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分散型取引所セラム(Serum)とは?FTX主導の注目DEXの今後や将来性・トークンの価格予想まで徹底解説!

目次

分散型取引所セラム(Serum)/SRMの今後・将来性

通貨評価

評価基準評価(20段階)
流動性/市場要因11点
ブロックチェーンの性能18点
将来性17点
開発力16点
スキーム18点
合計80点
他の主要通貨との比較
  • ビットコイン(BTC):98点
  • イーサリアム(ETH):98点
  • ソラナ(SOL):86点
  • セラム(SRM):81点
  • アーべ(AAVE):81点
  • 1inch(1INCH):78点
  • アバランチ(AVAX):74点

価格予想

SRMの価格は、執筆時現在1SRM=270円です(2022年2月時点)。

今後価格の伸びしろはどのくらいあるのでしょうか?

各専門メディアが公開しているSRMの2022年~価格予想は以下の通りです。

仮想通貨SRMの
2022年~価格予想まとめ
  • ion:2022年内に約450円
  • walletinvestor:2022年内に約580円
  • uptobrain:2022年内に約1,530円
    (1ドル=115円レートで換算)

これらの予想は、過去のSRM価格データからAIが算出したものや、専門のアナリストが立てた予想となっています。

どのメディアも上昇目線の予想をしています。特にuptobrainは一年間で5.5倍上昇すると興味深い予想を発表しています。

予想は必ず当たることを保証するものではありませんので、上記の予想を参考にしつつも、最終的な投資判断はご自分で下すようにしましょう。

ロードマップ

フェーズ1・SRMトークンのリリース
・SerumDEXのリリース
フェーズ2・独自市場の形成、基盤づくり
フェーズ3
(進行中)
・より多くの機能のリリース
(レンディング,AMM,デリバティブ取引など)
・より多くの流動性を確保

公式ロードマップはこちら

セラム(Serum)プロジェクトの特徴

1.プロジェクト概要

セラム(serum)は、仮想通貨取引所FTXが主導し開発を進める分散型取引所(DEX)です。

基盤には同じくFTXが開発するsolanaチェーンを採用しています。solanaは単独のチェーンでありながら秒間5万トランザクションの高速処理を実現します。 さらにsolanaにはクロスチェーン機能が盛り込まれており、ゆくゆくはイーサリアム2.0とのswap取引を可能にすることで、イーサリアムの流動性に直接アクセスする予定です。

セラムは数あるDEXの中でも珍しい「オーダーブック」をもつDEXです。指値注文を用いた、現物・デリバティブ商品の取引所として機能します。またsolanaエコシステムに準拠したBTCやステーブルコインを発行する場としても利用されます。

SerumDEXはこちら

2.開発理念

セラムは「より速く、より早く、より強力なDeFi」を目指して開発されています。

多くのエコシステムが直面しているスケーラビリティ問題を重く捉え、長気目線で解決するソリューションとしてsolanaチェーンを採用しています。

solanaチェーンはビジョンを実現するための核だといえるでしょう。

3.ターゲット市場・サービス需要

セラムがターゲットとしているのは、より良いレートでの取引を望む仮想通貨トレーダーたちだと考えられます。

これは多くのDEXで採用されているAMM(自動マーケットメイカー)だけでなく、あえてオーダーブックという仕組みを取り入れていることからわかります。

基本的にAMMでは指値注文ができないため、頻繁にトレードしたいユーザーにとってはあまり向いていない現状がありました。それに対して指値注文のできるオーダーブックは、よりトレーダー特化のシステムです。

これにより既存のDEX市場はもちろん、中央集権取引所(CEX)とも競合することになるでしょう。

4.開発組織/体制

セラムの開発陣はとても優秀です。

セラムは海外仮想通貨取引所であるFTXが中心となって開発されています。FTXのCEOであるサム・バンクマンフリード氏は「仮想通貨界の天才」と呼ばれるほど優秀な人物で、2019年5月に設立されたFTXをたった2年で世界ランキング第5位の取引所にまで成長させています。

セラムのアドバイザーにはバンクマンフリード氏はもちろん、同社CTOでGoogleでのエンジニア経験もあるギャリー・ワン氏、分散型レンディングプラットフォームCompound創設者のロバート・レシュナー氏など、たしかな実行力をもった人物たちが名を連ねています。

SRMトークンの役割

SRMトークンには次のような役割があります。

SRMトークンの役割
  • での取引手数料割引
  • バリデータになるために必要
  • コミュニティ内での投票券

SRM保有者は、セラム内の板取引で最大で50%の手数料割引を受けることができます。またセラム上の取引で支払われた手数料の一部はSRMの購入に利用され、購入されたSRMはバーン(焼却)される仕組みです。取引量が増えるほどSRMの希少性が高まりやすくなります。

バリデータになるためには、1,000万SRM保有と1MSRM保有が条件となっています。ユーザーは各バリデータに対し、SRMを用いてステーキングすることが可能です。

またSRMは今後、セラム内のガバナンストークンとして機能することも想定されています。セラムエコシステムの仕組みはほとんど変更の予定はありませんが、一部の要素変更が必要になったときにSRMを用いたガバナンス投票が行われる可能性があります。

競合比較

1.既存産業との比較

セラムが競合するであろう既存サービスはやはり中央集権の仮想通貨取引所(CEX)でしょう。オーダーブックがあることでよりCEXに近いユーザー体験を実現すると考えられます。

ユーザーが仮想通貨取引所を選ぶポイントはいくつかあげられますが、取扱商品の内容/数・手数料の安さの二点が特に重要です。
現状のデータを見てみます↓

取り扱い商品手数料
(オーダーブック)
セラム現物約70銘柄のみ
(SPLトークン)
Maker:-0.03%
Taker:0.22%
(SRM保有量に応じてさらにお得に)
Binance数百種類を超える現物/デリバティブ商品Maker:0.1%
Taker:0.1%
(BNB保有量に応じてさらにお得に)

セラムの手数料体系は非常にお得に設計されています。特にMaker手数料が通常の状態から-0.03%であるという点は、ユーザーがセラムを利用する大きなインセンティブとして機能する可能性があります。

一方で、現状セラムで取引できるのは約70種類の現物銘柄のみです。さらにこれらを取引するためにはsolana独自の規格であるSPLトークンに変換する必要があります。

いくら手数料が安くても、取引を始めるまでにそれなりの労力が必要となるため、現状ではCEXユーザーがセラムに移動することは考えにくいです。

ですがこれはあくまで現状の話であり、今後の開発次第ではCEXユーザーの一部を獲得できる可能性があります。

クロスチェーンによるイーサリアムとの統合

セラムはsolanaのクロスチェーン機能によって、イーサリアムエコシステムと直接取引できるDEXを目指しています。実際に統合が完了すれば、高速処理かつ低コストが魅力のsolanaチェーンにイーサリアムの流動性が流れ込むことも想像に難くありません。

膨大な流動性によってCEXよりも最適な取引レートを提示できるようになれば、CEXからserumへ移動するユーザーも少なからず出てくるでしょう。

またイーサリアムと統合することで分散型のデリバティブ商品(合成資産)を作ることが容易になります。セラム開発団体のFTXがユニークなデリバティブ商品によってサービスを拡大させた経験があることを踏まえると、セラムでも同様の戦略をとる可能性は考えられます。

2.競合プロジェクトとの比較

ETHエコシステムとの比較

Serumはsolanaのクロスチェーン機能でイーサリアムエコシステムの流動性に直接アクセスするため、イーサリアム上のDEXと真っ向から競合することになるでしょう。

差別化のためには、いかにしてイーサリアムからより多くの流動性を吸収できる仕組みを作れるかが重要です。

solanaはその足掛かりとしてまず、Raydium(solanaベースのDEX)とSushiswap(イーサベースのDEX)の統合を計画しています。統合が完了され、実際にSushiswapからRaydiumへの流動性が移動することが確認できれば、今後のクロスチェーン実装にも期待がもてます。

またSerumおよびsolanaの基盤作りやクロスチェーン技術については、まだ開発段階であるという点に注意ですが、高い開発力をもつFTXが主導していることから、実現可能性はとても高いものと見てとれます。

BSCエコシステムとの比較

現状ではSerumとBSCエコシステム上のDEXは競合しにくいと考えられます。

理由はそれぞれの利用目的の違いです。

Serumは仮想通貨トレードでの利益を目的としたユーザーをターゲットとしています。それに対してパンケーキスワップをはじめとするBSC上のDEXは、ファーミングによる高い金利収入を目的としたユーザーが多い傾向にあります。

このようにターゲットとするユーザーが異なるため、現時点では競合する可能性は低いといえるでしょう。

SRMの投機的需要について

価格が上がるタイミング

SRMの価格が一時的に高騰するタイミングとしては、Serumの流動性増加につながるポジティブニュースが出たときが考えられます。

SushiswapとRaydiumが統合するというニュースが出た2021年2月23日には、実際にSRMおよびSOLの価格が大きく上昇しました。 このとき、BTCやETHといった主要銘柄はまったく異なる値動きをしていたことから、上記のニュースが一時的な高騰を引き起こした可能性は十分考えられます。

価格が下がるタイミング

逆に価格が下がるタイミングとしては、Serumおよびsolanaの開発に関するネガティブニュースが出たときに注意です。

またFTXにとってのネガティブニュースにより、solana系の銘柄がどういった値動きをするのかにも注目したほうが良いでしょう。

分散型取引所セラム(Serum)/SRMトークン まとめ

以上が、分散型取引所セラム(Serum)とSRMトークンについての解説でした。

FTXのバンクマン氏が想像するユニークなアイデアと、それを実現するFTXチームの高い開発力は他にはない強みだと言えるでしょう。 セラムを筆頭とするsolanaエコシステムの動向には今後も目が離せません。

(ここに記載された見解は著者のものであり、必ずしもCryptoManiaの見解を反映するものではありません。すべての投資にはリスクが伴うため、意思決定の際には独自に調査を実施する必要があります。)

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この記事を書いた人

水野倫太郎のアバター 水野倫太郎 Ichizenholdings代表

慶應義塾大学経済学部。
2017年米国留学時にブロックチェーンと出会い、Web3の業界に足を踏み入れる。
2018年には、日本有数の仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。
2019年には同社のCMOに就任し、2020年に東証二部上場企業とM&Aを行い、様々なクリプト事業を展開する。
2022年に現在代表取締役社長を務めるICHIZEN HOLDINGSを立ち上げ様々なWeb3事業を手がける。
複数のWeb3系事業に出資を行いながら有識者として活動。

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