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アトミックスワップとは?仮想通貨を変える送金技術の仕組みをメリットやデメリットまで踏まえて徹底解説!

アトミックスワップってなに?アトミックスワップでどんなことができるの?という疑問をお持ちではないでしょうか?

普段私たちが使っている取引所はMt.GOXやコインチェックのハッキング事件からわかるようにハッキングされるリスクが常にあります。

 今まで暗号資産(仮想通貨)取引をする時は、リスクある取引所を使わなければなりませんでしたが、アトミックスワップを使えば取引所を通さずに個人間で暗号資産(仮想通貨)の交換ができるようになります!

この記事ではアトミックスワップとはどういうものなのか?メリットやデメリット、またその将来性までCryptoManiaが詳しく解説していきます!

この記事をざっくりまとめると…
  • アトミックスワップは革新的な技術!
  • だが今のところメリットだけでなくデメリットも多い
  • 分散型取引所DEXは次世代の取引所
  • アトミックスワップの将来性は明るい!
目次

アトミックスワップとは何か?

アトミックスワップ(Atomic Swap)とは違う種類の暗号資産(仮想通貨)を信用のない個人間でもトラストレス(信用を必要としない)で不正なく交換できるシステムのことです。

従来は個人間で暗号資産(仮想通貨)の交換をする場合、信用できる第三者が仲介となり交換を行います。

第三者とは一般的に「GMOコイン」や「bitFlyer」などの暗号資産(仮想通貨)取引所のことです。

ですが、アトミックスワップを使えばその第三者を介さずに個人間で直接、暗号資産(仮想通貨)の交換ができるようになります。

アトミックスワップとは

これにより取引所を介す必要がなく、取引所の破錠だったりMt.GOXやコインチェックなどのハッキング被害に会うことはありません

アトミックスワップの仕組み 

アトミックスワップとは個人間で直接、トラストレスに暗号資産(仮想通貨)の交換ができる技術でしたね。これはどのような仕組みで交換されているのでしょうか?従来の取引所を介した交換の仕組みと比較しながらアトミックスワップの仕組みを理解していきましょう。

取引所を介した交換の仕組み

従来の取引所を介した暗号資産(仮想通貨)の交換を見てみましょう。

Aさんが1BTC(ビットコイン)、Bさんが8LTC(ライトコイン)を持っていてこれを交換するとします。

取引所を介した交換の仕組み

Aさんは1BTCを、Bさんは8LTCを取引所に預けます。そのあと取引所はAさんに8LTC、Bさんに1BTCを送金します。そうすることで取引所を使った暗号資産(仮想通貨)の交換は終了します。

AさんとBさんは取引所に通貨を預けているので取引所が不正したりハッキングにあったりするとその預けた通貨がなくなってしまうリスクがあります。

アトミックスワップでの交換の仕組み

次にアトミックスワップを使った暗号資産(仮想通貨)の交換を見てみましょう。

今回もAさんが1BTC(ビットコイン)、Bさんが8LTC(ライトコイン)を持っていてこれを交換するとします。

アトミックスワップでは下記のものが必要になります。

  • マルチシグアドレス
  • AさんとBさんの秘密鍵
  • AさんとBさんの署名
  • Aさんが決めたパスワードRとRをハッシュ関数で計算して導き出すハッシュ値H

この3つを使用してアトミックスワップをしていきます。

アトミックスワップが始まると、マルチシグアドレスが2つ作られます

Aさんは1BTCをマルチシグアドレス①に送ります。それと同時にBさんは8LTCをマルチシグアドレス②に送ります。(下図)

このとき生成されるマルチシグアドレスはオフチェーンで処理されています。

オフチェーンとは複数の取引を行う時に一度ブロックチェーンを離れて処理を行い、取引結果を1つにまとめ終わってからブロックチェーンに記録するものです。詳しくは下記の記事をご覧ください!

 マルチシグアドレスは簡単に言うと金庫のようなもので、ここに一度暗号資産(仮想通貨)を保管します。

今、マルチシグアドレス①に1BTC、マルチシグアドレス②に8LTCがある状態ですね。そこにロックをかけていきます。

マルチシグアドレス①にBさんの秘密鍵でロックをします。また、パスワードRでもロックします。これにより二重にロックがかけられます。この状態ではどちらも暗号資産(仮想通貨)を動かすことができません。

マルチシグアドレス②にはAさんの秘密鍵でロックします。また、パスワードRでもロックをします。こちらも二重ロックがかけられます。

ですが、マルチシグアドレス②ではAさんは自分の署名と自分で決めたパスワードRでロックを解除できるのでいつでも自由に8LTCを取り出すことができます

Aさんが8LTCを取り出す時はトランザクションを作ってマルチシグアドレス②→Aさんに送られます。

今まではオフチェーンで処理をしていたのでブロックチェーンに記録されていませんでしたが、トランザクションを作ることによってブロックチェーンに記録されるオンチェーン処理になります。

よってAさんだけでなくBさんにもパスワードRが公開されます。

パスワードRを知ったBさんは自分の署名と合わせてマルチシグアドレス①のロックを解除して1BTCを取り出すことができます。

こうして、アトミックスワップによる暗号資産(仮想通貨)の交換は完了します。

ここでAさんがマルチシグアドレス②から8LTCを取り出さなかったらどうなるのでしょう!?

マルチシグアドレスには制限時間が決められていて、その時間内に暗号資産(仮想通貨)の交換が行われなかった場合、元の持ち主に返還されるような仕組みになっています。なのでAさんが取り出さなかった場合にも対応しています。

しかし、時間切れになって返還が行われたとき、それと同時にAさんがマルチシグアドレス②を解除して8LTCを取り出したら、Aさんの元に1BTCも8LTCもいくことになってしまいます。これを解決するためにマルチシグアドレスの返還のタイミングをずらし、マルチシグアドレス②の返還が先に行われるようになっています。

このような仕組みによってアトミックスワップは取引所を介さずに個人間で直接、トラストレスに取引ができるようになっているのです。

アトミックスワップのメリット 

トラストレスに暗号資産(仮想通貨)交換が可能

トラストレスというのは信用しないことです。

第三者である取引所を通し暗号資産(仮想通貨)の交換をする場合、交換する両者は取引所を信用し暗号資産(仮想通貨)を預けないといけませんでした。アトミックスワップでは取引所を通す必要がないため誰も信用することなく暗号資産(仮想通貨)の交換をすることができます。交換の相手も信用する必要はありません!

今現在、お金の取引や保存をしている金融機関(郵便局や銀行、保険など)は私たちの信用によって成り立っていて、私たちは第三者を信用することなしにそれらを利用することはありません。ですがアトミックスワップは信用なしの通貨交換に成功しているので、これは世の中を変える画期的な仕組みであると考えられています。

不正取引やハッキングのリスクがなくなり、匿名性があがる

第三者の取引所を介さずに取引を行えるので、取引所に資産や個人情報を預ける必要はありません。なので取引所の不正やハッキング被害を避けることができます。アトミックスワップでは交換する両者の取引は同時に行い、お互いの送金が確認できないと取引が完了しないので、片方が持ち逃げすることは不可能になっています。そして個人間の取引のため高い匿名性を保っています。

違う暗号資産(仮想通貨)間で取引できる

アトミックスワップはクロスチェーン取引を実現しています。暗号資産(仮想通貨)は各々のブロックチェーンを持っていますが、ブロックチェーン同士の接続性や拡張性はまだまだ低い段階です。なので異なるブロックチェーン同士を繋ぐことができるクロスチェーン取引はその課題を解決できると期待されています!

アトミックスワップのデメリット

取引手数料がかかる

取引自体は個人間で行えますが、ブロックチェーン上のトランザクションで処理されることになるので、取引の承認はマイナーがします。

なのでアトミックスワップをした際はマイナーにトランザクションの手数料を支払わなければなりません!また、アトミックスワップはビットコインを使われることが大半ですが、ビットコインはスケーラビリティ問題を抱えているため手数料が高くなってしまいます

スケーラビリティ問題については下記の記事で詳しく解説しています!

ですがこれはライトニングネットワークを使用することで解決される期待が大きくなっています。

 ライトニングネットワークはビットコインの送金手数料・速度問題を解決できる画期的な方法です。

送金速度が遅い

アトミックスワップを使った暗号資産(仮想通貨)の交換は取引所を介した交換よりも送金速度が遅くなってしまいます。ビットコインはトランザクションの生成が10分に1回しか行われず、現段階ではアトミックスワップ終了まで60分かかってしまいます。

取引所では皆から預けられた暗号資産(仮想通貨)は一括で管理し、アカウント残高は数字で表すIOUという仕組みを採用しているため、素早く送金を行うことができます。銀行やXRP(リップル)もこの仕組みを採用しています。

IOUについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください!

限られた通貨間でしか取引できない 

アトミックスワップは全ての暗号資産(仮想通貨)で行えるわけではありません。アトミックスワップが実装された暗号資産(仮想通貨)はまだまだ少なく、下記で紹介する通貨で主に使われています。

アトミックスワップはトランザクションにおいてお互いにハッシュ関数が同じものを使っていなければ使用することはできません。なので今の段階では全ての暗号資産(仮想通貨)で実装することはできません。

アトミックスワップが実装された主な銘柄

イーサリアム (ETH)

2017年10月7日、イーサリアム(ETH)はビットコイン(BTC)とのアトミックスワップに成功しました。

BTC-ETHのアトミックスワップに成功。技術革新が着々と進んでますなー。2019年くらいには取引所は分散型が主流になっていそう。 https://t.co/W6lj7h9dlN — イケハヤ@ブログ年商1.5億円 (@IHayato) October 9, 2017

暗号資産(仮想通貨)は法整備が整っておらず、今後ますます個人間での暗号資産(仮想通貨)取引が増える中、今の税法では国は正しく税金を徴収することはできません

またこれからIoTの時代になった時に車や冷蔵庫やエアコンなどモノがインターネットとつながった時に異なる暗号資産(仮想通貨)を使って決済をする場合が多々あります。

そうした時に現在の税法はとても非現実的であると考えられます。

なのでアトミックスワップの発展は税制をも変えるかもしれません。

アトミックスワップまとめ

この記事をざっくりまとめると…
  • アトミックスワップは革新的な技術!
  • だが今のところメリットだけでなくデメリットも多い
  • 分散型取引所DEXは次世代の取引所
  • アトミックスワップの将来性は明るい!

アトミックスワップは取引所を介さずに、個人間で直接、暗号資産(仮想通貨)の交換を行える革新的な技術です。メリット、デメリットそれぞれありますが今後分散型取引所に応用されればアトミックスワップのデメリットはほとんどなくなります。

そうすると中央集権型の取引所を使うメリットがなくなってしまうため、中央集権型の取引所がなくなってしまうなんてこともありえるかもしれません。

また今の税法では課税はされていますが徴収がとても難しいため税法を変える必要がでてきます。

このようにアトミックスワップは未来を変えうるポテンシャルの高い技術です。

今回はアトミックスワップについてしっかり理解していただけましたら幸いです。

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この記事を書いた人

水野倫太郎のアバター 水野倫太郎 Ichizenholdings代表

慶應義塾大学経済学部。
2017年米国留学時にブロックチェーンと出会い、Web3の業界に足を踏み入れる。
2018年には、日本有数の仮想通貨メディアCoinOtakuに入社。
2019年には同社のCMOに就任し、2020年に東証二部上場企業とM&Aを行い、様々なクリプト事業を展開する。
2022年に現在代表取締役社長を務めるICHIZEN HOLDINGSを立ち上げ様々なWeb3事業を手がける。
複数のWeb3系事業に出資を行いながら有識者として活動。

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