿名のモネロは取引所の上場審査を通しにくい一方、Zcashは必要に応じて内容を開示できるため、規制対応のハードルが相対的に低いのです。この違いが、今回の急騰局面で「ETFにできた銘柄はモネロではなくZcashだった」という結果に直結しています。
日本からの現実的な買い方|経路とリスク
日本の個人がZECを持ちたい場合、経路は限られます。国内では買えないため、海外取引所を使うのが現実的な選択肢になります。手順は概ね次のとおりです。
- 国内の登録取引所でビットコイン(BTC)やUSDT等を購入する|ZECを直接買える国内業者は無いため、まず送金用の別銘柄を用意します(※13)
- 海外取引所へ送金し、ZECのペアで購入する|現物が稼働しているのはBinance・Kraken・Coinbase・Gemini・OKXなど(当メディアがAPIで実測。※3)
もう1つ、手軽な選択肢として日本語に対応した海外取引所のBTCCがあります。BTCCはZEC/USDTの無期限先物(レバレッジ取引)を扱っており、口座開設からスマホアプリまで日本語で完結します。当メディアが確認した2026年9月7日時点でも、BTCC上でZECの先物が稼働していました。ただし、これは現物のZECを保有するのではなく、値動きに対して取引する(レバレッジや資金調達手数料がかかる)形である点は理解しておいてください。
\ 日本語対応・スマホで最短即日 /
ただし、この経路には正直に言っておくべきリスクがあります。海外取引所は日本の登録を受けた業者ではなく、トラブル時に日本の制度的な保護は期待できません。取引所によっては日本居住者の新規口座開設や利用を制限している場合があり、必ず自分の居住地の条件で可否を確認する必要があります。海外取引所全般の比較は海外取引所の比較記事もあわせてご覧ください。
税金の扱いも国内上場銘柄とは違います。国内で上場していないZECの売買益は、原則として「雑所得」の総合課税(最大約55%)で、株式やビットコインのような20%の申告分離課税の対象ではありません。大きく値上がりした後に利益を確定すると、税負担も重くなります。この点は投資判断の前に必ず押さえておいてください。
Zcashの将来性とリスク|今から買って大丈夫か
最後に、いちばん気になる「これからどうなるのか」を、良い面と悪い面の両方から整理します。Zcashには技術的な将来性がある一方で、25倍になった後の相場には固有のリスクがあります。どちらか一方だけを見ると判断を誤ります。
将来性|スケーラビリティと耐量子への開発が進む
技術面では前進が続いています。Zcash共同創業者のショーン・ボウ氏は、2025年4月にスケーラビリティを大きく改善する構想「Project Tachyon(プロジェクト・タキオン)」を公表しました(※15)。ウォレットの同期を軽くし、プライバシーを保ったまま処理能力を上げることを狙う設計とされます。また2026年前半には、将来の量子コンピュータに備える「耐量子」対応のロードマップも示されたと報じられています(二次情報。※16)。プライバシーコインの弱点だった「重さ」を解消できれば、実用の裾野は広がります。
お金の流れの面でも土台ができました。ETF(ZCSH)と企業の準備金という2つの入り口ができたことで、暗号資産取引所を使わない層からも資金が入りやすくなっています。「発言で上がった」段階から「制度化された買い手がいる」段階へ移ったことは、長い目で見れば下値を支える要素になり得ます。
リスク|規制・過熱・「日本から買いにくい」構造は変わらない
一方で、リスクも正直に並べます。第一に規制リスクです。匿名性の高さゆえに、各国の規制が強まればふたたび取引所から締め出される可能性が構造的に残ります(日本では2018年に実際に国内から消えました)。第二に過熱リスクです。1年で25倍・1日で18%動く相場は、話題が冷めれば同じ速さで戻る性質があります。第三に、日本の個人にとっては「国内で買えない・税制が不利・海外取引所のリスクを負う」という入手のハードルが残ったままです。
「1年で25倍」という数字は、これから買う人にとっては朗報ではなく警告として読むべきです。上昇の理由(発言→ETF→企業の買い)はどれも本物ですが、それらはすでに価格に織り込まれています。材料が本物であることと、今日の値段が割安であることは、まったく別の話です。忖度なく言えば、Zcashは「面白い技術と、危うい値位置」が同居している銘柄です。もし関心を持ったなら、まず少額で・失っても生活に響かない範囲で・税制と海外取引所のリスクを理解したうえで、というのが誠実な向き合い方だと考えます。
Zcash(ZEC)のよくある質問
検索でよく調べられている疑問に、結論から短くお答えします。
Zcashはなぜ急に上がったのですか?
2025年10月に著名投資家ナヴァル・ラヴィカント氏がX投稿で「Zcashはビットコインへの保険」と述べたことが引き金です。その後、2026年8月に米国初のZcash現物ETF(ZCSH)が上場し、上場企業による買い集めや遮蔽プールの増加が重なって上昇が続きました。発言が点火し、ETFと企業の買いが支えた、という順番です。
Zcashは日本の取引所で買えますか?
買えません。2026年9月時点で、日本の登録暗号資産交換業者はZcashを1社も扱っておらず、日本円で直接購入する手段はありません。入手するには海外取引所を使う必要があり、国内では買えない点が最大のハードルです。
Zcashとモネロ(XMR)は何が違いますか?
最大の違いは匿名の強制度です。モネロは全ユーザーが常に匿名になりますが、Zcashは「隠す・見せる」をユーザーが選べます(選択的開示)。この柔軟さのおかげで、Zcashは規制の厳しい取引所でも生き残りやすく、今回ETF化もされました。全員強制匿名のモネロは取引所から姿を消しつつあります。
Zcashの発行上限・供給量はどれくらいですか?
発行上限はビットコインと同じ2,100万ZECです。2026年9月時点の流通量は約1,692万ZECで、上限の約80%が発行済みです。2024年11月の半減期で新規発行は1ブロックあたり1.5625ZECに半減しています。
Zcashは今から買っても間に合いますか?
「間に合う」と断言できる根拠はありません。すでに1年で約25倍まで上昇し、上昇の理由(発言・ETF・企業の買い)は価格に織り込まれています。1日で18%動く相場でもあり、高値づかみのリスクは高い局面です。投資する場合も少額から、失っても困らない範囲で検討してください。
Zcashは危険ですか?規制で消える可能性は?
保有や売買そのものが違法になるわけではありません。ただし匿名性の高さゆえに、規制が強まれば取引所から締め出されるリスクは構造的に残ります。実際に日本では2018年にコインチェックが取扱いを廃止し、以降国内では買えなくなりました。値動きの荒さと合わせ、リスクの高い銘柄だと理解しておく必要があります。
Zcashの将来価格はいくらまで上がりますか?
将来価格を正確に予想することはできません。著名人が高い目標を語ることもありますが、それは根拠のある予測ではなく個人の見解です。当メディアは特定の価格予想は行いません。価格予想の数字を鵜呑みにせず、なぜその水準になるのかの根拠を自分で確認する姿勢が大切です。
Zcashで利益が出たら税金はどうなりますか?
国内で上場していないZECの売買益は、原則として雑所得の総合課税(給与などと合算し最大約55%)です。株式のような20%の申告分離課税の対象ではありません。大きな利益が出た場合は税負担も重くなるため、確定申告と納税資金の確保を前提に考えてください。
この記事のまとめ
- Zcashは1年で約25倍・時価総額トップ10圏
- 点火はNaval氏のX投稿→ETF・企業買いが追随
- 選択的開示ゆえモネロより取引所に残った
- 日本の取引所ではゼロ・海外経由のみ
- 25倍後の高値・規制・税制のリスクは残る
Zcashは、2016年からある古参のプライバシーコインが、2025年秋からの1年で約25倍まで駆け上がった銘柄です。上昇の理由は、著名投資家の発言が点火し、そこへ米国初のZcash現物ETFと上場企業の買い集めが重なった、という追える連鎖でした。技術面でもスケーラビリティや耐量子への開発が進んでいます。
ただし忘れてはいけないのは、これらの材料はすでに価格に織り込まれ、1日で18%動く相場になっているという事実です。日本の取引所では買えず、税制も不利で、海外取引所のリスクを負う必要もあります。「1年で25倍」は、これから向き合う人にとっては警告として読むのが賢明です。関心を持ったなら、少額で・リスクを理解したうえで、慎重に検討してください。
【参考文献】
(※1) Zcash公式「What are zk-SNARKs?」ほか https://z.cash/
(※2) CoinGecko「Zcash(ZEC)」2026年9月7日取得 https://www.coingecko.com/en/coins/zcash
(※3) 各取引所の公開API(Binance/Kraken/Coinbase/Gemini/OKX/bitbank/Coincheck/GMO/bitFlyer)へ当メディアが照会。確認日2026年9月7日
(※4) ナヴァル・ラヴィカント氏のX投稿および各社報道(CCN/ChainCatcher等)2025年10月
(※5) Protos/Phemex等による利益相反の指摘
(※6) アーサー・ヘイズ氏のZcash購入・見通しに関する報道(Memeburn/NewsBTC等)
(※7) GlobeNewswire「The Zcash ETF (Ticker: ZCSH)…Begins Trading on NYSE Arca」2026年8月25日 GlobeNewswire
(※8) Cypherpunk Technologiesのトレジャリーに関する報道(FXStreet/CoinGecko Treasuries等)。保有量は報道により差あり
(※9) zecstats.com(遮蔽プール集計)2026年9月3日時点 https://zecstats.com/
(※10) Zcash公式「Network Upgrade 5(NU5)/Orchard」 z.cash
(※11) Equihash(メモリハード型PoW)に関する技術資料
(※12) Zcash半減期(2024年11月23日・ブロック2,726,400)およびNU6に関する資料(ViaBTC/Gemini Support等)
(※13) 日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)取扱い銘柄一覧 https://jvcea.or.jp/
(※14) コインチェックによる取扱い廃止のお知らせ(2018年6月18日・Monero/Zcash/Dash/Augur)
(※15) ショーン・ボウ氏「Tachyon: Scaling Zcash with Oblivious Synchronization」2025年4月2日 seanbowe.com
(※16) Zcashの耐量子ロードマップに関する報道(2026年5月・二次情報)
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