旅行・観光におけるNFTの活用事例5選|具体事例や観光・旅行における未来の可能性を紹介

近年、日本各地の観光地でNFTが採用されるケースが増えています。

従来の写真やお土産に代わる、唯一無二のデジタル記念品やチケット、クーポンとして、NFTは旅行や観光の分野に新たな可能性をもたらしています。
今後もNFTの用途は広がっていくことでしょう。

今回の記事では、旅行・観光におけるNFTの活用事例とその裏側、今後の可能性について詳しく解説していきます。

東 遥斗
(株)ICHIZEN HOLDINGS

CMO

この記事の執筆者/監修者

早稲田大学教育学部。2021年に日本有数の仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。Web3・仮想通貨の世界に入り、同時にSEOメディアの構築/運用に力を注ぐ。CoinOtakuでは仮想通貨ユーザー全体の2%(10万件以上)を取引所に送客。2022年に株式会社ICHIZEN HOLDINGSに入社し、ANA NEO/そごう・西武/株式会社マツモト/GFA株式会社/アップグレード/など大手企業のマーケティング支援を担当。

監修 東 遥斗
株式会社ICHIZEN HOLDINGS CMO

早稲田大学教育学部。2021年に日本有数の仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。Web3・仮想通貨の世界に入り、同時にSEOメディアの構築/運用に力を注ぐ。CoinOtakuでは仮想通貨ユーザー全体の2%(10万件以上)を取引所に送客。2022年に株式会社ICHIZEN HOLDINGSに入社し、ANA NEO/そごう・西武/株式会社マツモト/GFA株式会社/アップグレード/など大手企業のマーケティング支援を担当。

目次

NFTとは?観光・旅行分野での活用とは?

NFTとは「Non Fungible Token」の略で、日本語では代替不可能なトークンと訳します。
代替不可能、つまり他とは替えの効かない存在であるということです。

NFTには、コピーできないデータを生み出す技術が用いられています。
ブロックチェーン上の情報は改ざんできないという特徴を利用して、画像や動画などのデータの唯一性を証明できます。

近年NFTの活用範囲は拡大しており、観光・旅行分野でさまざまな事例が生まれています。
観光・旅行分野のNFTの多くには、観光地の施設やゆかりのあるキャラクターや人物が描かれていて、見るだけでその地域を感じられるデザインになっています。
具体的には、以下の用途に利用されています。

  • デジタルスタンプラリー
  • 施設やイベントへの入場券
  • メンバーシップ
  • デジタルお土産
  • 観光先で使えるクーポン

観光地の魅力を新しい形で伝えたり、旅の思い出を特別なものとして持ち帰ってもらったりなど、あらゆる目的の使い方があります。
観光を促進し、新しい価値と体験を生むものとしてNFTが注目されています。

東 遥斗

次からは様々な企業・団体による、具体的な取り組みを紹介していきます!

観光・旅行におけるNFTの活用事例5選

参照

https://notahotel.com/nft
https://sumaho-de-omiyage.com/
https://www.japantravel-nft.xyz/
https://nft.rural.ne.jp/#/4
https://www.osaka.cci.or.jp/stamprally/

観光・旅行におけるNFTの活用事例
  • NOT A HOTEL MEMBERSHIP NFT
  • ルーラNFT
  • Japan Travel NFT
  • スマホ de おみやげ
  • 関西周遊NFTスタンプラリー

旅行先での新しい体験を目的として、国内では数多くの事例が生まれています。

ここでは、具体的な事例を5つ紹介していきます。

NOT A HOTEL MEMBERSHIP NFT

NOT A HOTEL株式会社は、より多くの方に会員制サービスを利用してもらうことを目的に、2022年12月に3種類のNOT A HOTEL MEMBERSHIP NFTを販売しました。
今回の販売は、2022年8月の20分で3億円分が売り切れて大好評だった初回に次ぐ、第二弾の取り組みとなります。

NOT A HOTELとは「世界中にあなたの家を」をコンセプトとした宿泊サービスです。
現在全国に22か所あり、ホテルや別荘、家としても利用できます。

NOT A HOTELではオーナーとして物件を所有したり、年間10泊〜利用権を購入できます。
オーナーになると、全国にあるNOT A HOTELを相互利用したり、使わない日はホテルとして貸し出すことも可能です。

NOT A HOTEL株式会社では、NFTメンバーシップを販売しています。
NFTの種類は以下の通りです。

  • MEMBERSHIP S
  • MEMBERSHIP Y
  • MEMBERSHIP X

メンバーシップNFTは所有していると1年間の中で決まった日数が宿泊でき、全国で開催されるNOT A HOTELのイベントへの参加、限定施設の利用が可能です。
S,Y,XのNFTで、それぞれ特典の内容が異なります。

メンバーシップNFTは47年間使えて、1年の中でSは1泊、Yは2泊、Xは3泊利用できます。
宿泊日と場所はランダムで決まり、自分で選択することはできない仕組みです。

また、メンバーシップ保有者は日本全国で開催される食、ワイン、音楽、アートなどをテーマにしたイベントに参加できます。
さらにXの保有者は、1日1組限定のレストラン、都心のプライベートリビング、日本各地を回るグランピング施設を利用できます。

宿泊日と場所は3ヶ月前に通知され、部屋の鍵となる「THE KEY」のNFTが発行されます。
MEMBERSHIPやTHE KEYは、自由に売買することが可能です。

MEMBERSHIPのNFT保有者は、1泊数十万円程度するNOT A HOTELを実質3万円台から利用できます。

東 遥斗

宿泊日も場所もランダムで決まるユニークな仕組みです!

ルーラNFT

ルーラNFTは、株式会社ルーラが観光地の魅力を再発見してもらうために、2022年6月より販売しているNFTです。

ルーラNFTは、温泉地やご当地のキャラクター、お土産や名産品、現地で開催されるイベントなどをNFT化したものです。

現在ルーラNFTストアでは、温泉地にちなんだ名前が付けられている「温泉むすめ」や、アニメと観光イベントのコラボ作品、全国にあるお城の作品があり、一部にはグッズ発注権やイベント参加券が付帯しています。
これらは「観光体験型NFT」と呼ばれ、ルーラコインを用いて購入できます。

ルーラコインは、株式会社ルーラが発行する地域のデジタル通貨で、全国の観光地や温泉地のみで使えます。
チャージ分と、キャンペーン時に付与されるプレミアムポイントで構成されています。
ユーザーは専用ウォレットにチャージした後に欲しいNFTを選択し、シリアルナンバーを選んで購入する流れです。

ルーラコインはNFT購入以外にも、加盟店でのキャッシュレス決済として利用できます。
加盟店でキャッシュレス決済をすると、現地で使われた金額の1%が現地に還元される仕組みです。
ルーラコインの利用が、観光地に利益をもたらし、さらに発展させることにつながります。

東 遥斗

ルーラコインは暗号資産ではありません!
チャージして利用できる電子マネーです!

Japan Travel NFT

Japan Travel NFTは、株式会社Waveが日本の観光を盛り上げることを目的として、2024年1月から始まったNFTアートプロジェクトです。
今回は第一弾として、山口県の山口市と萩市を舞台にして「Japan Travel NFT -Yamaguchi Collection-」が実施されています。

Japan Travel NFT -Yamaguchi Collection-では、歴史上の5人の明治維新志士をモチーフとしたNFTアートを販売しています。
NFTは専用のマーケットプレイスで購入でき、山口県に所縁のある以下5人いずれかの人物の作品がランダムで選ばれます。

  • 伊藤博文
  • 吉田松陰
  • 久坂玄瑞
  • 高杉晋作
  • 木戸孝允

購入したNFTには、以下の特典が付帯します。

  • ①松田屋ホテル:3000円分館内利用券
  • ②萩市文化財施設1日券:無料
  • ③明倫学舎:第二号館 幕末ミュージアム 入場無料
  • ④萩博物館:20%オフ
  • ⑤長州苑:売店10%オフ、カフェ20%オフ
  • ⑥【50名限定】幕末維新人物ガイドブック 無料プレゼント
  • ⑦【25組限定】通訳案内士の無料手配

Japan Travel NFT -Yamaguchi Collection-では、これらの特典をユーティリティと呼びます。
山口市と萩市の歴史がわかる施設やお土産屋などをお得に利用して、観光を楽しむためのユーティリティが豊富です。

なお、ユーティリティを使うためには「PORT X」というサイトにログインする必要があります。
「Japan Travel NFT」の保有ウォレットでログインして、その後はPORT Xの指示に従うようにしてください。

東 遥斗

Japan Travel NFTは、日本全国の観光地で展開される予定です!

スマホ de おみやげ

スマホ de おみやげとは、株式会社Digittleが新しい形でのお土産を提供し、旅行の記念に残してもらうことを目的として、2023年3月24日(金)〜4月9日(日)に三重県松阪市で提供されたNFTサービスです。

スマホ de おみやげを使用すると、その土地に応じたデジタルお土産のNFTや、特定の場所で使えるお土産10%OFFクーポンなどがもらえます。
今回の事例では、三重県松阪市内にいる観光客が、スマホ de おみやげを利用して中心市街地の6箇所にあるポスターの二次元コードを読み込むと、デジタルお土産のNFTの獲得が可能です。

NFTには伊勢松阪城主の蒲生氏郷の家紋「対(むか)い鶴」が描かれていて、思わず共有したくなってしまうようなかっこいいデザインです。

NFTを入手すると、抽選で松阪牛が当たるキャンペーンへの応募や、「豪商のまち松阪観光交流センター」で使えるお土産10%OFF割引クーポンなどの特典をもらえます。
また、デジタルお土産を受け取った後は、今後のイベント情報やふるさと納税の案内などを発信する通知機能によって、街と継続的につながり続けることができます。

東 遥斗

NFTをお土産として導入した新しい取り組みです!

関西周遊NFTスタンプラリー

関西周遊NFTスタンプラリーは、⼤阪まちごと万博共創プラットフォームが「自分たちの街をもうひとつの万博会場にして万博からの続きをつくる。ことを目的に2024年4月から始まったイベントです。

近畿2府5県の観光施設を巡りながら、EXPO2025デジタルウォレットでオリジナルのNFTスタンプをゲットできるスタンプラリーイベントです。関西各地の商工会議所管轄内にある観光施設等を訪れ、そこに設置されたQRコードを読み取ることで、各施設のオリジナルNFTスタンプを取得できます。

48箇所の観光施設が今のところ参加しており、近畿だけでなく東京と神奈川にも設置してあったりと、関東から関西、そして関西から関東への周遊促進を手掛けていると言えます。

東 遥斗

2025年の10月まで開催しています!
万博が終わった後も街の活性化を見込んでいると言えるでしょう。

観光・旅行分野におけるNFTの可能性

観光・旅行分野におけるNFTの可能性
  • 偽造防止:チケットやパスポートのNFT化
  • 流動性向上:宿泊権利の取引

NFTの汎用性は高く、今後さまざまな分野での活用が期待できます。

ここでは、NFTの今後の可能性について解説していきます。

偽造防止:チケットやパスポートのNFT化

NFTに使われているブロックチェーン技術には、データの改ざんや偽造が困難という特徴があります。
この特性を活かし、チケットやパスポートなどの重要な身分証明書をNFT化する取り組みが注目をされています。

例えば、プロサッカーチームの試合観戦チケットをNFT化すると、チケットが本物であることの証明や転売管理を効率的に行うことができます。
NFTは唯一性が証明できるため、そのチケットが偽造品ではないか、不正に発行されたものでないかをリアルタイムで確認が可能です。

パスポートのNFT化では、身分証明の即時確認や、偽造パスポートの流通防止につながります。
NFTには暗号化された個人情報やトークンIDを記録し、本人確認が必要な場面ではパスポートのQRコードなどを通じてブロックチェーンの情報と照会を行います。
こうした手順を踏むことで、正規で発行されたものであるか即時確認できるようになるでしょう。

また、NFTはイーサリアムなど、世界的に標準化された規格を使用している特徴があります。
この特徴があるため、データの効率的な運用やシステムの構築を容易に行えます。

ただし、プライバシーの保護や法律の整備など、克服すべき課題も存在します。
NFTの技術だけでなく、課題に対する解決策を見出していくことが今後の発展の鍵となるでしょう。

東 遥斗

課題はありますが、NFTには大きな可能性を感じますね!

流動性向上:宿泊権利の取引

宿泊権利のNFT化は、予約の柔軟性と流動性を大幅に向上させ、宿泊施設の経営者と宿泊客、両者に利益をもたらす可能性があります。

宿泊の権利をNFT化すると、自由に売買したり誰かにプレゼントすることができます。
NOT A HOTEL NFT MEMBER SHIPはすでにその仕組みを採用しており、急な都合で行けなくなった場合にキャンセル料なしで転売できたり、友人や親族の記念日にプレゼントとして渡すことが可能です。

さらに、本当に欲しい人に宿泊権利が行き渡りやすくなります。
例えば、人気アーティストのコンサートや国際的なイベント開催日、1年の中での特別な記念日に、現地の宿泊先を予約できないケースがあります。
そうしたケースでも、二次流通を通じて体験を心から楽しみにしている人に宿泊権利が譲渡されるチャンスが生まれます。

宿泊施設の経営者にとっても、無断キャンセルを防ぎ、部屋を有効活用することにもつながります。
NFT技術を活用した宿泊権利の取引の発展が、旅行業界に新たな価値をもたらす可能性があります。

東 遥斗

NFTによって、宿泊施設の運用効率改善が期待できます!

NFTと観光・旅行 まとめ

この記事の簡単なまとめ
  • 観光・旅行でNFTを活用することで、新しい価値や体験を提供できる
  • NFTの仕組みを利用して継続的につながり続けることができる
  • 利用者だけでなくホテルの経営者や施設にとってもメリットがある

NFTは観光・旅行分野において、新たな体験と価値を生むものとして注目されています。
この記事でも紹介してきたように、NFTを取り入れることで地域のことをより詳しく伝えて、継続的なつながりを持つことが可能です。

また、観光地や宿泊施設には新しい収益モデルをもたらし、宿泊客は転売したり譲渡しやすくなり流動性が向上します。
NFTの活用によって、双方に大きなメリットが期待できます。

プライバシーや法律の課題に対応し、NFT技術を活用した宿泊の予約システムが発展していけば、旅行業界に新たな価値をもたらすことになるでしょう。

東 遥斗

今日も「旅行・観光におけるNFTの活用事例5選|具体事例の裏側から観光・旅行における未来の可能性を紹介」をお読みいただきまして、ありがとうございました。
皆様の次のご来訪をお待ちしております。どうぞ良いNFT旅をお過ごしください。

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