Pendle Financeとは?使い方・3つの運用戦略・仮想通貨の将来性まで解説!

DeFi(分散型金融)での資産運用において、「利回りの変動」は常に悩みの種です。
高い利回りに惹かれて資金を投じたものの、翌日には利率が大幅に下落し、期待したほどの収益が得られなかったという経験を持つ方も少なくないでしょう。

このようなDeFiの不確実性を解決し、利回り運用の常識を覆す革新的なプロトコルが「Pendle Finance」です。

この記事では、Pendle Financeの基本的な仕組みから、具体的な投資戦略、そして利用する上でのリスクまで網羅的に解説していきます!

目次

Pendle Financeとは

Pendle Financeとは、一言で言えば「利回りを自由に売り買いできる市場」を提供するDeFiプロトコルです。

通常、ステーキングされたイーサリアム(stETH)のような利回り資産は、「元本」とそこから生まれる「利回り」が一体となっています。

Pendleは、この2つを「PT(元本トークン)」と「YT(利回りトークン)」に分割し、それぞれを個別のトークンとして取引可能にしました。
この「Yield Tokenization(利回りのトークン化)」という画期的な仕組みが、Pendleの最大の特徴です。

Pendle Financeが絶大な人気を誇る理由は、その革新性がもたらす多様な投資戦略にあります。

  • 固定利回りの実現:将来の利回りを放棄する代わりに、PTを割引価格で購入することで、満期時に得られる利益を「固定」できます。これにより、市場の変動リスクを避け、安定した収益計画を立てることが可能になります。
  • レバレッジ戦略:少ない元手でYTを購入することで、将来得られる利回りや、昨今注目を集める「エアドロップポイント」を、元本を全て保有している場合と比較して何倍もの効率で獲得できます。
  • 高い市場シェア:その独自性と有用性から、Pendleは2024年だけで20倍もの成長を遂げ、イールド(利回り)セクターのTVL(Total Value Locked:預かり資産総額)の50%以上を占めるほどの圧倒的な存在感を示しています 。

Pendle Financeの基本的な仕組み・概念

Pendle Financeの核心は、前述した「Yield Tokenization 」にあります。
これは、利回りを生み出す資産を「元本」と「利回り」という2つの要素に分離する技術です。

この仕組みを理解していきましょう!
りんごの木に例えて解説もしていきます!

Yield Tokenizationとは

まず、ユーザーがstETHのような利回り付き資産をPendleに預け入れると、これはPendleの内部で扱える「SY(Standardized Yield Token)」という標準化されたトークンに変換(ラップ)されます。
そして、このSYが「PT」と「YT」の2つに分割されます。

  1. PT(Principal Token / 元本トークン)
  2. YT(Yield Token / 利回りトークン)

数式で表すと以下のようになります。

1SY-Asset = 1PT-Asset + 1YT-Asset

つまり、「1枚の利子付き資産は、1枚のPTと1枚のYTを足したものに等しい」という関係が成り立ちます。

Yield Tokenizationをりんごの木に例えてみよう

この関係性を、毎年りんごが実る「りんごの木」に例えて考えてみましょう。
りんごの木を、「木の幹」と「りんごの実(将来生まれてくる)」に分けて考えます。

  • 木の幹:PT(Principal Token)
    • PTは、りんごの実(利回り)を取り除いた「木の幹」そのものです。
    • この木の幹は、特定の期間(満期)が過ぎれば、必ず元の価値(1stETHなど)に戻ります。
    • しかし、将来のりんごを受け取る権利がないため、現在の市場では元の価値よりも割り引かれた価格で取引されます。この価格差こそが、後述する「固定利回り」の源泉となります。
  • 将来生まれてくるりんごの実:YT(Yield Token)
    • りんごの実を受け取る権利YTは、将来この木から実るすべての「りんご(利回り)を受け取る権利」です。
    • これには、ステーキング報酬だけでなく、対象資産が生み出す可能性のあるエアドロップポイントなども含まれます。
    • ただし、この権利は満期日までのものであり、満期を過ぎるとすべての利回りを受け取り終えるため、YTの価値はゼロになります。

このように資産を分割することで、投資家はそれぞれのニーズに応じて「元本だけを安く手に入れたい」あるいは「元本は不要なので、利回りだけを効率的に獲得したい」といった異なる戦略を取ることが可能になるのです。

Pendle Finance:PT戦略

PT sUSDe:09 Apr 2026(103days)

PT(Principal Token)戦略は、将来の利回り変動リスクを避け、確実に利益を確定させたい「守り」の投資家向けの戦略です。
この戦略の核心は、満期日を迎えると必ず元の資産1単位(例:1 stETH)と交換できるPTを、市場で割引価格で購入することにあります。

将来の利回り(YT)が分離されているため、PTの現在価格は常に元資産の価格よりも低くなります。
例えば、1 stETHが市場で1000ドルで取引されている場合、そのPTであるPT-stETHは950ドルのように、より安い価格で購入できます。そして、満期日を迎えれば、この950ドルで購入したPT-stETHを1 stETH(市場価格が1000ドルであれば1000ドル)と交換できるため、差額の50ドルが確定利益となります。

この価格差が「固定利回り」として機能します。
Pendleのプラットフォーム上では、この利回りが「Fixed APY(年換算利回り)」として表示されます。
ただし、実際に得られる利益は運用期間によって変動するため、年率だけでなく、具体的な利益率(% gain)を確認することが重要です。

PT戦略のまとめ
  • PT戦略のメリット
    • 購入した時点で、満期時の受取額が決まっているため、「固定利回り(Fixed Yield)」を享受できます。
    • 市場の金利が暴落しても、その影響を受けません。
  • PT戦略が向いている人
    • 市場の変動リスクを避け、堅実に資産を増やしたい人。
    • 将来的に金利(利回り)が下がると予想している人。
    • 銀行預金よりも高い利回りを、比較的安全に確保したい人。

Pendle Finance:YT戦略

YT sUSDe:09 Apr 2026(103days)

YT(Yield Token)戦略は、ハイリスク・ハイリターンを許容し、将来の利回り上昇やエアドロップポイントを最大限に活用したい「攻め」の投資家向けの戦略です。
この戦略では、元本(PT)を放棄し、将来の利回りを受け取る権利(YT)のみを購入します。

YT戦略の最大の魅力は、レバレッジ効果にあります。
例えば、100万円分の元本がなければ得られないはずの利回りやポイントを、YTを購入することで数万円の投資で獲得することが可能になります。Pendleのプラットフォームでは、この効率が「YT Leverage」として「〜倍」という形で表示されます。これは、少ない資金で、あたかも大きな資金を運用しているかのような利回り(ポイント)獲得効率を実現できることを意味します。

特に、EigenLayerに代表されるリキッドリステーキングトークン(LRT)の登場以降、プロトコルの将来のエアドロップが期待される「ポイント」を効率的に稼ぐ手段として、YT戦略は絶大な人気を博しています。

しかし、YT戦略には相応のリスクが伴います。

  • 時間的価値の減衰:YTの価値は、満期日に近づくにつれて減少していきます。そして満期を迎えた瞬間、その価値はゼロになります。
  • 損益分岐点YTの購入には、市場の需給バランスによって変動する「Implied APY(市場が織り込む理論上の利回り)」が影響します。実際に得られる利回り(Underlying APY)が、手数料などを考慮した実質的な損益分岐点(Effective Implied APY)を上回らなければ、投資は損失に終わります。
  • 高い手数料:一般的に、YTの取引はPTに比べて手数料が高く設定されています。

YT戦略は、特定のプロジェクトの将来性や利回り動向を強く確信している投資家が、少ない元手で大きなリターンを狙うための強力なツールです。しかし、その投機的な性質から、投資額の全てを失う可能性も十分にあり、慎重な判断とリスク管理が不可欠です。

YT戦略のまとめ
  • YT戦略勝敗の分かれ目
    • Implied APY(市場が予測する利回り) < Underlying APY(実際の利回り)
    • 購入時に支払ったコスト(市場の期待値)よりも、実際に発生した利回りが上回れば利益になります。逆に、期待ほど利回りが出なければ損失(最大で投資額の全損)となります。
  • YT戦略が向いている人
    • 特定のプロジェクトのエアドロップ価値や利回りが、市場の予想以上に高くなると確信している人。
    • 少額の資金で、大口投資家並みのポイントを稼ぎたい人。

Pendle Finance:LP戦略

LP sUSDC 09 Apr 2026(103 days)

LP(流動性提供)戦略は、PTとYTの売買を支える市場に流動性を提供することで、複数の収益源から安定したリターンを狙う戦略です。
市場の方向性を予測するのではなく、取引手数料やインセンティブをコツコツと積み上げたい投資家に向いています。

Pendleの流動性プールは、一般的なDeFiプロトコルとは異なり、「PT」と「元の資産(例:stETH)」のペアで構成されています。
YTではなくPTをペアにすることで、価格変動の影響を受けにくく、より安定した流動性提供が可能となっています。

Zap機能による手軽な流動性提供

通常、流動性提供を行うには2種類のトークンを適切な比率で用意する必要がありますが、Pendleには「Zap」という非常に便利な機能が搭載されています。
これにより、ユーザーは手持ちの資産(例:sUSDeやETHなど)を1種類入金するだけで、システムが自動的に最適な比率でPTと元の資産に変換し、流動性プールに追加してくれます

この手軽さが、PendleでのLP戦略のハードルを大きく下げています。

複数の収益源

LP提供者は、以下のような複数の収益源からリターンを得ることができます。

  • Underlying APY:元の資産そのものが生み出す基本的な利回り
  • PT Yield:LPの一部として保有するPTから得られる固定利回り
  • Pendle LP Yield:プール内での取引(スワップ)から発生する手数料収入や、Pendleプロトコルからの$PENDLEトークンによるインセンティブ報酬。
  • Off-chain Yield:エアドロップポイントなど、Pendle上では直接表示されない追加報酬。

このように、元の資産の利回りに加え、Pendle独自の報酬が上乗せされる点がLP戦略の大きなメリットです。
また、ガバナンストークンである$PENDLEをロックしてvePENDLEを保有することで、このLP報酬をさらにブーストさせることも可能です。

LP戦略は、相場を積極的に予測するのではなく、プロトコルの成長に貢献しながら、多様な収益源を確保したいと考える、バランスの取れた中級者向けの戦略と言えるでしょう。

仮想通貨$PENDLEとは・将来性

Pendle Financeのエコシステムには、そのネイティブトークンである$PENDLEが存在します。
PTやYTを用いた基本的な運用戦略においては必須ではありませんが、$PENDLEはプロトコルの長期的な成長とガバナンスにおいて中心的な役割を担っています。

$PENDLEトークンをロックし、vePENDLE (vote-escrowed PENDLE) を保有することで、ユーザーは以下のようなメリットを享受できます。

  • LP報酬のブースト:流動性提供者として得られる$PENDLE報酬を、vePENDLEの保有量に応じて増加させることができます。
  • ガバナンスへの参加:プロトコルの運営に関する重要な意思決定(どのプールにインセンティブを配分するかなど)に投票する権利を得られます。
  • プロトコル収益の分配:YT取引から発生する手数料の一部などが、vePENDLE保有者に分配されます。

Pendle Financeは、単なる一つのDeFiプロトコルに留まらず、DeFiにおける「金利市場のインフラ」となることを目指しており、その成長シナリオは極めて野心的です。

  • マルチチェーン展開とEVMを超えた拡大
    • これまでイーサリアム及びそのレイヤー2ネットワークを中心に展開してきましたが、2025年のロードマップではSolana、Hyperliquid、TONといったEVM(イーサリアム仮想マシン)以外のブロックチェーンへの拡大を計画しています。
    • これにより、全く新しいユーザー層と資本を取り込み、DeFi全体の固定金利レイヤーとしての地位を確立することを目指しています。
  • 機関投資家の呼び込み
    • 規制に準拠した投資を求める機関投資家向けに、KYC(本人確認)に対応したプロダクト群「Citadel」の立ち上げを進めています。
    • これにより、伝統的な金融機関がオンチェーンの利回り商品へアクセスする際の障壁を取り除き、数十億ドル規模の新たな資金流入を促進する可能性があります。
  • 永続利回り市場への進出 (Boros)
    • 現在のスポット利回りの取引に加え、無期限先物契約の資金調達率(ファンディングレート)といった「永続的な利回り」を取引可能にする「Boros」プロジェクトを計画しています。
    • これは、仮想通貨市場で最大級かつ最も変動の激しい利回り源を扱うものであり、成功すればPendleはDeFiにおける金利デリバティブ市場の支配的なプレイヤーとなるでしょう。

これらの戦略が示すように、Pendle Financeは利回り取引の可能性をあらゆる方向に拡大しようとしています。

ステーブルコインやトークン化された現実世界資産(RWA)の市場が成長する中で、Pendleが提供する固定金利インフラの重要性はますます高まっていくと考えられます。

Pendle Financeを使うときの4つのリスク

Pendle Financeは革新的なリターンをもたらす可能性がある一方で、利用する際には必ず理解しておくべきリスクが存在します。ここでは主要な4つのリスクについて解説します。

Pendle Finance:4つのリスク
  • YTの時間的価値と満期リスク
  • スマートコントラクトリスク
  • 元資産のリスク
  • PTの元本割れリスク

YTの時間的価値と満期リスク

YT(利回りトークン)は、その性質上、時間と共に価値が減少していきます。
YTはあくまで「満期日までの利回りを受け取る権利」であり、満期日が訪れた瞬間、その価値は完全にゼロになります。これは、使い切ったチケットのようなものです。

したがって、YTを購入した場合は、満期までの間に得られる利回りやポイントの価値が、YTの購入価格を上回らなければ投資は損失に終わります。特に、価格変動が激しい相場では、投資額の全てを失う可能性も十分にあるため、必ず余剰資金で運用することが鉄則です。

スマートコントラクトリスク

Pendle Financeは、その運営の根幹をスマートコントラクト(ブロックチェーン上で自動実行されるプログラム)に依存しています。

これまでに数多くの専門機関による監査を受けており、高いセキュリティ基準を維持していますが、プログラムに未知のバグや脆弱性が存在する可能性はゼロではありません 。万が一、スマートコントラクトがハッキング攻撃を受けた場合、プロトコルに預け入れた資産を失うリスクは、他のDeFiプロトコルと同様に存在します。

元資産のリスク

これは最も注意すべきリスクかもしれません。
Pendleで取引されるPTやYTの価値は、その大元となる資産(Underlying Asset)の価値に完全に依存しています。

例えば、あなたがeETH(ether.fiのリキッドリステーキングトークン)のPTやYTを保有している場合、もしether.fiのプロトコルに問題が発生したり、eETHの価格がETHと著しく乖離(デペグ)したりすれば、PTやYTの価値も暴落し、共倒れになります。

特に、sUSDeのような合成ドルは、その複雑な仕組みから独自のデペグリスクを抱えています。
利回りが高いということは、それだけ元資産が何らかのリスクを負っていることの裏返しであるというDeFiの基本原則を常に忘れてはいけません。

PTの元本割れリスク

PTは満期になれば元本が返ってくると説明しましたが、これには例外が存在します。
それは、元資産の利回りがマイナスになる「ネガティブイールド」という稀な状況が発生した場合です。

例えば、何らかの理由でstETHのステーキング報酬がペナルティなどによりマイナスになった場合、その利回りを源泉とするPTの価値も影響を受け、満期時に元本割れを起こす可能性があります。

これは極めて稀なケースですが、理論上のリスクとして存在することを認識しておく必要があります。

Pendle Financeをこれから触る人へ

この記事を読んで、Pendle Financeに興味を持ったものの、何から手をつければ良いか分からないという方も多いでしょう 。最後に、これからPendleを触ってみようという方への実践的なアドバイスをいくつか紹介します。

STEP
公式サイトを覗く

何よりもまず、Pendleの公式サイト(pendle.finance)にアクセスし、どのような資産がリストされているか、そして現在の利回りがどのくらいなのかを眺めてみることから始めましょう。
フィッシングサイトを避けるため、URLが正しいことを必ず確認してください。リスクのない情報収集だけでも、市場のトレンドを掴む良い勉強になります。

STEP
高利回り資産の背景を調べる

もし魅力的な利回りの資産を見つけたら、すぐに飛びつくのではなく、「なぜこの資産は高い利回りを生み出しているのか?」その仕組みを自分自身で調べてみてください。
その資産はどのようなプロジェクトが発行していて、どのようなリスクを内包しているのかを理解することが、賢明な投資の第一歩です。

STEP
少額から試してみる

仕組みとリスクを理解したら、まずは失っても問題ないと思える少額から試してみることを強くお勧めします。

特に、将来の価格変動リスクが限定的な「PT戦略」は、初心者にとって最初のステップとして最適です。

Pendle Finance まとめ

本記事では、DeFiにおける利回り運用の新たな地平を切り開くPendle Financeについて、その仕組みから具体的な戦略、将来性、そしてリスクに至るまでを包括的に解説しました。

Pendleは、単に利回りを生み出すだけでなく、その「利回り」自体をトークン化して取引可能にすることで、投資家にこれまでにないレベルの柔軟性とコントロールを提供します。最後に、Pendleが提供する主要な戦略を再確認しましょう。

Pendle Finance:3つの戦略
  • 守りのPT戦略:将来の金利変動リスクをヘッジし、固定利回りを確保したい安定志向の投資家向け。
  • 攻めのYT戦略:少ない元手で将来の利回りやエアドロップポイントを効率的に獲得したい、ハイリスク・ハイリターンを狙う投資家向け。
  • バランスのLP戦略:市場の方向性を予測せず、取引手数料やインセンティブ報酬をコツコツと積み上げたい中級者向けの戦略。

DeFiの世界は日々進化しており、Pendleのような革新的なプロトコルを理解し、使いこなすことが、これからの資産運用において大きなアドバンテージとなることは間違いありません。
動画や記事で学ぶだけでなく、まずは少額からでも実際に触れてみることが、何よりの学びとなるでしょう。

この記事が、あなたのDeFiへの理解を深め、新たな一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

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