JPYCの活用事例まとめ|事業者と個人のユースケース・企業/自治体の導入例を解説

ICHIZEN Capitalのイチ押しポイント!
- JPYCの活用事例は「事業者」と「個人」の2つの層で広がっている
- 事業者:委託費・報酬の支払い、店頭決済、ポイント交換、ふるさと納税など
- 個人:送金・少額決済・投げ銭・DeFi運用、そしてアプリ開発への組み込み
- 事業者側では、大手の実例が相次いで出ている
- 物流のAZ-COM丸和が協力会社への委託費・報酬支払いにJPYC導入を発表(2026年7月)
- ローソンがPOSレジでのステーブルコイン店頭決済の実証を開始(2026年8月・第1弾は実施済み/第2弾は予定)
- 個人はJPYCを自由に使え、開発者のユースケースも育ちつつある
- 個人間送金や投げ銭、DeFiでの運用に加え、決済機能をアプリに組み込む個人開発が可能
- ガスレス送金(EIP-3009)などの仕組みで、円建て決済を自作サービスに載せられる
- 事例を見るときは「本格導入」か「実証・検討段階」かを区別する
- ローソン・自治体・寄付などは実証や検討の段階のものが多く、拡大は今後次第
- JPYCは1JPYC=1円で発行・償還でき、暗号資産ではなく「電子決済手段」に区分される
水野 倫太郎JPYCは日本円に連動するステーブルコインで、事業者にも個人にも使い道が広がっています。「自分の会社の業態でどう使えるか」「個人でどんなことができるか」——検索する動機は大きく2つに分かれます。この記事では、実在する企業・自治体の導入例と、個人のユースケースを、事業者編と個人編に分けて整理します。事例の「段階」も忖度なく区別してお伝えします。


監修 水野 倫太郎
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役
慶應義塾大学経済学部。2017年米国留学時にブロックチェーンと出会い、Web3の業界に足を踏み入れる。2018年には、日本有数の仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。2019年には同社のCMOに就任し、2020年に東証二部上場企業とM&Aを行い、様々なクリプト事業を展開する。2022年に現在代表取締役社長を務めるICHIZEN HOLDINGSを立ち上げ様々なWeb3事業を手がける。複数のWeb3系事業に出資を行いながら有識者として活動。
なぜ今JPYCの活用事例が注目されているのか
JPYCは、日本円と1:1で交換できる国内発のステーブルコインです。2025年に資金移動業者として登録され、正式な日本円ステーブルコインとして発行が始まって以降、企業の導入発表や実証実験が相次ぎ、活用事例が一気に増えました。
とくに話題を集めたのが、物流大手AZ-COM丸和ホールディングスによる委託費・報酬支払いへの導入発表(2026年7月)や、ローソンのPOSレジでのステーブルコイン店頭決済の実証実験(2026年8月)です。
さらに、2026年7月の熊本地震(令和8年熊本地震)に際して、JPYCを使った寄付が代表者のSNSで提起され、金融庁への照会が行われるなど、社会的な文脈でも名前を見かけるようになりました。こうした露出が「JPYCを自分たちの業態でどう使えるか」「個人でどんな使い道があるか」という検索につながっています。
本記事は、その2つの疑問に答えるために「事業者編」と「個人編」に分けて活用事例を整理します。JPYCそのものの仕組みや買い方・償還方法の詳細は、JPYCとは?の記事にまとめているので、基礎から知りたい方はそちらもあわせてご覧ください。
活用の前提|JPYCの基本をおさらい
活用事例を読む前に、JPYCの基本だけ押さえておきましょう。
JPYCは、日本円と1:1で連動する国内発のステーブルコインです。発行元はJPYC株式会社で、2025年8月に資金移動業者として登録され、同年10月に正式発行されました(JPYC公式サイト)。発行額と同額以上の日本円などを裏付け資産として保全しているため、常に1JPYC=1円で発行・償還できます。値動きで儲ける資産ではなく、円を速く・安く・自由に動かすためのツールだと捉えてください。
法的には暗号資産ではなく「電子決済手段」(資金決済法)に区分され、発行は銀行や資金移動業者などに限られます。
規制に位置づけられた円のデジタル版という安心感は、事業者が導入を検討するうえでも効いてきます。購入・償還は公式のJPYC EXで行い(発行・償還の手数料は無料、送金時のガス代は別)、一般の暗号資産取引所では扱われません。買い方や償還の手順・メリットはJPYCとは?の記事で詳しく解説しています。
| 発行体 | JPYC株式会社(2025年8月に資金移動業者として登録) |
|---|---|
| 価値・裏付け | 1JPYC=1円に連動。同額以上の日本円等を裏付け資産として保全 |
| 法的区分 | 暗号資産ではなく「電子決済手段」(資金決済法) |
| 発行・償還 | 公式「JPYC EX」で発行・日本円へ償還。手数料無料(ガス代は別) |
| 対応チェーン | Ethereum・Polygon・Avalanche(拡大予定)。ガス代はPolygon/Avalancheが安い |
【事業者編】業態別のJPYC活用パターン
まず事業者側です。「自社の業態でJPYCをどう使えるか」を考えるとき、活用パターンは大きく次のように整理できます。共通する狙いは振込手数料・処理時間・国際送金コストの削減と、新しい顧客接点の獲得です。
| 活用パターン | 向いている業態 | 狙い・メリット |
|---|---|---|
| 委託費・報酬の支払い | 物流・ギグワーク・制作/クリエイター発注 | 多数の相手への少額・即時払いで、振込手数料と処理時間を削減 |
| 店頭・POS決済 | 小売・飲食・自販機・観光/インバウンド | 専用端末を増やさず新しい決済手段を提供、手数料の見直し |
| ポイント/リワード交換 | カード・マーケティング・ポイント事業 | ポイントを円連動トークンへ交換し、使い道と即時性を拡張 |
| ふるさと納税/地方創生 | 自治体・地域事業者 | 電子商品券や返礼をトークン化し、地域内で循環させる |
| 寄付・CSR | NPO・自治体・企業の社会貢献 | 透明性の高い資金の受け渡し(※制度対応は要確認) |
| 企業間精算/請求書払い | B2B・国際取引 | 債権者起点の集金や条件付き支払いを自動化 |
ポイントは、「送金・支払いの回数が多く、1件あたりが小さい業態ほど効果が出やすい」ことです。物流の協力会社への報酬、クリエイターへの発注、地域内の少額決済など、従来は振込手数料や締め日の制約が重かった場面ほど、ステーブルコインの即時・低コストが効きます。次に、実際に動いている事例をカタログとして見ていきましょう。
事業者の実在事例カタログ(2025-2026)
ここでは、公表されている企業・自治体のJPYC活用事例を、「本格導入」か「実証・検討段階」かの区別とあわせて整理します。事例を自社の参考にするときは、この段階の違いを必ず押さえてください。
AZ-COM丸和ホールディングス|物流の委託費・報酬支払い
物流大手のAZ-COM丸和ホールディングスは、2026年7月にJPYCと資本業務提携(約10億円の出資を含む)を結び、協力会社(個人ドライバー等)への委託費・報酬の支払いにJPYCを活用する方針を示しました(※1)。
多数の少額支払いが発生する物流業は、振込手数料と処理時間の削減効果が大きい代表例です。ただし現時点は提携と方針の公表までで、実際の支払い運用の開始時期は未定(未実施)。「もう使われている」ではなく「これから展開する予定」と捉えてください。協力会社数はJPYC公表で2,968社(2026年6月末・報道により差あり)です。
ローソン|POSレジでのステーブルコイン店頭決済(実証実験)
ローソンは2026年8月、POSレジでスマホのバーコードを読み取りステーブルコインで支払う店頭決済の実証を始めました(※2)。第1弾は8月6日に高輪ゲートウェイシティ店でJPYCを対象に実施済み、第2弾は8月17日にゲートシティ大崎アトリウム店でUSDC/USDT/JPYCを対象に予定(本記事執筆の8月12日時点では実施前)です。
専用端末を増やさず新しい決済を試せる点が特徴ですが、いずれも実証段階で本格導入は未定。小売・飲食がレジへの組み込みを考える先行例です。
ダイナースクラブ|カードのリワードポイントをJPYCへ交換
ダイナースクラブは2026年6月、カードのリワードポイントをJPYCへ交換できるサービスを開始しました(※3)。日本のクレジットカードでポイントをステーブルコインへ交換できる先行例で、ポイント事業者やカード会社が「たまったポイントの使い道と即時性を広げる」活用の参考になります。
京都の自動販売機|JPYCで缶飲料を買うPoC(実施中)
身近な無人小売でのJPYC決済の先行例が、京都の自動販売機のPoCです。INSPAYが主導し、JPYC・ハッシュポート・チェリオコーポレーションが連携。自販機のQRをハッシュポートウォレットで読み取り、JPYCでチェリオの飲料を買う仕組みで、「自販機の実消費での日本円ステーブルコイン決済は日本初」とされます(※6)。
実施期間は2026年7月1日〜9月30日、京都市内3台(東山区・左京区)で、8月12日時点は実施中(対象商品の半額施策あり)。無人端末でステーブルコイン決済が成立するかの実証で、自販機・券売機・無人店舗への横展開が期待されますが、恒久導入は未定です。
自治体・その他|ふるさと納税・クレカ返済など
このほかにも、業態を横断して多様な取り組みが動いています。段階はさまざまですが、活用の幅を知るうえで参考になります。
- 徳島県海陽町|「JPYC商品券」(前払式)でふるさと納税に対応(2023年度実施の先行例。オンチェーン決済とは別の商品券方式)
- nudge(ナッジ)|クレジットカードの返済にJPYCを使える取り組み(国内のカード返済の先行例・招待制)
- 鹿島建設|報酬付与にJPYCを活用したと報じられる事例(一次情報は未確認)
- 熊本地震(令和8年・2026年7月)|JPYC社の岡部典孝社長がSNSでJPYC/USDCによる寄付スキームを提起し、金融庁のFinTechサポートデスクへ照会。2026年8月12日時点でも正式な寄付受付・公式ウォレットは未開設で、検討・照会の段階(「寄付実績」ではない)
これらの多くは実証・検討の段階であり、「すでに誰でも当たり前に使える」状態とは限りません。とくに寄付のように制度対応が絡むものは、金融庁への照会などのプロセスが進行中で、拡大するかは今後次第です。事業者として検討する際は、各社の公式発表で最新の段階を確認してください。
【個人編】個人のJPYC活用パターン
次に個人側です。JPYCは発行体が発行し、その使い道は個人の自由です。ウォレットに入れておけば、送金から決済、運用まで幅広く使えます。代表的な使い道を整理します。
| 使い道 | どんな場面か | ポイント |
|---|---|---|
| 個人間送金 | 割り勘・仕送り・立替の精算 | 相手のウォレットアドレスへ数十秒で送れる。円建てなので金額が分かりやすい |
| 少額決済・投げ銭 | 対応店舗・自販機、クリエイターへのチップ | 1円単位の少額をやりとりしやすい |
| DeFi運用 | レンディングなどで金利を得る | 円連動なので価格変動を抑えつつ運用できる(元本保証ではない) |
| NFT・Web3購入 | NFTやWeb3サービスの支払い | 円建てで決済でき、価格の見通しが立てやすい |
| 国際送金 | 海外への送金・現地での利用 | USDC等へ交換して使えば、銀行送金よりコストを抑えやすい |
| アプリ/dApp開発 | 自作サービスに決済を組み込む | JPYCの決済機能をコードから呼び出せる(次章) |
個人にとってのJPYCの魅力は、「円のまま、ブロックチェーンの速さと自由度を使える」点にあります。価格が上下する暗号資産と違い、1JPYC=1円で安定しているため、送金や決済の道具として日常的に使いやすいのが特徴です。ただし運用(DeFi)には元本割れやスマートコントラクトのリスクがあり、税金の扱いも含めて後述の注意点を必ず確認してください。
JPYCはPayPayや銀行送金と何が違う?
「同じ円建てなら、PayPayや銀行送金でよくない?」——個人がまず抱く疑問です。結論から言うと、日常の手軽さではPayPayなどの電子マネーに軍配が上がり、JPYCの強みは「開いていること(オープン性)」にあります。違いを表で整理します。
| 観点 | JPYC(ステーブルコイン) | PayPay等の電子マネー | 銀行送金 |
|---|---|---|---|
| 送れる相手 | 誰のウォレットにも(アプリ・国をまたいで) | 同じサービスの利用者・加盟店が中心 | 銀行口座あて |
| 使える場所 | 対応サービス・一部店舗(まだ限定的) | 非常に多い(普及済み) | 店頭決済には不向き |
| 手軽さ | ウォレット・ガス代の準備が必要 | アプリだけで完結・簡単 | 手数料・営業時間の制約 |
| プログラム連携 | DeFi運用・dApp/自作アプリに組み込み可 | 基本的に不可(閉じた世界) | 不可 |
| 海外・国際送金 | USDC等へ交換して越境利用しやすい | 国内中心 | 手数料・時間がかかる |
| 価値・区分 | 1円連動・電子決済手段(ブロックチェーン上) | 1円建て・前払式/資金移動 | 日本円(預金) |
ポイントは、PayPayが「閉じた便利さ」、JPYCが「開いた自由さ」だということです。
PayPayは加盟店とアプリの中で完結するぶん、誰でもすぐ使えて店舗も多い。一方JPYCは、相手のウォレットさえ分かればアプリや国境をまたいで送れ、DeFiで運用したり、自作のサービスに決済として組み込んだりできます。「PayPayの残高を海外の友人にそのまま送る」「PayPay残高をDeFiに預けて金利を得る」「自分のアプリの決済にPayPayを自由に組み込む」——こうしたことは基本的にできませんが、JPYCならできます。
したがって「近所のお店で今すぐ払いたい」だけならPayPayで十分です。JPYCが効いてくるのは、アプリや国をまたぐ送金、DeFiでの運用、そして開発者が円建て決済を自作サービスに載せたいとき——つまり既存の電子マネーが「閉じている」ために不便な場面です。両者は競合というより、用途で使い分けるものと捉えると分かりやすいでしょう。
個人開発者のユースケース|決済をアプリに組み込む
個人のもう一つの活用が開発です。JPYCはERC-20規格のトークンで、決済機能を自作のアプリやサービス(dApp)に組み込めるため、個人開発者がJPYCを使ったサービスを作る動きが出ています。たとえば次のようなパターンが実装されています。
- 個人間の投げ銭|送信関数を呼び出して、クリエイターへ直接チップを送る
- ECのオンライン決済|自作ショップの支払いをJPYCで受け取る
- ガスレス決済(EIP-3009)|利用者がガス代を負担せずに送金できる仕組み(署名だけで送金し、手数料は事業者側が肩代わり)
- 店頭QR・請求書払い|受取側が金額を指定して集金する(条件付き支払いの自動化)
とくにガスレス送金は、「利用者がわざわざガス代用の暗号資産を用意しなくてよい」ため、一般ユーザー向けサービスの入り口を大きく下げます。円建てステーブルコインをこうした仕組みと組み合わせられることが、個人開発者にとってのJPYCの面白さです。技術的な詳細は開発者向けの実装ガイドが公開されているので、実際に作りたい方はそちらを参照してください(※4)。
JPYCを活用するときの注意点
便利な一方で、活用の前に押さえておくべき注意点があります。事業者・個人のどちらにも共通する点です。
- 事例の「段階」を見極める|実証・検討段階のものを「本格導入済み」と誤解しない。最新は各社公式で確認
- 税金の扱いを確認する|利用の仕方によって課税関係が生じる場合がある。取り扱いは国税庁の最新情報と税理士に確認
- ガス代とチェーンの選択|送金にはブロックチェーンのガス代がかかる。安いチェーン(Polygon等)を選ぶ
- 誤送金は取り消せない|アドレスの間違いは戻らない。少額でのテスト送金を習慣に
- DeFi運用のリスク|円連動でも、レンディング等は元本割れ・スマートコントラクトのリスクがある
とくに事業者が導入を検討する場合は、会計・税務・法務の整理が欠かせません。報酬や決済に使うなら、記帳や源泉、消費税の扱いをどうするか、社内で先に固めておく必要があります。個人も、DeFiで得た利益や送金の記録は残しておき、税務の判断に迷えば専門家に相談してください。
ICHIZEN Capitalの視点|「事例の段階」を見極めて自社に当てはめる
ICHIZEN Capitalは、ブロックチェーンが実社会の金融に入り込む動きを継続して見てきました。JPYCの活用事例を追うなかで実感するのは、「話題性」と「実装の深さ」を分けて見ることの大切さです。
大手の名前が並ぶと「もう当たり前に使われている」と感じがちですが、実際には実証実験や検討段階のものが多く含まれます。
だからこそ事業者にとって重要なのは、華やかな事例をそのまま真似ることではなく、「自社のどの業務が、多数・少額・即時の支払いか」を洗い出し、そこにJPYCが効くかを冷静に当てはめることです。物流の委託費のように、明確な非効率がある場所ほど効果が出ます。個人であれば、まずは少額の送金や投げ銭など、失敗しても痛くない範囲から実際に触り、ガス代や償還の感覚をつかむのが近道です。
円建てステーブルコインは、日本の決済インフラに静かに入り込み始めた段階です。過度な期待も、頭ごなしの否定もせず、事例の段階を見極めながら、自分の業態・生活のどこに当てはまるかを具体的に考える——それが、この波と上手に付き合う実務的な姿勢だと考えています。



JPYCの事例は増えていますが、「実証実験」と「本格導入」を混ぜて読むと期待が先走ります。事業者なら、多数・少額・即時の支払いがある業務を探すのが第一歩。個人なら、まず少額送金で感覚をつかむ。派手な事例より、自分の足元に当てはまるかを見るのが結局いちばん役に立ちます。
よくある質問
JPYCは何に使えますか?
個人では、個人間送金・少額決済・投げ銭・DeFi運用・NFT購入・国際送金などに使えます。事業者では、委託費や報酬の支払い、店頭決済、ポイント交換、ふるさと納税、企業間精算などの活用が進んでいます。1JPYC=1円の安定した価値を、ブロックチェーンの速さで動かせるのが特徴です。
JPYCはどこのお店で使えますか?
対応するサービスや店舗で使えますが、多くはまだ実証実験や一部対応の段階です。ローソンのPOS決済実証や京都の自販機、nudgeカードの返済などが先行例として動いています。全国のどの店でも当たり前に使える段階ではないため、最新の対応状況は各サービスの公式情報で確認してください。
法人はJPYCをどう導入しますか?
委託費・報酬の支払い、店頭決済、ポイント交換など、自社の「多数・少額・即時の支払い」がある業務に当てはめるのが基本です。実際にはJPYC側との連携やAPI・ウォレットの整備、会計・税務・法務の整理が必要になります。AZ-COM丸和の委託費支払いのように、非効率が明確な業務ほど効果が出やすいです。
個人がJPYCを使ってアプリを開発できますか?
できます。JPYCはERC-20規格のトークンで、決済機能を自作のアプリやdAppに組み込めます。個人間の投げ銭、ECのオンライン決済、利用者がガス代を負担しないガスレス送金(EIP-3009)などの実装例があります。円建て決済を自分のサービスに載せられる点が、個人開発者にとっての魅力です。
JPYCは仮想通貨(暗号資産)ですか?
いいえ、暗号資産ではなく「電子決済手段」に区分されるステーブルコインです。ビットコインのように価格が変動するのではなく、1JPYC=1円で日本円に連動します。発行は資金移動業者などに限定されており、JPYCは資金移動業者として登録された事業者が発行しています。
JPYCを日本円に戻す(償還)ことはできますか?
できます。公式プラットフォームのJPYC EXを通じて、保有するJPYCを日本円に償還し、銀行口座で受け取れます。発行・償還の手数料は無料とされていますが、ブロックチェーン上で送る際のガス代は別途かかります。一般の暗号資産取引所では扱われないため、発行・償還はJPYC EXが基本です。
JPYCで寄付はできますか?(熊本地震)
2026年7月の熊本地震(令和8年熊本地震)に際し、JPYCを使った寄付が代表者から提起され、金融庁への照会が行われました。ただし、これは検討・照会の段階で、正式な寄付受付の窓口が開設された事実は確認できていません。「JPYCで寄付が完了した実績」ではない点に注意し、最新の状況は公式発表で確認してください。
JPYCの利用に税金はかかりますか?
使い方によっては課税関係が生じる場合があります。単なる送金か、DeFiで利益を得たか、事業の報酬として受け取ったかなどで扱いが変わり得ます。取り扱いは変わる可能性があるため、取引の記録を残し、国税庁の最新情報を確認したうえで、判断に迷う場合は税理士に相談してください。
JPYCとUSDC・PayPayの違いは何ですか?
JPYCは日本円に連動する円建てステーブルコインで、ブロックチェーン上で自由に送金・決済できます。USDCは米ドル連動のステーブルコインで、国際送金や海外サービスで使いやすい一方、円換算では為替の影響を受けます。PayPayは日本円建ての電子マネーですが、閉じたサービス内での利用が中心で、ブロックチェーン上のトークンではありません。用途に応じて使い分けます。
まとめ|事業者と個人、2層で広がるJPYC活用
- JPYCの活用は「事業者」と「個人」の2層で広がっている
- 事業者:AZ-COM丸和の委託費支払い・ローソンPOS実証・ダイナースのポイント交換
- 個人:送金・投げ銭・DeFi運用に加え、アプリ開発への組み込みも可能
- 事例は「本格導入」か「実証・検討段階」かを区別して読む
- 自社の「多数・少額・即時の支払い」に当てはめられるかで判断する
JPYCの活用事例は、事業者の委託費支払い・店頭決済・ポイント交換から、個人の送金・投げ銭・DeFi・アプリ開発まで、2つの層で広がっています。物流大手や大手コンビニ、カード会社の名前が並び、円建てステーブルコインが日本の決済に入り込み始めたことがうかがえます。
ただし、事例の多くは実証・検討の段階にあります。大切なのは、話題性に流されず「本格導入か実証か」を見極め、自社の業務や自分の生活のどこに当てはまるかを具体的に考えることです。事業者なら多数・少額・即時の支払いを、個人なら少額の送金から。仕組みと段階を正しく理解して、無理のない範囲でJPYCの活用を検討してみてください。
参考文献
※1 AZ-COM丸和ホールディングス×JPYC 資本業務提携(2026年7月)https://corporate.jpyc.co.jp/news/posts/AZ-COM-Maruwa-Hd
※2 日本経済新聞「ローソン、店頭でステーブルコイン決済の実証実験」https://www.nikkei.com/
※3 ダイナースクラブ「リワードポイントのJPYC交換」プレスリリース(2026年6月)https://www.diners.co.jp/ja/press/inf_20260601_2.html
※4 JPYC決済のユースケース別実装(開発者向けガイド・Zenn)https://zenn.dev/mameta29/articles/4dcb803377b4ae
※5 JPYC株式会社 公式サイトhttps://jpyc.co.jp/
※6 あたらしい経済「京都の自動販売機でJPYC決済の実証実験(INSPAY・JPYC・ハッシュポート・チェリオ)」https://www.neweconomy.jp/posts/590130
※本記事は2026年8月時点の公開情報に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の商品・取引を勧誘するものではありません。企業・自治体の導入事例は本格導入・実証実験・検討/照会など段階が異なり、企業名・日付・金額・対応状況・制度対応は変更や数値の揺れを含みます(要一次確認)。JPYCの税務上の取り扱いは利用形態により異なり得ます。最新は各社公式・JPYC公式・金融庁・国税庁の一次情報でご確認のうえ、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。









