NFTが作る新しい文化体験!アートから伝統まで広がるNFTの魅力と未来を国内の事例をもとに解説

NFTはアートを始め音楽やファッションなど幅広い用途で利用されています。
また、日本国内では伝統文化とNFTを融合させて、新しい価値を生み出す事例が多く生まれています。

本記事では、NFTとは?といった基本的な部分から、祭りや御朱印、日本酒など伝統文化にNFTが活用された事例を紹介していきます。

木田 陽介
(株)ICHIZEN HOLDINGS

代表取締役

この記事の執筆者/監修者

2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業のビートホールディングスに6億円でM&Aをし、同企業にて2020年10月〜12月の3ヶ月間で仮想通貨運用益2500万円を達成する。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。

監修 木田 陽介
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役

2016年から仮想通貨トレードを開始。2017年に株式会社CoinOtakuを共同で創業。同年CoinOtakuの代表に就任。2020年に東証二部上場企業のビートホールディングスに6億円でM&Aをし、同企業にて2020年10月〜12月の3ヶ月間で仮想通貨運用益2500万円を達成する。2025年にCoinOtaku代表を退任し、同年5月に株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役に就任。

目次

NFTとは?

NFTとは「Non Fungible Token」の略で、日本語では非代替性トークンと訳します。
非代替性、つまり他と替えることはできない唯一性を持ったトークンという意味になります。

NFTにはブロックチェーン技術が用いられており、デジタルデータに識別子(固有のIDや番号)を付与することで唯一性を証明できます。
ブロックチェーン上に記載される情報は半永久的に残り、改ざんすることは困難です。
ブロックチェーン上の情報とNFTに記録された情報を参照することで、その唯一性を証明します。

NFTは汎用性が高く、アート、音楽、ファッションなど、さまざまな分野で利用されています。
NFTの導入によって取り組みを発信できる、偽造品の防止につながる、保有者に特典を付与するなど、提供者と購入者双方にさまざまなメリットが生まれます。

NFTは今までにない価値と体験を提供できる技術であり、今後さらなる発展が期待されています。

NFTが文化に与える影響

NFTが文化に与える影響
  • NFT×アート
  • NFT×音楽
  • NFT×ファッション

NFTの登場により、デジタルコンテンツの「所有」という概念が大きく変化しました。
ここでは、NFTがアート、音楽、ファッションの領域に対して与える影響を解説していきます。

NFT×アート

NFTはアートの領域でも活用されています。
NFTの導入によって、アーティストは二次流通時にも収益を得ることができ、購入者はコミュニティへの参加や、限定コンテンツが閲覧できる特典などを享受できます。

例えば、2022年5月に提供を開始したMurakami.Flowersの事例では、芸術家の村上隆氏の代表的な作品である「花」をNFT化しています。
作品は108個の背景×108個のフィールド(花の色の組み合わせ)、合計11,664個で構成されており、購入時にシード(種)として配布されたNFTがリリース後に花へと進化する仕組みです。
Murakami.Flowersでは、オフラインの展覧会や版画作品の販売、オンラインでメタバースやエコシステムの構築など、今でも活発に行動が行われています。

従来のアートは希少性が高く、有名なアーティストの方の作品をオークションで販売したり、高級品投資の一部として扱われることが多くありました。そのため、厳重な管理や作品を運搬する際の管理にコストを多くかけているので、取引はあまり活発に行われず、長期的に保有するのが一般的になっています。

この流動性の低さと、保有していることがステータスとなるアート文化に対して、NFTを活用して流動性を高め、デジタルアートへの参加人数を増やすことで、複数人で魅力を共有し合うことができます。
新たなアート文化を産み出せる可能性があります。

このように、アート分野にNFTを活用することで収集やコレクション、SNSでのプロフィール写真での利用にとどまらず、新しい価値を提供するツールとしても機能しています。

木田 陽介

NFTアートには、水彩や油彩絵画、イラストや3D作品などさまざまな作品があります!

NFT×音楽

NFTは音楽の領域でも多くの事例が生まれています。
音楽のNFT化によって、アーティストはCDが売れない時代での新たな収益が見込め、購入者は限定作品を購入して楽しむことができます。

例えば、世界的な有名歌手であるジャスティン・ビーバーは、2023年9月に2,000個限定で『COMPANY』の音楽NFTを発売しました。
この音楽NFTの購入者は、音楽著作権を部分的に所有することができる仕組みです。
SpotifyやApple Musicなどのストリーミングサービスからの印税収入の1%が購入者に分配されます。

また、音楽だけでなくライブやコンサートのチケットもNFT化されています。
チケットのNFT化によって、偽造防止や転売対策になることに加え、顧客の購入地域やリピート率、どの特典が人気があるかなど、情報を収集してマーケティングへの活用が可能です。

木田 陽介

NFTはチケットやファンクラブの参加権などにも応用されています!

NFT×ファッション

昨今では、有名ファッションブランドもNFT分野に参入しています。
ファッションアイテムをNFT化することで、クリエイターは製造、在庫、物流コスト不要で自由にデザインを表現でき、購入者はメタバースなどのデジタル空間でファッションを楽します。

例えば、20代〜30代に人気のブランドであるバレンシアガは、2021年9月にオンラインゲームのフォートナイトで、デジタルファッションアイテムのNFTをリリースしました。
リリースしたデジタルファッションアイテムは、コスチュームやバックから、ツルハシやグライダーなど種類豊富です。
NFTを入手したユーザーは、期間限定で登場したハブ「ストレンジタイムズ」でフレンドと一緒に過ごしたり、限定の特典を受け取ることができました。

従来のファッション業界では、偽造品や模倣品の流通が大きな課題となっていました。
NFTの技術がコピー品や偽造品の流通を防止し、正規品を安心して購入・取引できる環境が整備されてきています。

木田 陽介

ALTAVA社のような、デジタルファッション専門ブランドも存在します!

国内のNFT×文化の事例

国内のNFT×文化の事例
  • NFT×祭り
  • NFT×御朱印
  • NFT×日本酒
  • NFT×アニメ
  • NFT×ゲーム

ここでは、国内のNFT×文化の事例を紹介していきます。

NFT×祭り

祭り×NFTの事例には、Adam byGMOでNFTを販売している、青森県で開催されている「ねぶた祭り」があります。

ねぶた祭りは青森県青森市を中心に開催される祭りです。
「ねぶた」という大型の灯籠を山車に乗せて街を練り歩くのが特徴で、東北三大祭りの一つとして全国的に有名な祭りと言えます。

Adam byGMOでは、2022年度のねぶた祭り用に製作した「風神 雷神(ふうじん らいじん)」の運行風景写真や3DモデルをNFT化して販売しています。
新しいスポンサードの形として、文化を持続して守っていくために販売収益の一部を運行団体や製作者に還元されるように支援しているのが特徴です。

木田 陽介

クリエイターへの収益還元ができるというNFTの特徴を、文化を守るため、記録として保存していくために使用するなどの目的がしっかりしている事例の一つです!

NFT×御朱印

御朱印×NFTの事例には「竹神社デジタル御朱印」があります。
竹神社デジタル御朱印は、一般社団法人明和観光商社が、人々の生活領域における支え合いやデジタル技術の活用を促進するために、2022年8月より頒布(はんぷ)しているNFTです。

この取り組みは、明和町の観光を推進する明和観光商社と、ブロックチェーン技術を活用したサービスを展開するHAKUHODO Blockchain Initiative、新しい行動習慣を作り出すための研究を行う博報堂行動デザイン研究所、NFTサービスの開発を行うCryptoGames、共同で開発が行われています。

竹神社デジタル御朱印は、明和町の竹神社にあるNFTAirDropのQRコードを読み取ることで、参拝した証をデジタルで残せるNFT「竹神社デジタル御朱印」が1枚につき1度頒布される仕組みです。
絵柄は毎月変わり全12種類、2023年7月の土日、満月の日まで提供されました。

竹神社デジタル御朱印は、伝統的な文化である御朱印と、最新技術のNFTを融合させる試みとして注目されました。
この取り組みでは、期間の限定や毎月変わるデザインによって収集する楽しみを創出し、地域観光の活性化にも貢献しています。

木田 陽介

昨今は御朱印巡りがブームにもなっていますね!
こういった文化や歴史をなぞるようなものと、最新の技術であるNFTを使用して文化を守るという流れ自体はすごくいいものだと思います!

木田 陽介

NFTならではの特徴がもっと「なくてはならないもの」であったり「やらなきゃいけない!」みたいな、ある意味中毒性のあるものになると広がっていくんじゃないかなと思います!

NFT×日本酒

日本酒×NFTの事例には「SAKE WORLD NFT」があります。

SAKE WORLD NFTとは、株式会社リーフ・パブリケーションズが、日本酒の価値を最大化して酒蔵と利用者の双方にメリットを生み出すために、2023年11月より提供しているNFTマーケットプレイスです。
SAKE WORLD NFTでは、⽇本酒と引換えができるチケットのNFTが提供されています。

SAKE WORLD NFTで販売されているNFTは、購入時に「①冷凍保管後に引渡し」「②熟成保管後に引渡し」「③即時引渡し」から選択できる点が特徴です。
近年日本酒業界では、日本酒をただ飲むだけでなく、製造直後に急速冷凍で凍らせる、一定期間熟成させるなど、自分に合った楽しみ方を提案しています。
こうした日本酒の飲み方を選べる仕組みは、購入者への体験価値を向上させることにつながります。

このNFTは、酒蔵などの提供者にとってもメリットがあります。
購入したNFTチケットの二次流通が行われた場合には、売買価格に応じて5%の手数料が提供者に付与されます。
また、熟成予定の商品が完成する前に販売できるので、NFTの収益をすぐに次の活動費用へ充てることも可能です。

SAKE WORLD NFTは、日本酒にデジタル技術を掛け合わせて、新たな価値を提供する取り組みです。
この取り組みによって、日本酒文化のさらなる発展が期待されています。

木田 陽介

日本酒の楽しみ方を選べるユニークな仕組みです!
やはり製作者への収益還元が永続的に行えるのは、NFTならではの特徴と言えますね!
あとは2次流通が活発に行われるための工夫があると代表的な例になると個人的には思います!

NFT×アニメ

アニメ×NFTの事例には「fancity」があります。
fancityは、クラウドサーカス株式会社と株式会社テレビ東京メディアネットが、多くのファンたちが楽しめるTVアニメの新しいコミュニティ誕生を願って、2022年10月末より提供しているサービスです。

fancityは、TVアニメのNFTアイテムをメインで扱うマーケットプレイスです。
作品は「アルプスの少女ハイジ」や「ドラゴン、家を買う」「本好きな下剋上」など全4種類で、fancity限定カットの「場面設定」や「設定画」がラインナップされています。
ユーザーはウォレット不要で、クレジットカードを利用することで作品を購入できます。
購入者にはfanroomでNFTを飾ったり、限定コンテンツの閲覧ができるなど、さまざまな特典が付与される予定です。

作品の数は随時追加されています。
SNSのX(元Twitter)を通じて発表されているので、気になる作品がある人はぜひフォローしてみてください。

木田 陽介

アニメファンにはたまらない作品がたくさんあります!

NFT×ゲーム

ゲーム×NFTでは、STEPN GOn、イルビウム、プロジェクトゼノ、シンビオジェネシスなど数多くの事例があります。
これらのゲームでは、キャラクターやアイテム、仮想空間内の土地などをNFT化し、プレイヤーが実際に所有・取引できる仕組みを導入しています。

NFT化されたアイテムは、ゲーム内だけでなく外部での売買も可能です。
たとえば、プレイヤーがゲーム内で取得したNFTの武器やアイテムを、マーケットプレイスを通じて他のユーザーに販売して、収益を得ることができます。
このような仕組みは「Play-to-Earn(プレイトゥアーン)」と呼ばれ、ゲームを「遊ぶ」だけでなく「稼ぐ」ことができるプレイスタイルを実現しています。

NFTは、ゲームにおいて新しい収益の機会を創出するとして注目されています。
今後もNFTを通じた新しいビジネスモデルが生まれ、さらなる発展が期待できます。

木田 陽介

他のゲームと互換性があるNFTも多くあります!

NFTが生み出す新しい文化体験

NFTが生み出す新しい文化体験
  • メタバース
  • DAO

ここでは、NFTがメタバースとDAOの文化に、どのように絡んでいるのかを解説していきます。

メタバース

メタバースとは「高次元、超越(Meta)」と「宇宙(Universe)」とが融合した言葉で、インターネット上に構築された仮想空間を意味します。
参加者同士のコミュニケーションや、イベントやライブ、展覧会の開催・参加など、現実世界さながらの行動ができます。

メタバースは、物理的な距離を超えて異文化交流を可能にする新しいプラットフォームです。
例えば、著名なメタバースであるDecentralandでは、NFTの展示会が開催され、海外のさまざまな国の作品が展示されるアートに触れ、多様な文化や価値観に触れる体験ができます。

メタバースでは、キャラクターや、衣装、アクセサリーなどがNFT化されることが一般的です。
近年はルイ・ヴィトンや、ドルチェ&ガッバーナやバーバリーなどを始めとした、多種多様なブランドがNFTに参入しています。
このように、NFTとして創作されたデジタル衣装や民族衣装などを、さまざまなメタバースプラットフォームで使用でき、現実世界や他のメタバースプラットフォームにある文化をNFTを通じて表現することができます。

木田 陽介

NFTの衣装を通じて、メタバースのキャラクターを自分好みにアレンジできます!

DAO

DAOとは「Decentralized Autonomous Organization」の略で、日本語では自立分散型組織と訳します。

DAOは、特定の目的や価値観を共有するメンバーが集まり、活動を展開する新しいコミュニティの形です。
NFTの保有が参加条件となる場合が多く、メンバーはコミュニティ内での意思決定や運営に関与することができます。
DAOでは、参加者一人一人が組織の運営に主体的に関わる仕組みを実現します。

DAOは国境を超えて人々をつなぎ、特定の文化や価値観を人々が集まり共有する場として機能します。
例えば山古志DAOでは、村が誇る文化である錦鯉をNFT化してデジタル住民票(法律上の住民にはならない)を発行し、村の情報を発信して限界集落化を食い止める取り組みを行っています。
このように、DAOを通じて自分たちが大切にしている伝統文化を守ったり、作り上げてきた文化を広めることが可能です。

DAOはまだ誕生して間もない概念であり、現在は発展途上の段階にあります。
これまでにない形のコミュニティとして、今後独自の新しい文化を生み出す場となる可能性を秘めています。

木田 陽介

山古志DAOの取り組みは、他の地方自治体へも波及しています!

まとめ

この記事の簡単なまとめ
  • アート、音楽、ファッションなど従来の文化にNFTを取り入れるケースが増えている
  • 伝統的な祭り、御朱印、日本酒など日本特有の文化による事例も多い
  • メタバースやDAOなど、NFTを通じた新しい文化が形成されている

NFTは、アートや音楽、ファッションなどの従来の文化に新たな価値を付加する手段として注目されています。
御朱印や日本酒、伝統的な祭りなど、日本独自の文化と融合した事例も多く見られます。

また、メタバースやDAOのように、NFTを通じた新しい文化が形成されています。
こうした新しい文化によって、ユーザーは地域の枠を超えた交流を楽しみ、自分たちが守り作り上げてきた文化を発信して広めることができるでしょう。

木田 陽介

今日も「NFTが作る新しい文化体験!アートから伝統まで広がるNFTの魅力と未来を国内の事例をもとに解説」をお読みいただきまして、ありがとうございました。
皆様の次のご来訪をお待ちしております。どうぞ良いNFT旅をお過ごしください。

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